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ゴーン逮捕で永田町関係者がささやく仰天の「トランプ黒幕説」とは
https://diamond.jp/articles/-/186760
2018.11.29 窪田順生:ノンフィクションライター ダイヤモンド・オンライン
検察や日産がリークを連発する一方、ゴーンサイドからの情報がほとんどない現在、あのウォール・ストリート・ジャーナルですら、ゴーンはハメられた的な「陰謀論」を展開する事態になっている。さらに驚くのは、永田町界隈でまことしやかにささやかれる仰天の陰謀論だ。(ノンフィクションライター 窪田順生)
米有力紙も「ゴーン擁護」へ
国内外に広がる陰謀論
少なからぬ永田町関係者がなんと本気で信じているのが「トランプ黒幕説」。つまらない陰謀説であっても、あえて背景を考えてみることで、リーク渦巻く情報戦に振り回されない情報リテラシーを養うことができる Photo:Reuters/AFLO
「ありゃ裏でもっと悪いことしてるぞ。コストカッターとか言われてた時から、俺は怪しいと思ってたんだよ」「いやいや、あれはハメられたんだって。日本人の側近がルノーに吸収されないように起こしたクーデターらしいぞ」――。
世界に激震が走った逮捕劇から10日、部下にハメられた哀れな外国人リーダーか、強欲な独裁者かという「ゴーン論争」は、今やすっかりサラリーマンたちの「酒の肴」として定着した。
この「メシウマ状態」に拍車をかけているのが、GT−Rを会社からタダでもらっていた、なんて調子で、日産や東京地検特捜部からせっせと毎日のようにリークされる「しっくりこない話」だ。
ゴーンのしょうもない悪事を聞けば聞くほど、「監査役もいる上場企業なのに、なぜここまで見抜けなかったのか」とモヤモヤが深まる。そのためか、海外ではすっかり、ゴーンはハメられた的な「陰謀論」が広まっている。
例えば、26日の米ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)でも、「中国で起きたことかと思った」と揶揄したほか、「島国特有の閉鎖的な企業文化」「日本の経済界に汚点を残す」との論調を展開するなど、露骨に「ゴーン擁護」へと舵を切っている。
もちろん、この手の「陰謀論」は国内でも飛び交っていて、中には、落合信彦氏の国際スパイ小説も真っ青のストーリーも聞こえてくる。そこで本稿では、その一部をご紹介していきたい。
「フェイクニュースを撒き散らすな!」と怒り出す方もおられるかもしれないので、言い訳をさせていただくと、「陰謀論」というものの多くは「情報の飢餓」が原因である。
ネットでカモを探す怪しげな自己啓発セミナーが、「大手マスコミが報じない」なんて宣伝文句を多用するように、「陰謀論を語るのは危険だ」とみんなが“お口にチャック”をすると、かえって「陰謀論」の価値を高めて、それを広めることとなってしまうのだ。
また、火のないところに煙は立たぬではないが、「陰謀論」にだってささやかれるだけの理由はある。信じるも信じないもあなた次第、と話半分のエンターテイメントとして楽しんでいただきながら、そのバックグラウンドを読み解くことは、むしろデマやフェイクニュースに惑わされない情報リテラシー向上の役に立つのではないだろうか。
永田町でまことしやかに
ささやかれる「トランプ黒幕説」
一通り陰謀論を語る「意義」を説明させていただいたところで、さっそく本題に入っていこう。
日産をルノーに奪われたくないという「国策」で東京地検特捜部が動いた、という「陰謀論」は既にいたるところで語られているので割愛するが、それを遥かに上回るスケールのストーリーが囁かれているのをご存じか。
それは、「トランプ黒幕説」だ。
先日、永田町で、国際政治に精通し国内外に豊富な情報ソースをお持ちの方とお茶をしていた時、ゴーン逮捕が話題に上ると、さも常識という感じでこんなことをおっしゃった。
「あれはね、トランプがやらせたんだよ。知らなかった?」
聞けば、トランプから命じられた“忠犬ポチ”の日本が東京地検特捜部を使って、ゴーンを日産から「排除」したというのである。
「妄想乙」と言う人も多いだろう。だが、実はこれ、この方だけではなく、政治に携わる一部の方たちの間でまことしやかにささやかれている、わりとメジャーな「陰謀論」なのだ。
「おいおい、こんな妄想を真に受けている人が永田町に多いなんて、日本の政治は大丈夫か」と心配になった方も多いかもしれないが、先ほど述べたように「陰謀論」にだって、ちゃんと理由がある。この「トランプ黒幕説」も然りで、複数の方からお話を聞いていく中で、この「説」のバックグラウンドが見えてきた。主なポイントは以下の3つだ。
(1)トランプの「マクロン大統領叩き」
(2)対中国戦略としての「電気自動車(EV)開発潰し」
(3)アメリカの虎の尾を踏んだ田中角栄
納得というものもあれば、何のことやらというのもあると思うので、(1)から順に説明しよう。
「トランプ黒幕説」では、トランプが日本を使ってゴーンを排除した最大の理由は、マクロン仏大統領を弱らせることだと説明される。
ゴーン失脚で米が狙うのは
「テスラのEV復権」!?
マクロン大統領といえば、日本国内では、日産をルノーに吸収しようと目論む張本人というイメージが強いが、国際政治的には、トランプとバチバチのバトルを繰り広げているEUリーダーとして知られている。
かつてはトランプと蜜月関係なんて言われた時期もあったのだが、フランスが主導してきた「イラン核合意」や、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」をトランプがこき下ろしたうえ、サクッと離脱してしまったことで関係が悪化。ちょっと前のトランプと金正恩のバトルのように、互いに会見やTwitterで罵り合う事態になっているのだ。
ゴーンに「横領外国人経営者」の悪名を着せてルノーと日産を「分断」すれば、日産を欲しがっていたマクロンは大打撃。いかにもトランプが考えそうな「謀略」だというのだ。
いくらなんでもそんなくだらない喧嘩くらいで、日本に世界的企業の社長をパクらせないだろ、と思う方も多いかもしれないが、トランプには他にもゴーンを排除したい理由がある、と「トランプ黒幕説」は考える。
実はゴーンは、トランプと目下、激しい「貿易戦争」を繰り広げている中国で、「EVの父」と呼ばれている。ルノー・日産は早くから中国に進出し、2017年には東風汽車とEVの共同開発をする合弁会社を設立。中国でのEV事業を積極的に進めているからだ。
そんな“親中派”のゴーンを「罪人」として追放できれば、高いEV技術を持つ日産とルノーの関係に「溝」をつくることができる。それはすなわち、彼らと共同でEV開発に力を入れる中国にもダメージを与えることでもある、というわけだ。
ご存じのように、アメリカのEVは大苦戦で、経営危機がささやかれるテスラは中国に工場を建設すると発表して中国市場へすり寄ったものの、「米中貿易戦争」の煽りを受けて中国国内の販売が70%減になったと報じられたばかりだ。
つまり、トランプが日本にゴーンを排除させたのは、中国でルノー・日産の影響力をそぎ、テスラにEV開発の主導権を持たせるためのものだというのである。
永田町関係者が思い出すのは
田中角栄の「奇妙な逮捕劇」
もちろん、自動車業界関係者やジャーナリストたちからすれば、「そんなことあるわけないだろ」という失笑レベルの話かもしれないが、政治の世界で長く生きていた人ほど、このような「陰謀論」を強く支持する傾向が強い。
その理由が(3)である。
実は政治の世界に生きる者であれば、アメリカと東京地検特捜部という組み合わせを聞くと、脊髄反射で思い浮かべる、昭和を代表する陰謀論がある。
もうお分かりだろう、ロッキード事件だ。
日本の首相経験者がパクられる、というあまりにも有名で衝撃的な事件なので、その詳細はここでは割愛するが、一部の方たちの間では、この事件は「角栄がアメリカの虎の尾を踏んだから起きた」という認識で一致している。
日本独自のエネルギー安全保障を進めるため、サウジアラビアと石油取引の交渉をしようとしていた田中角栄を、アメリカが東京地検特捜部と日本のマスコミを陰ながら操って、「世紀の犯罪者」に仕立て上げたというのだ。
ここでこの「説」についての真偽をああだこうだと論じても仕方ないが、ただ一つはっきりしていることは、政治の世界では、これを「真実」だと信じている方が、今でもたくさんいるということだ。
あの奇妙な逮捕劇をリアルタイムで覚えている人たちからすれば、中東で「日の丸オイルメジャー」をつくろうと動いた後、「カネ」の問題でパクられた角栄と、中国のEV覇権を取りに動いていた最中に、同じく「カネ」で監獄に放り込まれたゴーンは妙に重なってしまうのだろう。確かに、今回の逮捕劇は、ロッキード事件とムードはよく似ている。
何の前触れもなく動く東京地検特捜部。手のひら返しで悪口を言い立てる側近たち。次から次へとマスコミにリークされる不可解なネガティブ情報、そして、ちらつくアメリカの影――。
このような要素を踏まえれば、「トランプ黒幕説」がまことしやかにささかれるのも当然といえば、当然のことなのかもしれない。
陰謀論をあえて深読みすると
情報リテラシーが向上する
もちろん、「陰謀論」はこれだけではない。筆者が他に耳にしたのは、いわゆる「原子力マフィア」の関与である。
経営危機に陥っているフランスの原子力総合メーカー、アレバグループに、三菱重工が出資していることで、実はこの騒動の本丸は、日産ではなく「三菱」なのだ云々というような、これまた陰謀論好きな方たちがワクワクしそうなストーリーだったので、機会があればまたどこかでお伝えしたい。
いずれにせよ、ゴーンサイドから大した情報が出てこない段階で、このような「陰謀論」が盛り上がっているのだ。日産、特捜部、ルノーなど、さまざまなプレイヤーが入り乱れた情報戦の本番はこれからだ。そんな中で我々にできることは、魅力的な「陰謀論」の中に、どのような意味があるのかを読み解くことである。
なぜそのような話がニュースに出るのか。一体誰が話をしているのか、そしてこのような情報が流れると、誰が得をするのか。
ポジティブに捉えれば、今回のゴーン逮捕は、我々日本人の「情報リテラシー」を磨く、いい機会になるのかもしれない。
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— ダイヤモンド・オンライン (@dol_editors) 2018年11月28日
話が不透明だからか、どんどん陰謀論が過熱してる印象があるな。
— うの (@uniquis) 2018年11月28日
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いろいろあるなぁ。ゴーンショツク / ゴーン逮捕で永田町関係者がささやく仰天の「トランプ黒幕説」とは - 情報戦の裏側 (Diamond Online) #NewsPicks https://t.co/4I7jmK6XpV
— yackham (@yacam) 2018年11月29日
ニヤニヤしながら読んだ。こういう「陰謀論」は楽しいね。/ゴーン逮捕で永田町関係者がささやく仰天の「トランプ黒幕説」とは | 情報戦の裏側 | ダイヤモンド・オンライン https://t.co/mdri80hrhw
— 石倉力 (@Chikara1112) 2018年11月29日
面白い(笑)
— マーケッターと名乗らせて (@hnlydql) 2018年11月29日
ゴーン逮捕で永田町関係者がささやく仰天の「トランプ黒幕説」とは https://t.co/4ieZYQEeL7
敗戦国は常に情報飢餓ね(^-^)/ https://t.co/F5Lg8UmKGJ 「テスラのEV苦戦で、中国でEV開発を進めるゴーンが、オイルメジャーになろうとして抹殺された田中角栄と重なり、フランスアルバに出資する三菱が本丸と、永田町ほど情報飢餓=陰謀論の火元だが、ここでリテラシーを磨くのは国民の番だ」
— 大本薫 Kaoru Ohmoto (@sunamajiri) 2018年11月29日
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