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定年後に「キャリア難民」へ転落し、路頭に迷わないための心構え(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/494.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 11 月 19 日 14:54:30: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

定年後に「キャリア難民」へ転落し、路頭に迷わないための心構え
https://diamond.jp/articles/-/185784
2018.11.19 野田 稔:明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科教授 ダイヤモンド・オンライン


定年後、「キャリア難民」に陥らないようにするには、好きだったことや熱中していた趣味や特技などから自分の嗜好性を明らかにし、大人で身につけた能力や技術、知識もすべて「見える化」する作業から始めるのがポイント(写真はイメージです)Photo:PIXTA


ほとんどの日本人に遠い
キャリア自立の道


 これまで数回にわたり、趣味や健康などの話をしてきましたが、今回は少し重い話をします。

 昨今、「キャリア・オーナーシップ」という言葉をよく耳にします。「オーナーシップ」とは、「所有者」として振る舞うということです。「キャリアを所有する」とは、自分のキャリアに責任を持ち、自らの意思で自分の未来を決めていくという意味です。「キャリア自立」をより明確に示した言葉といえます。しかし、これはそんなに簡単なことではありません。

 自分のキャリアを自分では決めなくても済んだ、そんな会社勤めが長かった日本人にはとりわけ難しいことだと思います。

 日本人だけでなく、そもそも人類は長い間、キャリア・オーナーシップを発揮し、自由自在に職業を選んだりはしてきませんでした。

 個々人のキャリアは非常に他律性が高いものだったと考えられます。そもそも職業は親の跡を継ぐことが多く、自分で選ぶ以前に決まっているものでした。明治以前の日本でいえば、百姓の子は百姓、武士の子は武士といった具合です。

 そこに職業選択の自由はない代わりに、悩むこともなかったのです。なかでも、ほんの一握りの変わり者だけが自分の願望に目覚めて、規定路線とは違う仕事の道に進むものでした。これは何も大昔の話ではなく、つい最近までの常識です。

 決められたコミュニティを脱して、居住地や職業を変えた人間は皆から「はぐれ者」と呼ばれました。変わったことをすることが嫌われてきたのが、日本という社会です。

 世界的には産業革命で農村部から都市部へ、農業から工業へという大量のキャリア選択が行われるようになりましたが、日本は明治になってようやく、産業化が進みました。それでも大多数の国民が農業に従事している状況が続きました。

 ただ、学校制度が始まったことで、徐々に才能が発掘されるようになったのも事実です。義務教育制度の徹底により、すべての国民が等しく教育を受けることになりました。学校に来れば優秀な人間が自然と頭角を現す。そんな才能発掘メカニズムが生まれたのです。

 たとえ農家のせがれであっても、頭角を現したものは見出され、積極的に進学を勧められました。先生たちからの「進学すべきだ」という強い示唆が本人の向学心を煽り、かつ、低廉もしくは無料(軍関連もしくは教育関連教育は無料であった)で高度な教育が受けられる環境も整い、才能のある若者が上級学校へ進学することになりました。

 とはいえ、そうした人口の全体に占める割合は極めて低く、ごく限られたエリートのみに許されたキャリア選択でした。

 戦後になり、民主化が進み、すべての人に進学の道が開けましたが、それでもキャリアを自己選択する率は必ずしも高くなかったと感じています。なぜなら、多くの者は自分で熟考してキャリアを選択するというよりは、何となく親や先生に言われるままに進学し、就職していたと思われるからです。

 大学に進学した者も、自分で自分のキャリアを決めているようですが、あながちそうとも言い切れません。大学を出たら一流企業と言われる大企業に進む。そうしたレールに乗っている人がいまだに多数派です。しかも、徹底的に調べ、本当に何がしたいのかを考えて、自らの意思で進路を選ぶ学生は少なく、一種の人気投票の結果で行くべき会社を選んでいます。

 さらに、会社に入ると年功序列・終身雇用の環境で、自分のキャリアは会社に預けっぱなし、というのが普通ではなかったでしょうか。自己申告制度があるにせよ、大部分の人は会社からの異動の辞令を何の疑問も持たずに受け入れてきたと思います。

 会社の敷くレールに乗って黙々と働いている人たちが、今でも多数派だと感じます。だから、「キャリア・オーナーシップ」という言葉はいまだ登場しません。

市民という茨の道を歩むか、
奴隷として生き続けるか


 そうした脈絡の中で突然、1990年代に「これからはキャリア自立だ。会社は最後まで面倒は見ない」という大激変が起こりました。いよいよ日本にもキャリア自立の時代が来るかに見えましたが、現状はあまり変わっていません。

 もちろん何が何でも全員が「キャリア自立をしなければいけない」という気はありません。これまで流されてきた。本人がそのままでいいのであれば、これからもそのままでいいのです。ただ自分自身がそれでは嫌だと強く感じるのであれば、立ち止まって考える必要があるということです。

 自立にはもちろん自己責任が伴います。間違って選択をする可能性もあるわけです。そこにあるのはあくまでも自由と自己責任なのです。

 キャリアは高い買い物です。家を買うのも慎重でなければいけませんが、それ以上に慎重であるべきです。

 賃貸ならば借り換えることも容易ですが、所有してしまえばそう簡単にはいきません。しかも人生は家と違って他人に売ることはできません。家族の人生まで背負っていればなおさらです。

 自由を享受する代わりに自己責任を負うのが、いわゆる「市民」の概念です。その対比としてある概念が、誤解を恐れずにいえば「奴隷」です。奴隷として自由はないけれど、安逸に生きるのも人生です。気楽さを重視するならば、間違いなく奴隷の生き方でしょう。市民として歩む道のほうが茨の道です。

 キャリア・オーナーシップの議論というのは、それほど奥が深い議論なのです。自分で自分の人生を切り拓くのは、決して簡単なことではありません。だからこそ、その道を選ぶ勇気は称賛に値します。

このまま流されてしまえば、
65歳の壁を越えられない


 あなたが定年間際であれば、この議論はもう自分たちには関係ないと思うかもしれません。

 しかし、冷静に考えてみてください。会社員として今までは会社に自分のキャリアを預けてしまうことができたのですが、定年になったら否が応でも自分のキャリアは自分で作らざるを得ません。

 65歳までの再雇用があると考えるかもしれませんが、それでもあと5年です。65歳になれば本当に何もなくなります。いうなれば60歳から65歳までの5年間はモラトリアム期間のようなものです。意思決定の先延ばしにすぎません。

 繰り返しますが、65歳を超えたら、誰もあなたの生き方を決めてはくれないのです。

 定年なのだから、キャリアはもういいと考えるかもしれません。しかし、人生100年の時代です。この先も、生きていかなければいけません。キャリアはライフと言い換えるべきなのかもしれません。

 何年か経って「こんなはずではなかった」と後悔することがあっても、それを誰かのせいにすることはできません。今までだったら、会社のせいにしてグチることもできたかもしれませんが、それも叶いません。

「会社はわかっていない」だとか、「人事の目は節穴だ」などと言って自らの不遇を他責にすることはもうできません。

 そうだとしたら、今この瞬間から、改めて自分のこれからの人生を明確にデザインしてみたらいかがでしょうか。

まずは自分の人生を
「見える化」しよう


 その方法論は今まで本連載や、これ以前のシリーズで繰り返し述べてきた通りです。

 まずは自分自身を振り返り、子ども時代から今に至るまで徹底的に「見える化」してみましょう。とりわけ、小さかった頃に好きだったことや熱中していたこと(趣味や特技など)から自分の根底にある嗜好性を明らかにします。大人になってから身につけた能力や技術、知識もすべて「見える化」します。これらを要素分解して、できれば他人に勝手気ままに組み合わせてもらうことによって、自分でも気付かなかった潜在的な可能性を可能な限り拡大し、「見える化」します。

 次に、本当に自分がいくらのお金が将来にわたって必要なのかを計算します。その際、最低限の生活と、「貧乏の最上限と贅沢の最下限」を知ることが重要です。この経済的な条件を制約条件として拡大された可能性を具体化するべく行動計画を立てます。

 簡単に述べると、このような作業をまずしてみてください。すべての作業は長くても3日で終わるでしょう。

 これからの人生の真のオーナーになるための3日間です。ぜひ、トライしてください。

(明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科教授 野田 稔)



 

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