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「クリスマス暴落」はトランプがくれた投資機会
市場は「晴れ、ときどき台風」
暴落は市場のミスリード。金融危機の可能性は小さい
2018年12月28日(金)
居林 通
(※本記事中のグラフの数字は2018年12月25日、インタビューは26日朝時点のものです)
「クリスマス暴落」という言葉も出ています。12月24日のニューヨーク市場ダウ平均は653ドル安の2万1792ドルで開け、東京市場は連休明け、1年3か月ぶりに2万円台を割り込みました。
居林:言葉のわりにYさん淡々としてますね。
仕事柄、株は持っていませんし、何より居林さんの連載を3年近く担当させていただいて「日経平均には年間で3割くらいボラティリティー(この場合は価格の上下動)がある」と知りましたからね(こちら)。1000円下がっても5%じゃないか、と。そしてなにより、相場の関数である企業業績とは関係ない原因での下げですし。……と、連載を読んできた方ならお考えではないかと。
居林:クリスマスでお休みの市場関係の方が多いらしくて、連絡がついた私のところに「これはリーマンショックの再来か、金融危機が始まるのか」というメディアなどの方から、問い合わせをたくさんいただきました。
「台風」が来たのは間違いなさそうですが、金融恐慌の前触れなのか、あるいは投資のチャンスである市場のミスジャッジか、居林さんの判断は。
ここで買わないならば、いつ買うのか
居林:Yさん、よく勉強されました。ここはパニックに陥らず「インデックスレベルで買い」だと思います。ついに来た。今年の3月の安値を大きく切り下げ、来年の懸念材料の多くを前倒しで織り込みに行ったと思っています。本欄を読んでいただいている方には、胃薬をご準備のうえ、ご自分のリスク許容度に合わせた投資タイミングが来た、と見ていただきたいですね。
おおっ。大漁旗を上げろ、と。
居林:ただし注意点ももちろんありますので、最後までお付き合いいただいたうえで、ですが。
前回(こちら)、来年1〜3月の悪材料に反応して市場が下がる中で、海外投資家によって売られすぎている銘柄を狙って「一本釣り」してはとお話ししました。それが繰り上がって年内に来た、そういう印象です。
今回の暴落も、外国人投資家によるものでしょうか。
居林:まだデータが揃っていませんが、そうではないと思います。海外も日本の投資家もそうですが、年内の損は年内に確定させておきたい、という季節的な株価変動要因がありまして、年末に損切りをして、もし今年利益を確定した投資があれば、それにぶつけて今年の税金の支払額を引き下げられるわけです。海外投資家のポジション整理は、日本株については今月前半でほぼ終わっていると推察しています。この1年間では実に11兆円、日本株を売ったようです。
しかし25日の東京市場については、海外投資家の動きはほとんどない。なぜなら、クリスマス休暇だから。やるべきことはその前にやっているわけです。
では、東京市場の暴落は。
居林:25日に起きたことは、個人投資家のろうばい売りだと思います。米国が大幅に下げた。まだ下がるかもしれない。24日、日本の市場がお正月で休みの間に、マティス国防長官の辞任よりももっと悪いことが起こるんじゃないか。その恐怖に耐え切れない人たちが売った。信用取引の証拠金不足にともなう強制売却も入っているのではないかと推察します。
とはいえ、下げとしてはリーマンショック時と同様かそれ以上の幅なわけです。下がり方を見ていると、「もしや、また」と思うのも無理はないですよね。
居林:我々の目から見ると、悪いニュースが出て、それが市場に反映され、フェアバリューを通り越し割安になっている、という、投資には魅力あるタイミングに映ります。マーケットのシグナルは、利用するためのものであって従うためのものではない、と思います。
「クリスマス暴落」というシグナルは 「市場は理性を失って感情に走っている」ということを意味しています。金融危機に繋がるリスクは、もちろんゼロとは言えません。しかし、非常に小さいと考えます。なぜなのか分かりますか。
今回の下げが「政治リスク」が原因だからですか。「経済危機の「3年後」を調べてみました」でお聞きした、例のアレ。
居林:そうです。金融の世界と政治の世界は互いに影響を与え合っていますが、怖いのは金融市場に起因する暴落、いわゆるバブルのほうです。政治→金融のほうはたいてい中長期では影響はありません。ギリシャ危機しかり、ブレグジットしかり。
おさらいしておくと、金融市場の暴走の場合は、「どう考えても説明がつかない価格の上昇」が起こり、「上がるから上がる」という状況にたくさんの投資家が巻き込まれ、それがある時一転して下落に転じる。そこから、株式などを担保に融資、あるいは自ら投資していた銀行など、一般社会の金融システムにまで信用不安が広がり、経済全体に広がる、二次災害、三次災害まで行くと「金融危機」と呼ばれるものになってしまいます。リーマンショックはもちろん、古くはアジア通貨危機、あるいはITバブル、みな「なぜここまで上がるのか」と思われていて、やっぱり落ちてしまった。
そして金融危機までつながった。今回はというと。
居林:金融市場は正常で、流動性もあるし、企業収益は下に向かっていますが高い位置にあります。割安感こそあれ、バブルという印象はない。
政治主導の金融危機は起こらないものなんでしょうか。起こらないとしたらなぜなんでしょう。
居林:政治というか、政府がわざと景気を悪化させて、金融危機を引き起こそうと思うことはありませんよね。起こしたい人はいないし、理由がないから。「起きてしまう」ことはありえますが、起こしたくて起こるものではない。
誰にもメリットがない。
居林:トランプ米大統領は、独裁者ではなく、政治家です。民意を得るには、不景気ではなく好景気をもたらさねばならず、株価暴落がマイナスに効くことはさすがに理解している。となれば、対策が取られる可能性は高い。
「本気でまずい」と米国投資家がパニックに
とはいえ、判断を誤って経済に悪影響を与えることはあり得ますよね。
居林:はい。今回のダウ暴落についていえば「トランプはディールではなく、本気で『アメリカファースト』だけを考えているのでは、合理性を失いかけているのでは」という不安が投資家に走ったことがパニックのきっかけだと見ています。具体的には、シリアからの米軍撤退と、それに抗議したマティス国防長官の辞任、そして議会の与野党不合意によるガバメントシャットダウン(政府閉鎖)、ファーウェイ副会長勾引。「わかってやっている」とは思えない出来事が相次いだ。その不安に苛まれて投資家が逃げだした、というのが暴落の大きな理由だと思います。
やっぱり、政治が金融に影響を与えているように見えますが。
居林:暴落という現象、結果そのものは、金融発も政治発も同じです。しかし、原因を取り違えてはいけません。金融市場のバブルが発端ならば影響は大きく、長引き、中央銀行というヒーローの登場を仰がねばならなかったりしますが、政治発の場合はある程度の長短はあれ、時間がたてば回復します。景気後退を自ら望む政治家はいませんからね。
トランプ大統領はそれすらわかっていない、という可能性はどうでしょう。
居林:ううむ(笑)。否定できないところが辛いですね。しかし、彼が大統領になった選挙が行われたのが2016年11月ですから、次の大統領選挙への動きが実質的に始まるのは、任期3年目の19年末くらいですよね。それまでに景気がぼろぼろになっていたら、彼が理解していようがいまいが、再選の可能性は閉ざされてレームダック化します。だから、結局は同じことではないでしょうか。
中国との関係はどうでしょう。
居林:いまの状況は、1970年代から90年代の日米貿易摩擦と恐ろしいくらい符合します。たとえば貿易黒字をきっかけに炎上し、その後ココム問題で「国家保障に関わる問題」だと米国からすさまじい批判を浴びた東芝機械の苦境は、まさしく今回のファーウェイを思わせます。もちろん、安全保障同盟の国である日本とは立場が大きく違いますし、今後もいろいろあるのは確実ですが、中国は「臥薪嘗胆」だと頭を下げて逆転を期す、というのがありそうな筋ではと。いずれにせよ、企業の行動は政治に影響されざるを得ないし、そこを手を尽くして乗り越えていくものだと思います。いずれ落着すると見ます。
日本人としては、今後中国がどう動くのかますます興味深いですね。歴史の皮肉さの証人になれる、というところでしょうか。
「負のバブル」が膨らんでいる
居林:市場自体は健全だという証拠はいくらでも挙げられます。もし、中央銀行の金利の引き上げが早すぎた、というなら、米国10年国債を見てみればいいと思います。利回りは3%を割り込んでいます。FRBは来年の利上げの回数を3回から2回に減らしました。そういう指標を市場は「見ていない」。つまり「トランプがもたらす(かもしれない)様々なおそろしい事態」におびえ、感情で動いている、と我々は考えています。。実際にそれで株価が下落を始めれば、「やっぱり!」となって、さらに売りにかかる。
バブルの逆、いや、逆方向へのバブルですね。
居林:まさしく。「負のバブル」です。他人の感じている恐怖が伝染する。みんながダメだと思うと自分もダメだと感じる。以前に詳しくお話したと思いますが、この歴史は、政治発の暴落でも金融発でも何度も繰り返されています。あれこれ言いましたが、要するに「歴史は繰り返さないが、韻を踏む(The past does not repeat itself, but it rhymes.)」ですね。by マーク・トウェイン。
直近でいうと、2016年にとても似ています。EU解体の危機、と叫ばれたギリシャ危機、イランの供給再開による原油暴落。どれも「政治的問題」ですがメディアのヘッドラインは大きい。危機の深刻さはヘッドラインの大きさによっては決まらないのに、インパクトが出てしまった。それがまた繰り返されている。
まとめますと、今のマーケットは政治的問題の結果としての株価急落と、金融バブルの崩壊による株価急落を混同しています。下がり方が一緒なので「裏に金融危機があるのでは」という誤解が生まれていますが、暴落という現象は同じでも、リーマンショックとは違う理由で起きている。帰結も違う。ですので、そう遠からず回復すると考えます。ということは、「買い」です。
今の株価水準「だけ」を見ると、そんなに割安なのですか。
居林:「弱気派」ということになっている私にも魅力的に見える水準になってきました。まず予想PER(Price Earnings Ratio、株価が1株当たり純利益の何倍かを示す)は12倍前後と割安になりました。まあ株価が下がればPERも下がることが多いですが、PBR(Price Book value Per Share、株価が1株当たり純資産の何倍かを示す)は1倍まで行きました。
日本企業は実は現預金をいっぱい持っている(2018年3月期で総資産の12%を占 める)し、「営業権(のれん代)」などインタンジブル(無形固定資産)が少ない。企業買収をやってこなかった結果でもありますが。
PBRが1倍で現預金が多く、換金が難しい資産が少ないということは、ブックバリュー、簿価に「値段通りの価値」が期待できるってことですよね。
居林:そう考えれば、株主にとっては税引き後の利益率、ROE(株主資本利益率、Return On Equity)がそのまま利回りになる。これは安心感があり、お買い得です。
これが、マーケットが下げ過ぎだということを示す3つのサインの1つ目、株価が割安であるという根拠です。市場が正しいのか、指標が正しいのか、その瀬戸際を判断したいと思います。
次に、ムービングアベレージのリターンを見てみましょうか。これは「3か月前に買ったら何パーセント儲かったか/損をしたか」という移動平均線です。
居林:これは指標でいえば市場の瞬間瞬間のモーメント、上がる、下がる、どちらの方向にどれくらいの速度で動いているのかを示す、いわば速度計です。いまは、勢いよく下に突っ込んでいる、弱気一色ぶりがうかがえます。
そしていつもの株価と予想企業利益を比較したグラフです(日本企業の12カ月先の企業収益予想=赤線、日経平均=青線)。
3年近い連載で、収益予想のラインからこんなに下に日経平均がきたのは初めてですね。
あとは胃薬を飲んで待つ
居林:この下降の原因は政治イベントによるもの。そして、政治は自らの首を絞めていると気づけば方向転換します。しないと政治的な自殺になりますから。よってモメンタムはどこかで切り返すと考えています。
もちろん違う可能性もあります。例えば、中国がミリタリーアクションを起こしたら「ごめんなさい」と申し上げるしかありません。ですが、この局面は1〜3年経てば「あれはいい買い場だったね」と⾔われることになるような気がします。。
なるほど……え、3年ですか?
居林:そこが大事です。少なくとも1〜3月は戻らないでしょう。ここで仕込んだら冬眠するか、あるいは胃薬を飲み続ける。そして相場が正気と勝機を取り戻すのを待つんです。
ううむ。今だと思っても不安は残るでしょうし、買ってもまた下がったら迷いも生まれそうです。難しいですね。
居林:はい。投資タイミングというのは本当に難しい。最安値や最高値をドンピシャで当てるのは難しいです。ならば、たとえば「ここから下値があっても少ない」と思える水準で徐々に買いを入れる、これも時間分散という分散投資のひとつだと思います。
冷静にマーケットの観察を続けていただきたいと思います。これ以上のマーケットの上下は過去いくつもありましたが、今回も、投資家として経験値を上げることができ、経験知を蓄えることができる貴重な機会ではないでしょうか。
年末ですし、今日で市場もひと休みですから、連載を読み直していただくのもいいかもしれませんね。
居林:以前に、売った株が上がったらどう考えるか、という回があったかと思いますが、今回はさしずめ「買った株が下がったらどうするのか」を考えるいいチャンスになりそうですね。ともあれ、私は、買いに出てよい時期だと考えています。皆様のお考えはどうでしょうか?
このコラムについて
市場は「晴れ、ときどき台風」
いわゆる「経済評論家」ではなく、「実際に売買の現場にいる⼈」との議論に基づく市場の動きと未来予測です。語り手ははUBS証券ウェルス・マネジメント本部⽇本株リサーチヘッドの居林通さん。そのときそのときの相場の動きと、⾦融市場全体に通底する考え⽅の両⾯から、「パニックに流されず、パニックを利⽤する」⼿法を学んでいきましょう。ただし、投資家の自己責任ということを忘れずに、皆さんご自身でのご判断をお願いします。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/020500004/122600024
米国株が続伸、一時大幅安も終盤に反転
Vildana Hajric、Eddie van der Walt
2018年12月28日 6:37 JST 更新日時 2018年12月28日 7:05 JST
27日の米株式相場は、ボラティリティーが再び高まる中で上昇。朝方から軟調に推移し、一時大きく下げる場面も見られたが、終盤プラスに転じた。米国債は上昇し、原油は値下がりした。
米国株は続伸、一時軟調も終盤プラスに転じる
米国債は上昇−10年債利回り2.77%
NY原油は反落、米国株が一時軟調に推移
NY金は上昇、米国株の一時下落で逃避需要
この日はS&P500種株価指数とダウ工業株30種平均ともに終値でプラス。ダウ平均は2時間足らずで800ドル余り戻した。S&P500種は前日の5%高と合わせ、この2日間の上げとしては2015年8月以来最大となった。
ペイサーETFのショーン・オハラ社長は「きょう、きのう、そしてこの1カ月の動きを説明するのは難しい」とし、「時間的な観点で言えば現在は歴史的な強気相場であり、そのサイクルがここまで進行すれば、投資家はより神経質になる」と述べた。
S&P500種株価指数は前日比0.9%高の2488.83。ダウ工業株30種平均は260.37ドル(1.1%)上げて23138.82ドル。ナスダック総合指数は0.4%上昇した。米国債市場では、ニューヨーク時間午後4時45分現在、10年債利回りが4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.77%。
ニューヨーク原油相場は反落。米国株の値下がり再開が材料視された。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物2月限は1.61ドル(3.5%)安の1バレル=44.61ドル。ロンドンICEの北海ブレント2月限は2.31ドル下げて52.16ドル。
ニューヨーク金スポット相場は半年ぶり高値付近に上昇。米国株が下落し弱気相場入りに近づく中、安全資産としての金の需要が高まった。金スポット相場はニューヨーク時間午後1時59分時点で0.9%高の1オンス=1278.44ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は0.6%高の1281.10ドル。
S&P500種は月間ベースでは、このままいけば今回の強気相場の中で最悪のパフォーマンスとなる。四半期では約15%の下げだ。金利上昇やワシントンでの政治混乱、世界の成長に対する懸念などが投資家心理の重しとなっている。
原題:Bear Market Kept at Bay as Stocks Rise From Lows: Markets Wrap(抜粋)
Oil Roller-Coaster Ride Hits Another Drop as U.S. Equities Slide
PRECIOUS: Gold Rises to Near Six-Month High as Equities Sink
(最終段落を追加し、更新します.)
【NY外為】ドルは下げ縮小、111円を回復−株が下落から急反転
Sydney Maki
2018年12月28日 2:54 JST 更新日時 2018年12月28日 6:38 JST
27日のニューヨーク外国為替市場でドルは下落。終盤に米株式相場がこの日の安値から大きく値を戻し、米国債の利回り曲線がスティープ化するにつれ、ドルは下げ幅を縮小した。朝方は米消費者信頼感が大きく悪化したことが影響し、株式が一時売られたほか、原油価格と米国債利回りが下げた。米政府機関の一部閉鎖は少なくとも週末までには解消されない見通しとなった。
ニューヨーク時間午後4時過ぎの時点で、主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.4%下落
ドル・円は0.3%安の111円04銭。一時は0.8%下げた。前日は1%上昇していた
ドルは対スイス・フランでも下落。1月以降で最大となる1.2%安となった後、下げ幅を縮小
ユーロは上昇し、1ユーロ=1.1440ドル。一時は0.9%高の1.1454ドルを付け、21日および55日移動平均を突破
これより先、欧州中央銀行(ECB)は経済成長の継続を予想しながらも、下向きのリスクが拡大しているとの認識を示した
米連邦準備制度理事会(FRB)のリンゼー元理事はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、トランプ米大統領によるFRB批判は「後ろで聞こえる雑音」にすぎないが、利上げペースは減速させるべきだと発言
12月の米消費者信頼感指数は5カ月ぶり低水準。先週の新規失業保険申請件数と10月のFHFA住宅価格指数はいずれも予想と一致
クレディ・アグリコルのストラテジスト、ジェニファー・ハウ氏はリポートで、世界的に株価が最近軟調なことから、月末特有のポートフォリオ調整が「強力なドル買いの広がり」につながる可能性は高いだろうと分析
欧州時間の取引
世界経済の成長見通しがあらためて懸念される中、ドルは主要10通貨の大半に対して下落した。年末を控えた薄商いの中、ドル指数は0.1%低下。前日の上昇基調が反転した。
原題:Dollar-Yen Pares Decline With UST Yields as U.S. Stocks Bounce(抜粋)
Dollar Heads for Second Weekly Loss as Stocks Drop: Inside G-10(抜粋)
Dollar Pares Two-Day Advance as Treasuries Climb: Inside G-10(抜粋)
(相場を更新し、情報を追加します.)
ブラックロックも例に漏れず、資産運用会社の株価は10年で最悪の下げ
Rachel Evans、Annie Massa
2018年12月28日 5:09 JST
今年は米資産運用会社の株価が過去10年で最悪の下げを記録しており、ブラックロックの株主にとっても厳しい年となっている。
世界最大の資産運用会社であるブラックロックの株価は年初来で26%下落。同社や同社ファンドへの投資家が売却に動く、ないし様子見を続けたことが影響した。ただこのパフォーマンスも、同業他社に比べればまだ良い方だ。さらに大きな時価総額の減少に見舞われている会社は多い。
株式市場のボラティリティーがここ3年で最大となる中、資産運用会社やカストディー(証券管理)銀行の株価変動を示す指数は今年に入り29%安と、下落率はS&P500種株価指数の3倍を超えている。構成銘柄中で下落率が最も大きいのはインベスコで、年初来55%の下げだ。
資産運用会社やカストディー銀行の株価パフォーマンスは以下の通り。
Volatile markets have hurt fund providers in 2018
ブラックロックやそのカウンターパート企業は、過去最長となっている強気相場の恩恵を大いに享受してきた。株式相場の幅広い上昇が投資家の買い意欲を高め、大量の資金がそれら資産運用会社の指数連動ファンドに流れ込んだ。だが今年はその戦略が裏目に出た。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のデータによれば、上場投資信託(ETF)への資金流入は34%減少し、資産運用会社の収入見通しを悪化させている。
エドワード・ジョーンズのアナリスト、カイル・サンダース氏は、ブラックロックも「市場の影響を免れない」と指摘。「投資家が様子見に回れば、そうした商品に資金が流入しなくなり、それが脆弱(ぜいじゃく)さをもたらす。市場全体がそういうムードだ」と述べた。
ブラックロックの広報担当はコメントの要請に対し、ゲーリー・シェドリン最高財務責任者(CFO)が今年行ったプレゼンテーションに言及。シェドリンCFOは、同社が販売するさまざまな投資商品や技術が他社との違いを際立たせていると述べていた。
当時のプレゼンテーションでCFOは「当社のスケールと多様性が、あらゆる市場サイクルでのより一貫した財務成績、そして将来への投資実行力につながっている」と語っていた。
原題:Bear Market for BlackRock Depicts Worst Fund-Firm Rout Since ’08(抜粋)
リンゼー元FRB理事:米利上げ減速を−トランプ氏の批判は「騒音」
Brendan Murray、Jason Kelly
2018年12月28日 6:56 JST
米金融当局は現実に注目すべきだ、インフレは目標下回る水準
利上げをこれ以上急速に進めることは得策と言えず
リンゼー元米連邦準備制度理事会(FRB)理事は金融当局が利上げペースを減速させる必要があり、金融引き締めに対するトランプ大統領からの批判については「後方の騒音」とみなすべきだと指摘した。
リンゼー氏はブルームバーグ・テレビジョンとのインタビューで、「大統領については後方の騒音と考えるのが最善だ。米金融当局はそのように受け止めるべきであり、現実に注目すべきだ」とコメント。「実際にはインフレが目標を下回る水準にあり、金融市場はここだけでなく世界中でいくらかストレスを受けているため、これ以上急速に進めることはあまり得策とは言えない」と述べた。
米利上げペース減速の必要があると話すリンゼー元FRB理事。
(出典:ブルームバーグ)
パウエルFRB議長はここ数カ月間、景気過熱の予防を目指した一連の利上げについてトランプ大統領から相次いで批判を受けてきた。失業率が3.7%と1969年以来最低である一方、インフレ率はFRBの2%目標を下回っている。
1991年から97年にかけてFRB理事を務め、現在はコンサルタント会社リンゼー・グループの社長兼最高経営責任者(CEO)を務めるリンゼー氏は金融政策について、「利上げするのはインフレの場合だけだ。現時点ではインフレは見当たらない」と指摘した。
原題:Ex-Fed Governor Urges Slower Rate Hikes, Views Trump as ‘Noise’(抜粋)
アプライドなど半導体製造装置メーカーが上昇、SOXをけん引
Jeran Wittenstein
2018年12月28日 7:27 JST
メモリー最大手のマイクロン・テクノロジーも3.4%高
SOXは一時2.7%下げる場面も終盤には回復
27日の米株式市場では、テクノロジーセクターで今年のパフォーマンスが最も悪い分野の一つである半導体製造装置メーカーが半導体株の上げをけん引した。
フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の構成銘柄ではアプライド・マテリアルズ、MKSインスツルメンツ、エンテグリスが値上がり率上位に入った。この日のSOXは一時2.7%下げる場面があったが、最後の2時間で回復し、0.7%高で終了した。
SOX構成銘柄で今年のパフォーマンス最下位のアプライドは3%高、MKSとエンテグリスはいずれも2.7%高となった。
半導体需要の鈍化や米中貿易摩擦の激化を受け、半導体製造装置メーカーの株価は低迷。半導体メーカーが設備投資の削減や先送りに動く中で、メモリーの供給量増加も重しになっている。
米半導体メモリー最大手のマイクロン・テクノロジーはこの日、3.4%高で終了。5月に付けた約1年半ぶりの高値からは49%下落していた。同社は今月、2019年8月期の設備投資予算を90億−95億ドル(約9990億−1兆540億円)に削減することを明らかにした。レンジ中央値に基づくと、従来計画から12億5000万ドルの減額修正となった。
原題:Beaten-Down Chip Equipment Stocks Lead Semiconductor Rebound(抜粋)
米企業の記録的な自社株買い、弱気心理に太刀打ちできず−29兆円規模
Lu Wang
2018年12月28日 1:13 JST
発表済みの自社株買い、記録上2位の規模−トップは今年4−6月
この間にS&P500種は15%下落、2008年の金融危機以降で最悪
株式相場の下支え役が板に付いているコーポレート・アメリカも、強気相場の延命には限界があると気づいたかもしれない。
10−12月(第4四半期)に米企業が発表した自社株買いはこれまでのところ、記録上の過去最大に近い規模となっているが、この間にS&P500種株価指数は15%下げ、2008年の金融危機以降で最悪となっている。同指数は今週24日には、弱気相場入りまで2ポイントに迫った。
自社株買いが資金の無駄遣いだという批判もあれば、そもそも自社株買いは株価にさほど影響しないとの分析もある。しかし市場に強い下向きの力が流れていることを物語っている。10月以降に米企業が発表した自社株買いは、2600億ドル(約28兆8000億円)の大台に乗せた。ビリニー・アソシエーツが1984年に集計を始めたデータによれば、この額を上回ったのは過去に一度だけで、今年4−6月(第2四半期)だった。
ペン・ミューチュアル・アセット・マネジメントの最高投資責任者(CIO)、マーク・ヘッペンストール氏は「自社株買いはぎりぎり明るい材料だが、現時点では来年の企業利益と経済成長の見通しに対する投資家センチメントの変化に圧倒されている」と解説。「長期的にはバリュエーションを助けるが、短期的には市場を救ってくれると期待するのは難しい」と述べた。
ビリニーのデータは自社株買いの発表額であり、実行額ではない。ガイダンスとしては完璧ではないが、実行額は発表額を追いかけ、同じ道を進む。
自社株買い、もはや救世主にあらず出所:ビリニー・アソシエーツ、ブルームバーグ
企業の自社株買いはここ数年で規模が膨らみ、米国株の最大の買い手となっている。相場が荒れた今年2月、ゴールドマン・サックスのコーポレート・トレーディング・デスクに過去最大規模の自社株買いの注文が出された後、相場は底を打った。
今回も自社株買いが活発になっているが、株式市場で雪だるま式に膨らむ損失に歯止めをかけられていない。株式市場では9月のピーク以降、時価総額にして7兆ドル以上が消失した。
原題:Billions in Buybacks No Match for Bears With Stocks Cratering(抜粋)
オメガやジャブレ、悲惨な2018年に犠牲となったヘッジファンド
Saijel Kishan、Shelly Hagan
2018年12月28日 4:48 JST
ファンド業界、11年以来で最悪のパフォーマンスへ
ファンドの閉鎖数は金融危機時を大きく下回る、07年以来の低ペース
ヘッジファンドの世界では今年も忘れたい1年だった。
マネジャーが若手かベテランかに関わらず、規模や知名度もさまざまなファンドが店じまいした。変動の激しい株式や原油相場の大幅安に見舞われた市場を乗り切れなかったマネジャーが多く出た一方、高リスクや長期投資に切り替える決断をした者、もう十分だとして去る者もいた。3兆2000億ドル(約354兆円)の業界全体は今年、2011年以来となる低パフォーマンスを記録することになりそうだ。
ただ、T・ブーン・ピケンズ氏やレオン・クーパーマン氏を始めとする著名マネジャーのファンド閉鎖があったが、ヘッジファンドリサーチの調べによると、563のファンドが店じまいした2007年以来、今年は最も低ペースで、9月末までに約444のファンドが閉鎖となったに過ぎない。金融危機が起きた08年は1471だった。以下に今年の主な閉鎖を列挙する。
1月
BPキャピタル、ヴェラザーノ、イバルディなど
戦略:商品、株式ロング・ショート
BPキャピタルを閉鎖したピケンズ氏写真家:David Paul Morris /ブルームバーグ
3月
ペナント・キャピタルなど
戦略:株式ロング・ショート
6月
ペロリュス・ジャック、ブロックハウスなど
戦略:株式ロング・ショート
7月
オメガ・アドバイザーズ、ビルク・コモディティーなど
戦略:株式ロング・ショート、商品
オメガ・アドバイザーズをファミリーオフィスに転換するクーパーマン氏写真家:Christopher Goodney / Bloomberg
10月
トゥールビヨン、SPOパートナーズ、ハイフィールズなど
戦略:株式ロング・ショート、バリュー投資
11月
ブレナム、グラス・キャピタルなど
戦略:商品、イベントドリブン
12月
アバートン、ジャブレ、リバー・バーチ、BBLコモディティーズ、 トリカディアなど
戦略:株式ロング・ショート、マルチ戦略、商品、クレジット
原題:Omega, Jabre Capital Among Hedge Fund Casualties in Dismal 2018(抜粋)
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iFYRWaEBIE6A/v1/593x-1.png
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-27/-110
米消費者信頼感指数:12月は低下−労働市場の見通しが大きく悪化
Jeff Kearns、Shobhana Chandra
2018年12月28日 0:15 JST 更新日時 2018年12月28日 2:23 JST
12月の米消費者信頼感指数は大幅に低下し、7月以来の低水準となった。特に労働市場に関する見通しが過去41年で最大の悪化となり、株式相場の変動や景気減速で消費者の楽観が後退しつつあることが示唆された。
米民間調査機関コンファレンスボードが27日発表した12月の消費者信頼感指数は128.1と、前月の136.4から低下。ブルームバーグが実施したエコノミスト調査での予想全てを下回った。市場予想の中央値は133.5。期待指数は大幅に下げて2年ぶり低水準となった。今後6カ月に雇用が増えると回答した比率は16.6%と、前月の22.7%から大きく低下。低下幅は1977年以来の大きさとなった。
コンファレンス・ボードの景気指数担当シニアディレクター、リン・フランコ氏は発表文で、「期待指数の2カ月連続低下は、経済成長ペースが2019年上期に減速し始めるとの懸念が強まっていることを反映している」と指摘した。
12月は高額商品の購入予定に関する見方も後退。向こう6カ月に自動車や住宅、大型家電を購入する計画があると回答した比率は全て低下した。
原題:U.S. Consumer Confidence Falls as Job Expectations Plunge (1)(抜粋)
(統計の詳細を追加し、更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-27/PKEZGH6KLVR701
【今朝の5本】仕事始めに読んでおきたい厳選ニュース
宮沢祐介
2018年12月28日 6:18 JST
米政府機関閉鎖続く、消費者信頼感が悪化、FRB議長も会談前向き
都区部CPI、米企業最高の自社株買いも株安助けず
米株相場はダウ工業株30種平均が一時600ドル超の下げとなりましたが、取引終了にかけてプラス圏に浮上、不安定な値動きが続いています。「今朝の5本」の年内配信は今日が最後で、新年の再開は1月4日(金)となります。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
手詰まり続く
米下院は28日も採決する計画はない。下院指導部の関係者が明らかにした。これは少なくとも今週末も一部の政府機関が閉鎖されたままとなることを意味する。イラク訪問から帰国したトランプ氏は閉鎖の影響で給与を支給されない連邦政府職員の大半は民主党員だとツイート。つい数日前には、そうした職員は国境の壁と政府機関の閉鎖を支持していると語っていた。
米消費者の楽観後退
12月の米消費者信頼感指数は128.1と、前月の136.4から大幅に低下し、7月以来の低水準。特に労働市場に関する見通しが過去41年で最大の悪化となり、株式相場の変動や景気減速で消費者の楽観が後退しつつあることが示唆された。これによりドルが売られた。
直接会談
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、トランプ大統領との会談が提案されれば恐らく断らないだろうとホワイトハウス関係者に述べ、会合の可能性を閉ざしていない姿勢を示したと、米紙ウォールストリート・ジャーナルが伝えた。トランプ氏は会談に前向きだと側近に話したという。
都区部CPI、鉱工業生産
全国の物価の先行指標となる12月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比0.9%上昇と、11月の1.0%からの減速が見込まれている。総合CPIは0.5%上昇(前月は0.8%上昇)の予想。11月の鉱工業生産は前月比1.5%減少(前月は2.9%上昇)の見込み。
それでも弱気
米企業が10−12月に発表した自社株買いは2600億ドル(約29兆円)台と、過去最高水準。ただ、この間にS&P500種株価指数は大幅に下げ、週初には弱気相場入りまで2ポイントに迫った。ペン・ミューチュアルは自社株買い増加は明るい材料としながらも、「現時点では来年の企業利益と経済成長見通しに対する投資家心理の変化に圧倒されている」とし、短期的に市場を救う材料とはなりにくいと指摘した。
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貿易の保護主義、来年の世界成長を抑制へ−ECB
中国人民銀、穏健な金融政策を維持
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-27/PKEH52SYF01S01
ECB:貿易の保護主義、来年の世界成長を抑制へー経済報告
Piotr Skolimowski
2018年12月28日 1:35 JST
欧州中央銀行(ECB)は保護主義の高まりが貿易の伸びを抑制し、世界経済は来年に減速するとの予測を示した。
ECBは27日発表した最新の経済報告で、経済活動は引き続き世界的に底堅さを維持しているが、不均等さが増し、勢いが緩やかになっている兆候が一段と明白になりつつあると指摘。さらに貿易の伸びが世界的に弱まっており、今後の通商関係を巡る不透明感が高まったと分析した。
同報告でECBは、「今後について見ると、世界的な経済活動は2019年に減速が見込まれるが、その後安定して推移するだろう。余剰能力の縮小に伴い、世界のインフレ圧力は緩やかに上昇すると予測する」としている。
原題:ECB Says Trade Protectionism Will Crimp Global Growth Next Year(抜粋)
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https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-27/PKEIYH6JIJUR01
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