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大阪メトロが「1000億円の超高層ビル」計画で一発逆転を狙う危うさ
https://diamond.jp/articles/-/191232
2019.1.21 枝久保達也:鉄道ジャーナリスト ダイヤモンド・オンライン
大阪メトロは昨年末、夢洲駅に高さ275メートルのビルを建設する計画を発表した。関西ではアベノハルカスに次ぐ高さで、総工費は約1000億円。しかし、この計画には危うさもつきまとう。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
大阪メトロがぶち上げた
超高層ビル建設計画
公表された「夢洲タワービル」の完成イメージ図を見ても、メンテナンスや管理費を考慮した現実的なものとは言えない。都市開発のノウハウを持たない大阪メトロは本当に大丈夫だろうか 写真:大阪メトロ公表資料より
大阪メトロが昨年末に発表した駅リニューアル計画は、デザインコンセプトとイメージ図が大きな注目を集め、同時に批判の的となった(「悪趣味な地下鉄駅改修案に府民仰天、大阪メトロ迷走に批判殺到」を参照)。しかし同時に発表された「夢洲駅周辺の開発への参画」構想は、それほど大きな話題になっていないように見受けられる。
2025年国際博覧会(大阪万博)の会場であり、カジノを含む統合型リゾート(IR)施設の誘致を目指している大阪港の人工島「夢洲(ゆめしま)」。2024年度までに大阪メトロ中央線をコスモスクエア駅から夢洲まで延伸して、鉄道アクセスを確保する計画だ(「大阪万博は鉄道輸送がネックに!?平均混雑率185%の深刻度」参照)。
大阪メトロは昨年7月に発表した中期経営計画の中で、大きな成長が望めない鉄道事業に代わるグループの牽引役に、広告事業と都市開発事業を位置付けた。都市開発事業では、計画期間中に着手を目指す候補地として、東の拠点「森ノ宮エリア」と西の拠点「夢洲・新臨海観光エリア」を掲げており、夢洲にIR誘致が実現した場合は、数百億円を投資して観光客向け商業施設を開発する意向を示していた。
今回の発表は計画をさらに発展させて、夢洲駅と一体化した高さ約275メートルの超高層タワービルを建設し、低層階を商業施設、中・高層階をオフィスにするというものだ。「多様性が活力を生み出し、それが大阪中に染みわたっていく」というコンセプトを体現した複雑な形状をしており、総工費は1000億円を見込んでいる。
現在のところ、高さ250メートル以上の超高層ビルは日本に5棟しか存在せず、夢洲タワービルが完成すれば、高さ約300メートルの「あべのハルカス」に次いで関西で2番目に高いビルになる。奇抜なデザインがやり玉に挙げられた駅リニューアル計画とは異なり、夢洲タワービル構想は民営化の象徴的な取り組みとして期待感を抱く人が少なくないようだ。しかし筆者は、夢洲タワービル計画が駅リニューアル計画よりもよっぽど経営を揺るがしかねない、大きな問題になるのではないかと危惧している。
大阪の超高層ビルには
残念な先例がある
鉄道会社による1000億円のビル開発とは、どのくらいの規模の投資なのか比較してみよう。過去10年に開業した駅直結の超高層ビルを見てみると、2017年に開業したJR東海の「JRゲートタワー(約211メートル)」が約1200億円、2014年に開業した近畿日本鉄道のあべのハルカスが約760億円、2012年に開業した東急電鉄の「渋谷ヒカリエ(約182メートル)」が約1000億円といわれている。
各社のビルはお膝元のメインターミナルを再開発したもので、まっさらな土地を新規開発したものではない。そもそも大阪メトロ自身が、中期経営計画の中で「まずは都市開発に必要な知見・ノウハウを獲得する」と記しているように、大阪メトロにビル開発や運営の経験はないのである。
その一端は公表された夢洲タワービルの完成イメージ図からもうかがえる。コンセプトを体現した外観というからには単なる「イメージ」というわけではないはずだが、メンテナンスや管理費を考慮した現実的な案とは思えない。ビル内に置かれる夢洲駅のイメージ図も、使い勝手の悪い2面2線のホームに、わざわざバリアとなる段差を設けるなど、デザイナーのアイデアスケッチにそのまま色を付けたようなものである。
知見やノウハウが全くない新規事業の1案件に対して、7ヵ年の中期経営計画で見込む営業キャッシュフロー約5000億円の5分の1をつぎ込むというのは、あまりに冒険的ではないだろうか。
確実に利益が見込まれるのであれば、万博とIR誘致が重なる一世一代のチャンスを逃す手はないという考えもあるだろう。しかし、大阪の超高層ビルには残念な先例があることも忘れてはならない。大阪府の開発した「りんくうゲートタワービル」と、大阪市の開発した「大阪ワールドトレードセンタービルディング(大阪WTC)」だ。
りんくうゲートタワービルは、関西国際空港の整備と連動した副都心「りんくうタウン」開発構想の一環として計画され、1996年に開業した。当時関西一となる高さ256.1メートル、総工費は659億円であった。しかし、バブル崩壊でりんくうタウン開発は大幅に縮小され、関西国際空港の利用も伸び悩んだことから、テナントが計画通りに集まらず多額の損失を計上。2005年4月、総額463億円の負債とともに運営会社は倒産した。
大阪WTCは、大阪湾を埋め立てて新都心を建設する「テクノポート大阪」構想のランドマークとして計画された。りんくうゲートタワービルと競い合った高さは256.0メートル、総工費1193億円をかけて1995年に完成するが、こちらもバブル崩壊によりオフィス入居率や来客数が低迷。巨額の赤字計上を続けた末に、2004年2月に982億円の負債を抱えて倒産した。その後、金融機関に債権免除を要請して経営再建に着手したが、2009年に643億円の負債とともに二次倒産している。
大阪市は大阪WTCが破綻に至った原因について、「需要予測など客観的な調査に基づく十分な検討をすることなく、バブル経済期の拡大成長を前提として会社を過小資本・過大債務の財務構造としたこと」を挙げている。行政が主導した臨海部開発構想の失敗と、負の遺産としての超高層ビル。二度あることは三度あるというが、この教訓は夢洲開発計画に反映されているだろうか。
大阪メトロのドル箱
御堂筋線を脅かす新線計画
超高層ビルの計画自体にも不安感を覚えるが、大阪メトロの本業である地下鉄事業にも、実は不安の種が隠されている。
大阪メトログループは営業利益のほとんどすべてを地下鉄事業に頼っている。2016年度の地下鉄利用者数は1日平均約238万人で、ピークの1990年と比較して15%以上減少した。2014年以降は微増傾向にあるものの、今後大きな成長は見込めない状況だ。加えて地下鉄事業が生み出す営業利益の85%が御堂筋線によるものという、いびつな収益構造が特徴である。
2017年5月、その御堂筋線の収益を脅かしかねない“ライバル”の整備計画が発表された。北梅田と難波を結ぶ新たな大動脈「なにわ筋線」(運営は第三セクター)の整備が決定したのだ。2031年春の開業を目標に、今年中に着工する計画だ。
JR線・南海線からの地下鉄乗り換えが不要になるだけでなく、加算運賃が地下鉄の運賃以下に設定されれば、運賃面のアドバンテージも生じてくる。現時点で国土交通省は、御堂筋線梅田〜淀屋橋間の朝ラッシュピーク混雑率が17%減少すると試算しているが、JRと南海の営業施策次第ではさらなる減少もあり得るだろう。
御堂筋線の営業収入は約697億円、費用は325億円で営業利益は372億円である(2017年度)。混雑率が146%(2017年度)から129%に減ったとしても、大阪圏の平均混雑率を上回るので、運行本数や編成あたりの車両数を大きく減らすわけにはいかないだろう。大ざっぱな計算だが、仮に費用はそのままで営業収入が17%減少すると100億円以上の減収になる。中期経営計画で想定するグループ連結営業利益の3分の1が吹き飛ぶ計算だ。御堂筋線が風邪をひくと、大阪メトロは肺炎になりかねないのだ。
こうした背景から、鉄道事業をカバーする新規事業を一刻も早く育てたいという思いは分からないでもないが、民営化の目的は「脱鉄道」そのものにあるのではなく、鉄道を軸に持続可能で独立した企業体になることにある(「大阪メトロ民営化で注目、『脱鉄道で収益アップ』に現実味はあるか」参照)。
御堂筋線の減収を穴埋めしようと建設した夢洲タワービルまでもが風邪をひいたら、大阪メトロは致命傷を受けるかもしれない。それは、持続と安定を最優先するインフラ企業として、最も避けなければならないもののはずだ。万博・IRに便乗した「ばくち」で一発逆転を狙おうというのは、民営会社の経営判断として妥当なものとはいえないだろう。
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— ダイヤモンド・オンライン (@dol_editors) 2018年8月5日
大阪メトロ民営化で注目、「脱鉄道で収益アップ」に現実味はあるか | News&Analysis | ダイヤモンド・オンライン https://t.co/YSenJfx6My:手堅い財務分析、民鉄との比較、地下空間だからむやみには非鉄道事業用地・空間を増加させられないことの指摘等優れたレポートになっている。
— halloyankee10 (@kiwamurabox) 2018年8月6日
御堂筋線がすごいんよね
— たかたか (@taccaya) 2018年8月6日
"大阪メトロは昨年、鉄道事業で385億円の営業利益を計上しており、これは東急や阪急・阪神を上回る規模である。" / 大阪メトロ民営化で注目、「脱鉄道で収益アップ」に現実味はあるか (Diamond Online) #NewsPicks https://t.co/rOxOwZ5Hji
北大阪急行の箕面延伸で、桃山台の広大な車両基地を街区として開発したりしないかな。めちゃくちゃ儲かると思うけど。
— 東郷正永 (@TOGO_Masanaga) 2018年8月6日
大阪メトロ民営化で注目、「脱鉄道で収益アップ」に現実味はあるか(ダイヤモンド・オンライン) - Yahoo!ニュース https://t.co/8HPibXXSIl @YahooNewsTopics
まあ、妥当な分析やね。経営計画は鉄道事業以外に伸びしろがないのが現状。 > 大阪メトロ民営化で注目、「脱鉄道で収益アップ」に現実味はあるか https://t.co/mSrRtqyTES https://t.co/mSrRtqyTES
— tochi_yoshi (@tochi_yoshi) 2018年8月6日
2025年までに全路線でドライバーレス運転に移行し、鉄道・バス部門の人件費をどれだけ削減出来るかにかかってる。大阪メトロ民営化で注目、「脱鉄道で収益アップ」に現実味はあるか(ダイヤモンド・オンライン) - Yahoo!ニュース https://t.co/mrEBnEYkU5 @YahooNewsTopics
— 民主共和制万歳-反日帝反極右打倒自慰史観 (@kingofjap2) 2018年8月5日
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