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(回答先: 体験と記憶、人はどちらの幸福を重視するのか 1日や1時間で考える場合、清教徒の労働倫理観 一生のような長い時間では哲学的 投稿者 うまき 日時 2019 年 1 月 07 日 02:43:04)
親切を企業文化の中心に据え、社内中に伝染させよ
ウィリアム・テイラー:『ファストカンパニー』誌の共同創刊者。
2018年12月28日
企業の不祥事に関するニュースはあとを絶たない。好ましくない振る舞いが伝染しやすいことはその原因の1つだが、心理学の研究によると、良い振る舞いもまた周囲に伝わりやすいことが明らかになっている。たとえば、顧客に対する親切心を企業文化の中心に据え、それを社内で伝染させることで、価値あるサービスを生み出すことにつながる。メルセデス・ベンツの事例をもとに、思いやりや寛大な振る舞いがもたらす成果を示す。
毎日、新聞に目を通し、ニュース報道を見ていると、厳しくて底意地が悪く、分断された時代を我々は生きているという結論に達するかもしれない。しかし、最近『ワシントン・ポスト』紙に掲載されたコラムは、見逃しがちなある真実を思い出させてくれた。好ましくない振る舞いは拡散する傾向があるが、好ましい振る舞いもまた同様に、拡散する。親切は、伝染するのである。
スタンフォード大学の心理学者ジャミール・ザキは、彼が呼ぶところの「ポジティブな適合」という現象を証明しており、上のコラムはザキの研究に着目したものだ。彼の研究によると、「周囲の人たちが寛大であると感じた参加者は、自分自身もより寛大な態度を示した」という。これは「親切は伝染し、その過程の中で新しい形をとりながら、人々の間に波及していく」ことを示唆している。
ザキの知見は、よりよい社会を実現するうえで重要だが、個々の会社にも当てはまる。筆者が知るリーダーのほとんどは、社員に対して、本来のサービスの枠を超えて、顧客の胸を打つような親切を示してほしいと望んでいる。また、そうしたリーダーの多くが、その目標は主に社の方針や手順を設けることで達成できると信じている。つまり、上からの指示によって親切を促すというわけである。実際には、組織内で親切を促進するのに有効な方策は、親切を伝染する菌のように扱い、皆が感染する環境を整えることなのだ。
この点で、参考になる事例がある。筆者は最近、メルセデス・ベンツの米国販売・サービス部門である、メルセデス・ベンツUSAにおけるカスタマーサービス変革の研究に没頭した。スティーブン・キャノンはメルセデス・ベンツUSAのCEOに就任したとき、その成功の決め手が商品である自動車だけにはとどまらないと認識していた。販売・点検・修理に携わる従業員すべてが、顧客を思いやり、寛大に振る舞うことも重要なのである。
「顧客がメルセデスのブランドに接するたび、車に劣らぬ素晴らしい体験を提供しなければならない」と、キャノンは宣言した。そして、顧客にとってブランドとの接触とはすなわち、ディーラーで働く従業員との個人的な触れ合いに他ならない。そのとき従業員が、顧客の心に残るような快い振る舞いができるか、それとも大半のディーラーで働く従業員と同様に定型通りの振る舞いをするかで、大きな差が生じる。キャノンは、そう理解していた。
また、メルセデスのディーラーで働く2万3000人にも及ぶ従業員の行動を変え、つながりと思いやりの文化を生み出すうえで、従うべき一定の法則はないということも、キャノンはわかっていた。代わりに必要だったのは、親切を伝染する菌と捉える草の根の「運動」に加わるよう、ディーラーやそこで働く従業員を説得することだった。
「販売員や修理スタッフに何か素晴らしいことをしてもらいたいとき、その動機づけとなるような科学的なプロセスもアルゴリズムもありません」と、キャノンは語った。「唯一の方法は、教育し、刺激し、『駆り立てる』ことです。何かをする機会に出くわしたとき、自発的な行動をとる許可を与えるのです。ただ指示に従うのではない。重要なのは、善意から来る強い信念です」
そして数年が経ち、この信念は、従業員の職場での日常において、心温まる多種多様な親切を生んだ。
成約した直後に契約書類に目を通していた販売員は、その日がちょうど顧客の誕生日だと気づいた。すぐにケーキを注文し、顧客が新車を引き取りに来た際に販売店一同でお祝いをした。
息子の卒業式に向かう途中でタイヤがパンクしてしまった顧客もいた。慌てて近くのメルセデスのディーラーに駆け込んで事情を説明したものの、不運なことに、彼女の車のモデルに合うスペアタイヤの在庫はなかった。そこで、サービス・マネジャーはショールームに駆け込み、展示してある車をジャッキで押し上げ、タイヤを取り外し、その母親を息子の卒業式へと送り出した。「似たようなストーリーは山ほどあります」と、キャノンは言う。「販売店の従業員たちは誰もが率先して尽力します。それほど、お客さまを気にかけているのです」
メルセデス・ベンツの職場における親切の伝染には、もう1つの要因がある。最前線で働く従業員にとって、仕事に対する純粋な誇りという動機づけがあれば、顧客に対してより親切な対応をしやすい、ということだ。
メルセデス・ベンツUSAで15年働くベテラン販売員のハリー・ハイネキャンプは、新設されたカスタマー・エクスペリエンス部門の初代マネジャーに抜擢された。ハイネキャンプと彼のチームは、全米のメルセデスのディーラーを視察して回るなかで、あることを発見した。「現場の従業員のブランドへの誇りは、我々が思っていたほど高くはなく、仕事に対するエンゲージメントも、期待していたほど強くなかった」というのだ。
特に衝撃的だったのは、販売店で働く従業員の7割近くが、販売店の敷地の外でメルセデス・ベンツの車を運転したことがないという事実だった。修理やパーツの注文はするが、実際その車を公道で運転した経験がなかったのだ。
ハイネキャンプは考えた。実際にメルセデス・ベンツを運転する興奮を味わったことがないのに、メルセデスのブランドに純粋な誇りが持てるものだろうか。そこで彼は、あるプログラムを発案し、実施した。ディーラーで働く2万3000人の全従業員に48時間、メルセデス・ベンツを貸し出し、運転を体験する機会を与えたのだ。会社は、この取り組みに、800台近い車と、数百万ドルの資金を投じた。
従業員の多くは、自分が運転する順番を、重要な出来事と合致するように調整した。90歳になる祖母を誕生日会に招く際に迎えに行く、娘とその友達を16歳の記念パーティに送迎する、生まれたばかりの赤ちゃんを家に連れて帰る、等々。参加した人は割り当てられた48時間を写真や動画に記録し、ラップソングまでつくったケースもある。
「反応は予想以上のものでした」とハイネキャンプは言う。彼は、社内にウェブサイトを設けてそれぞれの体験を共有した。「当然のことながら、誰もが自分の扱う車をよく知ることができました。でも一番の収穫は、仕事への誇りをより強く持てるようになったことです」
メルセデス・ベンツUSAにおいて、ボトムアップの従業員同士による顧客へのコミットメント強化の取り組みは、カスタマーサービス革新の有力な事例である。また、あらゆる分野のリーダーたちへのメッセージでもある。いくら命じたところで従業員が親切になるとは限らないが、リーダーは親切を伝染させる火付け役にはなれるのだ。
HBR.ORG原文:Making Kindness a Core Tenet of Your Company, November 22, 2018.
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『ファストカンパニー』誌の共同創刊者。最新刊は『オンリーワン差別化戦略』(ダイヤモンド社)。既刊邦訳に常識の壁を打ち破った超優良企業』 『マーベリック・カンパニー(日本経済新聞出版社)がある。ホームページはこちら。
http://www.dhbr.net/articles/-/5670
仕事は人の幸せにどんな影響を与えるのか
――「世界幸福度リポート」から読む
ヤン・エマニュエル・デ・ネーブ,ジョージ・ウォード:オックスフォード大学サイード・ビジネススクールの准教授
2017年6月1日
仕事と幸福度の関係を、職種や地域ごとに多面的に分析した「世界幸福度リポート」の概要を紹介。個々人の仕事における幸福は、企業業績や国家経済とも相関すると本記事は結論づける。
ほとんどの人は生活の多くの部分を働いて過ごしている。したがって当然ながら、仕事は人の幸福度に大きな影響を及ぼす。
我々は「世界幸福度リポート」の最新版において、仕事と幸福の関係をより詳しく考察している。これは国連が定めた国際幸福デーに合わせて毎年発行されるものだ。
ここで大いに参考としたのは、ギャラップが2006年以降行っている、世界150ヵ国の人々を対象としたアンケート調査である。同社の取り組みによって我々は、世界中の数十万人から得られたデータを分析し、労働生活の諸要素が心身の健康(wellbeing)にどう影響しているかを探ることができている。
主観的に判断される心身の健康(しばしば大まかに「幸福」と呼ばれる)は、複数の側面から測定できる。我々がまず着目したのは、生活の質を総合的に自己診断する「キャントリルの階梯」の結果だ。これは(生活における7つの要素を)最高から最低までの11段階で測るギャラップの尺度で、回答者に自分が現在どの段階にいるかを尋ねる。
この他にも我々は、人が日々の生活で経験する正負さまざまな感情状態(楽しみ、ストレス、心配など)に着目。さらに、より職場固有の尺度として、仕事の満足度や従業員エンゲージメントなどへの回答も分析した。
●最も幸福度が高い職種はどれか
ギャラップの世界調査では大きく11の職種が設定されている。自営業、オフィスワーカー、マネジャー、農業、建設、鉱業、運輸などから成るこの分類はさまざまな職をカバーしている。どのグループの労働者が、一般的に幸福度が高いのだろうか。
我々が最初に気づいたこととして、ブルーカラーの仕事に従事する人々は、世界のどの地域でも全体的な幸福度が低めであった。これは、建設、鉱業、製造、運輸、農業、漁業、林業といった労働集約的な産業に広く当てはまる。マネジャー、幹部、公務員、または専門職の人々は、生活の質を10段階評価で6強と自己評価したのに対し、農業、漁業、林業の従事者は平均で4.5程度であった。
この構図は、総合的な生活満足度についてのみならず、日常における個々の感情経験についても見られる。ホワイトカラーの労働者は概して、微笑む、笑い声をあげる、楽しみを感じるなどのポジティブな感情状態の報告が(ブルーカラー労働者に比べ)より多く、心配、ストレス、悲しみ、怒りといったネガティブなものはより少ない。
こうした記述統計は、職種間の幸福度の差異をそのまま表している。もちろん、これらの多様な分野で働く人々の間では、異なる要素が数多くあるはずで、それが幸福度の差異につながっている可能性はある。だが意外かもしれないが、所得や学歴、年齢、性別、婚姻関係といった多くの人口属性上の差異を考慮に入れて推定を調整しても、この構図はほぼ変わらないのだ。
●自営業は複雑
自営業と心身の健康との関係は多面的である。世界の平均値を見ると、自営業者はフルタイム従業員と比較して、全般的に低めの幸福度であることがわかる。だがフォローアップ分析からは、この結果が地域によって、そして主観的幸福度の項目によって大きく左右されることが示されている。
ほとんどの先進国では、自営業は総合的な生活満足度の高さに相関し、同時に日々のストレスや心配などのネガティブな感情もより多い。きっと事業主ならば誰であれ、自営業が見返りもストレスも大きいことなどよくご存じだろう。
●失業は不幸の源
幸福の経済学に関する最も確固たる知見の1つは、失業が心身の健康を損ねることだ。これは世界中で当てはまる。就業者は失業者と比較して、生活の質を概ねはるかに高く評価している。また、失業者は日々の生活におけるネガティブな感情経験を約30%多く報告している。
職に就いているという事実は、給与よりもはるかに重要だ。働くことの非金銭的な側面は心身の健康を大きく左右することが、大量の研究により示されている。社会的地位、社会関係、1日の過ごし方、目標などの諸々が、人々の幸福に強く影響するのだ。
失業者は通常、就業者よりも不幸せであるだけではない。人は一般的に、「時が経っても失業状態には順応しない」ことが我々の分析からわかった。さらに、失業期間を経ることは、職をふたたび得たのちにも心身の健全に「傷」を残すようだ。
失業経験は当事者に大きな打撃を与えうるが、周囲にも影響を及ぼす。家族や友人がもちろんその典型であるが、影響はもっと広範に波及する。失業率の高さは人々の雇用不安を煽ることが多いため、まだ職がある人の幸福度にまでマイナスの影響を及ぼすのだ。
●世界における仕事の満足度
ここまでは、人がみずからの生活を総合的にどう評価・経験しているかを論じてきた。だがもっと具体的な、職場における心身の健康に関する尺度、たとえば仕事への満足度などに関してはどうだろうか。
ギャラップの世界調査では回答者に、自分の仕事に満足しているか否かを尋ねている。「満足している」と答えた回答者の割合のほうが「満足していない」よりも高かったのは、南北アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランド。なかでも、第1位のオーストリアでは95%の回答者が仕事に満足していると答え、ノルウェーとアイスランドが僅差で続く。このギャラップ調査では、個人の仕事の満足度と生活満足度との間に、ある程度の相関性(0.28。完全相関は1.0)が見られる。
一部の社会ではなぜ他の地域よりも仕事の満足度が高いのか。我々はその理由を見出すために、欧州社会調査によるもっと詳細なデータに目を向けた。ここでは従業員の幸福に関連する特定の職場要因が明らかにされており、仕事の質に関するさらなる情報がわかる。予想通り、報酬の多い仕事を持つ人は幸福度が高く、生活と仕事への満足度も高い。だが、仕事におけるその他多くの側面も、幸福のさまざまな尺度と強く関連している。
ワークライフバランスは、幸福に関する特に強力な予測因子であった。その他の要因には、仕事の多様さ、新しいことを学ぶ必要性、個々の従業員が享受できる自由裁量のレベルなどがある。さらに、仕事の安定性と社会関係資本(個人が同僚から受けるサポートにより測定)も、幸福と正の相関性を示している。一方、健康や安全のリスクをともなう仕事は、心身の健全にマイナスとなっていることが多い。
仕事の満足度でランクが高い国々は、このような非金銭的な職場要因に配慮することで質の高い仕事を提供している、というのが我々の推測だ。
●職務満足度の高さとは裏腹に、エンゲージメント(意欲)は低い
ギャラップの世界調査では、個人が自分の仕事に「強い意欲を持っている」「意欲を持っていない」、あるいは「仕事が嫌い」と感じているかを質問している。これらのデータは、比較的高い職務満足度とは対照的に、はるかに殺伐とした状況を示している。「強い意欲を持っている」と答えた人の割合は概して20%未満で、西ヨーロッパでは10%程度、東アジアではもっと低い。
世界的に見られる職務満足度と従業員エンゲージメントの開きは、1つには測定上の問題もあるかもしれない。だが他にも、これら2つの概念は仕事における幸福の異なる側面を測定しているという事実にもよる。
職務満足度は、仕事への「自己満足」にすぎない場合もあるだろう。しかし(強い)従業員エンゲージメントとなると、個人は仕事に前向きに没頭し、組織の関心事を前進させるべく全面的にコミットしている必要がある。したがって、従業員エンゲージメントを高めるほうが、より困難なハードルなわけだ。
本稿では、仕事と職が人々の幸福にどう影響するかに焦点を当てている。ただし、幸福と職の関係は双方向に作用する複雑でダイナミックなものであることも留意すべきである。
実際に多数の研究によれば、仕事と職は人の幸福を左右するだけではない。幸福そのものが、労働市場での所得増加、仕事の生産性、そして企業の業績にまで寄与しうることが示されている。つまり、仕事での幸福は単なる個人的な問題ではなく、経済にも関わるのだ。
HBR.ORG原文:Does Work Make You Happy? Evidence from the World Happiness Report March 20, 2017
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ヤン・エマニュエル・デ・ネーブ(Jan-Emmanuel De Neve)
オックスフォード大学サイード・ビジネススクールの准教授。経済学と戦略を担当。世界幸福度リポートの共同編集者も務める。
ジョージ・ウォード(George Ward)
マサチューセッツ工科大学スローン・スクール・オブ・マネジメントにあるワーク・アンド・エンプロイメント研究所の博士課程学生。
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http://www.dhbr.net/articles/-/4861
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