http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/837.html
Tweet |
215兆円もの個人資産が凍結も、高齢者を抱えた経済の山くだり
萩原ゆき、竹生悠子
2018年10月17日 5:00 JST
• 認知症患者の資産は30年度に215兆円、証券市場に資金回らなくなる
• 高齢化社会に入る覚悟の共有をー三菱UFJ信託銀行の石崎氏
急速に高齢化が進む日本で、十数年後には高齢者に偏った約215兆円もの個人資産が凍結状態となるかもしれない。認知症の増加に伴い本人の意思確認が難しくなり、預貯金や有価証券などの資産を動かせなくなる恐れがあるためだ。危機感を持つ金融機関は、経済や株式市場への影響を回避する手立てを模索し始めている。
「ものすごく経済にインパクトを与えることになる」。慶応大学経済学部の駒村康平教授は、このまま手を打たずにいると貨幣の退蔵率が上昇し、消費だけでなく証券市場に資金が回らなくなると述べた。第一生命経済研究所は、認知症患者の保有金融資産は2017年度末で143兆円、30年度には家計資産の1割にあたる215兆円になると試算。また、みずほ総合研究所は2035年には有価証券の5割、金融資産の4割を70歳以上が保有すると推計している。
1950年に60歳前後だった平均寿命は昨年、男性で81歳、女性で87歳に伸びた。5000万円超の家計資産保有者の69%が60歳代以上となる中、2022年以降は団塊世代が75歳以上に達し始め認知症有病率の上昇も見込まれている。次世代に相続するまでの20年から30年の間、財・サービスに対する貨幣が希少になると、物価下落(デフレ)につながることも懸念される。
米国では金融分野における高齢者の行動などを考察する「金融ジェロントロジー」の研究が盛んだが、日本では慶応大学などを中心に始まったばかり。同大学と共同で高齢者への対応に向けた取り組みが、金融機関の間で動き始めた。
問われる高齢者対応
田中淑子さん(83歳)は、20年前に夫を亡くして以来、外貨建て商品や新興国債券の運用をしてきた。息子に少しでも多くを残すためにと新たな投資を望むが、証券会社からリスクのある商品は紹介できないと断られた。「年寄りだからボケていると思われている」と田中さんは憤りを隠さない。長く貯めてきた財産を自分で管理できないのは、「生きる権利の侵害にあたる」と感じている。
現金を引き出す高齢者
Photographer: Yuriko Nakao/Bloomberg
高齢者は、話し相手の説明に行動が左右され、意思決定を先送りにするなど判断能力が衰えがちとされている。金融庁は13年、高齢者への金融商品販売の監督を強化。同年、日本証券業協会は複雑な仕組みの金融商品販売には、75歳以上の顧客で役職者の事前承認の義務付けを、80歳以上は受注を勧誘の翌日以降にして担当者が会話内容を録音・保存することなどを定めた。
国内証券最大手、野村ホールディングスは高齢者対応をもう一歩進める道を選んだ。野村証券の山賀賢司営業企画部長は、顧客の高齢化が進み対応が必須となる中、受け答えがしっかりしているからといって「専門的な見地から正しく判断できているか」と自問自答。16年に慶応大学と金融ジェロントロジーの共同研究を始めた。
研究で得られた知見を現場にフィードバックする一環として、同社は今年4月までに高齢顧客専門員180人を全国ほぼ全ての支店に配置。経済、医学、心理学、法律の知識を身に付けてもらい、1日に会う顧客人数など営業目標を課さない体制とした。その結果、本来30分で終わる話が2時間になったとしても、じっくりと耳を傾けるようになったという。
コストに見合わない手厚い体制ではあるが、山賀氏は20年後に次世代への相続が発生したとき、今のままでは「野村証券から資金が流出する一方になる」と危惧。世代を超えた利用を続けてもらうには、「高齢者本人の安心も、ご家族から見た野村証券の安心も重要になってくる」と家族を含めた関係構築が重要になってくるとの見方を示した。
覚悟の共有
三菱UFJ信託銀行は、認知症に備えて有料老人ホーム入居金や高額医療費以外の使途には使えない解約制限付き信託「みらいのまもり」など複数の商品を開発してきた。信託スキームを使うことで、必要な資金を預金で眠らせずに活用することが可能になり、駒村教授も対応策の一つと期待を寄せている。
同行は今年2月、慶応大と金融ジェロントロジーの共同研究を開始。信託としての解決策を模索すると同時に、同大学生への講義を始めた。今年6月の講義では同行の石崎浩二執行役員が登壇。22年には独居世帯が3分の1を占め、39年には火葬場が不足するなど日本の未来を語りかけた。これから社会で大きな役割を担う若者と「高齢化社会に入る覚悟を共有する必要がある」との思いからだ。
国内の同研究を牽引する駒村教授も、企業の個別対応には限界があるとみている。日本経済は大勢の高齢者を抱えた「山くだり」を始めているのに成長幻想を捨てられていないと批判。日本の長期債務残高である「1000兆円もの重荷を背負っての下山は足を滑らす危険もある」として、政府の経済政策見直しを含めた社会全体としての取り組みが必要だと述べた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-16/PGPPZF6S972A01
景気の転換点は遠くない、設備投資の強さは悪材料−早川元日銀理事
日高正裕、藤岡徹
2018年10月17日 10:00 JST
来年か再来年のどこかが景気転換期と考えるのが自然だ
景気後退期直前の強い設備投資、失敗することはほぼ間違いない
日本銀行元理事の早川英男氏 Photographer: Tomohiro Ohsumi
日本銀行元理事の早川英男氏は、来年初めに戦後最長となる景気拡大が転換点を迎える時期は遠くないとした上で、最近の設備投資の強さは「悪いニュースだ」との見方を示した。
早川氏は16日のインタビューで、来年10月の消費増税や2020年夏の東京オリンピック終了に伴い、「来年か再来年のどこかが景気転換期と考えるのが自然だ」と語った。設備投資計画は「近年まれに見る強さ」だが、景気後退期直前の強い設備投資は、過剰設備となるため失敗することはほぼ間違いないと説明した。
企業短期経済観測調査(短観、9月調査)で全規模・全産業の設備投資計画は前年比8.5%増と9月調査としてはバブルのピークだった1990年度以来の伸びになった。早川氏によると、バブル景気の下でも拡大局面末期に設備投資が爆発的に増加し、後に雇用、債務と並ぶ3つの過剰の一つになった。
7月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、設備投資の過熱度合いを示す「資本ストック循環図」が削除された。早川氏は「異常に強いので将来大きく落ちることを意味する絵になったはずだ。掲載すると具合が悪いので削ったのだろう」と推測する。
日銀広報課は「個別の図表に逐一コメントすることは差し控えるが、展望リポートでは最も適切な図表を毎回使っている」と回答した。
黒田総裁は2013年4月、2年で2%の物価目標達成を掲げ異次元緩和に踏み切ったが、5年半たった今も達成の見通しは立っていない。金利も上げることができず、1990年代後半の金融危機時や2000年代後半のリーマン危機時ですら0.5%あった政策金利は、今はマイナス0.1%だ。
早川氏は「最大の問題は景気後退が来た時、何ができるかだが、金融政策は手がない。結局、元の木阿弥(もくあみ)よりひどい」と語る。
副作用
景気後退になれば金融面の副作用が一気に表面化する恐れもある。倒産が増加した場合、金融機関が積み立てる貸倒引当金が増加するためだ。早川氏は「たくさんの銀行で簡単に赤字になる」と指摘し、「金融システムに対する信頼感がかなり揺らぐ可能性があり、日銀の責任だと言われる」と述べた。
早川氏は、好調な米国経済も来年は減税効果が息切れし、貿易摩擦の悪影響も出てくると分析。賃金や物価が徐々に上昇する中、原油高や関税による消費財の値上がりが加わり、米国経済も「20年くらいが危ない」とみる。
景気後退時までに米国は3%超まで政策金利を引き上げるとみられる一方で、日本は引き続きゼロ金利のため、米国が金利を引き下げた場合、日本との金利差縮小で「常識的に考えると相当円高になる」と指摘。為替相場は円安水準で推移してきており、反動で「80円台くらいになっても全然おかしくない」と話した。
早川氏は東大経済学部を卒業後、1977年に日銀に入行し、理事や調査統計局長を歴任した。2013年4月に富士通総研経済研究所に入社、エグゼクティブ・フェローを務める。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-17/PGOJKC6JTSE901?srnd=cojp-v2
世界経済はサイクル後期、投資家の悲観強まる−メリルリンチ調査
Luke Kawa
2018年10月16日 23:46 JST
• ファンドマネジャーの85%、見通しを悲観ー調査開始以来の最高
• 世界の株式市場では日本を最も選好、前月は米国ファーストだった
貿易を巡る緊張が高まり、株式市場の動揺にも構わず米連邦公開市場委員会(FOMC)が金融引き締めを継続するとの見方が広がる中、投資家の間では世界経済に対する悲観が強まっている。
バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチがまとめた10月調査によれば、長期にわたる景気拡大が終わりを迎えるとして、ファンドマネジャーらは世界経済への弱気な見方から現金留保を強めている。世界経済がサイクルの後期にあるとの回答したファンドマネジャーの比率は85%と、調査開始以来の最高を記録。これまで最高だった2007年12月を11ポイント上回った。
メリルの最高投資ストラテジスト、マイケル・ハートネット氏はリポートで、「世界経済の成長に対し、投資家は弱気になっている」と指摘した。
経済成長ペースが今後1年で減速するとみる投資家の数は、そうではないとみる投資家の数を38ポイント上回り、2008年11月以来で最大の開きとなった。
一方で、量的引き締めが市場にとって最大のテールリスクだと回答したファンドマネジャーの比率は31%と、前回調査の2倍を上回った。貿易戦争が主な懸念要因だとの見方も変わっていない。
ハートネット氏は米金融当局による引き締めが「米国での希望を薄れさせている」と指摘。10−12月の株式市場では上昇局面で売りを出すよう、投資家に勧めている。BofAの調査によれば、利上げ局面が終わるまでにS&P500種株価指数は少なくとも2500に下げると大多数が予想している。言い換えればパウエル・プット発動を期待するには、さらに9%の下げが必要ということになる。
11月の米中間選挙で民主党が上下両院の過半数を奪回する事態となれば、S&P500種にはマイナスに作用とすると、59%がこの調査で回答した。
世界の株式市場の中で、9月には米国に重点的に投資する「米国ファースト」トレードとなっていたが、今月は転じて日本を最も選好している。
原題:Investors Fretting Fed Error Most Bearish on Economy Since Crash(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-16/PGP1806JIJV901?srnd=cojp-v2
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民128掲示板 次へ 前へ
- 世界競争力報告、米国が10年ぶりに1位 日本は5位 トランプ政権発足後2200以上の規制延期・撤廃 FRBの不都合な真実 うまき 2018/10/17 13:34:04
(1)
- ウォール街、金利上昇と景気堅調の恩恵鮮明−今後への懸念材料も多数 今後も金融正常化と政治がリスク FOMC利上はどこまで うまき 2018/10/17 20:42:02
(0)
- ウォール街、金利上昇と景気堅調の恩恵鮮明−今後への懸念材料も多数 今後も金融正常化と政治がリスク FOMC利上はどこまで うまき 2018/10/17 20:42:02
(0)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民128掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。