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ソフトバンク、盟友「サウジ」危機で揺らぐ経営…巨大ファンドへの出資が白紙化の可能性も
https://biz-journal.jp/2018/11/post_25377.html
2018.11.05 文=編集部 Business Journal
ソフトバンクグループ・孫正義会長兼社長(写真:ロイター/アフロ)
今夏、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が注視していたのは、米自動車業界の先端を行くEVメーカー、テスラのカリスマ起業家、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の動向だった。
マスク氏が、8月7日「1株420ドルで、テスラの非上場化を考えている。資金を確保した」とツイートしたことから、大騒動が持ち上がった。実現すれば720億ドル(約8兆円)規模という世界最大のMBO(経営陣が参加する企業買収)になる。資金はサウジアラビアの政府系ファンド、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)から調達するとみられていた。
ところが、8月24日、マスク氏は株式非公開化の計画を撤回すると発表した。
ロイター通信が8月22日、サウジの国営石油会社サウジアラムコの新規株式公開(IPO)が中止になると、関係者の話として報じた。サウジは石油依存からの脱却を目指し、上場で得た資金を経済構造改革に充てる計画だった。上場が中止になれば、ムハンマド皇太子が主導する改革への影響は避けられない。
アラムコが上場すれば、時価総額は2兆ドル(約220兆円)を超えるといわれた。実現すれば過去最大のIPOになる見込みで、PIFの財源を豊かにする狙いがあった。ところが、サウジアラムコの上場中止で資金調達が難しくなり、PIFは国際銀行団から110億ドル(約1兆2300億円)の融資を受けることになった。余った資金を将来のために投資する資源国の政府系ファンドが借り入れをするのは異例だ。
これが、マスク氏が株式非公開計画を撤回した“隠された理由”といわれている。
■10兆円ファンドの最大の出資者、サウジの政変
孫氏にとって、テスラ氏の迷走は他人事ではなかった。サウジの異変は、ソフトバンクにも大きな影響を及ぼしかねない。運用額10兆円規模の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」に、PIFは450億ドル(約5兆1000億円)出資することで合意しているからだ。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は9月30日、サウジ政府関係者の話として、サウジがソフトバンクと計画していた2000億ドル(約23兆円)規模の太陽光発電計画が棚上げされると報じた。
サウジとソフトバンクは今年3月、2030年をめどに計2億キロワット分の太陽光発電所を建設する計画を発表した。同年の太陽光発電能力の15%を占める大規模プロジェクトになるはずだった。
WSJは棚上げの理由として、計画の実現性が不透明であることや、将来の技術革新が見込まれるなか、再生エネルギー事業の現状の技術に巨額の費用を投じるのはリスクが高いためとした。
サウジのムハンマド皇太子は、10月6日付米ブルームバーグ通信のインタビューで、一連の報道に反論した。同皇太子は、「サウジアラビアがアラムコのIPOをとりやめた、あるいは延期した、ビジョン2030が遅れているとのうわさは誰もが耳にしているが、これは正しくない」と語った。そこでサウジアラムコのIPOを2021年までに実施する方針を示し、同社には2兆ドル(約220兆円)以上の資産価値(株式時価総額)があるとの見方を改めて示した。
10月7日付日本経済新聞は「サウジアラビア政府は、SVFに追加で450億ドル出資する方針だ。孫社長は同規模のファンドを第2、第3と立ち上げる構想を持っており、サウジが引き続き主要な資金の出し手となる可能性がある」と報じた。
まったく正反対の報道がなされるのは、サウジの王族の中に、ムハンマド皇太子の経済近代化計画に強い抵抗があるからとの見方がある。ムハンマド皇太子は未来都市「NEOM」の建設に情熱を注いでいる。EVや自動運転、人工知能、再生エネルギーへの投資の傾斜が顕著だ。国民の雇用創出などサウジの成長にどうつながるのか、意見が分かれるところだ。
■サウジアラビア人記者の殺人は認めるが、皇太子の関与には言及せず
さらに、サウジからみで大きな悪材料が飛び出した。サウジアラビア人の反体制ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏がトルコ・イスタンブールのサウジ領事館訪問後に行方不明になった。AP通信は10月16日、トルコ当局者の話として、警察が15日夜に領事館を捜索した結果、同氏殺害の確証を得たと伝えた。複数の米メディアはサウジ政府が尋問中に誤って死亡させたと発表する予定だと報道。サウジ検察当局は10月20日、「カショギ氏は総領事館内で起きた争いで死亡した」と記者の死亡を認めたが、切断されたとされる遺体は見つかっていない。サルマン国王はムハンマド皇太子をトップとする委員会の設置を命じ、情報機関の再編をムハンマド皇太子が指揮することになった。
サウジ当局が、カショギ氏はトルコのサウジ総領事館で死亡したと発表したことで、王位継承問題に影響が及ぶことは確実となった。国王は2015年の即位以来、2度にわたり皇太子を交代させており、今後も交代はあり得るとの観測が出ている。政府による殺害疑惑を政府自らが捜査するため、「茶番劇」との酷評もある。真相解明が進むとは考えづらい。
トルコのエルドアン大統領は10月23日、「事前に計画された殺人だった」と認定。「偶然的な死だった」とするサウジ政府の説明を否定した。ただ、殺害を示す具体的な証拠を明示せず、関与が取り沙汰されているムハンマド皇太子の名前も出さなかった。
ロイター通信は10月22日、皇太子の右腕とされる人物がインターネット電話を通じて事件現場を見守り、「犬の頭を持ってこい」と殺害を指示した、と伝えた。
サウジ検察当局は10月25日、「カショギ記者の殺害は計画的な犯罪だった」と初めて認めた。サウジ政府は皇太子の責任をあくまで否定するかたちで幕引きを急ぐが、当初、偶発的な事故で死亡したと主張し続けたことで、サウジに対する世界各国の不信はかえって膨らんだ。
ソフトバンクの経営にも影響が出るとの懸念から10月26日、東京株式市場でソフトバンク株は一時8520円まで下落した。世界的な株安でソフトバンク株から資金が流出しているのに加え、同社がサウジ政府と運用する巨大ファンドの投資戦略にも不透明感が広がったからだ。
孫氏は10月25日までサウジの首都リヤドで開かれた国際投資会議「フューチャー・インベストメント・イニシアチブ」に姿を見せなかった。サウジ入りしていたとされるが、講演を取り止めただけでなく会場にも現れなかった。
国際金融筋には、「SVFがサウジマネーをロンダリング(洗浄)している」という辛口の見方が急激に広がっている。「欧米のIT企業は、SVFからの出資を敬遠するだろう。SVFは投資戦略の根本的な見直しを迫られる。孫氏はピンチだ」(有力国際金融筋)ともいわれている。
サウジは国家の威信にかかわる危機にある。「SVFへの追加出資は白紙に戻る可能性がある」と指摘するM&A関係者もいる。
いまや世界中で“サウジマネー”に距離を取る経営者が増えている。サウジ情勢は風雲急を告げる。孫氏はサウジの動向を、固唾をのんで見守っている。
(文=編集部)
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