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米国株の調整は完了
ストラテジーレポート
広木 隆 2018/12/07
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最近よく使うフレーズに「蝉が鳴いたから夏が来るわけではない」というのがある。夏になれば蝉が鳴く。蝉が鳴くことで季節が巡り夏になるわけではない。相関はあるが因果関係はないことの例えだ。
米国債のイールドカーブの一部の年限で逆転現象(逆イールド)が発生した。それをもって景気後退が起きると危惧されているが、逆イールドになったから景気後退になるというわけではない。逆イールドは景気後退を呼び起こす原因ではない。景気後退の終盤でしばしば見られる現象のひとつに過ぎない。夏になれば蝉が鳴き、景気拡大が終盤になれば逆イールドが起こる。それだけのことである。そして逆イールドが初めて起きてから実際に景気後退が始まるまでにはかなりのタイムラグがある。(詳しくは昨日の大槻さんのレポートご参照)
景気後退との関連性で言えば株価のほうがはるかに近い。平均すると米国株が天井を打つのは景気後退開始の6ヶ月前である。換言すれば株価が崩れて景気後退に陥るのである。
米国株のピークアウトはまだ先である。この秋の調整を経て、米国株式市場は株価評価の基本をもう一度、頭にたたき込んだはずである。すなわち金利対比のバリュエーションが重要だということである。10月から始まった下落の第一局面は金利上昇に対する調整だった。第二局面ではリスクパリティなどのポジション調整、第三局面では原油安と次々と下げの要因を変えながら、ここまで調整が長引くと、マーケットの心理が悲観に傾きすぎて、まともな判断が効きにくくなる。それが先日の逆イールド発生で大幅安となった理由だろう。長期金利は下がっているのだから本来であれば株価にはプラス材料である。
S&P500の益利回りと10年債利回りの差をとったイールドスプレッドが3%を割り込んで、株価の割高感が意識されたのが、急落の原因だった。これは2月も10月も同じである。現在は株価が調整し金利が下がったため、イールドスプレッドは3.6%近くに達し、これは年初来で最高水準だ。株価の割高感は薄れている。調整完了とみてよい。
S&P500(青)とイールドスプレッド(赤)
出所:Bloombergデータよりマネックス証券作成
それにしても米国株市場は投資家の裾野が広く、懐が広い。昨日のように大幅に下げても逆張りが入って下げ幅を縮める。一本調子で下げ幅を拡大していく日本株市場と大違いだ。
HUAWEI(ファーウェイ)の副会長逮捕というニュースのインパクトが強かったので市場は過敏に反応したが、米国がHUAWEIとZTEを標的として中国通信を排除することは今、唐突に出てきた話ではない。日経新聞にも書かれている通り、8月に国防権限法が可決され大統領が署名した時点で決まっていたことである。サプライズでもなんでもない。これをとりまとめたのは可決直後に亡くなったジョン・マケイン議員である。帰還兵で米国の英雄で、かつトランプ大統領のいわば政敵である。だからというわけではないのだろうが、超党派でまとめた国防関連法は最終段階でトランプ政権によってトーンダウンされ成立した。トランプ氏と犬猿の中にあった相手の名前がついている法案にすんなり署名したくなかったのだろう。
対中国への強硬姿勢はトランプ政権よりも議会で強い。ただ、その議員連中を超党派でまとめたマケイン氏は今はもうない。米中のハイテク産業は密接に結びついており、そう簡単にそのエコシステムを断ち切ることはできないだろう。前回のZTEの制裁の時も、米国の半導体メーカーから強烈なロビー活動が行われている。今回も米国の産業界は大々的にロビー活動を行うだろう。そうした諸々の事情を考慮すれば、メディアで喧伝される「中国ハイテク排除」というのが一足飛びに進まないシナリオも用意しておくべきだと言える。
https://media.monex.co.jp/articles/-/10600
パイオニア、上場廃止へ アジア系ファンドが買収
15%人員削減も
エレクトロニクス
2018/12/7 16:30
経営再建中のパイオニアは7日、アジア系投資ファンド、ベアリング・プライベート・エクイティ・アジアの傘下に入ると発表した。ベアリングが総額1020億円を投じて買収する。パイオニアはベアリングの完全子会社となり、上場廃止になる。外資ファンドの傘下で再生を目指す。
記者会見するパイオニアの森谷浩一社長(左)とベアリング・プライベート・エクイティ・アジアのジォーン・エリック・サラタCEO(7日午後、東京都中央区)
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記者会見するパイオニアの森谷浩一社長(左)とベアリング・プライベート・エクイティ・アジアのジォーン・エリック・サラタCEO(7日午後、東京都中央区)
パイオニアが2019年1月25日に開く臨時株主総会で正式に決める。ベアリングは第三者割当増資と債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ、DES)で770億円を出資。既存株主からも約250億円で株式を買い取る。買い取り額は1株あたり66.1円と7日終値(88円)よりも25%安い。
18年3月末時点で連結で約1万7000人いる従業員のうち約15%の人員を削減する。経営陣も刷新する。森谷浩一社長と社外取締役2名を除く現在の取締役は辞任し、ベアリングから取締役を招く。パイオニアは9月にベアリングの支援を仰ぐことで基本合意していたが、出資には至っていなかった。
パイオニアが手がけるカーナビゲーションシステムなど車載機器の事業環境は厳しい。スマートフォン(スマホ)の普及でパイオニアにとっての稼ぎ頭である「市販品」は需要が縮小し、単価の下落にも直面している。
自動車メーカー向けのカーナビの開発費の負担も増え、18年4〜9月期連結決算は99億円の最終赤字だった。前年同期に比べ赤字幅が72億円拡大した。
主力事業のカーエレ事業は19年3月期に55億円の営業赤字となると見込む。連結全体でも50億円の営業赤字の見通しとなるなど経営危機を招いていた。
自動車・部品各社は「CASE(つながる、自動運転、シェアリング、電動化)」と呼ばれる次世代技術への対応を迫られ、競争を生き抜くための再編が相次ぐ。アルパインは親会社のアルプス電気と経営統合し、クラリオンは日立製作所グループを離れて仏自動車部品大手のフォルシアの傘下に入ることが決まっている。
パイオニア、香港ファンドが600億円 筆頭株主に (2018/9/11 18:00) [有料会員限定]
パイオニア株、日経平均に当面維持 (2018/12/7 17:40)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38673110X01C18A2000000/
東証大引け 反発、米株下げ渋りで見直し買い、小売りなど内需高い
2018/12/7 15:25日本経済新聞 電子版
7日の東京株式市場で日経平均株価は4日ぶりに反発し、前日比177円06銭(0.82%)高の2万1678円68銭で終えた。6日の米株式相場の急速な下げ渋りで投資家心理の悪化に歯止めがかかり、現物株への見直し買いや株価指数先物の売り方による買い戻しが相場全体を押し上げた。日経平均は前日までの3日間でおよそ1000円下落していたため、値ごろ感を手掛かりとした買いも入りやすかった。小売りなど内需関連株の一角が買いを集めた。
6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は一時前営業日比785ドル安まで下落したが、79ドル安まで下げ渋って終え、日本株にも相場の底入れ機運が広がった。午後は日銀の上場投資信託(ETF)買い観測や円相場の伸び悩みを手掛かりに、やや買いの勢いが増した。
午前は朝高後、米中関係の先行き不透明感などから戻り待ちの売りが優勢になり、日経平均は前日終値(2万1501円)近辺まで上げ幅を縮小する場面もあった。11月の米雇用統計の発表を控え、積極的に持ち高を傾ける動きは限られた。原油安などを背景に石油や鉱業など資源株の一角が軟調だった。
JPX日経インデックス400は4日ぶりに反発。終値は前日比102.95ポイント(0.72%)高の1万4336.16だった。東証株価指数(TOPIX)も反発し、9.85ポイント(0.61%)高の1620.45で終えた。
東証1部の売買代金は概算で2兆5406億円。売買高は13億7189万株だった。東証1部の値上がり銘柄数は1016、値下がりは1028とほぼ同数だった。変わらずは78銘柄だった。
日経平均への影響度が高いファストリやユニファミマが上昇。11月の取扱数が好調だったヤマトHDも上げた。一方、6日に通信障害が発生したソフトバンクは下落した。武田は年初来安値を更新した。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
https://www.nikkei.com/article/DGXLASS0ISS16_X01C18A2000000/
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