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サウジアラビアリスクが米国経済に与える「これだけの影響」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58169
2018.10.29 真壁 昭夫 信州大学経済学部教授 現代ビジネス
10月、米国を中心に株価が下落基調で推移している。10月10日の株価急落のあと、米国の株式市場は持ち直しの兆しを見せた。しかし、24日には再度、米国の株価が大きく下げた。S&P500指数の騰落率が年初来でマイナスに落ち込む場面もあった。今回の下落局面でも、ハイテク銘柄の多いナスダック総合指数の下げが目立つ。
株価下落の要因は複数考えられる。その中でも、サウジアラビアのリスクが高まっていることは見逃せない。具体的には、サウジアラビア政府が著名ジャーナリストであるジャマル・カショギ氏の殺害に関与した疑惑が、企業経営者の不安心理を高めている。当面、米国を中心に株式市場は不安定な展開となる可能性がある。
IT先端技術を重視するサウジアラビア
近年、サウジアラビアは、IT先端技術の取り込みを進めることで、石油への依存度の高い経済を改革しようとしてきた。構造改革のイニシアティブをとってきたのが、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子だ。
ムハンマド皇太子の改革によって、サウジアラビアでは女性の社会進出が進んでいる。また、2018年からは付加価値税(VAT、消費税に相当)が導入され、歳入の増加が図られた。その中でもムハンマド皇太子が重視しているのが、IT先端技術の取り込みによる経済成長率の引き上げである。
そのためにサウジアラビアは世界最大規模の国富ファンドである“パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)”を設立し、IT先端企業に投資してきた。同国がソフトバンクのビジョンファンドへ出資している理由も同様だ。ITを中心に世界大手企業の経営者らにとって、サウジアラビアとの関係強化の重要性が高まったのは想像に難くない。
この流れにブレーキを掛けたのが、カショギ氏殺害にサウジアラビア政府が関与したとの疑惑が浮上したことだ。リヤドで開催される年次投資会議である“未来投資イニシアティブ(FII)”への参加を見送る米金融機関のトップが相次ぐなど、事態の展開を見定めようとする企業は増えている。その波紋は軽視できない。
一段と高まる先行きの不透明感
今後の焦点は、誰がカショギ氏殺害を指示したかということだろう。欧州、米国からもサウジアラビアへの非難は強まっている。サウジアラビアとの関係を重視してきたトランプ政権でさえ、小出しではあるものの実行犯への制裁を発表せざるを得なくなっている。国際社会とサウジアラビアの関係は、重大な局面を迎えていると考えられる。
一方サウジアラビアでは、ムハンマド皇太子への権力集中が進んでいる。同国が米欧などからの非難や事実解明への要求に素直に対応するとは想定しづらい。加えて、米国のIT企業などへの投資だけでなく、米英からの武器購入、原油価格への影響力、中東の安全保障など、サウジアラビアが世界経済に与える影響は軽視できない。
当面、主要国の企業経営者は、サウジアラビアとの取引の継続に慎重にならざるを得ないだろう。同時に、サウジアラビアが報復措置をとるとの警戒感も高まっている。英ヴァージングループとサウジアラビアとの共同事業計画が中止されたのは、サウジアラビアが創業者であるリチャード・ブランソン氏の発言に報復したためとの見方もある。
米国の中間選挙、米企業業績、中国の景気減速懸念の上昇、米中貿易戦争の影響など、世界経済の先行き不透明感を高める要因は多い。カショギ氏の殺害に関する疑惑浮上は、その要因が増えたことを意味する。当面、米国のITハイテクセクターを中心に、リスク回避的な動きが増えやすいだろう。
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