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貯蓄額「中央値」は380万円…「就職のために大学進学」は不要に、学びたい人は無償で(Business Journal)
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/872.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 12 月 12 日 01:50:45: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

貯蓄額「中央値」は380万円…「就職のために大学進学」は不要に、学びたい人は無償で
https://biz-journal.jp/2018/12/post_25887.html
2018.12.11 文=八ツ井慶子/生活マネー相談室代表、家計コンサルタント Business Journal




 前回に引き続き、未来の「教育費」について、考えてみましょう。

 簡単に前回の要約をしますと、今後の日本は人口減少、超長寿化、低経済成長(ないしはゼロ成長)が同時にやってくるという、経験したことのない時代に突入します。そうなれば「家計」は当然に変化を迫られ、その「未来予想図〜家計版」を考えていこう、というのがこのコラムの主旨です。そこで「教育費」をテーマに取り上げました。

 現状の教育費は家計に対する負担が大きくなる傾向があり、少子化にも大きな影響を及ぼしています。政府は労働力不足を補うために女性の社会進出を推奨していますが、同時に少子化に歯止めをかけるべく、働きながら子育てしやすい政策に動き始めています。

 顕著なものが教育費の無償化です。今後、幼児教育の無償化や低所得層を中心とした高等教育無償化の実施が予定されています。この傾向は家計にとってありがたいものではあるものの、親の所得水準に関係なく、すべての子供たちに広く公平な教育の機会が与えられたほうがいいとする個人的な見解もお話しさせていただきました。

 さて、その続きとして今回は、もう少し広い視野から家計における「教育費」負担について考えてみたいと思います。その大前提として押さえておきたいのは、「なぜ家計は教育費にお金をかけたがるのか」です。

■家計は困窮し始めている

 あるアンケート調査によると、大学生が大学の進学理由に挙げたトップが「就職のため」でした(前回コラムで紹介)。これは家計相談の現場からも強く感じますし、「親に言われて大学に進学した」という学生もいました。そのためでしょうか。授業終わりに学生からくる質問というと、「自分の単位(取得)は大丈夫か?」「(授業の)欠席は何回まで大丈夫か?」といったものが非常に多いのです。たまに授業の内容について質問がくると、心からうれしくなったりします。

 学生は何かを学びに大学へきているというよりも「単位のため」、ひいては「就職のため」の通過点として大学を認識しているように思えます。あくまで私の少ないサンプルでしかありませんが、他の大学の先生方とお話ししても同様の話を聞きますので、私ひとりの感覚ではないようです。もちろん、なかには優秀な学生もいますので、全員とはいいません。が、少数派な印象です。

 かといって「学生が悪い」とか「なっていない」などと言うつもりはまったくありません。その点は誤解のないようにお願いしたいのですが、そういう「社会」に今なってしまっている、ということです。

 大学に進学するのは「就職のため」「働くため」だとすれば、では、なぜ働かなければならないのでしょうか。それは「お金」を得て、そのお金で生活に必要なものを買うためです。すなわち、現状は「働く=生きるため」という社会経済が成り立っています。「何を当たり前のことを言っているんだ」と思われるかもしれませんが、実はここがとても重要なポイントだと思っていまして、あえて説明させていただきました。

 では、実際のところ、働いて生活できているのでしょうか。

 何をもってして「生活できている」と定義するのかも難しいのですが、家計が困窮してきているデータは少なくありません。

 例えば、金融広報中央委員会が毎年公表している「平均貯蓄額」と「中央値」の推移です。平均貯蓄額のここ最近の推移をみると、一定の範囲内で増減を繰り返しているのに対し、「中央値」は減少の傾向にあります。金額の真ん中が「平均値」であれば、金額順に世帯を並べたとき、真ん中に位置する世帯の保有する額が「中央値」です。平成29年でみると、平均貯蓄額は1,151万円であるのに対し、中央値は380万円。「平均値」と「中央値」で3倍以上の開きがあります。これは「貯蓄がない」世帯が増えてきていることが大きく影響していると思われます。日本でも家計の格差が広がっている実態がうかがえます。

 さらに、生活保護世帯の昭和33〜平成27年までの時系列データを見ると、保護世帯数は平成5年から増え続けています。世帯保護率(全世帯に占める生活保護受給世帯の割合)では、平成9年以降、平成25年の1年を除いて上昇し続けています。平成9年といえば、平均給与額がピークを迎えた頃で、山一證券の破たんといった金融危機が起こり、消費税が5%に引き上げられた年です。生活保護に陥る世帯は20年以上も増え続けているわけです。

■「経済成長」しなくなる

 教育費から話が逸れているように思われるかもしれませんが、もう少しお付き合いください。

 家計のこうした状況の一方で、モノは潤沢にあることがわかるデータがあります。生活に必要とされる「衣食住」を例にみてみましょう。

 まず衣服の「衣」ですが、いま新品衣料品の廃棄が問題になっています。流行を事前に予測しながら製造することは難しく、大量製造による売れ残りが恒常化しているためです。正確な数はわかりませんが、年間に廃棄される新品と考えられる衣料品は10億着とも20億着ともいわれます。結果的に廃棄を前提として衣料品価格は決定されるともいいます。

「食」も多くが廃棄されています。環境省によると、平成27年の推計値では食品廃棄物等は2,842万トン、このうち本来食べられるのに捨てられた分が約646万トンにもなるそうです(国民1人当たりに換算すると年間約51s)。

「住」まいも余っています。いわゆる「空き家」問題です。5年ごとに行われる総務省の「住宅・土地統計調査」(2013年)によると、空き家率は13.5%。5年前の時点で、およそ7軒に1軒は空き家です。これ以降も年間100万戸近い数の住宅が新しく建築されていますので、18年の調査では空き家率上昇が予想されます。

 これらは一例ですが、大量生産が続く現代社会では非常にモノがあふれて、「在る」状態です。
 
 その一方で、困窮する家計の状況を鑑みると、「在る」ものが必要な人のところにきちんと行き渡っていないととらえられます。それは、「買えない」からでしょう。これが、今の私たちの社会で適用されている「経済」のかたちなのだと思います。いわば、格差を生む「経済」です。

 富の偏りが生まれれば、本来、それを再分配する機能を担うのは国家のはずですが、残念ながら機能していないようで、それはご紹介したデータが物語っています。

 現状、“残念な経済”なのですが、実は私は、この状況はそう長くは続かないのではないかとみています。少し話を飛躍させてしまうかもしれませんが、その理由は「経済成長」しなくなるためです。

 そもそも「経済成長しない」ことに賛否両論あるでしょうし、かりにそうだとしても、そのことによって格差が解消される方向に向かうかどうかについても、本来は議論が必要なところです。非常に重要な点なので、見解をきちんと説明しないといけないと思うのですが、「教育費」がテーマなのと、あまり文字数が多いとインターネットでは読まれなくなってしまうため(字数制限があるのです)、また別の回にお話しさせてください。思えば、そもそもコラムのテーマを縦割りとすることに、無理があったのかもしれません。浅はかでした。すみません。

 ただ、開き直って言ってしまえば、“きちんと説明”といいましても、なんだかんだ私なりの推測の域は出ませんので、ここはひとつ「未来予想図」の前提として、「そういうこともありうるのか」と、いったんとらえていただけたら幸いです。

■働きたい人が働く社会に

 では、話を戻しまして、日本が経済成長しなくなるとします(ちなみに、これはGDPが上昇し続けないことを意味するもので、決して「経済的な成長」を否定するものではありません)。ここに人口減少とAI(人工知能)の進展がやってきます。

 人口減少が起こったとしても、AIによって労働力が補てんされるという楽観的な(?)見方もあるようですが、想像以上にAIの技術進歩は早く、税理士や弁護士、公認会計士などの専門家といわれる仕事や、医師までもAIによって相当数の職が奪われることが予測されているそうです。

 記憶に新しいところでは、英オックスフォード大学で人間が行う仕事の約半分が、今後10〜20年程度で自動化される(機械に奪われる)という衝撃的な予測をする論文が発表され、話題になりました。この研究をしたオックスフォード大学と野村総合研究所が共同研究したところ、日本国内601種類の職業についても、同様に今後10〜20年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業において、AIなどによって代替することが可能との推計結果が出たのだそうです。

 推測に推測を重ねる話になってしまいますが、日本の今後の経済規模が縮小していくと考えると(←「経済成長」にこだわると、この前提を置けなくなります)、今の労働力をがんばって維持する必要は当然なくなります。ましてやそこへ人間の代わりに働いてくれるAIが登場すれば、人間が働く必要性はダブルパンチで小さくなります。大量失業者が、至るところであふれてもおかしくないのかもしれません。

 このプロセスを経ることで、私は「働く」意味合いがグッと変わっていくのではないかと考えています。

 現在は、「働く=生きるため」ですが、みんなが働かなくても、AIのおかげで「経済」が回るとしたら、働くことは生きるためではなく、働きたい人が働く社会になるのではないかと思うのです。

 働かなくても生きていけるかと言えば、「経済」は回っていますから、最低限買えるだけのお金は出回ります。というか、出回らさなければなりません。ベーシックインカム(全国民に対して、生活に最低限必要な所得を給付する制度)です。経済が回れば税収は期待できますから、今後、ベーシックインカムの議論が活発になるのではないかと考えています。ベーシックインカムを実行しなければ、「消費者」が消えてしまいますから、経済を循環させるためにも、必要な政策になるでしょう。

 この現象は、格差を生む経済から、循環する新しい経済への移行ではないかと思うのです。いずれにしても、これから起こる「経済」の大きな変化のなかで、私たちは私たちの「社会」をどう再構築していったらいいかを問われることになるのは間違いないと思います。

■本当に学びたい人だけ高等教育を受ければいい社会に

 もしかすると、ここらへんから「八ツ井(私)は大丈夫か」と思われるかもしれませんが、至って真剣です。少数派の考えであることも理解しています。ですが、冷静に考えて、今の「経済」は人に厳しいです。働かないと生きていけません。さまざまな事情を抱えて働けない(あるいは、働けなくなった)人は生きる希望を失って絶望し、社会からしめ出され、ときに孤独となり、なかには命を落とす人もいれば、罪を犯す人もいます。今の「経済」は、「人間」よりも「お金」が尊重されるかのような仕組みと思えてなりません。悲しくなります。

 私は経済や金融の分野が好きで勉強してきましたが、いつしかこの「経済」は変わらなければならないと考えるようになりました。それが、「経済成長しない」ことで、もたらされるのではないかと思っています。「経済成長」と「経済的な成長」はまったくの別物です。私たちが十分に豊かであることは、モノ余りからわかります。これ以上“増やす”ことが本当に必要なのか、多くの人にも問われているのかもしれません。

 そして、ここでようやくメインテーマの「教育費」ですが、「働く=生きるため」という概念が崩れるとしたら、大学へ進学する大きな理由を失います。私はそれでいいと思っています。本当に学びたい人が高等教育を受ければいい。そうなれば、教える先生側の質向上にも寄与すると思います。
 
 私自身、非常勤講師として大学でお教えする機会をいただき、もうじき5年になります。「教える」というのは、「知っている」以上にしっかり学ばないといけませんので、私としては、非常にいい機会をいただけたと感謝しています。

 とはいえ、慣れない先生業は苦労も少なくありません。いまだに教わる意欲のない学生に向けて、一生懸命に講義するのは少しシンドイです。学生にとっても、興味のない授業を受けるよりも、20歳前後の貴重な時間を授業以外に充てたほうが、よっぽど彼らの人生は豊かになるかもしれません。大学の質向上のためにも、学びたい人が進学したほうがいいのではないかと思います。その意味では、社会人の学び直しであるリカレントは進んでいくと思います。

 教育費は基本的には無償で、誰にでも学ぶ機会が開放され、就職のためだけではなく、学びたい人が集う場所となることを、経済の変化とともに高等教育環境の変化にも、私個人は期待したいです。
(文=八ツ井慶子/生活マネー相談室代表、家計コンサルタント)

(注)金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)」

食品ロス



 

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コメント
1. 2018年12月12日 15:25:31 : JIY1sdNlGo : co7U_wqZ@s0[44] 報告
ところでこの人は人間どのくらいの経済的格差があるのが適切と考えているの?

腹をすかせた子供に食べ物を提供する金と、他人に差をつけるのが目的のセレブ目的の消費とはどうかな。

何も社会主義にしろと言っているわけではないよ。

2. 2018年12月12日 19:03:21 : 82xViKsNP6 : jGZW8kme9gs[46] 報告
儲け主義 綻び目立つ 大学に

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