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スバル・ブランド“幻想”崩壊…不正のオンパレード、危険性把握しリコール忌避の疑惑
https://biz-journal.jp/2018/11/post_25516.html
2018.11.15 文=河村靖史/ジャーナリスト Business Journal
11月5日、スバル完成検査問題で中村知美社長が会見で陳謝
スバルブランドの凋落が止まらない。米国販売で過去最高を更新し続け、業績も伸ばしてきたが、昨年の無資格者による完成検査問題が発覚してから一気に逆風となっている。不正が発覚して調査すると、新たな不正が見つかることの繰り返しで、終わりが見えない状態だ。しかも、新たにスバルの成長を支えてきたエンジンの不具合も見つかった。完成検査問題で社長を引責辞任した吉永泰之氏に代わってトップに就いた中村知美社長が記者会見で述べた「完成検査の問題は必ずこれで終わりにする」との宣言は、虚しく響いた。
主力の米国市場で販売を伸ばし、グローバルの新車販売台数が100万台を超えるなど、順調に成長してきたスバルに転機が訪れたのは2017年10月。その前に日産自動車グループで無資格者が完成検査していた問題が発覚したことから、国土交通省が国内自動車メーカーに適正な完成検査を行っているか調査するように指示した。スバルでは社内調査の結果、日産と同様に無資格者が完成検査を行っていたことが発覚した。無資格者が完成検査を行っていた可能性のある車のリコールを実施するとともに、弁護士などの第三者による調査を実施し、17年12月に実態調査結果と再発防止策を公表した。
しかし、第三者による調査で、抜き取り検査での燃費チェックデータを改ざんしていたとの証言があったが、これについては「具体的な計測値の変更の有無、範囲などを客観的に確認できていない」として公表していなかったことから批判された。一部報道で不正が明らかになると、「事実関係について徹底調査する」と釈明。
その後の国土交通省の立ち入り検査で、スバルが保安基準に定める排出ガスデータを改ざんしていた可能性があることが判明したため、国土交通省は、この件についても詳細に報告するよう求めた。
スバルでは、吉永社長が代表権を持つ会長兼最高経営責任者(CEO)に就任し、専務執行役員で吉永氏子飼いの中村氏が社長に昇格する人事を発表した。しかし、完成検査問題とその後の燃費・排ガスデータの問題を抱えながら、吉永氏がCEOにとどまることにグループ内外から異論が相次いだ。
■リコールに後ろ向きな姿勢
スバルは今年4月、国土交通省に完成車の抜き取り検査で、燃費や排出ガスのデータを改ざんするという不正行為が長年行われていたとして、調査結果と再発防止策を報告したが、これで終わらなかった。その後の国土交通省の立ち入り検査で、完成車の燃費・排ガスの抜き取り検査で、道路運送車両の保安基準の細目に定められていた方法と異なるやり方での検査や、本来なら「エラー」としなければならないものを「有効」にしていたという新たな不正が見つかった。
これを受けてスバルは6月、燃費・排ガス測定検査を再調査すると発表した。同時に、当初予定していた役員人事を撤回、吉永氏はCEOと代表権を返上して取締役会長に退くことにした。
スバルは、国土交通省からは1カ月後を目処に報告するよう求められていたが「徹底調査するのに時間がかかる」として報告の延期を要請。結果的に報告は9月28日にまでずれ込んだ。
しかも調査では、温度や湿度エラーに関する測定結果の改ざんなどの燃費・排出ガス抜き取り検査の不正に加え、完成検査でのブレーキ検査、舵角検査、スピードメーター指針誤差の検査方法、サイドスリップ検査などで新たな不正が明らかになった。その一方、完成検査で新たな不正が見つかったものの「リコールするかは決めていない」と、多額のコストを要するリコールに後ろ向きな姿勢を示した。
ところがスバルは約2週間後の10月11日、これら不正な完成検査を行っていた可能性のある「インプレッサ」や「レガシィ」など8車種、約6000台をリコールすることを国土交通省に届け出た。
「完成検査での不正が見つかったのにリコールしない方針と聞いた国土交通省が激怒したらしい」(全国紙記者)
ただ、リコールの対象台数は17年12月29日までとした。これについてスバルでは「無資格者の完成検査問題に関する調査で、17年末までに適正な検査を行っていることを確認できたため」(スバル広報部)としていた。
ところがこの説明もあっさり崩れる。国土交通省は10月16、17、22日にスバルに対して立ち入り検査を実施、ここで昨年末までに撤廃されたと説明していたブレーキなどでの不正検査が、最近まで継続されていたと複数の検査員が証言した。これを受けてスバルは結局、適正な検査工程を確認した今年10月26日までに生産した車両約10万台のリコールを11月8日に届け出た。
■ユーザーを裏切る行為
相次ぐ不正は業績にも暗い影を落としている。スバルは前期に無資格者による完成検査のリコール費用250億円を計上した。今回新たに見つかった完成検査の不正によるリコール費用は合計で69億円にのぼる。累計リコール台数は約53万台にもなる。相次ぐ不正でスバルブランドは毀損、国内販売は低迷しているが、さらに海外も含めて追い討ちをかけるような不具合も見つかった。
スバルは11月1日、国土交通省に「インプレッサ」や「BRZ/トヨタ86」などのエンジンのバルブスプリングに不具合があるとしてリコールを届け出た。対象台数は国内外で合計41万台。スバルはリコールの届け出の前の10月23日、18年4―9月期中間決算の業績見通しについて、リコール関連費用を計上するとして、当期利益を前回予想から301億円マイナスの490億円に下方修正した。この時にリコールの内容を公表しなかったことから、ユーザーに不安を与えたとして批判されている。
それだけではない。不具合の内容は、材料中の微小遺物によってバルブスプリングが折損する可能性があり、走行中にエンジンが停止するおそれがあるというもの。スバルが最初に不具合を認知したのは12年であり、リコールするまでに5年も要している。しかもスバルは、原因は明確になっていないものの、13年に不具合の原因の可能性があるとしてバルブスプリングを変更、その後は不具合が発生していない。「バルブスプリングと不具合の関係性を確認できなかった」(スバル・大崎篤常務執行役員)としているものの、「原因を把握していたのにリコールせずに放置してきた」と言われても仕方のない状況だ。
しかも今回のリコールは別の問題も持っている。スバル車は水平対向エンジンと呼ばれる独特な形状をしているため、バルブスプリングを適正なものに交換するためには、エンジンを一度取り出す必要があり、1台作業するのに12〜13時間程度要するという。スバルでは海外を含めて今回のバルブスプリングのリコールを「1年程度で完了する」(大崎常務)予定だ。
スバル車は水平対向エンジンと4輪駆動による高い走行性能が特徴で、販売を伸ばしてきた。そのエンジンに不具合があり、しかも問題を把握しながら実際にリコールするまで長期間時間がかかったほか、リコール作業自体も長期間要することは「スバル車の走行性能を評価してきたユーザーを裏切るもの」(自動車ジャーナリスト)で、さらにスバルブランドの毀損は避けられない情勢だ。
中村社長は、一連の不正に関して急成長してきた歪みが背景にあると指摘した上で「品質改善を徹底してやっていきたい。時間はかかるが企業風土改革を丁寧に進めていきたい」と述べた。一方で、25年にグローバル販売台数を130万台とする中期経営計画の旗は降ろさず、新型車開発計画でも「開発のやり方を品質第一に見直す」(同)のにとどめる。完成検査の不正問題は「これで終わりにする」と言い切る中村社長だが、信用できるだけの材料は見当たらないのが現状だ。
(文=河村靖史/ジャーナリスト)
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