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日産ゴーン保釈か、検察特捜部が敗北の可能性…外圧に屈する裁判所、司法の公平性崩壊
https://biz-journal.jp/2018/12/post_26003.html
2018.12.20 文=編集部 Business Journal
カルロス・ゴーン氏(写真:Natsuki Sakai/アフロ)
有価証券報告書の虚偽記載の容疑で10日に再逮捕されていた日産自動車元会長のカルロス・ゴーン氏について、東京地裁は20日、東京地検特捜部による勾留延長の要求を認めない決定をした。東京地検はこれを不服として裁判所に準抗告した。
「今回の裁判所の決定によって、ただちにゴーン氏が釈放されるわけではありません。もし検察による準抗告が退けられたとしても、最高裁判所に特別抗告することができ、再びそれが退けられても、ゴーン氏はすでに起訴されているため勾留は続き、ゴーン氏の弁護士が裁判所に保釈請求をして認められる必要があります。さらに裁判所が保釈を認めても、検察はまた準抗告、特別抗告できるので、それらがすべて裁判所によって退けられ、ゴーン氏が多額の保釈金を収めて初めて保釈されます。よって、現時点では保釈までの道のりは長いといえるでしょう」(弁護士)
検察は容疑者を逮捕後48時間以内に裁判所に勾留を請求し、認められれば10日間の勾留が認められ、勾留期限がきても検察はさらに10日間の勾留延長を裁判所に請求することができる。
「勾留延長の請求は、無条件で裁判所に認められるケースがほとんどなので、今回、裁判所がその請求を退けたというのは極めて異例です。裁判所の判断には、ゴーン氏の長期勾留に対して海外から批判が高まっていることが影響しているとみられていますが、もしそうであれば、過去に多数の容疑者の勾留延長が認められてきたという事実と整合性が取れず、明らかに不公平です。誰もが法のもとに平等という憲法の精神に反しています」(同)
では、今回の裁判所の判断が、今後の裁判にどのような影響を与えるのであろうか。
「ゴーン氏の自白を取れないまま保釈を許してしまったというのは、検察にとっては大きな痛手でし。保釈されたゴーン氏が、国内外に指示して証拠を隠滅する可能性もあり、そうなれば捜査に支障が出てくる。当初から、検察は金商法違反容疑でゴーン氏を逮捕して、身柄を拘束しながら特別背任罪の証拠を固めて、同罪での起訴を狙っていた節もありますが、結局それは断念。さらに、そもそも有価証券報告書における役員報酬の虚偽記載が、金商法上の『重大事項の虚偽記載』に該当するのかを疑問視する指摘も多く、脱税で罪に問えるかも不透明です。加えて、通常、刑事裁判では裁判官と検察は“一枚岩”ですが、裁判所が検察の勾留延長申請を認めなかったことで、今回は“一枚岩”とはいかない雰囲気にもなってきました。こうした状況のなかで、検察がゴーン氏を有罪に持ち込めないか、もしくは微罪にしかならない可能性も出てきました。もしそうなれば、検察特捜部の権威失墜、敗北ともいえます」(別の弁護士)
■“人権蹂躙司法”“人質司法”
ゴーン氏は先月19日に「2011年3月期〜15年3月期の有価証券報告書の虚偽記載」の容疑で逮捕され、今月10日には「直近3年分の有価証券報告書の虚偽記載」の容疑で再逮捕。事実は同じで期間だけが異なる容疑で何度も逮捕し、長期にわたり身柄を拘束する刑事手続きに、国内外から疑問が向けられた。一連の“ゴーン事件”の顛末が司法全体に与える影響について、同弁護士は語る。
「森友問題で籠池泰典氏は10カ月も勾留されましたが、『証拠隠滅の恐れ』を口実に被告が自白するまで勾留し続けるというのは、検察の常套手段です。しかし、この日本の司法手続きの異常さが世界的に注目され、批判を浴びることになったことは、大きな意味を持ちます。有罪が確定していない人間に対する“人権蹂躙司法”“人質司法”がまかり通る今の司法制度が、見直されるきっかけになればよいと思います」
もしゴーン氏が釈放される事態となれば、日本の司法全体を大きく揺るがすことになりそうだ。
(文=編集部)
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