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米中貿易戦争、米中の巨大IT企業はさらに繁栄する…日本は企業没落で経済不況
https://biz-journal.jp/2018/11/post_25620.html
2018.11.21 文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役 Business Journal
アメリカから日本に対して、鉄鋼とアルミニウム製品への輸入制限と追加関税を迫るという脅しが始まり、日本は関税率アップを避けるための個別交渉を余儀なくされている。そして日本がその事前交渉を始めてみると、日本経済に一番打撃が大きい自動車に関税の矛先が向くかもしれないという情報が入ってきて、さらに米国の動きに怯える状況に追い込まれている。
問題は、トランプ米大統領が論理的かつ合理的な政策判断を下してくれない可能性があることだ。事の発端でもある中国との関税引き上げ合戦は、両国だけでなく世界貿易に大きなマイナスを生じさせる危険性が指摘されている。にもかかわらず、場合によっては泥沼の関税引き上げ合戦が行われ、世界の貿易が冷え込むというリスクが顕在化してきた。
場合によっては、リーマンショック級の経済危機が訪れるかもしれない。世界経済にマイナスであるにもかかわらず、なぜトランプ大統領は保護主義ゲームに力を入れているのかといぶかしがる知識人は少なくない。
もし、これまでの資本主義経済を発展させてきた自由貿易の枠組みが崩れ、世界に保護主義が蔓延したら、いったいどのような結果が生じることになるのか。アメリカ、中国、そして日本といった先進国の経済成長には、保護主義はマイナスになるというのが一般常識だ。だから、少なくとも日本の大企業にとっては、このトランプの政策の直接的な影響は大きなマイナスである。
■アメリカも保護主義で経済発展
しかし、見方を変えると、この保護主義の台頭はアメリカのグローバル企業の目でみるとマイナスではないかもしれない。それは、このような考え方からである。
21世紀の初期、保護主義によって急速に経済成長を遂げたのが中国である。当時の中国政府は極端な保護主義政策をとっていて、工業製品への関税は平均で30%を超えていた。当然のことながら非関税障壁も大きく、中国国内で工業製品を生産する海外企業に対しても資本規制や知的財産の侵害など、さまざまな障壁が築かれていた。
そして重要なことは、それらの保護主義政策があったからこそ中国は経済大国に発展することができたことだ。
実はアメリカも同じである。アメリカが大国へと発展した19世紀末から20世紀初期にかけて、当時のアメリカは現代の中国よりもはるかに保護主義政策をとり続けた新興国家だった。旧宗主国のイギリスをはじめ、ヨーロッパの列強各国に対して、強力な保護主義政策を取り続けることで国内産業を保護していたのだが、その結果、第一次世界大戦を経てアメリカは世界最大の経済大国へと成長することができた。
自由貿易は先進国にとっては有利な制度なのだが、発展途上国と新興国にとってはこれほど不利な経済ルールはないのだ。
その観点で捉えてみると、もしこれから先、アメリカ、中国を中心に世界全体で自由貿易が後退したとしたら何が起きるだろう。WTO(世界貿易機関)の枠組みに従うのではなく二国間協定や各国の政策が優先することを是認する動きが大国主導で行われ、それを世界中の国々が模倣していったとすると何が起きるのか?
起きることは、先進国経済の後退と、途上国・新興国経済の発展である。では、それが何をもたらすのだろうか。
■日本の中流層の没落
21世紀に入って、日本だけでなくアメリカでも中流層が没落し、以前のような生活水準が保てなくなる世帯が増えていった。そのため、例えば日本国内でいえば、自動車を買わない若者が激増した。若者は百貨店ではなくユニクロやジーユーで服を買い、スーパーよりも百円ショップでの買い物を好む。既存の小売店は没落に恐怖するようになってきた。
アメリカでもラストベルトといわれるトランプ支持者が多い中部、南部の地域では多くの家庭の生活水準が下がってしまった。アマゾンショックで小売業はバタバタと倒産を続けている。中流層の減少は先進国経済にはマイナスだ。
にもかかわらず、世界全体でみると中流層の絶対数はこの時期、2倍に増えた。日本やアメリカの中流層は収入を下げたにもかかわらず、世界の中流世帯数(年収3万5000ドル以上の世帯)は2億だったものが4億世帯へと倍増したのだ。
トランプ大統領の保護主義は、その状態をさらに極端な方向に推し進めることになると考えられる。中国も含め、豊かな国の国民は保護主義合戦の蔓延で貿易量が減少し、消費者物価の値上がりと経済後退で「ひどい不況」を経験することになるだろう。しかし、その一方で、その期間が長ければ長いほど、新興国や途上国の経済は発展し、世界中の中流層、そしてその下の新下流層(年収1万5000ドル以上の世帯)はその数を拡大させていくだろう。
行き着く先は世界経済の拡大である。そしてそれを一番喜ぶのは、グーグル、アップル、アマゾン、フェイスブックといったアメリカのIT企業であり、コカコーラやP&Gといったアメリカの多国籍企業であり、同様にアジア・アフリカ地域に強い中国のIT企業である。
「世界中のどこかの国で利益を増やすことができるのであれば、自国での売上が減ってもなんてことはない」というグローバル企業にとってみれば、保護主義の台頭は経済危機ではなく、むしろ大きな経済チャンスがやってくることを意味する。
つまり今回の保護主義のもたらすものは、日本国内の企業の没落と、それに反比例する形でのアメリカ・中国のグローバル企業のさらなる発展という皮肉な未来を予感させるのである。
(文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役)
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