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残業代減少に人材流出… 大手広告会社で働く人たちの意識の変化
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181027-00000004-moneypost-bus_all
マネーポストWEB 10/27(土) 16:00配信
広告会社社員の意識も大きく変わりつつある(企業説明会の電通のブース。写真:時事通信フォト)
20世紀後半、広告が大きな影響力を持っていた時代、電通や博報堂などの大手広告会社では社員たちもガンガン働いてガンガン遊んでいたイメージが強かったが、最近は業界内では以前ほど景気のいい声が聞こえなくなっているという。昔と今で広告業界で働くひとたちの意識はどう変化しているのか。博報堂出身のネットニュース編集者・中川淳一郎氏が解説する。
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私が会社に入った1997年に発売された『週刊SPA!』の「女性に聞いた合コン人気ランキング」みたいな特集では博報堂が1位に入り、「自分には関係ないが、ちょっと嬉しい」といった感情を抱きました。同社の内定を取った時も、私の実家の近所では「いい会社に入った!」と評判でした。
まぁ、クライアントの前では全然エラソーにできるような会社でもないのですが、それでも世間様の評価は高かったし、入社2年目以降にOB訪問に訪れてくる学生の数もすごかったです。4年でやめ、しばらくは広告業界との距離は置いていたのですが、2008年ぐらいからネットへの関心が広告業界でもグングンと高まっていった結果、再び私も広告業界との接点が増えるようになりました。
最近は大手から若手〜中堅のエース級人材が次々と独立する例が増えています。そうした人々がやる気のある若手を採用し、活況が呈されているのは業界全体にとっては歓迎すべき状況です。
それでも、大手の社員の中からはボヤキが聞こえてくるのも事実です。元々電通も博報堂も高給取りのイメージが強かったです。しかし、電通で過労の末に自殺した社員が出たことによる22時以降の残業禁止令もあり残業代は大幅減に。電通の20代社員はこうぼやきます。
「ここ数年、メーカーに行った同期よりも私の方が給料は安いです。会社に入ったばかりの頃は私の方が多かったですが、今や逆転されましたし、これからも私が彼らを上回るイメージはあまりありません」
数年前までの一つの説は「博報堂の給料は電通の7掛け」(博報堂社員)といった声もありましたが、その差は確実に縮まっていると前出の電通社員は述べます。一方の博報堂にしても、最近は人材流出が多いそうです。
「やはり自分自身が事業会社のメンバーとして、自社の製品を売りたいと考えるか、規模は小さくても、経営により近い場所で仕事をしたいと考える人が少なくないようです。あと、人材の流出についても『仕方がない』と考える面もあります。恐らく中川さんの頃(2001年)は、引き留められたりもしたでしょうが、最近は『あなたの決めたことだから』と特に慰留はあまりしなくなっています」(博報堂40代社員)
とはいっても、人材の流動化というものは、新たなる考え方や発想を生むものです。先日会った某出版社の広告担当はIT企業出身だと言いました。彼は、自社メディアにかかわるアドネットワークの収益最大化をミッションとしていますが、基本的にはデータの分析をし、適切な業者選定をすることなどにより収益最大化をはかっているようです。
昔風の広告担当者は、人付き合いが良かったり、人望が厚い人などがガンガン広告を取ってこれました。今でもそうした面はあるのでしょうが、出版社もウェブメディアを運営する以上、別の発想を持った人が入るのは良いこと。
同様に、広告会社にしても、残業が減ることにより、頭が疲弊せずアイディアが冴えわたり、それにより多額のフィーを稼げて新たなる給与体制が生まれたり、人が流動化するがゆえの新たなクリエイティブが生まれたりする可能性もあるわけです。独立して何らかの専門性を高めた人もプロジェクトに応じて起用すれば、これまた大きな企画に繋がるかもしれない。少し引いた目で見ていると、そこまで悲観する必要はないのかな、と思っています。
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