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スルガ銀行、創業家に488億円の不適切融資…金融庁が手抜き検査、前長官は海外逃避
https://biz-journal.jp/2018/10/post_25125.html
2018.10.16 文=編集部 Business Journal
スルガ銀行本店(「Wikipedia」より)
金融庁は10月5日、女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」をめぐる不正融資が明らかになったスルガ銀行に対し、新規の投資用不動産融資と一部の住宅ローン業務を6カ月間停止する命令を出した。
金融庁は、創業家が関係するファミリー企業への不適切な融資を指摘した。スルガ銀行は創業家のファミリー企業への融資額が488億円に上り、このうち69億円が創業家の個人に流れたと公表した。経営不振に陥ったファミリー企業を救済するため、別のファミリー企業に「寄付」のかたちで資金を流し、そこから転貸する不正が明らかになった。
金融庁は、スルガ銀行の岡野光喜前会長ら創業家による経営支配の中で取締役会や融資審査が形骸化し、経営管理に不備があったと断じた。
有國三知男社長はファミリー企業への融資の詳細の公表を、「調査中」を理由に拒んだ。だが、関係者によると、「岡野光喜前会長個人や岡野関連企業が含まれている」という。融資は「店舗取得資金」など実態と異なる名目で行われており、ファミリー企業のなかには実態のないペーパーカンパニーもあったとされる。有國社長は「融資先は管理していたが、転貸先まで把握していなかった」と釈明したが、有國社長を含む多数の役員が、これら不正融資を黙認していた可能性がある。
暴力団など反社会的勢力への融資や口座の開設も多数見つかった。カードローンの残高の増加を許容していたのが22件、反社会的勢力による新規口座の開設も46件あった。
スルガ銀行の不正を調査した第三者委員会は9月、組織的不正と認定。当事会長の岡野氏、社長の米山明広氏ら取締役5人が退任した。有國三知男社長は10月5日の記者会見で「創業家への融資について調査し、必要なら法的責任を追及する」方針を明らかにした。
■岡野家の聖地は、愛鷹山麓のクレマチスの丘
スルガ銀行は岡野氏など、最大の責任者をどう裁くのか。ファミリー企業への融資488億円、創業家個人に流れた69億円をどうやって回収するのか。
スルガ銀行は1895年に岡野前会長の曽祖父にあたる岡野喜太郎氏が創業。100年以上にわたり岡野家出身者がトップを務めてきた。スルガ銀行の子会社とは別に、岡野家の関連企業(ファミリー企業)は20社以上あり、スルガ銀行はこのうち約10社と取引がある。
ファミリー企業への融資は一時、1200億円を超えていたが、金融庁の検査ののちに取引の適正化の指摘を受け、残高を減らしてきた。それでも、現時点で488億円あったということだ。スルガ銀行の融資残高(約3.2兆円)の1.5%にあたる。
ファミリー企業はスルガ銀行の株式を持つ。有価証券報告書によると、18年3月末時点の大株主上位10法人のうち4社がファミリー企業だ。4社合計で15.46%の株式を保有している。
【ファミリー企業が保有するスルガ銀行株式数と持ち株比率(2018年3月末時点)】
・エス・ジー・インベストメント…1270万2000株、5.47%
・スルガ総合保険…1099万9000株、4.74%
・エス・ジー・アセット…675万株、2.91%
・一般財団法人スルガ奨学財団…540万1000株、2.33%
ファミリー企業の中核は、筆頭株主のエス・ジー・インベストメントと第7位株主のエス・ジー・アセットである。両社は東京都中央区日本橋室町に本社を置き、社長はいずれも岡野3兄弟の末弟、岡野喜平太氏。長男がスルガ銀行前会長の光喜氏、次男が副社長を務めた故・喜之助氏。喜平太氏はスルガ銀行の役員ではないが、ファミリーの中核企業を率いている。
エス・ジー・インベストメントは貸ビルを経営する不動産賃貸会社で、エス・ジー・アセットはデベロッパーだ。
富士山と駿河湾を望む静岡県駿東郡長泉町の愛鷹山山麓。スルガ銀行創業の地、静岡県沼津市に隣接するこの地では、 1970年代に住宅開発が始まった。分譲するのがエス・ジー・アセットだ。
敷地300坪級の高級邸宅400戸が並ぶ「スルガ平」は、テニスコートやゴルフ場、レストランもあり、「静岡のビバリーヒルズ」と呼ばれている。隣接して花、美術館、食をコンセプトにした複合文化施設「クレマチスの丘」がある。
光喜氏ら3兄弟の父であるスルガ銀3代目頭取の喜一郎氏は稀代のコレクターとして、美術界に大きな足跡を残した。戦後、彗星のごとく登場したフランスの天才画家、ベルナール・ビュフェに魅せられ、私財を擲ってビュフェの作品を一点一点買い集めた。1973年、世界初のビュフェ美術館をクレマチスの丘に建設した。喜一郎氏と旧制沼津中で同窓だった作家・井上靖の文学館もある。スルガ平とクレマチスの丘は、岡野家にとって“聖地”なのだ。
創業家一族はファミリー企業を通して保有するスルガ銀行株を売却する意向を示している。だが、不正が発覚後、株価は大暴落。ファミリー企業は融資を受ける際の担保にスルガ銀行株を提供しているが、いま担保に入っている株を売却しても、融資している額の半分も回収できないだろう。残りは法的整理を申し立てて回収するしかない。
問題は創業家個人に転貸された69億円の回収だ。ほかのファミリー企業を手放しても、スルガ平とクレマチスの丘は岡野家が死守することは確実とみられている。“戦犯”の岡野光喜氏とは直接のかかわりのない法人なので、法的整理申し立てなどの強硬手段は採れない。
「創業家の傀儡にならないと言い切れるのか」との質問が、有國社長に向けて飛んだ事実を見過ごすことはできない。有國社長は「そのつもりで引き受けた」と答えたが、不安視する向きは少なくない。「岡野前会長は9月に経営から退く時に『一切、関与しない』と宣言した」と有國氏は強調した。
有國氏の本気度は、創業家およびファミリー企業から488億円を全額回収できるかどうかで明らかになる。
■金融庁の森前長官は米コロンビア大の非常勤教授に転出
他方、金融庁は責任をどう取るつもりなのか。金融庁は1年前までスルガ銀行を「地銀の優等生」と高く評価していた。昨年5月、当時の森信親長官は講演で「特異なビジネスモデルで、ニッチな分野に特化して高い収益率を上げている」と称賛した。
だが、スルガ銀行の高収益は、犯罪に問われかねない不正融資によって成り立っていた。不正を見過ごした責任は重い。スルガ銀行の処分を発表する記者会見でも、報道陣からは金融庁自身の責任を問う声が相次いだ。同庁幹部は「事前に察知できなかったことは否めない」と認めた。
金融庁は12年、13年、17年にスルガ銀行に立ち入り検査に入ったが、検査対象に投資用不動産は含まれていなかった。個人向け不動産ローンに特化した特異なビジネスモデルを行うスルガ銀行に関する検査で、投資用不動産をチェックしなかったのは驚くべき“手抜き”である。「森長官への忖度で、スルガ銀行について多少のお目こぼしがあったのではないのか」(有力地銀の頭取)との厳しい批判の目が向けられている。
金融庁の森前長官に対して、お咎めは一切ない。今年7月、異例の長さといえる3年間務めた金融庁長官を退任。米コロンビア大学国際公共政策大学院で非常勤の教授として教壇に立つと報じられた。日本の財政や金融政策を教えるという。
“海外逃亡”との怨嗟の声が金融界から上がっている。
(文=編集部)
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