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私の会社が「人材採用」で失敗して崩壊した理由
https://biz-journal.jp/2018/12/post_25861.html
2018.12.10 文=午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役 Business Journal
■「求める人材」を採用できているか?
以前、本連載記事『ダメ上司だった私だから知っている、部下にやってはいけないことリスト』でご紹介した、私が経営していた会社が崩壊した話の続きです。
私のマネジメントのまずさがもっとも大きな原因だったとはいえ、採用方針が不明確だったことも原因のひとつだというのが私の反省です。「どういう人材が必要か?」という漠然とした希望条件はあっても、それを見抜くための戦略がなかったのです。それはつまり、人材採用は「投資」であるという認識が非常に低かった。これはトップである私の責任です。
たとえば一般企業の面接でもよくあるような、志望動機や自己PR、学生時代の活躍・実績、自分の強み弱みなどというものは、聞いたところであまり意味はありません。その程度の内容なら応募者も入念に準備をしてきているでしょうし、たいてい加工に加工を加え厚化粧されたお見合いトークの場合が多いからです。もしかしたら、面接用につくられた架空のストーリーか、あるいは盛りに盛った美談かもしれない。せいぜい印象が良いとか悪いとか、まじめそうかどうかという印象程度しか、わからないでしょう。
そんな、どこの面接でも同じことが言えるようなマニュアル化され準備・練習して語れる内容では、本人の本質は見えてこない。それは結局ミスマッチ採用につながりやすく、会社側も従業員側も入社後のギャップにとまどい、悩み、お互い苦労するだけで、挙句の果ては早期離職、ということになりかねません。
入社してからは地味な仕事の積み重ねです。その連続が組織としての成果になります。面接で披露されるような単発の派手な出来事ばかりではないですし、そうでないことがほとんどでしょう。そして、それを地道にやれる耐性があるかどうかは、仮に新卒を採用するなら、大学時代にどのような意志と姿勢を持って過ごしてきたのかがわかる質問をしなければなりません。中途採用なら、どのような仕事でどういう役割だったのか、そしてどのくらいのコミットをして、具体的に本人のどんな能力がどの程度貢献したのかを聞く。
そういった本人の日々の生活習慣や、淡々とこなすルーチンワークといった毎日の地味な生活に、その人の行動原理などの本質が見えるからです。
■面接担当者で基準や方法を共有する
もちろん、大量の応募者をこなさなければならない大企業の第一次面接ではやむを得ない面もありますが、二次面接以降の実質的な採用選考の場面では、相手の資質や能力を見抜き、組織との相性や入社後の能力の再現可能性を評価しておく必要があります。
そのためにも、まずは面接にあたるスタッフ全員が「どういうコンピテンシー(強み)を持っている人が望ましいのか」「それを見抜くにはどういう質問が必要か」「印象や好き嫌いといった個人的感想を排除するには何に注視すべきか」といった基準や方法を共有しなければなりません。
たとえば、意欲的な応募者が面接に来ると、人によっては「生意気だ」という第一印象を受けることもあり、するとその後は、その応募者を落とすために欠点を探すようになる、といったことが起こり得ます。逆に、ルックスの良い異性の応募者が来たら、良い点だけを探すということも起こり得る。あるいは、名も知れない中小企業に東大生が応募してくると、「ついにわが社にも東大生が!」と採用チーム側が浮き足立つこともあります。
しかし本当に優秀な人物なら、なぜ自社のような中小企業に応募してくるのか疑ってかかるべきにもかかわらず、「東大」というだけで目が曇ってしまう。そういう面接担当者の個人的な印象で採用不採用を決めてしまえば、入社後にミスマッチが出てしまうでしょう。
■面接では「過去の事実」のみにフォーカスする
よって面接では、過去の事実のみにフォーカスして聞き出す必要があります。派手な出来事や大きなプロジェクトのことよりも、日々をどのように過ごしてきたか、それはどういう思いや仕事観から来るものなのか。そこから何を学びどう次につなげ、それは具体的にどんなかたちで本人のキャリア形成や能力開発に貢献しているのか、1つの話題に絞って連続的なストーリーになるよう、深く掘り下げて聞くことです。
そうやって、準備では対応できない質問、深く考えなくても瞬時に答えられる質問をポンポンと投げかければ、本人の本質的な志向があぶりだされます。盛った矛盾点などはすぐに明確となり、化けの皮は剥がれます。日々の地味な取り組みのなかにこそ、本人の思考的特性や行動特性が伺えます。印象や好感度ではなく、過去の客観的な事実を評価することが、ミスマッチ採用を避ける一助になるのです。
また、「想像と違う」「こんなはずではなかった」という入社後のギャップを防ぐためにも、採用チームは自社の良い面・悪い面含めて正直かつ適切な情報提供をすることも必要です。のどから手が出るほど人材が欲しい企業は、えてして自社の良い面ばかりを強調し、悪い面を隠そうとしがちですが、それでは早期離職者を大量に出すだけで、まったくメリットはありません。
そのため採用チームは、採用の「数」で評価するのではなく、「質」で評価しなければ、単なる頭数集めに奔走するといった事態になりかねません。それではせっかくトレーニングしてもすぐに離職してしまい、現場での苦労もすべて水の泡、全員が徒労に終わるだけ。それなら最初から採用しないほうがよかった、ということになります。だから応募者には、「現実にはこういうこともある」「こういう状況はしんどかった」などと既存社員の問題意識も正直に伝え、それでも入社したいという覚悟を持った人材を採用するほうが望ましいでしょう。
しかし、私は以前はこういったことに無頓着で、たとえば面接にあたる部下に対し、「営業・コンサルタント職だから、ストレス耐性があるか、フットワークは軽いかを見てほしい」としか伝えず、ではどういう面接をすればそれがわかるのかまで伝えませんでした。もとより私自身にそういう意識がなかったからで、最終面接の場での私の対応も、今思えば笑ってしまうほどに稚拙でした。
そのため、「この会社ではあれこれ細かい指示はされない。自分で仕事をつくり自発的に行動することが求められる。それで、ついてこれるか?」などというバカげた質問をしていました。なぜこれがバカげているかというと、応募者は「はい、大丈夫です」としか言わないからであり、この程度で本人の資質が見抜けるはずもないからです。
(文=午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役)
【参考文献】
『私が「ダメ上司」だった33の理由』(日本実業出版社)
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