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在日中国人の驚くべき経済力向上ぶり、20歳女子が高級マンション住まい…
https://diamond.jp/articles/-/187821
2018.12.12 中島 恵:フリージャーナリスト ダイヤモンド・オンライン
在日中国人が就く職業は多様化している(写真はイメージです) Photo:PIXTA
外国人労働者の受け入れ拡大に向けた出入国管理法の改正案が参院本会議で成立した。在日外国人の最多である「日本に住む中国人」といえば、アルバイトに明け暮れる留学生、不法滞在者、単純労働者、中華料理店のコックや店員、マッサージ師などの印象が強かったかもしれない。しかし、それは10年以上前の姿。現状は大きく変わっている。(ジャーナリスト 中島 恵)
都心に一戸建てを持つ
若い中国人夫妻
「うちの隣の空き地に新築の家が建ったんですが、中国の方だったんです。引っ越しのトラックがきたので、ちょっと外に出てのぞいてみたら、ご挨拶してくださって、中国人だとわかりました。30代前半くらいのご夫婦で、お子さんはないようでしたが、あの若さで家を建てるってすごいですね」
東京・豊島区に住む友人はこう語る。池袋から地下鉄に乗ってわずか2駅しか離れていない都心に一戸建てを持つことは日本人にとってもあこがれだが、「まさかお隣さんが中国人とは……」と友人はちょっと驚いた様子だった。
偶然だが、別の友人から聞いた話もなぜか同じ豊島区だった。友人の娘さんは豊島区内の有名進学校に通っているが、娘さんがクラスで親しくしている同級生は中国人だそうだ。
その同級生は日本育ちで日本語もネイティブ。成績がいいので、娘さんはいつもいろいろ教えてもらっているそうで、「うちの娘にとって、その友だちの存在はいい刺激になっているみたい。娘もつられて勉強しているの。中国の人はすごく勉強熱心だものね。まったく時代は変わったわ。普通の高校なのに、クラスメートに中国人がいるなんて私の学生のころは考えられなかった」。
確かにその通りだ。
千葉県に住む友人の子どもが通っていた公立小学校のクラスにも中国人がいたと以前話していたし、私も取材先の企業に電話を掛けると、電話口に中国人の広報担当者が出てくることは珍しくなくなった。
中国と特に関係のない異業種交流会や勉強会などに参加して名刺交換する際も、中国人がいることが増えた。しかも、けっこう年齢が若い。リアル社会だけでなく、SNSのようなネットでも同様で「友人の友人は都内の会社で働く中国人で、日本語もペラペラ。その人ともなぜか友達としてつながった」という例は、思い当たるのではないだろうか。
日本に住む中国人が
急カーブで増え続けている
それもそのはずで、今、訪日中国人観光客だけでなく、日本に住む中国人が急カーブで増え続けている。
総務省の統計によると、2017年末時点で約73万人に上った。これは10年前の2007年(約60万人)を10万人以上も上回る数字だ。現在は、在日外国人全体(約256万人)の約3分の1を占めるほどの一大勢力となっており、2位の韓国・朝鮮人を抜いてダントツだ(ちなみに、3位はベトナム人、4位はフィリピン人の順)。
私は拙著『日本の「中国人」社会』の取材のため、在日中国人の取材を続けてきたが、73万人という数字を日本の地方自治体に当てはめてみると、意外なことがわかる。高知県の人口(約70万5000人)より少し多く、46位の島根県(約67万人)や、47位の鳥取県(約56万人)よりもかなり多いということだ。
実際、短期や公務での滞在者を加えると、在日中国人数は約87万人、日本国籍の取得者などを含めると約97万人とさらに増え、100万人都市の人口に匹敵する。つまり、まるまる1県分か、それ以上が中国人というくらいの規模にまで達しているのである。これは見逃せないほど影響力を持つ数字ではなかろうか。
「最近、繁華街や百貨店などだけでなく、オフィス街を歩いていても、取引先の企業に行っても、どこにでも(観光客以外の)中国人がいる」と実感している日本人はかなり多いのではないかと思うが、驚くのはそれだけではない。取材を進めてみると、彼らの実像は、日本人が漠然とイメージする「ステレオタイプの中国人像」とはかなりかけ離れていることがわかる。
「週刊ダイヤモンド」(2018年7月7日号)の特集でも同様の指摘があったが、これまで一般的な日本人が思い描く「日本に住む中国人像」といえば、アルバイトに明け暮れる留学生、不法滞在者、単純労働者、中華料理店のコックや店員、マッサージ師などの姿ではないだろうか?
事実、そうした人々が以前は多かったのは確かだ。
横浜中華街などで3代、4代にわたって中華料理店などを営む老華僑は別として、現在、日本に住んでいる中国人の多くが新華僑(1978年の中国の改革開放後に来日した人を指す)で、第1陣は80年代から本格的にやってきた。
ありとあらゆる職業に就く
中国人が増えてきた
彼らは中国の有名大学出身のエリートで「国家に選ばれた人々」だったが、当時は日中の経済格差が大きく、エリート留学生といえども、肉体労働などのアルバイトをする人が多かった。90年代になると、勉強目的ではなく出稼ぎ目的、つまりお金目当てで日本やってくる「就学生」が急増。中には失踪したり、犯罪に手を出したりする人もいた。
そうしたことが日本のメディアで大きく報じられたこともあって、多くの日本人の中国人に対するイメージは悪化。「あのころ」のままで、ずっと時が止まってしまっている。
むろん、今でもそうした人々が完全にいなくなったわけではない。
だが、日中の経済格差が縮まり、GDPで拮抗(きっこう)し、中国が日本を追い越していく過程で、日本は中国人から見て、もはや物価高な国ではなくなったし、来日するハードルが高いわけでもなくなった。躍進する中国を“追い風”として、日本に住む中国人の実態は、いつの間にか大きな変貌を遂げた。取材を進める過程で、そのことがよくわかってきた。
「親が大学の近くにマンションを買ってくれるというので、両親と3人で下見をしました。予算はだいたい5000万円くらいですかね。新築の2DKでちょっと手狭ですけど、部屋は2つあるので、両親や友だちが中国からきたときに泊まれますし、山手線の内側なら便利だと思います」
1年前、無邪気な笑顔でこう語っていたのは、現在都内の大学に通う20歳の中国人。いわゆる富裕層の子弟で、実家は北京の高級マンションだ。中国にいるときに独学で日本語をマスターし、あこがれだった日本留学を果たした。留学ビザ取得のため、最初は(日本語はできるのに、仕方なく)日本語学校に通ったが、難関私立大学に合格。今は大学生活をエンジョイしている。
彼女の場合、お金持ちだからといって遊び回っているわけではなく、きちんと勉強もしている優等生だが、これまで日本でアルバイトをした経験はなく、両親からの仕送りで学生生活を送っている。
彼女のようなケースは、今や特別な例ではない。大学の学生課職員などに話を聞く限り「アルバイトした経験のない中国人留学生はけっこう多く、月額5万円とか6万円の奨学金ですか?それなら要りません」と奨学金をもらえるチャンスを、あっさり断る学生もいるそうだ。わずかでも生活の足しにしようと、あちこちの奨学金の申請をしたり、必死でアルバイトをしたりするのは、今ではベトナム人やネパール人になった。
この他、留学後、そのまま日本の銀行や商社、大手メーカーなどに就職して働くホワイトカラーの会社員、大学教授、シンクタンクの研究員、高度な技術を持つエンジニア、看護師など、ありとあらゆる職業に就く中国人が増えてきた。日本に住む中国人の多様化は、もうかなり以前から始まっているのだ。
高度外国人材の
65%が中国人と圧倒的多数
法務省などの「高度外国人材の受入れ・就労状況」によると、国籍・地域別高度外国人材として日本で働く全外国人のうち、65%が中国人で、圧倒的多数を占めている(2位は米国人、3位はインド人)。そのことも、それを裏付けている。
高度人材とは、専門的な技術や知識を持つ外国人のことで、高学歴で職歴、収入など多数のチェック項目をクリアしたわずかな人材だけが取得できるビザのことだ。昔は不法滞在者や技能研修生、好きでもない日本人と結婚する偽装結婚も多く、それがニュースにもなったが、今ではそうした人々は減少している。
ある行政書士事務所で働く中国人から聞いた話で私が驚いたのは、日本での留学期間が終わっても、帰国も就職もせず、中国の両親がポーンと資金を出し、日本で経営管理ビザを取得する若者が増えている、という話だった。
「せっかく留学したのだし、500万円くらいは出してあげるから、日本で商売をしてみたら?と親が勧めるそうです。女の子でネイルに興味があるならネイルの店でも経営してみたら、と言われたという留学生が相談にきたこともありました。親に経済的な余裕があるから言えることですね」
隔世の感がある、とはこのことだろう。
在日中国人の居住地域は
都市圏に集中
在日中国人の居住地域にも特徴がある。日本全国に広がっているベトナム人などと比べて、東京都、神奈川県、埼玉県などの大都市圏に集中しており、勤務先も首都圏が圧倒的に多いことだ。外国人犯罪検挙率は全体的に右肩下がりだが、中でも中国人の検挙数は2010年以降、大きく下がっている。
法務省の統計では、男女比では6対4で女性が多く、構成比では20〜39歳が多いというデータも出ている。「東京や大阪の大手企業には若いホワイトカラーの中国人が多い」という私が抱いていた実感は、データにも表れていたといえる。
このように在日中国人はいつの間にか様変わりしていたが、特に、大きな変化を遂げたのは、「爆買い」が始まった2014年から2015年ごろであり、中国が激変していく時期と連動している、と私は感じている。
つまり、中国社会が変わるとき、まるで対のように在日中国人社会も変わっていくということだ。
彼らは常に「中国」の影響を受けているので、当たり前といえば当たり前かもしれない。中国の動向を知りたいと思うが、「中国は複雑すぎてよくわからない」と思う人がいるなら、まず身近な在日中国人の動向から探っていくのは1つの策だろう。
外国人労働者受け入れ拡大が話題となっている昨今の日本だが、日本に住む最大勢力の外国人が中国人であることは、おそらく今後しばらくの間、変わることはないだろう。
日本に対し、大きな影響力を持つ彼らを、私たちはどう受け止め、どう付き合っていったらいいのだろうか。今、日本の「中国人社会」はどうなっているのか。私たちは今こそ真剣に、等身大の彼らと向き合う時が来ているのではないだろうか。
『日本の「中国人」社会』(日本経済新聞出版社)、著者:中島恵、新書:232ページ
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