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社会的貢献と利益の二兎を追え ESG投資3年で13倍 個人投資家にも広がり
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181228-00000509-fsi-bus_all
12/28(金) 9:12配信 SankeiBiz
社会的課題への取り組みを評価して投資資金を振り向ける「ESG投資」の裾野が広がっている。企業活動のうち環境対策に資金の使途を限った「グリーンボンド」などの債券は発行額が3年間で約13倍と急増。長期的な利益還元が見込まれるほか、最近は利回りの高さを期待できる手法も出ており、社会的責任が重視される機関投資家だけでなく個人投資家からの需要も高まってきた。
「この1年間、意識の高まりを感じている」。日本証券業協会の鈴木茂晴会長は12月中旬、東京都内で開かれたESG投資に関する国際会議で胸を張った。
みずほ証券によると、国内の法人や団体が発行したESG関連債券の発行額は2014年度の330億円から、17年度には4300億円と右肩上がりで増加。今年度は最大8000億円まで膨らむ見通しだ。商船三井が船舶の排気ガス浄化装置などを使途として9月に発行した国内初の個人向けグリーンボンドは「通常の社債の約2倍の需要があった」(関係者)という。
同証券の香月康伸シニアプライマリーアナリストは「投資行動に社会貢献などの意義を求める機運が高まっているほか、社会的課題の解決に取り組む企業は潜在的な事業リスクも低く、中長期的な企業価値向上が見込まれている」と需要増の背景を分析する。
◆現状では逆風も
だが、足元では逆風も吹く。一般の社債より発行コストのかかるESG関連債券の投資効果には懐疑的な見方もあり、日本証券アナリスト協会の調査では、約2割のアナリストが企業評価でESG情報を「重要でない」と回答する。債券を引き受ける大手証券関係者は「現状では、普通社債より利回りが低いと急に買い手が減る」ともらす。
それでも地球温暖化などの社会的課題が山積していく中、ESG投資は「将来の投資の主流」(香月氏)と見込まれる。機関投資家の生命保険大手や証券会社は、社会的責任と投資効果の“二兎”を追うべく、先進技術などで社会課題の解決に取り組む企業や団体に対する「インパクト投資」に力を入れ始めた。
◆副次的メリット
第一生命は昨秋からロボットなどの最新技術で医療や健康などに寄与する国内ベンチャーへの投資を加速させる。同社は「長期投資が可能な生保の運用戦略を生かし、変化に対応する有望な技術に早期から投資できる」(運用企画部)と話す。野村証券は米国の運用会社と提携し、先進医療分野に投資する投資信託を個人向けに販売する。
日本総合研究所創発戦略センターの渡辺珠子スペシャリストは「インパクト投資はリスクもあるが、投資家が社会貢献への実感を得られるほか、有望なベンチャー企業とのつながりを持てる副次的なメリットも魅力」と強調している。
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【用語解説】ESG投資
環境破壊などを伴った経済成長は持続しないとの危機感を背景に、企業の環境保全や社会問題、企業統治への取り組みを評価する投資手法。ESGは環境(ENVIRONMENT)、社会(SOCIAL)、企業統治(GOVERNANCE)の英語の頭文字。国連が2006年、機関投資家にESGの観点を考慮するよう求める「責任投資原則」を公表したのを契機として、欧米の機関投資家を中心に普及が進んでいる。
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