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日本で始まる移民受け入れ 閉鎖的なこの国が外国人労働者の受け入れ拡大へ
https://diamond.jp/articles/-/187791
2018.12.7 The Wall Street Journal ダイヤモンド・オンライン
Photo:Reuters
この世界は驚きに満ちている。日本が他の先進諸国の潮流に逆行して移民を受け入れる方向に進むとは、一体誰が想像しただろうか。だが安倍晋三首相率いる自由民主党が高齢化社会と労働力不足に対処するために推し進めている政策は、まさにそういうことだ。
日本の景気拡大が7年目に突入する中、企業は労働者確保に必死になっている。出生率が低いため人口は年間30万人以上減少し、労働市場のひっ迫で失業率は2.4%まで低下した。東京商工リサーチの調査によれば、人手不足による倒産件数は2016年から17年にかけて倍増した。
衆議院は先週、出入国管理法改正案を可決した。この法案には、技能レベルの低い外国人労働者に5年間の就労を認めるビザを新たに発給することが盛り込まれている。法務省は当初5年間で最大34万5000人の外国人労働者受け入れを見込んでいる。日本には既に130万人の外国人労働者がいる。
新たなビザは14業種で働く労働者が対象で、業種別の人数は外食業5万3000人、農業3万6500人、介護業6万人などとなっている。日本では高齢化のため介護職員の不足がとりわけ深刻だ。65歳以上が人口に占める割合は約28%で、米国の16%を上回る。
多くの非熟練労働者は現在、技能実習ビザで働いている。このビザだと、虐待されたり低賃金で働かされたりしても転職ができない。米国のゲストワーカー・プログラムにも同様の制限がある。日本の新制度では転職が可能になる。このため雇用主は労働環境の改善を迫られるうえ、賃上げ圧力を受けることになる。
閉鎖的なことで知られるこの国への移民受け入れを拡大するとあって、野党は安倍氏を攻撃している。日本では外国人による犯罪への懸念が強いうえ、日系人をめぐる問題の記憶も残っている。1990年代には、南米に住んでいた多くの日系人が日本に迎えられた。だが金融危機の際、政府は彼らに現金を渡して帰国させた。日本人の職が奪われないようにするためだった。
だが外国人労働者に代わる妥当な選択肢はない。女性の労働力を増やす取り組みは、出産後の女性に企業が柔軟な勤務時間を認めることでささやかな成功を収めてきた。ただ2017年の時点で、25〜39歳の女性の4分の3が既に仕事を持っている。日本の製造業は中国や米国に比べてロボットへの依存度がはるかに高いため、人工知能(AI)を活用できる可能性はある。だがロボットが何でもできるわけではない。
外国人労働者の受け入れ拡大案は日本の政治的な基準からすれば大胆なものだが、それでも労働需要を満たすことはできないかもしれない。疑問点の1つは、受け入れる外国人労働者数と試算された34万5000人という数を、政府が上限とするかどうかである。上限であれば労働需要を人為的に抑制しかねない。米国では外国人労働者の厳しい制限によって、造園や漁業といった産業が弱体化している。
日本のような高齢化社会にとって、外国人労働者の受け入れ拡大に代わる現実的な選択肢は、景気停滞と国の衰退である。安倍首相が労働力の課題に対処するため、移民という日本のタブーに切り込んだことは称賛に値する。米国の移民排斥主義者は日本の例から学ぶことができるだろう。
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