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クールジャパン機構、巨額税金投入で成果なし、累積赤字97億円…出資先から提訴も
https://biz-journal.jp/2018/11/post_25349.html
2018.11.02 文=編集部 Business Journal
「Getty Images」より
官民ファンドのクールジャパン機構(海外需要開拓支援機構)は、日本の食文化やエンターテインメントの海外進出を後押ししている。鳴り物入りで発足して5年たったが、失敗が目立つ。
クールジャパン機構と組んで米国で「日本茶カフェ」事業を展開する長崎県の企業グループが、「機構が一方的に運営会社を清算しようとして損害が出ている」と主張して、約4000万円の損害賠償と出資契約の無効確認を機構に求める訴訟を東京地裁に起こした。提訴は9月11日付である。
「訴状によると、機構は昨年以降、事業赤字などを理由に運営会社の解散を迫り、今年4月には米国の裁判所に清算を申し立てた。長崎側は、機構から不相応に大きな組織や新ブランドの商標登録を要求されて費用が膨らんだにもかかわらず、今度は運営会社を無理やり清算させられようとしているとして、出資時の契約に違反すると主張する」(9月22日付朝日新聞九州版)
クールジャパン機構は2015年4月、長崎県内の企業グループが連携して米国で展開を進める「日本茶カフェ」事業に2億6000万円を出資すると発表した。クールジャパン機構としては12件目の出資案件で、地方の中小企業への出資は初めてだった。
この事業に取り組むのは、日本茶を輸出するマエタクを中心に、カステラの製造・販売の文明堂総本店、波佐見焼の白山陶器、長崎県貿易公社、十八銀行など計12社で設立したグリーンティーワールドホールディングス(HD)。同HDとクールジャパン機構が共同出資して、米国で日本茶専門のカフェ事業を展開する事業会社、グリーンティーワールドUSAを設立。総事業費は5億2000万円で、HDが50.1%、クールジャパン機構が49.9%を出資した。
日本茶カフェでは、日本産茶葉を使った、せん茶、ほうじ茶、抹茶エスプレッソなどの定番に加え、炭酸と日本茶を組み合わせたオリジナルメニューを3〜4ドルで提供する。茶器に長崎県の波佐見焼を採用、サイドメニューに文明堂のカステラを用意するなど、長崎県に縁のあるものを揃えた。
米カリフォルニア州に1店舗を出し、10年間で米国内に50店舗の展開を目指すとし、機構は「地方企業が連携して海外進出を進めるモデルケースにしたい」と意気込んでいた。
16年7月、米ロサンゼルス、ベニスビーチに1号店をオープンした。だが、クールジャパン機構と長崎連合のジョイントベンチャーはあっけなく終わる。クールジャパン機構そのものが失速したからだ。
■クールジャパン機構、338億円投資して累積赤字は97億円
会計検査院は18年4月13日、政府の成長戦略の推進役としてつくられた官民ファンドの投資損益を調べたところ、17年3月末時点で全体の4割強にあたる6つのファンドが損失を抱えていると発表した。
官民ファンドは12年末の安倍晋三政権発足後に各省庁が主導して誕生した。ベンチャー支援や文化・インフラの輸出促進といった目的を掲げ、企業や事業に投融資する。保有株の売却などでファンドごとに利益を確保することを最終的に目指している。
クールジャパン機構は13年11月、経済産業省が安倍政権の成長戦略の目玉として設立。外国人が“クール”ととらえる日本の魅力を情報発信し、海外で商品やサービスを展開、観光によるインバウンドの増加を図るというものだ。
出資金は693億円。政府出資が586億円、民間出資が107億円。会計検査院の個別投資案件の調べによると、17件、310億円を投融資して44億円の損失が生じていた。
18年3月期決算では、財務内容はさらに悪化した。338億円投資して、当期損失は39億円、累積赤字は97億円に膨らんだ。17年3月期の累積赤字は58億円だった。
経産省はクールジャパン機構の抜本的な改変に乗り出す。百貨店出身の太田伸之社長を解任、ソニー・ミュージックエンタテインメント元社長の北川直樹氏をトップに据え、事業の撤退を進めた。
「クールジャパン」の情報発信拠点として期待されたマレーシアの施設が、失敗の典型例といえる。三越伊勢丹ホールディングス(HD)は今年6月末、クールジャパン機構と共同出資したマレーシアの店舗運営会社を完全子会社化にした。三越伊勢丹HDのマレーシア子会社が51%、クールジャパン機構が49%(約9.7億円)出資して設立したアイシージェイ デパートメントストアの全株式を取得した。
アイシージェイはクールジャパン機構の投資案件の柱だった。16年10月末にクアラルンプール中心部に地下1階から地上4階まで日本商品だけを展示したデパート「ザ・ジャパンストア」をオープンした。だが、各自治体のアンテナショップの拡大版にすぎないと酷評され、閑古鳥が鳴いた。17年度の売上高は16億円と初年度の当初目標(35億円)を大きく下回り、5億円の営業赤字を出した。
太田前社長肝煎りの事業だったが、クールジャパン機構は三越伊勢丹HDに全株式を売却して撤退した。
一方、日本茶カフェ事業からの撤退はスンナリとはいかなかった。
「長崎側は単独での事業継続を望んでいる。原告代表者は取材に『不毛の時間と費用、労力を費やして事業は瀕死の状態。早く機構のしばりから解放してほしい』とコメントした」(前出・朝日新聞記事)
クールジャパン機構と投資先のトラブルが相次いでいる。バンダイナムコグループと設立したアニメ配信会社からも撤退した。ファンドは投資先が上場するのを機に保有株を売却して、投下した資金を回収するのが一般的。日本の食文化の輸出を後押しするのは結構なことだが、どうやって資金を回収するかという出口戦略がない。強引に出資金を引き揚げようとするからトラブルになる。
検査院の指摘を受けて、政府は官民ファンドの再編に乗り出した。産業革新機構を改組し、産業革新投資機構が9月25日、発足した。
新機構の社長には、三菱UFJフィナンシャル・グループ元副社長の田中正明氏、取締役会議長にコマツ相談役の坂根正弘氏が就いた。政府は新機構へ1600億円を追加出資。投資能力は4兆円規模となる。
新機構は、まず同じ経産省所管のクールジャパン機構を傘下に収める。投資案件の売却を進め、同機構の整理を進める。経産官僚の天下り先となっていたクールジャパン機構は、責任があいまいのまま整理されることになるのかと懸念する声が上がっている。
(文=編集部)
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