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ついに「日銀バブル」のツケが回ってくるかもしれない 株価乱高下、銀行の乱脈融資…
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58052
2018.10.23 藤田 知也 現代ビジネス
株価の激しい乱高下、スルガ銀行の乱脈経営……いま、日本の金融・経済に異変が起きている。朝日新聞特別報道部記者で、このたび『日銀バブルが日本を蝕む』を上梓した藤田知也氏は、種々の異変は黒田東彦氏率いる日銀の金融政策に起因したものではないかと分析する――。
気がかりな金融緩和
株式市場が大きく揺れている。
日経平均株価がほぼ27年ぶりの高値をつけたと大騒ぎしていたのはつい先日、10月初めのことだ。9月中旬から世界の投資マネーが日本株に流れ込み、10月1日には終値が2万4245円76銭をつけ、1991年11月以来の好水準まで駆け上がった。日本経済新聞では「日本企業の稼ぐ力が再評価されている」(9月29日付朝刊)といった解説もされた。
ところが、直後から日経平均は下落に転じ、10月11日(日本時間)に起きた世界同時株安では一時1000円超も急落。先週も月初から最大で8%超値下がりする大幅安となるなど、乱高下が続いた。
株安の直接の引き金を引いたのは、米国の急ピッチな金利上昇と、それにともなう米国株の下落だった。米連邦準備理事会(FRB)が進める金融緩和の正常化も意識され、株や不動産などの資産から資金が引き揚げられる「逆回転」が起きやすくなっている。米中貿易戦争や日米通商協議なども背景に、世界経済の行方が来年に向けて不透明感を強めているのは間違いない。
日本の景気拡大局面はほぼ丸6年に達し、米国はそれより長い9年超に及ぶ。国内では安倍政権が大盤振る舞いしてきた経済対策が息切れし、海外ではトランプ政権の保護主義政策による悪影響が懸念され、2019年には景気後退の局面を迎えると予想する声が少なくない。
そこで気がかりなのは、日本銀行が上場投資信託(ETF)を年6兆円ペースで買い入れるなど、大規模な金融緩和を今もなお漫然と続けていることだ。ここ数年は実感の乏しい「好況」を演出してきたが、今後、景気が後退する局面では厳しい試練を迎えることが予想される。
無理筋の強硬路線を続けた結果…
日銀が黒田東彦総裁を担いで大規模緩和に乗り出したのは13年春。物価上昇率2%の実現を何よりも優先すべき目標に位置づけ、その実現のために年50兆円ペースで長期国債を、さらにはETFも年1兆円ペースで買い入れ始めた。市場への資金供給量(マネタリーベース)を年60兆〜70兆円ずつ増やせば、2%目標は2年程度で実現すると高らかに宣言もした。
そもそも黒田緩和とは、人々に「物価が上がりそうだ(=景気が上がりそうだ)」という予想や期待を植え付ければ、お金は貯めるより使うほうが得だとばかりに財布のひもがゆるみ、投資や消費が増えて本当の物価も上がるという可能性に賭けたものだ。
それは、思い切って資金供給量を増やせば2〜3%のインフレを実現できると唱え、安倍首相も共鳴した「リフレ派」の主張をほとんど丸のみしたものでもあった。
しかし、結果はご承知のとおり。日銀の緩和策は投資家を扇動して円安・株高を加速させ、資産価格を上昇させることには成功したものの、一般の企業や家計を舞い上がらせて支出を増やさせることには失敗した。
最大の問題は、2%を実現できなかったことではなく、2%の実現が困難だとはっきりした14年時点で、日銀や政府が現実を直視せず、「緩和をもっと強めれば、次こそ2%は実現できる」とかたり続け、無理筋の強行路線を推し進めたことだ。
14年10月の追加緩和で長期国債の買い入れ額を50兆円から80兆円に、ETFは1兆円から3兆円にそれぞれ増やした。そこから日銀の迷走は始まる。円安が再加速し、輸出企業の業績は一段と押し上げられたが、設備投資や個人消費は改善しなかった。それでも日銀は懲りることなく、16年1月にマイナス金利政策を導入し、16年7月にはETF購入量を年6兆円ペースまで加速させた。
国債買い入れはさすがに限界に近づき、16年9月の政策修正で購入量を減らす方向にカジを切ったが、ETFを年6兆円も”爆買い”する方針は元には戻せていない。
大量のETFを買うことは、東証1部の幅広い銘柄の株式を薄く広く買うのに等しい。世界経済が改善を続けるなか、企業の業績や成長性に関係なく、漫然と株を買いまくって株式市場に介入する中央銀行は、世界の先進国でも他には例がない。中央銀行が株を買い漁って株価浮揚を図る異常性は、誰の目にも明らかだろう。
そんな「おかしな政策」をなぜ日銀は採り続け、しかも漸次的に拡大させてきたのか。
先が思いやられる
筆者が今春まで日銀の担当記者として取材した限り、たとえばETFの買い入れ額を年6兆円にまで倍増させた16年7月の政策決定過程では、政策委員らの言動がいかにも不自然で、政権への配慮や忖度も見え隠れした。少なくとも2%目標の実現は、追加緩和を決める積極的な理由ではなかった(詳細は拙著『日銀バブルが日本を蝕む』)。
表向きの口実は、英国が国民投票でEU(欧州連合)からの離脱を決め、市場が一時的に荒れたことだった。だが、安倍政権が消費増税を先延ばしするため、三重・伊勢志摩で開かれたG7首脳会議で突如「世界経済に危機が迫っている」と言い出し、さらなる経済対策の大風呂敷を広げたことに付き合わざるを得なかったというのが真相の一つだろう。
危機は訪れず、英国のEU離脱決定にともなう市場の混乱も限定的だった。その後は株高が進み、企業業績も過去最高を更新した。普通に考えれば、増やしたETF購入量はもとに戻すのがスジだ。
しかし、株の爆買いを決めた根拠が失われると、黒田総裁は「(6兆円は)2%のために必要な政策だ」と言い出し、物価が上がらないうちは減額する必要性がないことを強調するようになった。
たしかに日銀総裁が買い入れを減らしたり、やめたりすると口にするだけでも、市場に小さくないショックを与えかねない。要は「怖くて減らせない」だけだとみられるが、好況とされる間も買い入れを減らすことさえできないようでは、これから先が思いやられる。
リスクへの備えが必要だ
というのも、日銀のETF保有残高は18年3月末時点で24兆円(時価ベース)。国内のETF全体の7割以上を買い占めた形で、まるで日銀に買われるために新たなETFが組まれているようなものだ。
東証1部の時価総額に占める割合は4%前後で、これを日銀は「まだ小さい」(黒田総裁)と侮ってきたが、個別銘柄に目を移せば笑えるような状況にはない。
ニッセイ基礎研究所の試算では、日銀が間接保有する株式の割合が5%超の企業は18年6月時点で127社。創業家などの固定株主をのぞく浮動株ベースでは、保有割合1割超が80社あり、なかでもユニクロを運営するファーストリテイリングは日銀シェアが約90%となり、今のペースなら来年には100%に到達する見込みだという。
追加緩和を重ねたことで生まれた経済のひずみは、他にも目立つようになってきた。企業や個人が借金を増やすことで経済の高成長につながる、というのが日銀のシナリオだったが、現実は目先の利回りを追う蠢きばかりが煽り立てられ、借金とリスクが過剰に膨らむバブルが出現している。
シェアハウス投資にはまった1200人超のサラリーマン大家たちが億単位のお金を借り入れ、相場より3〜5割も高い物件をつかまされたのもその一端だ。価格が高騰するアパートやマンションに人生を賭す人の数はもっと多く、過剰な住宅供給や人口減少で多くの大家が破綻のリスクにさらされている。
かつてのバブルと異なる特徴は、「成長への期待」ではなく、「将来への不安」に突き動かされて、お金が投資などへ向かっていることだ。それは投機的な仮想通貨やお金の使途が不透明なソーシャルレンディングにまで大量の資金が注ぎ込まれた事象にも共通する。
一方、不動産投資向け融資で預金通帳を改ざんし、顧客の貯蓄や年収を水増しする不正が蔓延したスルガ銀行は、銀行間の競争が熾烈を極めるのを受け、焦る経営幹部が不可能なノルマを現場に押しつけ、壮絶なパワハラで行員を追い立てて高収益を維持していた。
そうして無理に貸しこんだ借金は焦げつくリスクが大きく、今後の業績の「火薬庫」と化している。他方で不正に頼らない銀行の多くは、利ざやの縮小で体力をすり減らし、国内の金融システムは脆弱さを増しているように見える。
大規模緩和で醸成された「日銀バブル」の末路に何が待っているのか。いまはまだ見通せないが、一つだけはっきりしているのは、現実に即したリスクへの備えが必要だということだ。
※スルガ銀行の不正融資や仮想通貨などの新型バブルの現場と、野放図な金融政策の内幕に迫った著者の新著
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