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日本人だけが知らない、GAFAとアメリカ株の「終わりの始まり」 巨大IT「包囲網」はもう止まらない
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58528
2018.11.24 中原 圭介 経済アナリスト 現代ビジネス
S&P500(NYダウと並ぶアメリカの代表的な株価指数)の2013年〜2018年9月末までの上昇分のうち、実にその4割弱はアマゾン、アップル、アルファベット(グーグルの持ち株会社)、フェイスブック、マイクロソフト、ネットフリックスの6社がもたらしたものです。
リーマン・ショック以降、世界的に経済成長率の低下が指摘されているなかで、これら6社は新しいビジネスモデルを築いた成長株として、投資家の資金を過剰といわれるほどに集めることができたのです。
しかしながら2018年10月以降、これら6社の株価は総じて下落する基調を強めてきています。2018年7~9月期の決算は概ね好決算といえる内容であったものの、利益率が低下しているということが悪材料視されてしまっているためです。
「社会と共存するコスト」を求められ始めた
たとえば、アマゾンやアップルは10月以降からのわずか1ヵ月半で株価が20%近くも下落しています。ヘッジファンドはこれらのIT株に資金を集中させ、市場平均を上回るリターンを得ることができましたが、10月の運用成績はマイナス6%に接近するまでに落ち込み、2008年のリーマン・ショックに次ぐマイナス幅を記録しています。
投資家にとって成長株と位置付けられているIT株の魅力というのは、その利益率の高さと投資(コスト)の少なさにあります。データという無形資産を武器に莫大な利益を稼ぐIT企業は、重厚長大な設備を抱える製造業のように大規模な投資を必要とせず、データを独占するビジネスモデルによって高成長を続けてきています。
それにもかかわらず、過度な節税によって正当な税金を払わないばかりか、他の大企業と比べて極めて少ない従業員でビジネスが事足りてしまうため、社会全体への還元には消極的な姿勢を取り続けてきたのです。
ところが最近では、これらのIT企業に対して、社会と共存するためのコストが求められ始めています。欧州を中心に課税を強化しようとする動きが広がっている一方で、賃上げによるコストや情報監視・情報流出の対策コストが膨らんできているのです。
たとえば、利益を従業員や社会に還元していないと批判されていたアマゾンでは、アメリカ国内の従業員の最低賃金を時給15ドルに引き上げるという決定をしています。大幅な賃上げは11月1日から実施するということですから、2018年10〜12月期決算からコスト増による利益率の低下は避けられない見通しです。
たとえば、偽ニュースの拡散や情報流出の問題が相次いだフェイスブックでは、これらの問題に対応するために新たに社員を増員し、正社員数は2018年9月末で約3万3600人と1年前の約2万人から7割近くも増えています。おまけに、今年に入ってデータの不正利用が発覚した反省から、個人データを第三者に渡さない選択権を利用者に与えるようになり、広告収入の伸びが鈍化してきているのです。
グーグルでも個人情報が大量に流出し、すべてのプラットフォーマーが個人情報保護に関する対策費の積み増しを迫られています。その結果、冒頭に挙げた6社のコストは2013年と比較して優に2倍超に膨らんできているというわけです。
利益率が低下する要因は、これらのコスト増だけではありません。
巨大IT企業はこれまでM&A以外では大規模な投資をする経験が乏しかったので、従来から大規模投資をしてきた大企業のような厳格さは持ち合わせていないようです。そのため、アマゾンが広告事業に新規に参入し、アップルが動画配信に事業の拡大を目指すなど、すでに強力なライバルがいる事業に巨額に資金を投じることによって、利益率の低下が避けられないのは仕方がない状況にあるのです。
さらに、巨大IT企業が無形資産のデータで稼ぎまくっているのに正当な税金を支払っていないとの批判が高まっているなか、先進各国では新たな課税も検討されています。
今までの国際課税ルールでは、国内に支店や工場といった恒久的な施設がない限り、外国企業の売り上げや利益には課税できないという原則がありました。ところが今や、欧州ではIT企業に対して利益ではなく売上高に課税する「デジタル課税」案が浮上しているのです。
傍若無人を認めない…! 狭まる「巨大IT包囲網」
実際に、英国が他の国々に先駆けるかたちで、大手のIT企業を対象にしたデジタル課税を2020年4月から導入すると決定しています。大手のIT企業が英国の消費者から稼いだ売上高に対して、一律に2%の税率で課税するというのです。
英国のデジタル課税の導入は、EUがデジタル課税を前向きに進める契機になるはずでしょうし、G20の議論にも大きな影響を与えることになるでしょう。利益率という尺度とは異なりますが、デジタル課税がIT企業の税引き後の利益を抑える要因になるのは間違いありません。
そこへ持ってきて、巨大IT企業がデータを寡占している立場を乱用し、取引先に不利な取引を強いている状況も改められる環境が整備されつつあります。
我が国でも経済産業省が実施した大掛かりな調査によれば、日本の中小企業は巨大IT企業との取引において、不利な取引条件を押しつけられるという実態が明らかになっています。経済産業省の調査を踏まえ、公正取引委員会も問題のある取引や契約がないかを調べる方針だといいます。
何も日本に限らず、多くの国々でIT企業の傍若無人さが認められない状況になっていくことになりそうです。
NYダウは下落へ!18年高値から2〜3割のダウンもある
これらのいくつもの流れを見ていると、巨大IT企業の利益率が今より低下する傾向はもはや止めることができないでしょう。
いよいよアメリカ株の上昇基調を支えてきた成長株としてのIT株への資金集中は、大きな転換点を迎えたといっても過言ではないのかもしれません。過去数年で強気を貫いてきたウォール街でも、GAFMAや FANGと呼ばれるIT株が最高値を更新し続けるような相場に戻るのは困難だろうという見解が増えてきているようです。
成長期待から上昇トレンドを保ってきたアメリカ株は、2019年には本格的な調整の期間に入る可能性が高いと見ております。NYダウとS&P500の双方のチャートがダブルトップの形になり、今年の2月の調整時よりも先行きが不透明になっていることを知らせてくれています。
IT株の成長期待の剥落→アメリカ経済の大減速という経路を辿って、2019年のNYダウとS&P500が2018年の高値から2割〜3割下がることは十分にありえると覚悟しておいたほうが無難でしょう。
最後に、新刊『AI×人口減少 〜これから日本で何が起こるのか』においては、
・ 日本の人手不足が5年以内に解消する理由とは
・ 高学歴の人々こそ失業の危機にある理由とは
・ 定年消滅後の働き方や生き方とは
・ 年金はどのくらい減るのか
・ 政府が考える増税・社会保障改革のシナリオとは
・ シェア経済とギグ経済が起こす地殻変動とは
・ 銀行、自動車、流通など、業界再編が進む理由とは
・ AI社会で求められるスキルや心構えとは
といった疑問にお答えしています。これからの10年〜20年を見据えて、私たちの仕事、収入、社会がどのように変化していくか、実証的なデータをもとに解説しています。ご覧いただければ幸いです。
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