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スルガ「ザル融資」に群がったヤミ金・不動産業者のどこまでも深い闇
https://diamond.jp/articles/-/188176
2018.12.12 小野悠史:不動産ニュースライター ダイヤモンド・オンライン
Photo:DOL
シェアハウス投資などに対する乱脈融資問題で、金融庁から6ヵ月間の一部業務停止命令を受けたスルガ銀行は、11月30日、同庁に業務改善計画を提出、117人の行員を懲戒処分にしたことを公表した。
不正融資を主導したとされる麻生治雄元専務執行役員は懲戒解雇となった。
だがこれで問題が終わるのかどうか。
個人投資家が、不動産業者の「長期家賃保証」などの甘い言葉にのせられて投資に走り、銀行からの融資を返せなくなるという問題は、ほかにもある。
スルガ銀行から多額の融資を引き出した「二重売買契約」という不正融資の手口はさまざまに形態を変え、不動産投資の世界に蔓延している。
スルガ問題が浮き彫りにした問題の根は深い。
「二重売買契約」で融資引き出す
「差額」から現金作る
二重売買契約とは、手元資金がないサラリーマンなどに高額な不動産を売るために使われている手法だ。
中古のアパートやマンションをまるごと購入する場合、金融機関は総額の9割までしか融資をしない。不動産業者らが売買を成立させるためには、購入者には500万〜1000万円単位で多額の頭金を用意してもらう必要がある。
だが、それだけの現金をもつ人は限られるため、実際の売買契約のほかに、金融機関には実際の売買価格からかさ上げした金額での「偽の売買契約」を示して、融資を申し込み、頭金分も含めたローンを引き出すのだ。
こうした「二重売買契約」は、シェアハウス投資だけでなく、「1棟もの」と呼ばれる5000万円以上の不動産投資でも行われていたことが指摘されている。
また、より身近なワンルームマンション投資でもこの手法が横行していたようだ。
1000万円から3000万円台で購入が可能なワンルームマンションの場合は、フルローン(全額融資)が可能だ。二重売買契約の必要はない。それにもかかわらず、こうした不正が行われているのは、消費者金融やカードローンとの関連からだ。
都内の不動産コンサルタントは「ワンルームマンション投資の二重売買契約は、頭金を捻出するためではありません。差額から数百万円の現金を作るのが目的です」と証言する。
1000万円のマンションを1200万円と偽って、金融機関に融資を申請すると、200万円が自由な金として投資家の懐に入る。不動産取得にかかる諸経費などを勘定にいれず、単純化すればこのようなやり方で「現金を作る」わけだ。
差額分を「ローン下(した)」などと呼び、この事例なら、「ローン下200」などと表現するという。
サラ金返済で勧誘
ヤミ金業者とグルの例も
遊ぶ金というよりは借金の返済にあてる人が多いのが特徴と、不動産コンサルタントは続ける。
「サラ金スキーム」とでも呼ぶべきものだ。
「ターゲットは、サラ金で限度額まで借りてしまった人。家族に内緒の借金がある人。カードローンの支払いがきつい人などです。借金がある人には、先にうちがお金を貸して、全て返済してから新たに不動産投資用のアパートローンを申し込んでもらいます」
上場不動産会社の元役員も、こうしたやり方が広く行われていたことを認める。
「駅や街中で名刺を出して近づく不動産会社の営業マンの多くはそれが狙いです。不動産投資に興味がある人はそうそういるものではない。借金を返済したいとか、まとまった金額のヘソクリを作りたいといった人を探しているのです」。
こうしたワンルームマンション投資での二重売買契約については古くから常態化していたようだ。 取材に「何を今更…」といった反応も多い。
投資用不動産販売会社の元社長はあけすけだ。
「かつては『むじんくん』の前で待ち構えている営業マンもいた。『カードローンの金利より、不動産投資の金利の方が低いですよ!』と声をかけていたものですよ」
実際に金利は4〜18%の消費者金融のカードローンより、1.8〜4%のアパートローンの方がはるかに低い。家賃収入が入ってくるのなら、毎月のキャッシュフローはプラスになる。
相場より高い価格でマンションを購入した人は、家賃が下がったり空室が増えたりして損をするリスクがより大きくなるが、そのことが表面化するとしても数年先だ。
誘いにのる人がいるのもわからないではない。
中にはヤミ金業者に不動産会社を紹介され、この手法で返済するよう迫られることもあるようだ。
遊ぶ金欲しさから手を出す人は少ないというが、2部屋、3部屋と追加で購入して、借り入れが1億円を超えたあたりで自己破産するケースもある。物件は投資用不動産販売会社がまとめて安く引き取り、また転売する。
スルガ銀が知るよしもない
おまけ付きマンション投資
スルガ銀行は同行とローン契約のある不動産投資家に向けてアンケートを送付し、実態把握に努めている。しかし、全容を把握するのは困難と言わざるを得ない状況だ。
都内の不動産コンサルタントのもとには、スルガから融資を受け不動産を購入した個人投資家からの相談が絶えない。中には耳を疑うような事例もある。
関東圏で不動産を購入した投資家の事例では、二重売買契約を使い、1棟分のスルガ融資で2棟を購入するという不正が行われている。
手口は次のようなものだ。
まず販売価格数千万円のマンションを1億円以上の売買契約として、スルガ銀行に融資を申請する。スルガ銀行から融資を引き出すと、売買価格を低い金額に変更した上で、差額分でもう1棟の売買契約を結ぶのだ。
「市場価値が数千万円しかないマンションに1億円以上の融資をするのだから、審査がザルとしか言いようがありません」(不動産コンサルタント)
この事例ではスルガ銀行は2棟目の売買については、全くの蚊帳の外だ。実際に登記簿謄本にもスルガ銀行の名は記載されていない。投資家がローン返済に行き詰まっても担保として物件を差し押さえることもできない。
このような「おまけ付き」の売買契約は、都内に本社を置く投資用不動産販売会社が主導しており、投資家は言われるがまま2棟を購入したという。
業界関係者によると、同社はこれまでに100棟以上の販売実績があるという。ほかにもスルガ銀行が把握していない、おまけマンションがあちこちにある可能性が高い。
このように、さまざまな不正が横行してきた不動産投資の世界だが、当の不動産業界からも「この際に膿を出し切ったほうがよい」といった声が多い。
前向きな言葉だが、裏を返せば明るみに出ていない不正がまだあるということだ。ザル融資に群がった錬金術師らのすそ野は広く、闇はどこまでも深い。
(不動産ニュースライター 小野悠史)
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