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「日本の生産性は先進国で最下位」を素直に受け止めない人が多いのはなぜか
https://diamond.jp/articles/-/189729
2018.12.27 窪田順生:ノンフィクションライター ダイヤモンド・オンライン
2017年の日本の労働生産性は、47年連続で主要先進7ヵ国(G7)で最下位だった。これを「欧米人に都合のいい指標だから気にしなくていい」とスルーするのはあまりにも危険だ。事実、労働者の賃金は低いまま放置され、ブラック企業がはびこっているのが今の日本。指標を間違いだと決めつけるのはやめて、「日本の社会システムが狂っている」ことを素直に認めるべきだ。(ノンフィクションライター 窪田順生)
日本の生産性の低さは
数字のトリックに過ぎないのか
欧米に都合のいい指標でも何でもなく、日本の労働生産性は正しく低い。精神論を振りかざして低賃金を是正しないブラック企業が跋扈するこの現実を、そろそろ深刻に受け止めるべきだ(写真はイメージです) Photo:PIXTA
先週、公益財団法人・日本生産性本部が、日本の2017年の労働生産性が主要先進7ヵ国(G7)で最下位だったと発表した。
このワースト記録は、なんと47年連続。東京オリンピックまでこんな調子が続けば、「50年間、生産性を上げることができなかった先進国」という、誇らしくない世界タイトルを獲得してしまうのだ。
という話をすると、決まって「欧米の連中が勝手に決めた指標などまったく気にしなくていい」なんて感じで、開き直る人たちがたくさん出てくる。彼らの主張はおおむねこうだ。
「日本という国は、世界でもトップレベルの質のいい商品・サービスを、その辺の先進国の常識ではありえないほど安く提供している。この『低価格』によって、計算上ではどうしても労働生産性が低くなってしまっている」
要は、あくまで「価格設定」がネックになっているだけなので、卑屈になる必要はまったくないというわけだ。それどころか中には、実は日本人労働者の生産性は、世界の1、2を争うくらい高くて、「G7最下位」なんてのは数字のトリックに過ぎない、と声高に主張される方もいらっしゃる。
これには「その通り!」と激しく同意をする人も多いかもしれない。ご存じのように今、日本中が「生産性向上」に取り組んでおり、働く人たちは、こんなお説教を耳にタコができるくらいされている。
「無駄を省いて、もっと効率的に仕事すべき」
「残業や休日出勤など長時間ダラダラ働くのは生産性が低くなる」
「ITやクラウドを活用して、もっと省人化に務めるべきだ」
日本人はマジメなので、みな言われた通りに頑張る。そんな苦労を強いられているのに、「G7最下位」などありえない。データの算出方法が間違っているのではないか――。そんな風に懐疑的に見ている方も少なくないのではないか。
だが、残念ながらこれは大きな勘違いだと言わざるを得ない。生産性と「効率の良し悪し」は、あまり関係ないからだ。
「高品質低価格」実現の裏には
労働者の賃金の低さがある
労働生産性というのは、労働者1人あたりが生み出した成果――つまり、生産額や付加価値を、労働者数や総労働時間で割って、「購買力平価」という国際的な値を用いて円ドルを換算したものだ。確かに、労働時間の削減は割り算の「分母」の減少につながるから、まったくの無意味ではない。
ただ、それよりも遥かに効果があるのは、「分子」を増やす、つまり生産額や付加価値を上げることにあることは言うまでもあるまい。
つまり、いま日本中の労働現場で叫ばれている「もっと効率良く!」「もっと労働時間を短く!」という取り組みは残念ながら、生産性向上には大きく寄与しない。厳しいことを言ってしまうと、こんなトンチンカンな方法を続けているから、47年間も生産性が低いままなのだ。
また、問題なのは「低価格」だけであって、日本人の生産性自体は高い、みたいな考え方も誤解に基づいている。
先ほども申し上げたように、労働者の生産性とは、つまるところ付加価値である。そこには、手先が器用だとか、マジメでキビキビ働くとか、下町ロケット的なチームワークを大切にするとかはあまり関係がない。
では、日本人労働者は「高い付加価値」を生み出しているのかというと、大変申し上げにくいが、そうとは言い難い。
その証こそが、「高品質・低価格」だ。
原料などモノの値段やインフラのコストは、先進国の間そこまで大きな差はない。そんな大して変わらぬ条件の下で、なぜ日本では「高品質・低価格」を続けられたのかといえば、労働者の価値が低い、つまり「低賃金」ということに尽きる。
「低賃金労働者」というのは、経営者からすれば効率良く利益を上げられるありがたい存在だが、社会全体で見ると、労働者の付加価値を下げてしまう要因となる。つまり、どんなに効率良く働こうが、どんなに高品質なものを生み出そうが、「低賃金」で働かされている時点で、「日本の労働者は生産性が低い」ということになるのだ。
なんてことを口走ると、「カネだけが付加価値じゃない!職人のプライドとか、おもてなしの心という生産性で測れないところを、日本の労働者は大切にしているんだ!」というような怒りの反論がビュンビュン飛んでくることだろう。
もちろん、私も日本人なので、そういうものに価値を見出したい気持ちは痛いほどわかる。だが、一方で、こういう「ふわっとした話」によって労働者に罪悪感を植え付けていることが、パワハラやブラック企業という問題につながっている現実を忘れてはいけない。
組織やビジネスの問題を
個人の努力の問題にすり替える
例えば、3年前のクリスマスに「過労自殺」をした電通女性社員のことを思い出していただきたい。彼女は連日のように長時間労働を強いられ、自宅に戻ってもシャワーを浴びてすぐ出社という生活を繰り返していたが、それでも上司から「君の残業時間の20時間は会社にとって無駄」「今の業務量で辛いのはキャパがなさすぎる」という罵声を浴びせられていた。
命を削るように必死に働いても、評価されないどころか壮絶にディスられる。普通に考えれば、「ふざけんな」と辞表提出、となるところだが、彼女は限界までブラック労働を続けて、心がポキンと折れてしまった。
真面目すぎた。頑張り屋さんだった。すぐに辞めると再就職が難しい…。この手の境遇から逃げなかった理由は人それぞれ様々だろうが、その根底にあるのが「罪悪感」だということは明らかだ。
皆さんも身に覚えがないだろうか。「俺が若い時はこんなもんじゃなかった」「定時に帰るなんて、やる気が感じられないし、周囲の士気が下がる」などなど、会社や上司から言われる「ふわっとした話」を真に受け、「自分は甘いのでは」「自分勝手な振る舞いで会社に迷惑をかけてしまった」と自分が悪いと考えたことが。
この“罪悪感マネジメント”ともいうべき歪んだ人材育成こそが、実は日本の生産性向上を妨げている最大の原因である。
労働者が命を削るほど働いて結果が伴わないとなると、論理的に考えれば、そのビジネスや組織に問題があるという結論に至る。だが、日本人は「システム」や「組織」に盲従することを幼い頃からしつけられているので、論理的破綻はすべて「個人」のせいにされる。つまり、「結果が出ないのは、みんなの頑張りが足りないから」と精神論に傾倒してしまうのだ。
ブラック企業になればなるほど、労働者という「個人」をどんどん追い込んでいくのはそのためだ。
社会システムが狂っているのか
生産性の定義が間違っているのか
さらにやっかいなのが、この精神論が労働者にまで浸透していることだ。論理的に考えれば、すぐに逃げ出すか労基署に駆け込むべきようなブラック労働を強いられても、「結果が出ないのは頑張りが足りないから」という罪悪感を植え付けられているので、石にかじりつくような勢いでブラック労働に心身を捧げてしまう。
こんな調子だから、いつまでたっても生産性が上がらない。仕事とはやり甲斐だ、チームワークだ、お客様の笑顔だという「ふわっとした話」ばかりがもてはやされているうちに、賃金は二の次、三の次にされ、気がつけば「低賃金」がビタッと定着してしまったのである。
このような意味では、「G7最下位は気にする話ではない」どころか、大いに気にすべきだ。というよりも、この期に及んでまだ現実から目をそらそうとするというのは、かなり深刻な「認知障害」だと認識すべきだ。
これほど世にブラック企業やパワハラが溢れている中で、「生産性G7最下位」と聞けば、論理的に物事を考える人ならば、このような結論になる。
「これだけ労働者が血へどを吐きながら働いているのに生産性が低いということは、問題は労働者にあるのではなく、社会システムが狂っているからではないのか」
だが、現実には、この狂った社会システムを維持するために、「外国人労働者」を大量に入れようなんて国策を推し進めていることからもわかるように、大半の日本人はシステムを「盲信」して、以下のような方向へ流れていく。
「これだけ労働者が血へどを吐きながら働いているのに生産性が低いということは、問題は労働者にあるのではなく、生産性の定義や調査が間違っているのではないか」
要は、常に「自分たちは間違っていない」というところからスタートするので、「耳の痛い話」は「デマ」や「日本には当てはまらない」と素直に受け取れないのだ。
よくコントや漫才で、都合の悪い話を聞きたくない時に、両耳を塞いで「あー、あー、まったく聞こえません」なんてやるのを見るが、こういう態度を「生産性」というものに関して、47年間も貫き通してきたのが日本なのだ。
生産性の低さを無視することは
日本を危機に陥れる
「生産性が低いなんてのは、欧米がつくった指標なんだから気にしなくていい」というような主張を耳にするたびに、こんな感じの話をどこかで聞いたなと考えていたのだが、最近それがいつかを思い出した。
今年7月の西日本豪雨災害だ。
情報番組などでも多く取り上げられたので覚えていると思うが、この時の水害では、避難指示を受けながらも自宅に留まった結果、凄まじい水が押し寄せて、2階や屋根に上がってレスキュー隊から救出されるという方がたくさんいらっしゃった。
もちろん、高齢者で動けない、足が悪いなどの事情のある方もいらっしゃったが、その中に多かったのは、「水がくるのは知っていたが、ここまでひどいとは思わなかった」という人である。
例えば、岡山県倉敷市真備町で、過去に浸水の経験がありながら、今回は2階に避難して、レスキュー隊に救出された女性はこうおっしゃっている。
「隣人も避難する車に同乗するよう声をかけてくれたが、『こんなに水がくるとは思わんかった』。避難せず、二階に取り残されていたところを消防隊員にボートで救助され、『甘かった』と反省する」(日本経済新聞2018年7月11日)
このように、さしたる根拠がないのに希望的観測から「おそらく丈夫だろう」と思ってしまう心理を、「正常性バイアス」と呼ぶ。東日本大震災の津波被害者の中に、一度は高台まで避難したものの、「もう大丈夫だろう」と自宅に貴重品などを取りに戻った方が多くいたが、それもこの「正常性バイアス」が影響している。
危機的局面では、人間の赤裸々な本性があらわれる。命にかかわる大きな自然災害という局面で、これだけ多くの人たちに「正常性バイアス」が見られるということは、これは日本人の国民性といってもいいものなのかもしれない。
だからというわけではないが、「生産性が低いなんてのは、欧米がつくった指標なんだから気にしなくていい」というのも、どこか似た匂いを感じてしまわないか。
日本が他の先進国と比較して際立って低賃金――つまり、ブラック労働が蔓延していて、労働生産性という数値も最下位。素直に考えれば、危機的状況であることは明らかだ。しかし、多くの日本人はさしたる根拠もないのに希望的観測から「そんなに深刻に受け取るような話でもない」と笑い飛ばしている。
水がくるとわかっていながら「大丈夫だろう」と逃げなかった女性と、何も変わらないのではないか。
津波や水害の場合は、消防隊や自衛隊などのレスキューの人たちが助けてくれるかもしれない。だが、「生産性G7最下位」という、音も立てずに忍び寄る「危機」はいったい誰が助けてくれるのか。
気がついた時にはもはや手遅れ、なんて悲惨なことにならぬよう、ああだこうだと屁理屈をこねる前に、「生産性G7最下位」という結果を、日本中がもっと重く受け止めるべきではないか。
「日本の生産性は先進国で最下位」を素直に受け止めない人が多いのはなぜか | 情報戦の裏側 | ダイヤモンド・オンライン https://t.co/KHLjN3tZiH
— 走ざ(案山子のしもべ) (@S_orza) 2018年12月26日
根底にあるのが「罪悪感」。この“罪悪感マネジメント”ともいうべき歪んだ人材育成こそが、実は日本の生産性向上を妨げている最大の原因である。
「日本の生産性は先進国で最下位」を素直に受け止めない人が多いのはなぜか(ダイヤモンド・オンライン) https://t.co/URkTSRa45C
— えぬけー@薬屋 (@ccb_nk) 2018年12月26日
モノには金を払うが、サービスに金を払いたくないという腐ったマインドが諸悪の根源。
「この“罪悪感マネジメント”ともいうべき歪んだ人材育成こそが、実は日本の生産性向上を妨げている最大の原因である」
— AM (@hideandseek20) 2018年12月26日
拝金リベラルは単なるこの延長線上
にある。拝金リベラル支持者こそ「今まで慣れ親しんだ事を続けたい」だけ。
https://t.co/HwrbpoWZXX
「日本 https://t.co/PVI5FFZgV2 @YahooNewsTopics
— リベルタス (@8atYNUooGYf9iWf) 2018年12月27日
日本人の人口を
物理的に減らすにしても
結婚するのに年収300万
最低でも必要であるなら
一人で生きていく人にも
年収300万ぐらいは
必要という事だよ
年金の強制執行が
年収300万であるみたいに
こんな当たり前の事も
わからない世の中はヤバイ
正論すぎて反論の余地のない記事
— 天風浮和 (@amakazehuwa) 2018年12月27日
日本人はすべてこう思うべきレベル 品質の高さは労働賃金の低さで成り立つべきではない
サービスは有料という認識をすべての国民がもてhttps://t.co/XlpJbMxdCy @YahooNewsTopics
「これだけ労働者が血へどを吐きながら働いているのに生産性が低いということは、問題は労働者にあるのではなく、社会システムが狂っているからではないのか」
— あらごん (@arag_on) 2018年12月26日
これ、職場で発言したらすぐに干されるやつだ https://t.co/LFT7Cl9vCC
これは良い考察
— 森本 晃弘@中小企業診断士 (@morimoto_rmc) 2018年12月26日
少なくとも生産性が低い一因は低価格・低賃金にあるのは間違いない
価格も賃金も1.5倍になれば生産性は劇的に上がる / 「日本の生産性は先進国で最下位」を素直に受け止めない人が多いのはなぜか - 情報戦の裏側 (Diamond Online) #NewsPicks https://t.co/yr3F1Nk4GH
日本の2017年の労働生産性はG7で最下位だった。47年連続だ。原因は「低賃金」に尽きる。日本人は組織に #盲従 するように #教育 されているので、「結果が悪いのは、頑張りが足りないから」と #精神論 に傾倒してしまうのだ。労働者という「個人」をどんどん追い込んでいく。https://t.co/tfJ4CWnWD5
— 無核 (@nonucs) 2018年12月26日
たぶん経営者含めて日本人の大半が生産性の概念を理解していない / “189729” https://t.co/IgzPd4SIzk
— パラダイスさん🍑💖🎄 (@paradisemaker) 2018年12月27日
日本人全員に読んでほしい記事。生まれてからずっと、ある定義を教え込まれた人のマインドセットは並大抵ではないことを表している。https://t.co/ktlFtSGat9
— うぼしと (@uboshito) 2018年12月27日
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