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異なる主要3中銀の金融政策の方向性、日米欧中銀の思惑を読む
https://diamond.jp/articles/-/191383
2019.1.19 三井住友アセットマネジメント 調査部 ダイヤモンド・オンライン
来週と再来週は、日米欧主要中央銀行の会合・委員会が予定されており、金融政策のアップデートが集中しています Photo:PIXTA
皆さんこんにちは。三井住友アセットマネジメント調査部です。毎週土曜日に「ビジネスマン注目!来週の経済、ここがポイント」をお届けしています。
来週1月22日〜23日には日銀の金融政策決定会合が、24日には欧州中央銀行(ECB)の金融政策委員会が、そして翌週の29日〜30日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が予定されており、今月下旬には日米欧主要3中銀の金融政策のアップデートが集中しています。主要中銀の金融政策は、各国の株式や為替市場の変動をもたらすことがあるほか、景気の方向性にも大きな影響を及ぼすため、注目したいイベントです。
そこで今回は日米欧主要3中銀の現在の金融政策を確認するとともに、今後の金融政策の方向性についてみていきたいと思います。
日銀の「金融緩和路線」は、
金融政策決定会合も継続するか
まず、1月22日〜23日には日銀の金融政策決定会合が予定されています。日銀は、2013年3月に黒田総裁が就任して以降、安倍政権が掲げる大胆な金融緩和を推し進めています。具体的には、2013年4月に「量的・質的金融緩和」を導入した後、2014年10月には「量的・質的金融緩和」を拡大し、2015年12月には「量的・質的金融緩和」を補完するための諸措置を導入しました。
その後、2016年1月には「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を導入、2016年7月には「金融緩和の強化」を行いました。そして2016年9月の金融政策決定会合では「量的・質的金融緩和」導入以降の経済・物価動向と政策効果についての総括的な検証を行い、その結果を踏まえて、金融緩和強化のための新しい枠組みとして現在の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入しました。
「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」は、次の2つが柱となっています。1つは金融市場調節によって長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」です。この下で、短期金利は日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用しています。
また、長期金利は10年物国債金利が概ね現状程度(ゼロ%程度)で推移するよう、長期国債の買入れを行っています。この買入れ額については、保有残高の増加額のめどを年間約80 兆円ペースとすることを維持しつつ、買入対象の平均残存期間の定めを廃止しました。
長期国債以外の買入れについては(1)ETFおよびJ−REITについて、保有残高がそれぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行い、(2)CP等、社債等について、それぞれ約2.2兆円、約3.2兆円の残高を維持するとしています。
もう1つは、消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」です。これは、2%の「物価安定の目標」達成に向けて、予想物価上昇率を引き上げることを目的としています。すなわち、物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続すると約束することで、「物価安定の目標」の実現に対する人々の信認を高めようとしています。
日銀が掲げる2%の「物価安定の目標」ですが、達成のめどはついていません。日銀は四半期に一度、経済・物価情勢の展望(展望レポート)を発表しています。この最新2018年10月分 に掲載されている「2018〜2020 年度の政策委員の大勢見通し」では、今秋予定されている消費増税の影響を除いた消費者物価指数(除く生鮮食品)の見通しは、前回7月分から引き下げられて、2019年度は前年度比+1.4%、2020年度は同+1.5%となっており、当面2%には達しない見込みです。
さらに、今回の金融政策決定会合後に発表される最新の展望レポートでは、足元の原油価格の急落や今後の携帯電話料金の引き下げなどを勘案して、2019年度は同+1.0%程度に、2020年度も小幅ながら引き下げられる見込みとなっており、その結果に注目です。これまで黒田総裁からは、今後さらに景気の下振れリスクが顕在化し、経済や物価見通しに大きな影響が出るような場合には、金融政策自体が変更になる可能性についての発言もありましたが、当面は様子見が続くと見込まれます。
さて、前述した通り、日銀は「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の中で長期国債やETF、J−REITなどの資産の買入れを行っています。昨年は米中貿易摩擦の影響などから株式市場が不安定に推移する中、主に株価が下落する局面で日銀はETFを買入れ、相場を下支えしてきました。
昨年7月の金融政策決定会合では、「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」の決定を受けて、ETFの銘柄別の買入額が見直されましたが、全体の購入額は昨年も日銀が目標とする年間6兆円を超えるものとなりました。一方、長期国債は年間80兆円ペースで買入れするとしているなか、実際には足元では年間40兆円ペースと、ここ2年程かけておよそ半分程度にまで減少してきています。こうして密かに量的緩和が縮小されることをステルステーパリングと言いますが、この国債の買入れペースは今後も緩やかに低下していき、2019年末には年間25兆円程度のペースに下がっていくとみられます。
これまでの量的・質的金融緩和では、実際には物価の上昇に繋がっていないことから、物価上昇に向けてはまた別のアプローチが必要と考えられます。ただ、貨幣の供給量を増やすだけではなく、例えば、実質GDPの成長といった付加価値の生産増に加えて、賃金としてこれを適切に分配し、更にその支出を促すといった循環を作り出すことが必要と考えられます。なかでも、賃金の適切な分配がなされているかが重要と考えられます。具体的には、人件費を付加価値で割った労働分配率をみると、足元まで低下傾向となっています。実際、企業は営業利益が増加傾向にあるなかで、現金・預金残高を積み上げており、賃金への分配割合が低下していることが、物価の伸び悩みの一因になっている可能性が指摘できます。
ECBの政策金利引き上げは
2019年12月から2020年3月頃にかけてか
日銀の金融政策決定会合の翌日には、ECBの金融政策委員会が行われます。ECBは、2014年6月に日米欧主要3中銀で初めてマイナス金利政策を導入しました。現在は、政策金利が0.00%、金融機関が余剰資金を預け入れた際に適用される中銀預金金利(預金ファシリティ金利)が▲0.40%となっています。また、ECBは量的緩和策である資産購入プログラムとして毎月資産買入れを行ってきましたが、これを段階的に減額し、昨年末で終了させました。今後は利上げの時期がいつになるのかなどに注目が集まっています。
ユーロ圏の景気は、直近では2017年末が成長率のピークでした。2018年に入ってからは緩やかに成長が減速しつつも、底堅さを維持しています。しかし、ドイツやフランス、イタリアなどで政治的な不透明感が続いていることや、原油価格が一時に比べて大幅に下落したことでインフレ期待が低下していること、英国のEU離脱(Brexit)交渉が難航していることによる企業心理の悪化などから、当面は金融政策の据え置きが続きそうです。三井アセットマネジメント調査部では2019年12月頃に中銀預金金利を引き上げた後、2020年3月頃にそのほか全ての政策金利の引き上げに向かうと見込んでいます。
今年2回見通しのFRBの利上げは、
年後半の1回に留まる可能性も
日銀やECBがマイナス金利政策を継続している一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は金融政策の正常化を進めています。FRBは、2015年12月に約7年ぶりに政策金利(フェデラルファンド(FF)レート)の変更に舵を切り、その後0.25%ずつ断続的に利上げを続けています。2018年は4回の利上げが行われ、現在のFFレートは2.25%〜2.50%となっています。
米国経済は、個人消費の力強い拡大を支えに、景気と雇用の力強い拡大が持続しています。直近2018年12月の雇用統計では、最も注目される非農業部門雇用者数は前月比+31.2万人と市場予想を大幅に上回り、3ヵ月及び6ヵ月の移動平均でみても基調として20万人を上回るペースの増加を維持しています。また、賃金は前年同月比+3.2%と3ヵ月連続で3%台の増加となっています。
一方で、米中貿易戦争の影響は米国経済にも見られはじめています。例えば、ISM製造業景況感指数は54.1と、中立水準の50を大きく上回ってはいるものの、市場予想の57.5や、11月の59.3から大幅に低下しました。ISMの発表資料によると、関税に関するコメントが多く、これまでの関税前の駆け込み需要の剥落が見られていると考えられることに加え、中国経済の減速などを踏まえると、今後も軟調な展開が予想されます。また、トランプ大統領によるメキシコとの国境の壁の建設費用を巡り予算がまとまっていないことから米国政府機関の閉鎖は過去最長期間に及んでいます。これまでもトランプ政権では重要閣僚の交代が相次ぐなど、内政の不安定さも気になるところです。
これに対し、FRBは12月のFOMCで2019年の利上げ見通しを3回から2回へと下方修正しただけでなく、今年に入りパウエルFRB議長が政策を柔軟に調整する用意があると述べ、バランスシートの縮小方針を見直す可能性に言及するなどハト派的な発言をしています。今年は前述の通りFRBは2回程度の利上げを見通していますが、三井アセットマネジメント調査部では年後半に1回行われるに留まると見ています。このため1月にはFFレート等金融政策の変更は行われないと見られますが、今後はパウエル議長を始めFRB高官の発言に注目が集まりそうです。
(三井住友アセットマネジメント 調査部 脇坂理恵)
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— あそしえ (@h_hosoda) 2019年1月18日
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— saiha_rss (@saiha_rss) 2019年1月18日
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