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スルガ銀、引当後も残る追加損失リスク 注目される提携の行方
https://diamond.jp/articles/-/185732
2018.11.15 ロイター ダイヤモンド・オンライン
11月14日、スルガ銀行が発表した2018年4―9月期では、シェアハウス関連融資で担保・保証のない債権に対し相当程度の割合で引当金を積み、ほぼ「うみ」を出し切ったかに見える。都内で2日撮影(2018年 ロイター/TORU HANAI)
[沼津市(静岡県) 14日 ロイター] - スルガ銀行が14日に発表した2018年4―9月期の連結決算では、シェアハウス関連融資で担保・保証のない債権に対し、相当程度の割合で引当金を積み、ほぼ「うみ」を出し切ったかに見える。しかし、シェアハウス以外の、1兆6000億円に上る投資用不動産向け融資に絡んで、追加損失が発生するリスクもアナリストから指摘されている。再び損失を出すリスクもあり、資本・業務提携の行方に市場の関心が集まりそうだ。
実質与信費用ににじむ下期への自信
「シェアハウス関連融資について、下期に追加引き当ては発生しないだろう」――。スルガ銀の有国三知男社長は14日の記者会見でこう話し、シェアハウス関連融資に絡む貸倒引当金計上は、上期で終わったとの見方を示した。
スルガ銀は、シェアハウス関連融資2537億円のうち、1903億円を不良債権に分類。このうち担保・保証による保全がない1584億円に対し、1362億円の引当金を積んだ。
4―9月期の最終赤字を受け、スルガ銀は通期の業績予想を下方修正。250億円の最終黒字予想から一転、975億円の赤字に転落する見通しとなった。
併せて示された実質与信費用の予想には、有国社長の発言を裏打ちするスルガ銀の「楽観」がにじんむ。
同行が示した単体ベースの実質与信費用は、通期予想で1340億円。上期の実績が1196億円だったため、下期は144億円しか与信費用を見込んでいない計算になる。有国社長は「144億円という数字も、われわれとしては保守的に見た数字」と指摘した。
有国氏は、下期に自信を持つ理由として、投資用不動産ローンの大半を占める「1棟収益ローン」の延滞率が0.50%と低いことや、このローンをシェアハウス向け融資より早く手掛けていたため、不正融資のリスクが低いことを挙げた。
しかし、実質与信費用の見通しについて「利用者や市場を安心させるための、結論ありきの数字ではないか」(銀行アナリスト)との声が出ている。
このアナリストが着目するのは、投資用不動産向け融資の債務者と、スルガ銀による債務減免交渉の行方だ。
金融庁が今年10月に出した行政処分では、シェアハウス向け融資のみならず投資用不動産向け融資全体について、債務者の相談に乗り、金融ADR(裁判外紛争解決手続き)を活用するなどして、金利見直しや元本削減に応じるよう求めた。
幅広い債務者が債務の削減を要求した場合、スルガ銀が追加損失計上に追い込まれる可能性は高まる。
「業務停止6ヵ月も厳しいが、金融庁のこの指示は、スルガ銀の業績へのボディブローになる」と同アナリストは警戒する。
有国社長は会見で、債務者との交渉には誠実に対応すると述べた。そのうえで業績への影響について「説明できる状況になったら説明したい」と含みを残した。
資本提携のタイミング
もはや「スルガ銀行」の看板では、新規融資はできないのではないかと、ある機関投資家は懸念する。投資用不動産向けローンの不正融資問題で、スルガ銀に対する利用者の信用は失墜し、容易には取り戻せないとみるからだ。
不正融資問題が顕在化してもなお、スルガ銀のローン商品開発力への評価は金融界で根強い。一方で、金融庁のある幹部は、ビジネスモデルの変革が急務だとみている。
他の銀行との資本・業務提携の可能性を問われた有国社長は、他行からの打診は一切来ていないと述べるとともに「リテールの強みを伸ばせるところと協業していければ」と期待感を示した。
スルガ銀は、985億円の最終赤字を計上してもなお、自己資本比率は8%台をキープした。しかし、仮に再度の大幅な引当計上の結果、1000億円規模の最終赤字となれば、国内基準行に求められる自己資本比率の最低ラインである4%割れが現実味を帯びる。
あるアナリストは「引当金計上のプロセスは、外部がうかがいしれないグレーゾーンだ。『レスキュー部隊』の姿が見えるまで、引当金の大幅積み増しはないのではないか」と話している。
(和田崇彦 編集:田巻一彦)
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