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2019年1月14日 秋山謙一郎 :フリージャーナリスト
山口組のハロウィーンに夢中な子供たち、見守る神戸市民の複雑な心境
(上)
2018年も山口組総本部はハロウィーンの菓子配りを実施した。今年は金額にして100円アップ、付き添うであろう母親向けにトイレットペーパーも付けたという気の配りようである。警察や近隣小学校は指をくわえて見ているだけなのか?彼らへの取材で分かったのは、神戸市民の「山口組さん」への複雑な心境だった。(取材・文・写真/フリージャーナリスト 秋山謙一郎)
市民にファンを増やす
山口組のハロウィーン戦略
山口組のハロウィーンの菓子配りを徹底検証しました。
「山口組さんのお菓子は豪華」――大喜びの子どもたちが次々に山口組総本部の門をくぐった
地域住民か、それとも反社会的勢力か。彼らをどう扱うか、市民たちはその答えを決めあぐねている――。
昨年10月31日、ハロウィーンの日。港町・神戸の閑静な住宅街では、今年も指定暴力団・山口組総本部(神戸市灘区)のハロウィーンが実施された。捜査関係者によると、その参加者は子ども約700人、大人約300人、合計1000人(いずれも延べ人数)に上った。捜査関係者のひとりによると、「年々、緩やかながらも増え続けている」のだそうだ。
今や毎年の恒例行事として全国的にも知られるようになった、この山口組による「ハロウィーンの菓子配り」。だが今回はいくつか例年とは異なる“変化”も見受けられた。
はしゃぐ子どもたちを、苦りきった顔で見つめる捜査関係者の姿もあった
まずは市民の側だ。この反社会的勢力による恒例行事をけん制しようとパレードが行われた。もちろん、万が一にもパレード参加市民と山口組が衝突するようなことがあってはならない。そのため兵庫県警では例年にも増して警戒にあたる警察官の数を増やし対応にあたった。
しかし、そうした動きもむなしく、今年も例年通り、16時頃、総本部のシャッターが開いて菓子配りが実施された。
山口組さんは「紳士」!?
捜査関係者は苦りきった顔
そこにハロウィーン仮装をした子どもと母親たちがやって来る。敷地内に入った子どもたちや母親を組員たちが会場内を案内したり、ハロウィーンのために設置されたオブジェの前で記念写真のシャッターを押したりする。自転車やベビーカーを押す母親には、組員が、これを取って代わりエスコートする。
「山口組さんは紳士」!?――あまりに無邪気な市民たちの姿も多く見られた
夫の転勤に伴って、今年、神戸にやってきたという30代の母親は言う。
「正直、最初はちょっと怖かったのですが、入ってみると、本当に皆さんお優しくて。あのエスコートぶりは、今時なかなかないです。思わずファンになりました」
実際、ハロウィーンにやってきた人たちの声を拾ってみると、小学生の子ども、母親、近隣に住む大学生、専門学生など、その年齢を問わず、皆一様に、「(組員たちは)優しい」「紳士」「カッコいい」と口をそろえる。
こうした「ハロウィーン参加市民」たちによる「山口組賛美」の声に捜査関係者のひとりは苦り切った表情を隠さず、こう吐き捨てた。
「(ハロウィーンで配られる菓子の)原資はどこから出ているのか、わかってるのやろうか…」
トイレットペーパー配布で
母親の気持ちもわしづかみ
拡大画像表示
その配られた菓子をみると、“変化”は山口組にも見られた。
パッと見、例年に比べ、配られた菓子の総額がやや高いという印象を受ける。左の表をみてもらいたい。
昨年に比べ、配られた菓子の総額が約100円割高となっていることがわかる。小学生にとって「100円分の割高」は絶大なインパクトをもって迎えられたことは、誰しも容易に察しのつくところだ。
総本部から歩いて数分の距離に位置する「神戸護国神社前公園」に行くと、子どもや母親たちが、総本部で受け取った菓子を広げ、昨年との違いや、山口組以外のこの地域で配られた菓子との比較で盛り上がっている光景を、例年、目にすることができる。
その公園前に行くと、さらなる“変化”に気づいた。
小学4年生の子どもに付き添ってきたという30代の母親は、高級住宅地に住む神戸マダムらしく、茶目っ気たっぷりにハロウィーンの包装紙に包まれたトイレットペーパーを手に持ちながら語った。
「こういうのんがいちばん有り難いんですぅ。来年は洗剤とかもつけてほしいですね」
今年は、子ども向けの菓子のみならず、トイレットペーパーと、母親が同伴した場合に限り、大人向けの菓子も配られていた。例年には見られなかった山口組による「大人への配慮」だ。
「100円アップ」に
興奮冷めやらぬ子どもたち
記者がこの30代母親から話を聞いていると、そこに総本部から菓子を受け取ってすぐ公園にやってきたという小学5年生男子3人組が興奮冷めやらぬ面持ちで次々にこう語った。
配られたお菓子の総額は昨年比100円アップ!子どもにとって、100円は“そこそこの金額”である
「ほかにも菓子配りしてるところはあるけれど、やっぱり山口組のほうが(配る菓子の)グレードがええねん」
「山口組だけやで、毎年、グレード上がってるんわ」
「めっちゃ豪勢や。だから毎年来てるねん」
これに彼らの母親たちも、神戸マダムらしいにこやかな笑顔でこう呼応する。
「山口組さんはね、いっつも(配られる菓子が)豪華なんですよ。今年はこんなんも(トイレットペーパー)もありますしね。来年は何がもらえるか…、毎年楽しみにしてます」
手放しで喜ぶ市民の行状を、捜査関係者のひとりは、ややあきれた面持ちで、天を仰ぐかのように視線を上げつつ、静かに、誰に話すとでもないふうに語った。
「親も学校も、モラルを教えなあかんやろう。『行くな』と…」
>>(下)に続く
2019年1月11日 秋山謙一郎 :フリージャーナリスト
山口組のハロウィーンに夢中な子供たち、見守る神戸市民の複雑な心境(下)
>>(上)から続く
山口組のハロウィーンを
警察が静観せざるを得ない理由
そもそも山口組がハロウィーンで菓子を配るようになったのは1970年代からといわれている。当時、ハロウィーンの風習は日本ではなかったが、西日本の玄関口・神戸では、外国人居住者も数多い。その子どもたちが、「トリック オア トリート」と総本部にやってくるようになってからのことだという。
トイレットペーパーが母親たちに大好評だった
真偽不明の話ではあるものの、地域住民によると、最初の頃、山口組側は子どもたちに「お小遣い」を渡していたという。毎年10月末日に、決まって子どもたちがやってくることから、時の山口組組長が、「あれはなんだ?」と組員たちに調べさせた。すると、「どうも海外の地蔵盆のようなもんらしいでっせ」という。
これが山口組によるハロウィーンの菓子配りの由来である。これが徐々に地域に浸透し、また日本でもハロウィーンの風習が広まるにつれて、「山口組がハロウィーンを行っている」といつしかメディアやネットで取り上げられるようになり、広く大勢の知るところとなり、今日へと至っている。
それにしても年々、反社会的勢力排除の機運が高まるなか、なぜ、地域の子どもや母親たちが総本部内に出入りすることを誰もとがめないのか。
捜査関係者によると、これは「(山口組総本部内という)敷地内で行っていること」だからだそうだ。敷地外ならいざしらず、敷地内で行っていることをとがめるわけにはいかない。そこにみずからの意思で入っていく者をとがめることもできないのだそうだ。
地域の小学校教頭が明かす
苦渋の対応の舞台裏
だから兵庫県警側としては、淡々と、その動向を重大なる関心を持って注視、警戒するしかないのだという。
お菓子の豪華化やトイレットペーパー・大人向け菓子追加で、来年はさらに参加者が増えそうだが…
こうした警察側の苦悩を知ってか知らずか、大人と子ども合わせて、毎年1000人程度の者が「山口組のハロウィーン」にやって来る。今年、山口組がトイレットペーパーや大人向け菓子を配ったことから、来年、山口組が菓子配りを実施したならば、さらに参加人数は増えそうな勢いだ。
警察が法の壁に阻まれて、子どもたちに「山口組のハロウィーンに行くな」と指導したり、実力行使できないのなら、学校側が、「行くな」と指導すべきだと思う向きもあるだろう。校区内に山口組総本部のある神戸市立六甲小学校に現状を聞いた。
「学校としては、『そこ(総本部)に行って他人に迷惑をかけてはいけない』『見ず知らずの人にモノをもらってはいけない』という指導は行っております」(神戸市立六甲小学校教頭)
神戸市立六甲小学校では、ハロウィーン当日、教頭や生活指導担当教諭らが、総本部内敷地には入ることはなかったものの周辺で警戒に当たり、不測の事態に備えた。その際、「児童、保護者の誰が参加したか」というデータ化はとくに行っていないという。驚くべきことに、明確に学校側が、児童や保護者に「行くな」という指導は行っていないのだ。
この内幕について、神戸市教育委員会関係者は次のように語った。
「地域性の問題がある。(総本部が)校区内にあるので、その(山口組)関係者につながる人が保護者や児童にもいる。彼らへの配慮が大きい。またそれ(山口組)とつながる人を通してそこ(山口組総本部)へ行くことは、『知らない人』と明確に言い切ることはできない。だから、『行くなら他人に迷惑をかけるな』としか指導できない」
山口組の分裂組織が
ハロウィーンに参加する可能性は?
なんとも歯切れの悪い回答だが、それはこの関係者も自覚しているのか、次のように続けた。
日が暮れるまで参加者は途絶えることがなかった
「本音としては、児童には、『行くな』と指導したい。しかしその人たち(山口組)がその(反社会的勢力である)団体として行っている行為ではなく、一地域住民として長く行っていることでもある。それを学校の立場で否定することで、いろいろ課題も出てくる」
さらに歯切れの悪い回答だが、本音はこれに尽きる。
「教職員が、児童に『行くな』と指導して、何かコトが起きるかもしれない。児童や保護者を守るのはもちろんだが、教職員も守らなければならない」
つまりは「行くな」と指導した教職員が“反社”から攻撃のターゲットとされるのを避けたいということだ。
この「ハロウィーンの菓子配り」を、山口組と袂を分かった「神戸山口組」や「任侠山口組」も行うのではとの声が毎年、どこからともなく出てくる。双方に近い筋によると、「現状では考えていない」としたうえで、こうつけ加えた。
「ああいうもの(ハロウィーン)を今、行うことが、一般の方にご迷惑をお掛けすることになる。それは本意ではない」
世間ではヤクザと呼ばれ、極道とも任侠ともいわれる世界に身を置く者たちは、世間に強いインパクトを与え、リアクションを得たいというメンタリティーを持つ。たとえ賛同の声ではなく、拒絶であってもいい――とにかく、何か強烈な印象を与えたいと望むのだ。
同時に、対立する組織には、圧倒的な力量の差を見せつけて勝たなければならないと考え、行動するところがある。
山口組の「善行」と「恐怖」に
複雑な神戸市民たち
つまり、このまま山口組が菓子配りを通して一般市民の間に受け入れられることは、対立組織に属する者たちにとって、決して愉快なことではないのだ。
「そろそろ私らの業界も忙しくなるはずですから。それ(ハロウィーン)どころやなくなると思いますよ」
お菓子で子どもの心をつかむのは難しいことではないだけに、警察関係者には踏み込んだ具体策を求めたい
山口組と袂を分かった組織の関係者のひとりが語るこの言葉が不気味に響く。
さて、地域住民によると、かつて山口組では、このハロウィーンだけではなく、新年の餅つき大会に地域住民を招待、参加した子どもには現金1万円から3万円程度のお年玉が配られたこともあったという。
こうした山口組と地域住民との関わりを、「絶対にいけない」と声高に叫ぶ市民が増える一方で、「阪神大震災での活躍」「インフルエンザ流行時、幼稚園にマスクを差し入れ」など、“山口組さん”の「善行」に思いをはせる市民がいるのもまた事実だ。
かつて総本部近くに住んでいたという神戸生まれ・神戸育ちの70代女性は言う。
「一住民としてやっていることに、あんたら(マスコミ)が面白おかしく取り上げるからおかしなことになるんや。こんな取り上げ方をされると、地域の人と山口組さんの距離の取り方がおかしくなる。どちらにも余計な苦労を強いる。結局、誰も得してへん」
地域住民、公教育――、どちらも一見、“山口組さん”に物分かりがいい。だが、そこには戦後から今日まで、市民を震え上がらせてきた「山口組」へのおびえも透けて見える。今こそ兵庫県警は、もっと踏み込んだ具体策を講じなければ、ますます“山口組さんのファン”が増えるばかりなのではないだろうか。
https://diamond.jp/articles/-/190727
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- 悪趣味な地下鉄駅改修案に府民仰天、大阪メトロ迷走に批判殺到 うまき 2019/1/14 09:17:35
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