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日産がルノーとの交渉に勝つための秘策を大前研一氏が明かす
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181220-00000013-pseven-bus_all
NEWS ポストセブン 12/20(木) 16:00配信 週刊ポスト2019年1月1・4日号
3社連合のパワーバランス
日本と世界に激震が走った日産自動車の「ゴーン・ショック」。これから日産経営陣はルノーおよびフランス政府との間で優位に交渉を進め、主導権を握って本来あるべき着地点を見いだす必要がある。ゴーン前会長による独裁的なガバナンスに警鐘を鳴らし続けた大前研一氏が、交渉に向けた“秘策”を披瀝する。
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ルノー・日産自動車・三菱自動車の3社連合は、11月下旬に各社のトップによる会談を開き、「ゴーン氏に過度に権限が集中した指導体制を改め、今後はトップによる合議で3社連合を運営していくことを確認した」と報じられた。しかし、事はそう簡単に運ばないだろう。なぜなら、現在の日産とルノーのアライアンス(出資比率や提携内容)は、ルノーが絶対的に優位だからである(※2018年12月11日時点)。
3社連合の構図をおさらいすると、まず、ルノーは日産株の43.4%(※2018年9月30日時点の有価証券四半期報告書では43.7%)を保有しており、圧倒的な主導権を握っている。取締役会に役員を送り込み、帳簿閲覧権も株主総会での特別決議に対する拒否権も持っている。
一方、これまで指摘してきたように、日産はルノー株を15%しか持っていないので、もし日産とルノーが経営統合したら、日産と日産が34%の株を保有している三菱はルノーの完全子会社になってしまう。しかも、フランス政府が保有しているルノー株15%は、株式を2年以上保有する株主に2倍の議決権を与える「フロランジュ法」によって30%に達し、経営の重要な意思決定に介入できる。かたや日産のルノー保有株には議決権がない。つまり事実上、日産と三菱がフランス政府の影響下に置かれてしまうわけだ。
しかし、この日仏間の“不平等”関係を是正する方法はある。まず、日産がルノーに対する出資比率を25%に上げると、日本の会社法でルノーの議決権は消滅する。あるいは、日産が増資して、ルノーの出資比率が40%を切るようになれば、ルノーに対する日産の議決権が回復し、ルノーの影響力は低下する。つまり、今後のカギは日産がルノー株を25%まで買い増せるかどうか、もしくは増資できるかどうか、ということだ。
ルノー株の買い増しや増資の決議は、日産の取締役会で過半数の取締役が賛成すれば可能である。現在の取締役会は、東京拘置所に勾留されているゴーン氏と側近のグレッグ・ケリー前代表取締役を含めて9人。うち5人が西川廣人社長ら日本人だ。
そのため、ゴーン氏とケリー氏が勾留されている間に取締役会を開いて、日産側が多数派を維持して決議するというのも一つの手だが、2人がいない取締役会でルノー株の買い増しや増資を賛成多数で決議したとしても、それは無効だという訴えを彼らが起こせば、認められる可能性がある。また、取締役会を開く前に2人が保釈されれば、当然、投票に参加するはずだ。
日産は、臨時株主総会を開いてゴーン氏とケリー氏の取締役解任を検討しているとも報じられたが、これはルノーが同意しない限り難しい。なぜなら、取締役を解任するためには株主総会で自動的に50%以上の賛成を得なければならないからだ。
ルノー側がゴーン氏とケリー氏の解任に同意しない場合、臨時株主総会は日産とルノーの「委任状争奪戦(プロキシーファイト)」になると予想されるが、私の経験では、日産のような巨大企業で80%以上の株主から委任状を集めることは不可能だ。仮に80%集まったとしても、ルノーは43.4%の株を保有しているから、自動的に50%以上の議決権を持つことになる。つまり、ルノー以外の全株主がゴーン氏とケリー氏の解任に賛成したとしても、解任案は否決されてしまうのだ。
◆ルノーでの不正疑惑を追及
では今後、日産はどうすればよいのか?
もし私が日産側に立って交渉するなら、まずフランスのエマニュエル・マクロン大統領とゴーン氏の“密約”について追及する。ルノーの人事権を持っているフランス政府は、今年で切れるはずだったゴーン氏のルノーCEOの任期を2022年まで4年も延長したが、その裏には「任期中にルノーと日産を経営統合する」という密約があったと私は推察している。そこで、ルノー株を15%保有している日産にはルノーに対する情報開示請求権があるから、それを使ってゴーン氏の任期を延長した理由を開示しろ、と要求するのだ。
さらに、大株主としてゴーン氏を日産に送り込んでいたルノーの「任命・監督責任」についても追及する。今回明らかになったところでは、ゴーン氏は日産との間で退任後に役員報酬を受け取るという文書を交わしていた以外にも、高級住宅購入や、業務実態のない姉に対する年10万ドル前後の支出、娘が通う海外の大学への寄付、ベルサイユ宮殿での結婚式費用などの資金提供といった背任行為が続々と報じられている。ルノーは日産の帳簿閲覧権も持っているのだから、フランス政府とルノーはゴーン氏のこれらの不正疑惑についても責任があると思わないのか、と詰め寄るのだ。
さらに、ゴーン氏がルノー社内でも同様の行為をやっていたのか、やっていなかったのか、ルノーに厳正な調査を要求する。もしやっていたら、フランス国内でも当然その疑惑を追及すべきだし、逆にルノーではやっていなかったら、ゴーン氏は日産だけを「私物化」し、食い物にしていたことになる。そのような経営者をフェアだと思うか、そういう人物を送り込み、監督もしてこなかった責任をどう考えるのか、それでも両社のアライアンスが健全だったと言えるのか、と問い質せばよい。
疑惑はまだある。ルノー・日産連合の業績推移を見ると、ルノーはフランス工場やブラジル工場で生産している日産車の仕切り価格を操作して利益移転をしている疑いが極めて強い。専門家の調査などによって、その状況証拠を突きつけながら、利益移転の見直しを求めないといけない。
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