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(回答先: 「新冷戦」で追い込まれての日中連携へトランプ主義が変えた力学 中国を後にする日本企業、希望の地ベトナムへ アジア的混沌に 投稿者 うまき 日時 2018 年 10 月 30 日 16:14:54)
首相はまだ「消費増税を最終判断」していない
米国が突きつけた「為替条項」が波乱材料
上野泰也のエコノミック・ソナー
2018年10月30日(火)
上野 泰也
2016年6月1日に消費増税の再延期を発表した時の安倍晋三首相(写真:AFP/アフロ)
安倍首相は10月15日の臨時閣議で、消費税率を予定通り19年10月に8%から10%に引き上げる方針を表明し、景気対策を具体化するよう指示した。閣議では首相から、「消費税率については法律で定められた通り、19年10月1日に現行の8%から10%に2%引き上げる予定だ」「今回の引き上げ幅は2%だが、前回の3%引き上げの経験を生かし、あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう、全力で対応する」という発言があった。
だが19年10月に予定される消費増税について、安倍首相がこの日に最終的な政治判断を下したわけではない。景気・為替相場の動向次第では、予定通りに消費増税を実施すれば危うい(景気悪化が内閣支持率低下につながって宿願である憲法改正が遠のきかねない)と首相が考えて再々延期を決断する可能性はまだ十分あると、筆者はみている。
この問題については当コラム10月16日配信「『消費税率10%』は本当に予定通りなのか?」で筆者の見解をすでにお伝えしたわけだが、その後に出てきた注目すべき報道には、以下のようなものがある。
「菅義偉官房長官は臨時閣議後の会見で、記者から『増税実施の最終判断はいつになるのか』と問われ、『(経済)状況を見ながら(首相が)判断されるんだろう』と答え、増税の最終判断はまだ先との認識を示した」「消費税率を8%に引き上げることを政治決断した13年10月、安倍首相は自ら会見を開き、国民に直接理解を求めた。これに対し、今回は閣議での首相支持という形式にとどめており、最後まで増税延期の選択肢を残したいとの意図も見え隠れする」(10月16日 朝日新聞)
「首相はこの日も消費増税を『予定』と表現し、菅義偉官房長官は記者会見で、経済情勢をなお見極める姿勢をにじませた。首相周辺は『首相は最終判断していない』と強調した」(10月16日 毎日新聞)
「景気の腰折れを招けば、残り任期の最優先課題の一つと位置付けるデフレ脱却が遠のきかねない。首相は増税を表明したが、政府高官は『まだ最終決断ではない』と指摘。首相周辺も『基本は増税だが、よほどのことがあれば別だ』と予防線を張った」(10月16日 時事通信)
「『来年は統一地方選や参院選が控える。首相が「延期カード」を行使する可能性は消えていない』(幹部)。トラウマを抱えた経験から、そんな疑念を拭いがたい。財務官僚の偽らざる本音だ」(10月16日 読売新聞)
「複数の与党筋は、消費増税延期とセットで19年夏の参院選が衆参同日選に変更されるシナリオに言及する声が自民党内にあると話す」(10月12日 ロイター通信)
そうした中、10月16日の閣議後記者会見における麻生太郎財務相の発言内容は、「麻生節がさく裂した」と形容できそうな、いつも以上に大胆なものだった。時事通信の詳報によると、19年10月に予定されている消費税率引き上げの関連でも興味深いやり取りがあった。やや長くなるが、以下に時事通信から、一部を引用したい。
「上げない上げないと言って上げる方がよほど面倒くさい」
(Q)大臣のお気持ちやご指摘は重々承知しているつもりだが、一方で、前回の消費増税においてはリーマン・ショック級の危機が迫りつつあるということで先送りされた経緯があり、その後実際にリーマン・ショック級の危機は起きたかというと起きなかったという状況にあって、民間事業者から見れば、今度どれぐらい、どういうことで先送りされるか分からないという恐怖感がある中で、閣僚に対する指示だけで民間の方々がそれを信じて動くというのはなかなか難しいと思うので、これまで総理は増税先送りを表明されたり、今度はちゃんと上げるということを政治的にコミットする必要があるのではないかと思うが、その点はいかがか。
(A)どうでしょうね、総理の方の気持ちとして、それを言わなきゃならぬような状況になっているというように判断されるかどうかは、ちょっとこれからでしょうけども、少なくともわれわれとしては、今までの状況というものを引き続き継続していくつもりにしていますから、そういった意味ではこのまま10月1日になりますよという話で、今は細かい話がいろいろ、こうしたい、ああしたいと、いろいろ今出ている、これは主に窓口は経産省の、商工中小零細小売業者等々のところが、田舎で魚屋で買い物をしたことがあるかどうか知らないけど、大体クレジットカードなんかでやっている人はいないからね、そういうところでは現金で籠の中に入っていたやつをばっとやっていくという、あの中で、はい、8%、10%、還元なんという話がどれだけうまくいくかという話は、これは主に窓口である経産省のところでいろいろやっていかなきゃいかぬというところになってくるんだと思います。これはいろいろ細かい話はこれから出てくるところだとは思いますけどね。でも、その方向で事は動きつつあるということははっきりしていると思いますが。
(Q)リーマン・ショック級の危機が起きればという留保を政府は保ちつつ、民間には対策をやれというのは、いささかバランスを欠いているように見えるが。
(A)それはあなたの見解はそうかもしれぬけれども、リーマン・ショック並みのことが起きればということをある程度担保しておかないと、起きる可能性がゼロではありませんから、この金融の世界というのは、だからそういったことをある程度考えておかにゃいかぬというのも事実なんであって、もしこれを言わずに、ある日突然やられたら、何だということにまたなりますから、そういった意味では留意をしていながらも、その方向で準備をしておいてもらったほうが正しいんじゃないんですかね。商売というものをあなたはやったことがあるかどうかしらぬ、俺は商売人からこの世界に来たから分かるけれども、上げます上げますと言って上げないなんという話より、上げない上げないと言って上げる方がよほど面倒くさいからね、そういった意味では。だから、そういった商売の現場を知っている方から言わせてもらうと、そこのところは意外とあらかじめちゃんと準備しておいた方がより安全ということは確かだと思いますけどね。
(Q)逆に、先に対策はしたけれども増税されなかったとなると、これはこれで混乱が起きると思うが、その場合はどういうふうにお考えか。
(A)その場合は延ばすという話が1年延ばすなり半年延ばすなり、どれくらいという話になるか知りませんけれども、あらかじめ準備しておいても丸々損ということになるという確率の方が少ないと思いますけどね。
予定通りの増税実施について、政府(安倍首相)はもう一方踏み込んでコミットすべきではないか、その方が中小・零細事業者による軽減税率対応を含む増税の準備が進むのではないかという意見に対し、財務省トップの麻生氏は、「リーマン・ショック」級の出来事が「起きる可能性がゼロではありませんから、この金融の世界というのは、だからそういったことをある程度考えておかにゃいかぬというのも事実」と述べて、増税の最終判断をためらっている安倍首相を擁護した。
また、消費増税の準備をしておけば損にはならないはずだという趣旨で、ビジネスの世界における自らの経験も踏まえ、「俺は商売人からこの世界に来たから分かるけれども、上げます上げますと言って上げないなんという話より、上げない上げないと言って上げる方がよほど面倒くさい」と主張した。
なお、経済産業省から出てきているとみられる消費増税後の消費下支え策である、中小小売店で「キャッシュレス」で支払う買い物にポイントを還元しようというアイディアについて麻生財務相は、田舎の魚屋でクレジットカードなどで買い物をしている人はいないという、懐疑的なコメントを発した。
その後のマスコミ各社の報道によると、「キャッシュレス決済」へのポイント還元の効果を疑問視する声が相次ぐ中で、商品券や現金を配る案が政権内で浮上してきた。公明党の石田政調会長は10月15日、商品券発行や現金給付を盛り込んだ党独自の対策案を月内にまとめる考えを示した。
以前に実行された地域振興券のような、バラマキ的な消費支援策の意義・効果について筆者は大いに懐疑的な立場だが、有権者の側からは歓迎する声が出てくるのかもしれない。「キャッシュレス決済」へのポイント還元の方も、外食などのサービスも含めて財・サービスを広範に対象とし、増税後の数カ月だけではなく最大1年間は実施する方向へ、話が拡大してきているようである。当然、それらには数千億円規模の財政支出が必要になってくるわけで、増税を実施する意味合いがその分、短期的には薄れることになる。
さらに、クレジットカード会社の端末を中小・零細店舗で普及させるべく、カード決済を受け入れた際にお店がカード会社に支払う手数料を引き下げるよう、政府が要請する見込みになってきた。これは民間企業の利ざやへのご都合主義的な直接介入と言える。この問題については別の機会に改めてコメントしたいが、消費増税対策が迷走あるいは混線し始めた感がぬぐえない。
為替政策「日本を例外にすることはない」
10月15日に公表された、上場企業を対象とする月次のアンケート調査であるQUICK短観の10月調査結果(調査実施:9月28日〜10月10日)で、10%への消費増税に関する安倍内閣の対応の予想は、「予定通り10%に引き上げる」(77%)、「引き上げの時期を先送りする」(19%)、「増税を取りやめる」(3%)、「その他」(1%)という回答分布になった。
もう1つ、筆者が当コラム10月16日配信「『消費税率10%』は本当に予定通りなのか?」で景気の先行き不透明感を強めて消費増税再々延期につながりやすい材料として指摘した、日米物品貿易協定(TAG)に盛り込まれる可能性のある「為替条項」についても、直近の状況を整理し、筆者の予想を述べておきたい。
当コラムで10月2日に配信された「トランプの『ケンカ相手』、中国の次は日本? 」の続報でもある。
米国の為替政策の責任者であるムニューシン財務長官は10月13日、インドネシア・バリ島で開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議終了後、「これからの貿易交渉では、どの国とも為替問題を協議していく。日本を例外にすることはない」と発言。
NAFTAを修正したUSMCAに加え、韓国とのFTAにも盛り込んだ(と米国が主張している)「為替条項」、すなわち競争的通貨切り下げにつながる為替介入などの政策を自制する取り決めを、日本とのTAGにも盛り込みたい考えを示した。
ムニューシン長官は「為替問題は(日本との通商)交渉の目的の一つだ」とまで述べており、この方針は政権内でライトハイザーUSTR(米通商代表部)代表と共有されているとみられる。
米利上げ局面が終了するなどして円高ドル安が大幅に進み、「アベノミクス景気」の土台が揺さぶられる事態になっても、日本の政策当局による為替介入や追加緩和といった円高阻止のための策が封じ込められてしまう危険性が内在しており、状況次第では「為替条項」の存在自体が大きな円買い材料になってくる。
「最終的には日銀の金融緩和までやり玉にあげるリスクがある」(日本の通貨当局者:10月14日 日本経済新聞)ため、日本の当局者は警戒感や危機感を抱いている模様。ムニューシン発言後、「為替条項」に否定的なコメントを発することにより、「火消し」を試みている。
何らかの形で為替条項を飲まされる?
茂木経済再生担当相は14日、「(TAG交渉入りを決めた)共同声明に為替の『か』の字も出ていない」と発言。麻生財務相は15日、「為替の話についてはいわゆる専門家レベルで緊密な話をしていこうと安倍首相とトランプ大統領の間で決められている」と発言した。
だが、輸入自動車への25%追加関税を「武器」あるいは「レバレッジ」にするなどして、米国はTAG交渉では強気の姿勢を貫くと見込まれる。TAG本体に書くか付帯文書かといった形式上の問題はともかく、何らかの形で「為替条項」を日本は飲まされるのではと、筆者は予想している。
「解釈の相違」でごね続けるしかないのか?
そこでポイントになるのは、日米の力関係が最終的に反映されて「為替条項」を受け入れざるを得ないという非常に厳しい状況に直面した際、日本側がどのような善後策を講じるかである。
筆者のみるところ、最も有力な選択肢は、米韓FTAにおける韓国のケースのように、文書上で玉虫色の形式・表現を「落としどころ」にした上で、「米国とは解釈の相違がある」と主張し続ける(いわば「ごねる」)ことにより、マクロ経済政策の手足を縛られるのを回避する作戦である。
こうした見方をサポートする報道もある。「米国は離脱前の環太平洋連携協定(TPP)交渉でも為替条項の導入を要求。ただし、最終的には協定本体と切り離し、拘束力のない財務当局間の『共同宣言』で落ち着いた。こうしたことも踏まえ、日本政府はTAGそのものへの条項明記は避け、TPP並みの強制力のない形で着地点を見いだしたい意向だ」(10月15日 時事通信)。
もっとも今回の相手はトランプ大統領なので、着地点はTPPの時よりもはるかに厳しいだろう。トランプ政権は10月16日、日本などとの新たな貿易交渉入りを議会に通知した。これをうけて、日本と米国のTAG交渉は来年1月中旬にも始まる見通しである。
このコラムについて
上野泰也のエコノミック・ソナー
景気の流れが今後、どう変わっていくのか?先行きを占うのはなかなか難しい。だが、予兆はどこかに必ず現れてくるもの。その小さな変化を見逃さず、確かな情報をキャッチし、いかに分析して将来に備えるか?著名エコノミストの上野泰也氏が独自の視点と勘所を披露しながら、経済の行く末を読み解いていく。
一人っ子政策終了3年「裸婚」と出生率の行方
地方都市の不動産価格、調整の可能性
西村友作の「隣人の素顔」〜リアル・チャイナ
2018年10月30日(火)
西村 友作
北京の北四環そばの団地「芍薬居北里」では、90年代建築の物件でも1億円近い値段が付く。北京市内の不動産は高すぎて結婚前の若者には手が出ない
安倍首相が「国難」と位置づけ、日本政府の最優先課題の一つとなっている少子高齢化問題。中国でもその弊害が徐々に顕在化している。
2016年1月1日、中国で30年以上続いた「一人っ子政策」に終止符が打たれ、「二人っ子政策(二胎政策)」が全面的に実施された。しかし、出生数は初年度の16年でこそ大幅に増加したものの、17年は前年を下回った。中国国家統計局によると、16年の出生数は前年比131万人増の1786万人だったが、17年は前年より63万人少ない1723万人であった。
その背景にあるのが、出産コストの高さだ。中国では都市部を中心に生活・教育費用が高騰を続けており、出産に慎重な家庭が増えている。北京に住む私の周囲でも、経済的な理由により出産を断念する声を耳にするようになった。
1979年から始まった「一人っ子政策」は、当時危惧されていた人口の爆発的な増加を抑えることには成功した。しかし、長期に渡る人口抑制策が招いた人口構造のゆがみは、中国経済に暗い影を落とし始めている。
経済成長、不動産市場に負の影響
経済活動の中核を担う生産年齢人口の減少は経済成長に影響を及ぼす。
供給サイドからみると、経済成長の原動力は「労働力供給の増加」、「資本ストックの増大」、「全要素生産性(技術水準)の向上」の3つの要素に分解できる。中国の生産年齢人口は11年をピークに減少し始め、「労働力供給の増加」が経済成長に対する寄与度はマイナスとなり、潜在成長率の低下要因となっている。
一方で、人口構造問題は不動産価格にも影響を及ぼすと考えられる。モノの価格は基本的に需要と供給によって決定される。供給(住宅数)を一定と仮定すると、需要(購買者数)が減少に転じれば、当然価格に下方圧力がかかる。
中国では一般的に、結婚前に男性側の方で住宅を準備する慣習があるため、住宅購入年齢は必然的に若くなる傾向にある。中国不動産大手の万科の調査によると、深センにおける17年の平均住宅購入年齢は33.6歳であった。また、北京市の住宅購入年齢は27歳という報道もある。正確な統計データは存在しないが、以上から中国全体の平均住宅購入年齢は20代後半から30歳前半と推測できる。
「結婚前の住宅購入」は都市部の大卒者の共通認識
一方で、08年ごろ「裸婚」という新語がネット上で流行しはじめ、11年には「裸婚時代」というドラマが一世を風靡した。「裸婚」とは「家や車、指輪、お金など何もない状況で、披露宴も挙げず登録するだけの簡素な結婚」を指す。
「裸婚」に関する公式統計はないため、現在もこの傾向が続いているのか学生にアンケートを取ってみると、殆どの女子学生が「『裸婚』はあり得ない。結婚前の住宅購入が必要」との回答であった。中には、「家が買えないから結婚しない」という男子学生までいた。「結婚前の住宅購入」は、少なくとも北京など都市部の大卒者の共通認識となっているようである。
それでは人口構造の変化は不動産市場にどのようなインパクトを与えるのであろうか。
中国国家統計局の2016年のデータによると、平均住宅購入年齢に近い25〜29歳の人口は過去十数年増加傾向にあった。しかし、今後はこの世代の人口が減少に転じる。2016年時点における25〜29歳の人口を100とすると、次の5年(グラフの20〜24歳人口)で74.2、その次の5年(グラフの15〜19歳人口)では57.7まで低下する。これは今後5年〜10年以内に中国国内の住宅需要が低下していくことを示唆している。
中国の人口ピラミッド(16年)
(注)小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計は必ずしも100.0とはならない。中国国家統計局のデータより筆者作成
一方、北京のある商業銀行で住宅ローンを担当している私の元教え子に現状を聞くと、「北京における現役世代の住宅に対する実需は極めて強い。現在は国の引き締め策により現実的に買えない人が一定層存在するため、価格が下がればすぐに買いが入る」という。
つまり、住宅購入人口の減少の不動産価格へのインパクトは、北京や上海など一線級都市に対しては限定的とみられる。しかし、若者人口の流出が顕著な地方都市を中心に不動産価格の調整がおこる可能性は否定できない。
一般的に生活コストが高く子育て環境が悪い大都市の出生率は低くなる傾向にある。実際日本でもそうだ。厚生労働省が6月1日に発表した17年の人口動態統計によると、合計特殊出生率は大都市の方が低下傾向にある。中でも東京は17年から0.03ポイント低い1.21と、全国平均の1.43を大きく下回り、都道府県別で最低であった。
中国でも過密化が進むと出生率が更に下がる
一方で、婚姻率(人口1000人あたりの婚姻届件数)は全国平均の4.9を大きく上回る6.4だった。つまり、若者を中心に東京への人口集中も進んでおり、過密化が進むことで出生率が更に下がるという現象が起きているのである。
このような現象は中国でも起こっている。北京や上海など大都市には、地方都市から多くの「外地人」が集まってくるが、生活コストの高騰などを背景に出生率は低迷している。中国国家統計局の統計データによると、15年における北京と上海の出生率はそれぞれ7.96%と7.52%で、中国全体の12.07%を大きく下回った。
日本の経験からみても、出産コストが高騰し続けている中国の都市部では出生率の大幅な改善は望めないだろう。しかし、「二人っ子政策」は出産人数を2人までに制限とするものであり、中国の人口抑制策「計画生育」は依然として続いている。
17年、出生数が減少に転じた理由は1人目出生人数の減少であった。統計の内訳を見てみると、2人目の出生数は16年より162万人増であったが、1人目は249万人減となっている。
これは、経済的条件により子供を産める家庭と産めない家庭の格差が顕在化しているといえるが、見方を変えると、2人以上子供を産みたい家庭が多いことの表れでもある。「もっと子供を産みたい」という家庭を国家が一方的に制限する政策は限界に達している。
今後、少子高齢化が加速度的に進むと予想される中国。歴史的役割を終えた計画生育政策の根本的な転換が求められる。
このコラムについて
西村友作の「隣人の素顔」〜リアル・チャイナ
近くて遠い存在の隣人、中国。日本の25倍の国土に、56民族14億人がひしめき合っている。この巨大で多様性に富んだ隣人は、今なお猛スピードで変化を続けており、その実像はなかなかとらえることができない。北京にある経済金融系トップの重点大学に在籍する日本人経済学者の西村友作が、その稀有な立場ならではの視点や情報を基に、専門の経済・金融・ビジネス分野だけにとどまらず、研究・教育現場の現実、流行や社会の変化など、一国の顔である首都から中国のスッピンにせまる。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/112900054/102300013
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