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就業率に「陰り」、賃金上昇を期待した日銀の出口戦略に黄信号 就活ルール、経団連の廃止決定で「官製」になっても守られるか
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/750.html
投稿者 うまき 日時 2018 年 10 月 10 日 20:59:45: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

(回答先: 焦点:世界の外貨準備、ドル比率の低下止まらず トランプ不信の声も トランプ大統領が「皇帝」化、米メディアが抱く深い危機感 投稿者 うまき 日時 2018 年 10 月 10 日 20:56:32)

2018年10月10日 西岡純子 :三井住友銀行 チーフ・エコノミスト
就業率に「陰り」、賃金上昇を期待した日銀の出口戦略に黄信号
Photo:PIXTA
 円安などによる企業収益の改善が続くなかで、賃金の上昇が期待されてきた。実際、労働市場は逼迫し、人手不足を訴える声はずっと続いてきた。だが賃金上昇の動きは鈍く、足元では、高原状態だった新規求人に対する就業率も鈍化が目立つ。「デフレ脱却」を掲げてきた政府・日銀のシナリオはまたまた、狂いかねない。
日銀短観で確認された
企業の投資意欲の強さ
 先週に発表された日銀短観の9月調査では、大企業製造業の業況判断D.I.(「良い(%)」−「悪い(%)」)が4期連続の悪化となった.。
 ただ、多くの企業が業況が「良い」と回答していることに変わりはなく、海外需要の鈍化や一連の悪天候、米国主導の保護主義への懸念といった悪材料が重なった割に、小幅な調整にとどまったとみるべきだ。
  むしろ、子細に見ると内容は良かったともいえる。まず、今年度の設備投資計画は大企業全体で+13.4%と2ケタ増を維持した。あくまでも「計画」であり、実際にその勢いで投資が実行されるかはわからないが、企業の投資意欲の強さははっきりとうかがえた。
 実際に、GDPベースの設備投資額は実質値で「バブル景気」の最高水準を既に超えている。
 かつてない低金利のうえ、もともと企業は潤沢なキャッシュフローを持ち、省力化投資や電気自動車など新規事業の拡大の意欲も強い。強気の設備投資計画が実際の支出につながることもあり得そうだ。
 しかも114円半ばまでのドル高円安が続いているし、株価上昇も米金利の急上昇のあおりでやや勢いが鈍ったとはいえ、それでも1992年以来の最高値水準だ。
 政府や日銀の関心は、企業の投資意欲の回復やマクロ的需給バランスの引き締まりが、いよいよ本格的な賃金上昇につながるのか、それで消費が活発になり「2%物価目標」を達成できるか、ということだろう。
 この点、日銀短観をみる限りでも、人手不足感は相変わらず強く、その強さからいえば賃金の上昇にもっとはずみがついてもおかしくはない。
 雇用判断D.I.(「過剰(%)」−「不足(%)」)は、非製造業を中心に大きく低下しており、前回の景気拡張期のピークだった2007年当時と比較しても、労働市場のひっ迫感は相当のものである。
「人手不足」なのに
賃金上昇が鈍い構造要因
 直近8月の毎月勤労統計(速報)によると、1人当たりの月間現金給与総額は前年比+0.9%と前年比プラスを維持している。
 ただし、サンプル入れ替えによる影響を排除するため、厚生労働省が参考値として公表している共通事業所ベースで見ると、前年比+0.8%と前月と、伸びは変わらない。このうちの所定内給与も同+0.7%で、上昇に勢いはない。
 業種別や、過去との比較など、どの側面から見ても人手不足感が賃金上昇につながる動きははっきりしていない。特に不足感が強いと報告されている宿泊業・飲食サービスや建設業、専門・技術サービスといった業種でも賃金上昇率は低いままである。
 なぜなのか。労働市場が逼迫すれば賃金が上昇するという理屈通りにはなっていないのは、2つの構造的な問題があると考えられる。
 (1)人手の不足感は確かに強いのだが、様々なミスマッチを背景に、求人側が求めている人材の確保にまだ至ってない、という制約と、(2)雇用されている人の数が全体では実は十分な水準でも、産業間や社内で、適材適所への配分・調整が不十分なことだ。
「適性値」に対して
雇用はむしろ「過剰」
 働き手が減る経済では、これまでの成長を維持するには労働生産性の向上は必須で、労働生産性が上昇することで賃金上昇も確実になる。また、労働生産性が回復する過程で企業に事業活動の余力が生まれると、さらなる雇用拡大への動機も強まる。
 労働生産性と雇用される人の数は中長期的には共通のトレンドを共有するはずだ。
 こうした考え方から、労働生産性に見合う適正な雇用者数を割り出し、それと実際の雇用者数を重ねてみたのが図表1だ。
◆図表1:労働生産性と雇用者数
(出所)総務省、三井住友銀行 拡大画像表示
 雇用者数の適正値は90年初頭から一貫して右肩上がりで上昇した後、2008年の金融危機を境にその改善ペースは止まった。この間、実際の雇用者数はその適正値を挟んで増減を繰り返している。
 注目すべきは足元で、実際に雇用されている人の数が適正値を大きく上回っていることだ。
 過去、実際の雇用者数が適正値をはっきりと上回ったのは1992年から1999年の、バブル崩壊後の「過剰雇用」の整理に主要企業が四苦八苦していたころだ。その後の2002〜2008年の景気拡大期はむしろ控えめな採用活動が維持されていたことで、実際の雇用者数は適正値を下回っている。
 アベノミクスが発足した2012年末以降、雇用者数は増勢を強め、物価が緩やかながら上昇に転じた2015年ごろからの雇用者数の増加は、適正値を大幅に上回るペースだ。
 こうした推移から考えれば、今は足元の雇用は「不足」ではなく、むしろ「過剰」の域にあるといっていい。
雇用拡大は非正規に集中
安倍改造内閣の「改革」では限界
 一方で、雇用の拡大が女性や高齢者、非正規雇用に集中したことで、結果として企業が支払う雇用者報酬は、企業収益の増加ほどには伸びず、労働分配率は低迷したままだ。
 結局、いまの雇用状況は、企業側は、容易に代替が利くような職種で雇用を確保しただけで、成長分野や事業拡大の上で必要とされる職種への人材の確保が遅れた。その結果、全体の雇用者数は十分増えているにもかかわらず、雇用の不足感は強まる一方で解消しない、ということになっているのだろう。
 労働市場の需給逼迫にもかかわらず賃金がはっきりと上昇しないのは、こうした構造的なミスマッチがあることによる要因が大きいといえるだろう。
 発足した第4次安倍改造内閣は、新たな成長戦略の柱として、第4次産業革命や地方創生と並んで、雇用改革を含めた「全世代型社会保障改革」の3つを掲げた。うち、雇用改革については継続雇用年齢を65歳以上に引き上げ、年金の受給開始年齢も「70歳超」からも選べるようにする法改正を検討するという。
 働き手が増えることで、国全体の所得のパイが広がることは確かだろう。だが高齢者の就業率を引き上げるといってもおのずと限界はある。
 2012年末のアベノミクスのスタート以降、就業者数総数に占める高齢者の割合は一貫して上昇し、2016年時点では男女計で11.9%までになった。
 高齢就業者の雇用形態は、役員が102万人(13.3%)、自営業主・家族従業者が263万人(34.4%)、役員を除く雇用者が400万人(52.3%)である。だが役員を除く雇用者の内訳を見ると、正規の社員・従業員は99万人と4分の1を占めるのみで、残るはパート・アルバイト(204万人)や契約社員(36万人)、嘱託(30万人)など非正規雇用が4分の3を占める。
 希望者を65歳まで雇用することを義務付ける法改正は、非正規雇用が多く、時間当たりの単位賃金が相対的に低い高齢者の賃金を引き上げようという狙いだ。
 だが、すでに日本は、高齢者の就業率(実際の就業者÷人口)は主要国の間で最高水準にある。他主要国も高齢化の進展によって高齢者の就業率は高まる傾向だが、日本はそれらを先行している。
 働く高齢者の処遇を改善し、その過程で技能継承等を促すことで経済全体の生産性を引き上げることは必要だが、高齢者の就業率引き上げにはおのずと制約があるし、それだけで、日本経済の生産性を上げ、賃金や雇用を増やしていくのは限界がある。
就業率の伸びは鈍化
賃金への波及難しい
 政府が「働き方改革」を掲げてきたのも、まずは働き手の意識改革が進むことで生産性や効率が高まることを狙っていたわけだが、そうこうしている間に労働市場の需給逼迫にも、陰りが見えてきてしまった。
 図表2のように、充足率(就職者数÷新規求人数)の低下が続き、企業側が人材採用を満たせていない状況が一段と深刻になっている一方で、一般的な就職実績を表す就業率(就職件数÷新規求人数)は、これまでの高原状態から少し鈍化する動きが目立ってきている。
◆図表2:就職率と充足率
(出所)厚生労働省 拡大画像表示
就業率が鈍化しているのは、これまで増える一方だった就職件数の増加が止まり、減少に転じたことが背景にある。米中貿易戦争などによる海外市場への不安に加え、そもそも国内市場の成長がこれ以上はそう期待できないという見通しから、企業がこれまでの雇用確保に向けた積極姿勢を修正しつつある動きと言える。
 売り手市場とされてきた労働市場で、需給逼迫が鈍化する兆しが表れていることは、異次元緩和からの「出口戦略」を模索し始めている日銀にとっては見過ごせないことだ。
 このところ、海外金利の上昇をきっかけに、円金利も長期、超長期ゾーンを中心に、10年国債利回りは0.15%超え、20年金利は0.69%、30年金利は0.95%まで上昇している。
 長期金利の変動幅を拡大する「政策修正」を7月末にした日銀は、市場のボラティリティーがどこまで上昇し、将来の利上げに対する政策の自由度がどこまで確保されるかを、確認しているところだろう。
 日銀が堂々と金融政策の正常化に向かう上でも、労働市場の逼迫から賃金上昇につながることが期待されていたが、その可能性は一段と下がったとみるべきである。
(三井住友銀行 チーフ・エコノミスト 西岡純子)

https://diamond.jp/articles/-/181709


 

2018年10月10日 堀篭俊材 :朝日新聞編集委員
就活ルール、経団連の廃止決定で「官製」になっても守られるか
大手金融機関が10月1日に都内で開いた内定式。新卒内定者が一同に介する光景もやがてみられなくなってしまうのか…… Photo by Toshiki Horigome
 経団連が、会社説明会や面接などの解禁時期を定めてきた「就活ルール」(就活指針)の廃止を決めた。
 中西宏明会長の突然の「廃止表明」から約1ヵ月、今後は、政府が音頭をとって企業に呼びかける「官製就活」に移行することになる。
 といっても罰則がなければ拘束力はない。経団連に加盟しないIT企業や外資系企業が早くから採用活動をして人材を囲い込む抜け駆けが横行してきたが、労働人口減少時代で「売り手市場」の就活戦線はこのまま漂流するのか。
「寝耳に水」の廃止宣言
その伏線は3ヵ月前
 経団連は9日、正副会長会議で就活指針の廃止について協議した。中西会長は直後の会見で「2021年度以降、経団連は指針を策定しないのが妥当という結論になった」と語り、1953年から財界が作ってきた就活に関するルールを廃止することを正式に宣言した。18人いる副会長から異論は出なかったという。
 中西会長が就活指針の廃止に言及したのは約1ヵ月前、9月3日の会見だった。
 就活指針についてたずねた記者の質問に答え、「経団連が日程を決め、いいの悪いのと批判を浴びるのはおかしな話」。突然、就活指針の廃止に言及したのだ。
「会議では就活の話は一切なし。事務方から報告を受けて、びっくり仰天した」。この日の正副会長会議で中西会長と一緒だった経団連副会長はこう話す。寝耳に水の「宣言」だった。
 だが、唐突に思える発言には伏線があった。約2ヵ月前の7月1日に配信されたネットメディアのインタビューで、中西会長は「やめたらいいと思うんだけどね。経団連の指針なんか」と発言していた。
 この時にも「新卒一括採用はもう時代に合わない」と語り、単なる就活日程だけでなく大学教育や採用のあり方にも疑問を投げかけていた。経団連の事務方は「会長の問題意識はわかっていたので、政府や大学とは水面下で意見交換はしていた」と明かす。
 ここ数年、就活日程は変更されてきた。そのきっかけは5年前にさかのぼる。
 第2次安倍政権が発足した直後の2013年4月、「学生はもっと学業に専念するべきだ」と、安倍晋三首相が「後ろ倒し」を経済界に要請した。
 首相肝いりのルールをなくしてしまう今回の廃止発言に対し、経団連の根回しが効いたのか、安倍政権からは表だった異論は聞こえてこない。世耕弘成経産相は中西発言のあった翌9月4日の閣議後会見で「採用のあり方を一度議論するという趣旨であれば歓迎したい」と語った。
今後は「官製就活」に
「政府が笛吹けど企業は踊らず」の可能性
 経団連の会員企業には就活指針に対する不満が根強くあった。
 現在の指針は「企業説明会は3月1日」「採用面接は6月1日」と解禁日を定める。
 もともと会員企業間の紳士協定で、破っても罰則はなかったとはいえ、暗黙のルールになっていた。
 だが経団連に加盟していない外資系やIT企業はもっと前から採用活動を始めているため、優秀な学生を確保したい加盟企業の間には「守られない指針、守ると不利になる指針なんかいらない」という意見は多かった。副会長企業からは「就活指針をやめられるかどうかが、中西経団連の試金石になる」という声もあがっていた。
 財界総本山としての威信低下が言われて久しい中で、5月末に就任して早くも「中西カラー」を出した今回の問題提起を歓迎する声も出ている。
 ある幹部は「『官製春闘』にみられるように、榊原定征・前会長は安倍政権の意向を受けて財界をまとめる『調整役』だった。政府に対しては受け身の姿勢だったが、中西会長は今回、財界としての意見を強く打ち出した」と評価する。
 しかし、就職先によって世間の評価が決まる大学側は反発する。
 全国の大学などでつくる「就職問題懇談会」(就問懇)は9月10日の会合で、現行ルールを維持することで一致した。就問懇の山口宏樹座長(埼玉大学長)は会合後、これまで経団連と大学側が同じルールで足並みをそろえてきた経緯から、「経団連の指針がなくなるということは、両輪の片方が外れるので好ましくないという意見がほとんどだ」と記者団に語った。
 今は経団連が就活指針を決めると、就問懇が大学、短大、高等専門学校の間で「申合せ」として経団連の指針を遵守することを確認する。最終的には政府側が、内閣官房、文科省、厚労省、経産省の連名で、約440の経済団体や業界団体にも経団連が決めた日程を守るように要請している。
 経団連の廃止決定を受けて、政府は10月9日夕方、関係省庁で就職・採用活動に関する連絡会議を設置すると発表した。経団連、就問懇もオブザーバーで参加する。だが経団連がルールを廃止し、政府や大学でルールをつくったとしても、その実態は経団連がこれまでの枠組みから降りるだけに過ぎない。政府が産業界に呼びかける図式は毎春の「官製春闘」と似ているが、その結果も春闘と同じように「政府が笛吹けど、産業界は踊らず」になる可能性が高い。
インターンシップで「入社パス」
「青田買い」の場に
「学業の妨げになる」と1953年に政府や財界、大学との間で就職協定が始まってから、就活はいつも早期化と見直しの歴史を繰り返してきた。(図表参照)。

拡大画像表示
 1960年中盤には大学3年の2〜3月に内定が出される事態が相次ぎ、「青田買い」「種もみ買い」といわれた。「協定破り」が横行したのを受けて1997年に就職協定が廃止されて以降も、採用活動の早期化に歯止めがかからなかった。
 これまでも財界が就活ルールを見直したことは度々ある。1996年に日経連(現経団連)の根本二郎会長が「守れないのなら、就職協定の廃止もやむなし」といって協定を廃止。拘束力のない倫理憲章に移行したが、結局は企業の採用活動を野放しにして終った。
 ようやく落ち着いたのは、安倍政権の要請を受けて経団連が動き、現在の就活指針ができた2013年になってからだ。罰則がないといっても廃止されれば、さらなる早期化につながるだけになる可能性は高い。
 就職協定が廃止された約20年前と今と大きく変わったのは、本来は就業体験という教育の場であるはずのインターンシップの存在だ。学生の「青田買い」の場になっている例もある。
 たとえば、大手企業向けソフトウェアメーカーのワークスアプリケーションズ(東京)は、大学1年でも参加できる約1ヵ月のインターンシップを実施し、優秀と認めた学生に「入社パス」を出している。
 パスをもらった学生は大学を卒業しなくても、最長3年の間に権利を行使すれば入社できる。同社は「2日や3日の面接では学生を見極めることは難しい。会社の業務を知ってもらえればミスマッチも防げる」(広報担当者)という。
 最近はとくに1日だけの「1dayインターンシップ」が盛んに行われている。
 会社説明会が解禁される直前の2月に行う企業も多く、「説明会とほとんど区別がつかない」「1日だけで就業体験とは呼べるのか」と疑問視する関係者は少なくない。
 就職情報会社マイナビの調査によると、今年2月に1dayインターンシップを開催した企業は調査対象の約1千社のうち81%にものぼった。
 マイナビの栗田卓也リサーチ&マーケティング部長は「就活を始める目安はあった方がいい。もしなくなれば中小企業は圧倒的に不利になる」と指摘する。目安がなくなると大手企業がいつでも採用活動をするようになり、いつも後回しになる中小企業の採用活動に支障が出るからだ。
 日本商工会議所の三村明夫会頭も「何らかのルールは必要。これがないと就職活動が際限なく早まってしまう」とルール存続を求めている。
学生も企業も反応は複雑
誰のための廃止なのか
 学生の反応はどうだろうか。9月末に東京都内であった就職情報会社・学情の就活イベントでたずねてみた。
 第1志望の出版業界がかなわず、現在も就活中の私立大4年の女子学生(22)は「大学1、2年から就活が始まり、勉強に専念していた学生が不利になる現状はおかしい。ルールがなくなればもっと不利になる」と話す。一方、「早いうちに決まった方が卒論に専念できる」と肯定派の私立大4年の男子学生(22)もいた。
 企業の採用担当者も反応は分かれる。人手不足に悩む介護サービス会社からは「ルール廃止で採用競争が激しくなり、介護業界はますます学生が採りにくくなる」と心配する。
 食品メーカーの採用担当者は「リクルーターが出身校を回るOB訪問の時期を早めて対応する。とくに影響はない」と話しつつ、「内定を出した学生をつなぎとめておく手間とコストが増える」と警戒する。
 学生や企業の声を聞いても、結局は誰のための就活ルール廃止なのかははっきりとしない。
新卒一括採用見直しも議論
「見えざる手」か「最大多数の幸福」か
 経団連の就活ルール廃止の余波は単に日程の話だけで終わりそうもない。
 中西会長の目線は、日本社会に特有といわれる「新卒一括採用」も向けられているからだ。
 出身の日立製作所で欧米に長年、駐在した経験からか、欧米で主流の「通年採用」が持論だ。
 これまでの会見などでも「大学を出たばかりの新卒を一括して採用する仕組みはもう時代に合わない」「学生は大学にいる間にもっと勉強するべきだ。印象がいいとか、偏差値が高い大学から採用するのはもうやめようと考えている」とも発言し、その矛先は企業の採用や大学教育のあり方にも向けられる。
 中西会長は10月9日の会見でも、「もともと大学教育と職業のつながりが希薄であるというのは、反省しないといけない。企業側の責任もあるし、大学側はもっと責任がある」と語った。中西会長が有識者議員を務める政府の未来投資会議では、新卒一括採用についても話し合う予定だ。
 終身雇用や年功序列型賃金と並んで、新卒一括採用は日本型雇用の特徴といわれてきた。
 新卒を対象に一時期に就職を決めるこの採用方法だと「ワンチャンス就活」になる。大学出の新卒社員の3割が3年で辞めてしまうミスマッチを招いていると指摘される。一方、新卒に限定しない欧米流の採用方法に比べて若者の失業率が低いのは、卒業と同時に就職しやすい新卒一括採用のメリットでもある。
 10月1日、首都圏にある大手企業は一斉に内定式を開いた。台風の影響で延期・中止した企業も目立ったが、大手金融機関の内定式では紺のリクルートスーツで身を固めた約250人が参加した。
 就活の早期化や通年採用で内定式も形骸化しているといわれるが、就活ルールの廃止でこうした光景もやがてはみられなくなるのかもしれない。
 しかし、「官製就活」になっても、すでに抜け駆けしているIT企業、事実上の青田買いを野放しにしている現在のインターンシップまで縛ることができるとは思えない。
 また今回の「就活ルール廃止」は、中西会長の発言をきっかけに「守る方が損するようなルールはやめてしまえ」という大手企業に根強くあった不満が噴出する形で決着した。企業側の損得ばかりが論じられ、学生にとってどういうやり方がいいのかの議論はほとんどないままだった。
 
 これから就活生の行く先は、結局は各企業の判断に任せるアダム・スミスの「見えざる手」にゆだねられるのだろうか。企業が自由に採用競争をすればおのずと人材がうまく配分され、企業の競争力がつくということなのか。
 経団連のある副会長は「就活ルールはアダム・スミスではなく、ベンサムでいくべきだ」という。市場原理ではなく、採用される側の学生のためになり、中小企業もそれなりの人材が確保できる「最大多数の最大幸福」で考えるべきだというわけだ。
 ルールを廃止するのなら、まず学生、次いで中小企業の声に目配りするのが当然だろう。いうまでもなく、「大手企業の最大幸福」だけで終わらせてはならない。
(朝日新聞編集委員 堀篭俊材)
https://diamond.jp/articles/-/181716

 

就活、経団連ルール廃止を正式決定
ニュースを斬る
「変な状況はやめる」と中西・経団連会長

2018年10月9日(火)
山田 宏逸

 経団連は9日、経団連が主導して大学生の就職活動の時期を決めるこれまでのルールを廃止すると正式決定した。2020年春入社の学生(今の大学3年生)を最後に、経団連はルールづくりから手を引き、政府と大学による協議に委ねる。中西宏明会長は「我々がルールを作って社会が従う、従わないとか、そういう変な状況はやめる」と述べた。


 就活ルールが誕生したのは1953年の旧文部省、大学、経済界の申し合わせがきっかけ。今は3月の会社説明会解禁、6月の面接解禁、10月の内定という3段階を踏むが、最近はIT(情報技術)分野など非加盟企業による解禁破りが相次ぐ。日程を早めては「朝令暮改」、日程を維持すると「守旧派」などと批判されてきた状況に、「ルールを抱えていることのリスクが多すぎる」(経団連関係者)との判断に傾いた。

 今後、政府と大学が中心になって適当な日程を話し合う予定だが、常識的に考えて今の経団連ルールより「縛り」はゆるくなる。経団連もその枠組みに加わるものの、経緯が経緯だけに主導的な役割を果たす考えはない。経団連加盟の大手企業が堂々と解禁破りをする事態が想定されるほか、ルールの形骸化が強まったり、青田買いの動きは早まったりする可能性が高そうだ。中小企業にとって深刻な採用難が続く懸念も残った。


このコラムについて
ニュースを斬る
日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/100900869  

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コメント
1. 2018年10月10日 21:00:59 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1639] 報告
「危機」が変えた経済モデル バブル理論など なお課題
小林慶一郎 慶大教授
2018/10/10付
日本経済新聞 朝刊
ポイント
○マクロ標準モデルが金融危機予測できず
○モデルの改良進んだが危機の原因は不問
○バブル解明へ「人間の合理性」見直す動き
 2008年9月15日にリーマン・ブラザーズが経営破綻し、世界的な金融危機が発生してから今年で10年となる。米ノースウエスタン大学のローレンス・クリスティアーノ教授らは今年夏の「DSGEについて」という論文で、危機の前後でのマクロ経済学モデルの変化を回顧している。DSGEとは、現代のマクロ経済学の標準的なモデルである「動学的確率的一般均衡モデル」の略称である。
◇   ◇
 「嵐の前」すなわち金融危機の前のDSGEモデルは、理想的な完全競争市場を仮定し、そこに「価格の硬直性」を仮定することで、金融政策の効果が表れるとした。このタイプのDSGEモデルは、ケインズ経済学をモデルにしたものという意味でニューケインジアン・モデルといわれ、危機前には金融政策の分析に大学の経済学者の間で広く用いられた。
 これらの分析は、世界金融危機を事前に予測できなかった、と批判される。当時のDSGEモデルは金融システムをほぼ無視していたことが理由だが、クリスティアーノ教授らは、08年以前の米国経済のデータからは金融システムは重要でないように見えたので、それを無視したのは無理もないと弁明している。「100年に1度の危機は対象外」ということだ。
 米コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授は18年の論文で「重病の患者がやってきたときに、医者が『ごめんね、私は風邪しか扱わないんだ』と言ったらどう思われるか」と述べている。クリスティアーノ教授らの弁明は、スティグリッツ教授の批判に対する有効な反論になっていないように思われる。
 「嵐の後」すなわち金融危機後のDSGEモデルは、金融危機を予測できなかった反省から、「銀行システム」や「ゼロ金利制約」を次々と導入し、発展を続けている。しかし主流派の流儀はあくまで、人々がすべての情報を使って将来を合理的に予想するという通常の「合理的期待」の枠内での工夫であり、そのことに不満を感じる者もいる。その点は後述する。
 米ニューヨーク大学のマーク・ガートラー教授と米プリンストン大学の清滝信宏教授は15年の論文で、DSGEモデルの世界に銀行システムを導入し、銀行取り付けが起きる可能性を示し、金融システムの脆弱性を分析した。預金者が一斉に預金を引き出すと銀行の現金準備が足りなくなり、破綻する。これが銀行取り付けだが、リーマン・ショックのような急激な金融危機は、銀行取り付けの一種としてモデル化できる。
 危機後は各国が金融緩和を続け、世界的に低金利が常態化している。名目金利はゼロ以下にはならないという「ゼロ金利制約」に研究者の注目が集まっている。現金は名目金利がゼロだから、中央銀行が名目金利をマイナスにしようとしたら、人々は預金を引き出して現金を保有することで、金利を少なくともゼロにできる。そのため、中央銀行は名目金利をゼロ以下にできないというゼロ金利制約の壁に突き当たるのである。
 経済がゼロ金利制約に突き当たると、それまでなかったことが起きるようになる。ゼロ金利制約と金融によるゆがみが組み合わさることで、不況が極端に長引くことが示される。これは金融危機後の世界経済の低迷を説明する要因かもしれない。またゼロ金利制約の下では、財政政策が強力に効くことがDSGEモデルから予見される。米国での財政政策の拡大の是非を巡る議論と、学界の研究は大きく関連していたのである。
 さらに、ゼロ金利制約の下では、金融政策としてフォワードガイダンス(将来の指針)が強力に効きすぎることがモデルから予見される(これを「フォワードガイダンス・パズル」という)。情報の伝達にコストがかかるモデルでは、このようなパズルは起きないことが示される。
 このようにゼロ金利制約はDSGE研究の最新のテーマである。日銀は約20年にわたり、理論上まだ正解が知られていないゼロ金利政策を手探りで進めてきたことになる。
 金融危機後のDSGE研究では、金融のゆがみやゼロ金利制約などの非線形な変動要因は取り入れられたが、「なぜ危機を起こすほど大きなショックが生まれたのか」あるいは「なぜ金融システムの脆弱性が蓄積されたのか」という危機の原因は依然として不問に付されている。
◇   ◇
 現実には、不動産や株式などの資産バブルの膨張がマグマとなり、バブル崩壊によって危機が発生したというのが世の中の通念だろう。しかし、このような通念を描写するマクロ経済学のモデルはできていない。17年10月17日付本欄で紹介したようにバブルの理論はあるが、そこでのバブルは合理的バブルと呼ばれ、経済のゆがみを拡大するものではなく、現実のバブルとはかけ離れている。
 貨幣供給が増えているのにデフレが続くという長期デフレの現実を説明できるモデルもなかった(13年6月17日付本欄)。デフレは貨幣の価値が上昇することだから、長期デフレは「貨幣についてのバブル」だと解釈できる。
 合理的期待の枠組みでバブルのモデルが作りにくいのは、「横断性条件」があるからである。横断性条件とは「合理的な人は(遺産を残す相手がいなければ)死ぬまでに財産を使いつくすはずだ」という条件である(図参照)。合理的な個人は死ぬ時に財産を使い残して無駄にするはずはない、ということである。この横断性条件が成立している経済では、膨張し崩壊するバブルは存在できないことが示される。

 横断性条件は、個人の合理性が極端に強いことを想定する超合理性ともいうべき仮定である。今日の消費や貯蓄を、30年先の財産が無駄にならないように決める、ということである。現実の世界に、そのような人間はいないだろう。そこで個人の合理性の仮定を緩めて「限定された合理性」をモデルに導入することも試みられている。名称だけ例示すると、k―レベル思考やロバスト・コントロールなどの手法が提案されている。
 なかでもプリンストン大のクリストファー・シムズ教授は、人間の合理性を外から制限するのではなく、根本的な合理性は維持しながら、人々が異なる意見を持つことを説明する「合理的不注意」の理論を提唱している。人間が情報を処理する能力は有限であり、情報を処理するには精神的なコストもかかるので、膨大な情報に接しても、一部分の情報は無視することが合理的な判断となる。これが合理的不注意である。
 さらに人によって関心事項も違うので、同じ情報に接しても、無視する情報は一人一人異なる。こうして同じ情報がすべての人に与えられても、人は合理的に情報の一部を無視するので、人々の間に意見の不一致が残り続ける。
 シムズ教授は、将来のインフレ期待について人々に意見の不一致があると、金融緩和によって投資が増え、景気が良くなることを示している。また、インフレの原因が総需要の過熱だとするニューケインジアン・モデルの根本的な在り方を批判し、むしろ合理的不注意による意見の不一致がインフレの要因として重要ではないかと強調している。
◇   ◇
 合理的不注意の理論などによって横断性条件を緩和できれば、バブルの発散・崩壊や長期デフレ均衡の存在も説明できるかもしれない。金融危機後10年たっても、マクロ経済学研究の課題は大きい。
※4人の筆者が交代で執筆、原則、月1回掲載します。 


[18初期非表示理由]:担当:要点がまとまってない長文orスレ違いの長文多数により全部処理
2. 2018年10月10日 23:15:38 : Y9FO76H3zY : NHyb1eI@qfM[1] 報告
駐日フィンランド大使館
「就活ルール廃止が話題だけど、フィンランドは新卒採用の枠がなくて勉強と就職時期があいまい。経験者と争わないといけないから50社に履歴書をだしても面接にたどりつけないことも。だから夏休みにインターシップで3か月働いたり、休学して期間限定の雇用で経験を積んだり。仕事と学業両立する人も」

「大学卒業の時期も厳密には決まっていなくて、論文提出して卒業申請をして受理されたら卒業。就職してもしばらく学生のステータスを維持する人もいるし、運よく仕事が早く決まって勉強を後回しにする人も。職種にもよるけれど、大学卒業してすぐにフルタイムの雇用契約の仕事につけたら相当ラッキーかな」

「皆が就職や卒業を一緒にする訳ではないので選択もバラバラ。ここ最近大使館にきた研修生達も、就職が決まるまで学生、卒業して失業手当を申請、海外留学、全世界を視野に就活、他のインターンシップをする、進学、起業、スキル習得、別分野の勉強開始など様々。楽ではないけどそこまで悲壮感もないかな」
https://twitter.com/FinEmbTokyo/status/1049944968553517056

生きていく方法は一つではない。
幸せも一種類ではない。当たり前だけど…

3. 2018年10月11日 18:12:52 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1569] 報告
AI時代も不安なし!華僑的「シェア」実践論
華僑直伝ずるゆる処世術
2018年10月11日(木)
大城 太


 これからのトレンドであるAI絡みの用語でRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)という言葉をよく目にするようになりました。RPAとはホワイトカラーの間接業務などを自動化するテクノロジー全般のことを指します。RPAを導入すれば、エクセルへの入力などやネットからの情報収集などを自動化できるようになります。

 RPA導入でどの業務を自動化するかの判断は正社員やコンサルティング会社などが手がけるが、実際にソフトを設定するのは事務の派遣スタッフだ。(日本経済新聞10月4日朝刊2面より)
 派遣社員も時代の要請に応じたスキルが要求されるようになっており、人手不足とはいえ、個々人の差は今後広がっていくかもしれません。それに拍車をかけるのがBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)市場の広がりです。これは社外に業務を委託することですが、人件費の安い海外へのBPOは2020年までに4兆円に達する見通しという試算もあります。4兆円分の仕事が日本人から消えるのです。年収1000万円計算で40万人分、500万円計算で80万人分の所得の原資が消える計算になります。

 海外には出せない、AI、RPAではできないことをやれることが今後のキャリアパスとして必要なのはいうまでもありません。

 まず一番のスキルとしてあげられるのがコミュニケーション能力でしょう。コミュニケーション能力の中に粘りが必要となってきます。

 例えば、AIなどが営業の代わりをする時代になると、何度接触しても購入に至らない、有益な商談進捗がないとなった場合、コンピューターはこの見込み客を見込みなし、と判定します。ですが、人間対人間の場合、たまたま機嫌が良くて契約締結ということはよくあることです。このようなたまたま相手の気分次第で、というのはコンピューターの苦手とするところであり、粘りのある人間が圧倒的に有利な分野でもあります。

 コミュニケーション能力アップとは、まさにトータル的な人間力勝負でもあります。お金儲けの代名詞となっている華僑は、とにかくコミュニケーションをとることを重視しています。彼らがバイブルとして使う『四書五経』をはじめとした中国古典には先人たちのその叡智が詰まっており、彼らは勉強として中国古典を読むのではなく、実践の書として使い倒しています。

自分を高める学びとは? 筆者の失敗談

 『論語』にある「君子は文を以って友を会し、友を以って仁を輔く」は彼らの人付き合いを表しています。意味としては「立派な人間になる人は、学問を通じて友達を作り、友達を通じてお互いの人徳を高め合う」でいいでしょう。

 現代はオンデマンド配信などを利用すれば、学びたい人はいつでも学べる環境が整いつつあります。社会人になっても学びを求める姿は尊いものがあります。学習欲。学習欲というものは数多くある欲の中でも高級な扱いを受けますが、欲は欲なのです。再度、『論語』の「君子は文を以って友を会し、友を以って仁を輔く」を見てみましょう。

 孔子の説く道徳観念の「仁」には、克己・自己抑制の意味もあります。欲に惑わされず、本当に自分にとってためになる環境・友達・学びを得るために、私の失敗談をお伝えします。

 月の小遣いが3万円の会社員時代から高額な勉強会にお金を使ってきたのが私の自慢の一つですが、それだけに失敗経験も豊富です。最近では、超有名な経済人が塾長を務める塾に喜び勇んで入塾したものの「間違えた」とすぐに気づきました。

 素晴らしい塾ではあるのですが、対象者が私ではなかったのです。塾生の大半は名だたる企業の幹部もしくは幹部候補生。会社員として他社の幹部との交流も含め、会社員として集まった人たち対象だったため、私のような小さな会社のオーナー経営者とは求める学びが本質的に違います。

 普段、交流のない人たちに出会えたのはよかったのですが、互いを高め合える仲には至りませんでした。レベルの違いならまだしも、目的の違いはどうしようもありませんでした。この手の失敗を繰り返す私の弱点をビシッと指摘してくれたのは、他ならぬ華僑の師です。

 「あなたが起業するとき、私は言いました。形から入ってはいけない、と。それがちょっと儲かったからといって格好つけても意味がない。勉強するのはいいことですけれども、今のビジネスの規模で学者や大企業が作った形を真似してもなんの意味もないよ」

 なかなかに手厳しい指摘ではありますが、言われるだけのバカをやっているのです。実は他にも海外へ留学してMBAを取得するぞ、という学習欲のビッグウェーブに自分でも翻弄されていました。

 この波に飲まれると、朝まで夢中になって大学のウェブサイトや入試範囲を調べるなど、無意味なことに膨大な時間を費やす羽目に。ですが冷静に考えてみれば、ベンチャー経営者の私にとって海外MBAは不要なもの。私がやるべきは師の言う通り、理屈に現実を当てはめることではなく、現実をどうするかを考えることなのです。

「上善如水」も精神論に非ず。華僑の実践的解釈

 ではどのようなことを意識して、コミュニケーション能力をアップすればいいのでしょうか?

 コミュニケーションとは、お互いの利(利益・利得など)や理(理論や理屈など)を理解し合うことに他なりません。また、ビジネスパーソンにとっては、武器としてのコミュニケーション術も身につけていかなければなりません。

 そのための心得として『老子』の「上善水の如し」は参考になるでしょう。日本の故事と感じるくらい日本でも馴染み深く、目にも耳にも心地よいこの言葉を人生訓としている日本人の方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 意味としては、水は万物を利して争わないのが素晴らしい。人が嫌がる低い所、下へ向かって流れて落ち着く水のように生きたいものだ、と。『老子』とほぼ同時代とみられる『孫子』も「兵の形は水に象(かたど)る。水の形は高きを避けて下きに趨(おもむ)く」と述べています。軍隊は水のように柔軟であるべきで、水が高いところを避けて低いところへ流れていくように、敵の充実しているところを避けて手薄なところを攻めるのが良い、と言っています。

 華僑は、中国古典を「勉強になるな、なるほど」とは読みません。自分と立場を置き換えて、実践に移します。上記の『老子』と『孫子』を掛け合わせて彼らは独自論で自分の進むべき道を模索していきます。

低いところへ利を流して潤わせ、
利を抱え込む者の虚を衝き、
高いところからの流れに抗わない。
 「低いところへ利を流して潤わせ」とは、例えば身銭を切って部下の面倒をみてあげることや、自分の功績を主張せずに部下の協力のもと達成できたということで、部下の功績にしてあげる。利益を下に分け与えて味方にしておけば、下から自然に持ち上げてもらえるようになるでしょう。

 「利を抱え込む者の虚を衝き」とは、欲深いライバルを出し抜くことです。下に利を流したがらない人から味方を奪うのは容易いことです。奇想天外なことをやらずとも、こちらが下へ利を流すようにしておけば、勝手にこちらに加勢してもらえ、相手はうろたえることになるでしょう。正に簡単に虚を衝くことができます。

 「高いところからの流れに抗わない」とは、強いライバルが出現した場合に、敵対せずに受け入れ、その力の恩恵に与るように仕向けることです。

 水は低いところに流れるという古典の言葉から、自分よりも低いところに気を取られがちですが、自分よりも高いところから流れてくる水も当然あるわけです。例えば、自社よりも大手の参入。業界最大手なら、政府官公庁・海外企業の参入など。シェアを奪われてはいけないと業界やグループで一丸となって抵抗する向きもありますが、大手はシェアを奪うだけではなく、業界のパイを広げて業界を活性化する力も持っています。

 大手の参入によってシェアが下がっても、利益を増やせる可能性は大いにあるということです。それを忘れてはいけません。これは個人間のビジネスパーソンでも同じことです。他社や他部署から役員お気に入りの人員が投入されたといって、敬遠・警戒するのではなく、そのスーパーマンの新しく強い力を利用して、自分のポジション範囲を広げることはいくらでも可能になってくるのです。

 大手やスーパーマンは、小川に大量の水を勢いよく流し込んで運河に変え、しかも「ここに運河ができたよ」と宣伝までしてくれるのです。流れのベクトルは同じなのですから、抗って流れを止めるよりも、流れに乗るが勝ちなのです。これを個人レベルで見た場合は、世の中の流れがIT化や労働生産性アップなので、うまくそれに乗れば、評価はよくなることでしょう。

「身軽」を心がければ無為自然に浮上する

 前述したことなどを踏まえ、華僑たちはよく「お金は水のようなものだ」と言います。循環させなければ腐ってしまう。だからといって、自分が水のように生きる、というのとは少々ニュアンスが違います。華僑のイメージは、自分は水に浮かんでいる存在と考えています。魚釣りのウキみたいな感じでしょうか。

 水に浮かぶには、自分を身軽にしておかなければなりません。金貨がぎっしり詰まったズタ袋を抱えていては、浮かぶことはできずに沈んでしまって、溺れてしまいます。だからこそ、利を自分一人で抱え込まずに仲間に流して循環させ、仲間の水を増やしながら自分も浮かび上がっていくのです。

 そのように他者にも分け与える精神があれば、コミュニケーションは向こうから自然に取れるような状態がやってきます。お金や仕事を生かし、お金や仕事に生かされ、他者とお金や仕事を奪い合うことなく、共に生きながらえることを考えるひとが、無為自然に浮上し、コミュニケーションの達人への道が開かれるのです。

AIに仕事を奪われる? 中間管理職の焦り

 それでは“ずるゆるマスター”の事例を見てみましょう。

 中管理職のQさんは困っています。世間は株高だ、言ってる間に東京五輪だ、攻め時なのに人手不足だ、と景気のいい話を読んだり聞いたりしますが、それと同じく各種紙面や会話にでてくるAI時代の到来、IoTによる無人化に加え、RPA、BPOと中間管理職の従来の仕事を奪うモノやサービスの実用化とそのスピードに複雑な気分にさせられます。

 部下の数字の管理も、お客さんや業界の動向分析も、全部コンピューターの仕事として奪われるんじゃないだろうか。ソフトバンクとトヨタの合弁会社の話も人間抜きの自動運転車の現実感を増す不安要素にしか聞こえません。

 今は、まだまだそれらも一部企業が一部機能を使っているに過ぎないけれども、ウィンドウズ95が発売されて5年後にはどの会社でもパソコンが当たり前のように導入されたように、便利な機能満載のコンピューター群の発展が解決しようのない不安感を増幅させます。

 悩んでいても仕方ないので、O部長に相談することにしました。Oさんは役員間違いなしと噂されているやり手の“ずるゆるマスター”です。

 「という訳で非常に萎えており、今後何をしていけばいいのか悩んでおります」

 「正直に話してくれてありがとう。確かにQ君がいうようにIT分野の発展のスピードは目覚ましいものがあるね。でも忘れてはいけないのは、私たちが生きている社会は人間社会ということだ。ディープラーニングが進み、シンギュラリティが現実のものとなったとしても、人間社会である以上、人間が中心でコミュニケーションがなくなることはない。実際、車や飛行機、電車は人間よりも早く目的地まで運んでくれる。移動の速さで人間を軽く凌駕している。だからといって、人間が歩くのをやめたかい? 便利なものはより便利になっていくだろうけれども、普遍的なものは変わらない。ビジネスパーソンにとっては、それがコミュニケーション能力だよ」

 「言われてみれば、仰る通りですね。週末にジョギングもしております」

 「会社というものは個人プレーをするために人が集まっているのではない。一人では成し得ないことを人と人が組んでレバレッジをかけてより大きな成果を出すために存在している器なんだ。上善水の如しだよ」

 「ITの発展と上善水の如しがどのように関係があるのでしょうか?」

 「善い(良い)の更に上を目指すなら、水のように多くの人が嫌がるような下へ向かうようなことを進んでやることだね。みんな上昇志向ばかりが認められると勘違いしているけれども、水が高きから低きに流れるように、下のことも考えられる人間は必ず評価される。また、水は常に循環させていると、腐ることがない」

 「今の私は思考停止になって、腐りかけているのかもしれませんね」

 「それは自分を卑下し過ぎているとは思うけれども、ひとところに停滞すれば、いずれ腐ってしまうのは自然の摂理だね。変化に対応できるコミュニケーション能力がとても大切になる」

 「具体的に私はどのようにすればいいのでしょうか?」

シェア経済の波に乗るにも、まず利を抱え込まないこと

 「時代の波に乗ることはとても大切だ。今の時代の流れとしてシェア経済がトレンドの一つだね。自分一人で利を抱え込まないことがまず、前提条件になる。その前提条件があれば、ITは怖くないよ、ITと共生できる」

 「はい、利を自分で抱え込まない、その前提条件ができれば、次は何を考えればよろしいでしょうか?」

「孫子の『兵の形は水に象る。水の形は高きを避けて下きに趨く』は以前に伝えたよね。低いところへ利を流して潤わせ、利を抱え込む者の虚を衝き、高いところからの流れに抗わない、を実践すればいい」

 「ありがとうございます。低いところへ利を流して潤わせ、利を抱え込む者の虚を衝き、高いところからの流れに抗わない。これは以前お教えいただいた時に手帳のここに記しておりました。それこそがITにはできない人間力になるのですね」

 「そうだ、よく理解してくれたね。Q君の未来は明るいと思うよ」

 「ありがとうございます。早速、お教えいただいた孫子の解説を課のみんなと共有します」

 「素晴らしい。頑張って」


 1週間後、溌剌とした顔でパソコンに向かっているQさんの姿がありました。どちらかというとおっとりしているように見えることがあるほどなのに、常に先端の事例理解が早く、機転が利き、企画を通すのがうまいあの人は、「上善水の如し」を深く理解している“ずるゆるマスター”かもしれません。

 拙著『華僑の大富豪に学ぶ ずるゆる最強の仕事術』では、中国古典の教えをずるく、ゆるく活用している華僑の仕事術を「生産性」「やり抜く力」「出世」「マネジメント」「交渉術」の5章立てで詳しく解説しています。当コラムとあわせてぜひお読みください。


このコラムについて
華僑直伝ずるゆる処世術
 世界各地に移住し、そしてその土地土地で商売を成功に導いている華僑。華僑は日本人ではなかなかマネができない“生き方のコツ”を持っている。“生き方のコツ”と一口に言ってもビジネス、家庭生活、対人関係、子育てなど多岐に渡る。本コラムでは、華僑の師から学び実践して結果を出してきた筆者が、生真面目な日本のビジネスパーソンにぜひ取り入れてほしい成功術を紹介する。華僑のずる賢くもゆるく合理的な処世術(世渡り術)はきっと仕事にも人生にも役立つはずだ。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/022500005/101000072/?ST=editor


 

WEDGE REPORT
ベトナム人が夢見る「1カ月で年収が稼げる国」偽装留学生の闇A
2018/10/11
出井康博 (ジャーナリスト)

出稼ぎ斡旋業者の建物内に掲げられた日本語の標語(筆者撮影)
 「留学」を装った日本への「出稼ぎブーム」が続くベトナムーー。“偽装留学生”の送り出し現場はどんなものなのか。留学斡旋業者が首都ハノイで営む日本語学校を訪ねてみた。
 学校があるのは、ハノイ中心街から車で30分ほど行った住宅街だ。車もすれ違えない狭い路地の続く一帯で、両側にぎっしりと並ぶ2〜3階建ての古い建物には、大量の洗濯物が干してある。そんな下町の一角に学校がつくられていた。
 学校は3階建てのビルを丸ごと使っていて、1階は事務所と留学希望者が日本語を学ぶ教室、そして2階に教室が二つ、3階は学生の寮になっている。学校を経営するV社の「採用担当部長」ファンさんが出迎えてくれた。
斡旋業者は、ハノイだけで200を数える
 「うちの会社はハノイに何カ所か学校があるんです。ここは小さい方です。学生は100人もいませんからね」
 ブランド物のシャツとズボン、革靴に身を包んだファンさんは、リッチな若手ビジネスマンといった雰囲気だ。
 彼は日本で3年間、実習生として働いて経験があり、日常会話には十分な日本語を話す。学校で教えている日本語教師も、日本で実習や留学を経験したベトナム人が大半なのだという。
 留学斡旋業者の数は、ハノイだけで200以上とも言われる。しかし、V社のように日本語学校まで持っている業者は多くない。「日本語教育までやっているのは1割ほどで、大多数は留学希望者を集め、日本語すら教えず日本の日本語学校へ送り込んでいる」(現地の事情通)のが実態だ。こうした業者こそ、「出稼ぎブーム」の仕掛人なのである。
 「出稼ぎブーム」の経緯を簡単に振り返っておこう。日本へ留学するベトナム人が増え始めるのは2012年頃からだ。同年、ベトナム人留学生の数は8811人を数え、前年から3000人以上増加した。以降、年を追って増加のペースは加速し、現在では8万人以上にまで膨らんでいる。
 その背景には、日本側の事情がある。政府は2008年から「留学生30万人計画」を進めていた。しかし11年に福島第一原発事故の影響もあって、留学生全体の7割近くを占めていた中国人が減少に転じた。中国経済が発展し、日本へ出稼ぎに行くメリットが薄らいだことも減少に拍車をかけた。そこで政府は留学生を確保するため、ビザの発給基準を大幅に緩めた。結果、ベトナム人を中心に出稼ぎを目的とする“偽装留学生”の流入が起き始める。
日本に留学すれば、月20万〜30万稼げる
 ベトナム経済も成長しているとはいえ、恩恵は一般庶民にまで届いていない。共産主義国で、かつ賄賂大国という事情もあって、政府の有力者にコネのない若者には生き難い国でもある。海外への出稼ぎ希望者は多いが、行き先は台湾や韓国、もしくは実習生を受け入れる日本などに限られる。そんななか、日本への「留学」の道が開かれたのだ。
 ただし、よほどの富裕層でなければ、日本の留学ビザを取得するための経済力はない。ベトナムの庶民が日本へ留学するためには、斡旋業者に頼り、ビザ取得に必要な証明書類をでっち上げてもらうしかないのだ。
 「日本に留学すれば、月20万〜30万円は簡単に稼げる」
 出稼ぎブームの初期には、そんな甘い言葉で若者を勧誘する斡旋業者も多かった。「20万〜30万円」といえば、ベトナム庶民の年収に匹敵する金額だ。留学生のアルバイトとして認められる「週28時間以内」という法律を守っていれば稼げないが、事情を知らないベトナム人たちは業者のもとへ殺到した。そして、でっち上げの数字が並ぶ書類を準備してもらい、続々と日本へ出稼ぎに行くことになった。
 斡旋業者には、日本へ留学生を送り出せば1人当たり数十万円が入る。留学希望者が支払う手数料に加え、受け入れ先となる日本側の日本語学校から1人の留学生につき10万円程度のキックバックがあるからだ。物価水準が日本の10分の1程度のベトナムでは、日本への留学生送り出しは「産業」と呼べるほどだ。
 斡旋ビジネスには、現地の日本人が関わっているケースも目立つ。受け入れ先の日本語学校とのやり取りなどが生じるからだ。
 「ハノイで複数の日本語学校を経営し、1億円以上も稼いだと豪語している日本人もいる」(現地在住の日本人)
 行政機関や銀行に賄賂を払い、ビザ取得に必要な書類をでっち上げ、日本へと留学生を送り込んでのことだ。
日本で何年、働きたいですか?
 ファンさんへの取材を終える頃、彼が遠慮がちにこう頼んできた。
 「学生に話をしてもらえませんか?」
 筆者が応じると、教室へと案内された。日本への留学を希望する学生たちの前で、ファンさんは私を「日本から来た先生」だと紹介した。その瞬間、教室にいた約20人の学生たちの目の色が変わった。日本の日本語学校関係者が、留学生のリクルートに来たと勘違いしたようなのだ。
 学生たちには、本当に日本へ行けるのかどうか不安を抱えている。莫大な借金を抱えて留学するというのに、業者のことを信用していない。そうした彼らの心情を察し、ファンさんは日本人の筆者を学生たちの前に連れ出し、彼の会社が日本とコネクションがあると示そうとしたのだ。
 「日本で何年、働きたいですか?」
 学生たちにそんな質問を投げかけてみた。「出稼ぎ」を前提にした問いである。質問は元実習生で、カタコトの日本語を話すベトナム人教師が訳してくれた。
 挙手を求めると、ほとんどの学生が「5年」と答えた。なかには「10年」という学生もいたが、彼らは当たり前にように手を挙げている。留学希望者の目的は、やはり「勉強」ではなく出稼ぎなのである。
 学生は皆、純朴そうだった。聞けば大半が、ハノイ以外の出身者だという。現在、日本への「出稼ぎブーム」の中心は、都市部から田舎へと移っているのだ。(続)
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14169

 
ESG投資は死語になる?
Beyond 2020 by 日経ESG
ロベコ・ジャパン坪田史郎社長に聞く
2018年10月11日(木)
相馬 隆宏
 企業の環境や社会課題への取り組みや、ガバナンス(企業統治)も考慮して投資する「ESG(環境・社会・ガバナンス)投資」が世界で広がっている。
 世界持続可能投資連合(GSIA)によれば、世界のESG投資額は2016年に22.9兆ドル(約2755兆円)に達した。これは総投資額の26%を占めており、欧州に限れば既に53%がESG投資になっている。
 ESG投資に早くから取り組んでいるのがオランダに本拠を置く資産運用会社のロベコである。ESG投資では、どのように企業を評価しているのか、運用パフォーマンスは上がっているのか。日本法人であるロベコ・ジャパンの坪田史郎社長に聞いた。
ESG投資を取り入れる機関投資家が増えている。ロベコのESG投資の特徴はどこにあるのか。

坪田史郎氏
ロベコ・ジャパン社長(写真:北山 宏一)
坪田:ロベコでは、世界で1020億ユーロ(約13兆円)の資産残高がESG投資の対象になっている。日本の顧客については3600億円を運用している。株式でも外国債券でも、ESG情報の分析を通常の財務情報の分析プロセスに統合している。
 当社の特徴は大きく2つある。まず、長い歴史がある。オランダのロッテルダムに本拠を置くロベコは、1990年代からESGの観点での企業分析を運用のプロセスに統合している。当時はまだ誰もESGに見向きもしなかった。ESG情報の分析を運用手法に取り入れた最も古い会社の1つだろう。
 次に、ESG情報のリサーチ機能やデータベースを社内に持っていることだ。株式や債券の運用にこのデータベースを生かしている。スイスのチューリッヒに本拠があるグループ会社のロベコSAMが、各企業をESGの観点で分析し、データベース化している。
ESGを企業の評価に取り入れると運用のパフォーマンスは上がるのか。
坪田:ESGの観点を運用プロセスに統合するというのは比較的新しい分野であるため、過去に遡ってパフォーマンスが良かった悪かったと定量的に評価するのは難しい面はある。ただ、米企業の調査によると、ESGなど無形資産が株価に与える影響が大きくなっている。
 さらに、(米S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが提供する)「S&P/TOPIX 150指数」と、このインデックスにESGの要素を加えた「S&P/TOPIX 150 ESGファクター・ウェイト指数」を比べたところ、後者の方がリターンが大きいという結果も出ている。学術的にも、ESGを統合した運用はパフォーマンスにプラスの影響を与えると言われている。

ロベコSAMが算出するESGファクター・スコアに基づいてTOPIX150社の銘柄の構成比率を決定した「S&P/TOPIX150 ESG ファクター・ウェイト指数」と「S&P/TOPIX 150指数」を比較した
出所:S&P Dow Jones Indices LLC(S&P Global の一部門)
ESG投資はメインストリームになる
ESGの要素が企業の価値を左右するようになっている。
坪田:この夏、日本で発生した台風の被害をはじめ、自然災害や社会で起きている出来事が企業の業績や持続的な成長性に大きな影響を与えるようになってきた。10年、20年前とは世の中のありようが変わっている。気温が上がっていることや、人口動態の変化で消費が変わったり、労働者が不足したりしているのは、その一例だ。
 規制の強化やイノベーションの加速、天然資源の枯渇、気候変動、高齢化社会の進展など、大きな社会変化が企業のビジネスチャンスやリスクになる。しかし、こうしたことは企業が公開する財務情報には反映されてこない。今、情報システムがコンピューターウイルスに侵されるといったサイバーセキュリティーのリスクが大きくなっている。30年前にはリスクとして認識されていなかった。
 ESG、いわゆる非財務情報が企業の今後の成長性に与える影響が大きくなっている。ESGというと大上段に構えたような言い方に聞こえるかもしれないが、あくまで企業を評価する上でESGの観点を取り入れるのは大事な分析のやり方だということだ。
 今は特別なものとして見られているかもしれないが、企業の価値を測る基準として適用が進めば、ESG投資という言葉は早晩、死語になるだろう。ESG投資はメインストリームになる。
 ここ2〜3年の動向を見ると、非財務情報を意識した投資行動が顕著になっており、企業の価値を測る上で非財務情報のウエートが増している。ESGを統合した投資が当たり前になるのもそう先のことではないだろう。
 気候変動の影響とみられる自然災害が象徴するように、これまでの前提条件が崩れてきている。企業からすれば、様々な社会の変化を踏まえて経営していかないと価値を高められない。ESG投資が広がっているからやるというのではなく、本気で取り組まないと今後、厳しい局面に立たされるのではないか。
ロベコは企業をESGでどう評価しているのか。
坪田:企業のセクターごとにどういった要素が業績に影響を与えているのかを整理して、企業に質問をしていく。ロベコSAMが実施しているコーポレート・サステナビリティ評価(CSA)では、企業を60のセクターに分けている。例えば、薬品業界の場合、品質と安全管理、革新性、人材マネジメントといった要素が業績に与える影響が大きいと判断して、各社の取り組みを評価する。
 質問の内容は年によって変わる。例えば、ここ数年のトピックでは、(流出の恐れがある)個人情報の取り扱いについて聞くようにしている。数年前だったらここまで大きな問題にならなかった要素だろう。
年177社に改善促す
企業に改善を働きかけるエンゲージメント(対話)にも熱心だ。昨年は世界で177社を対象に合計736回実施している。
坪田:ESGを取り入れた企業分析とエンゲージメントは表裏一体の関係にある。分析結果を基にエンゲージメントや議決権行使によって改善を働きかけるのは運用の一部だ。投資している企業に価値をより高めてもらい、その結果として株価が上がることを狙っている。
 ロベコSAMにはアクティブ・オーナーシップというエンゲージメントと議決権行使の専門チームがあり、12人の担当者がいる。その担当者とロベコのファンドマネジャーとアナリストが一緒に企業に働きかけをしている。毎年、テーマを決めて、3年ぐらいかけて働きかけを続ける。テーマは、ファンドマネジャーからの要望などを基に決める。日本でスチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードが導入されたときは、それらをエンゲージメントのテーマに入れた。
ESG投資家に評価されるために企業にとって何が大切か。日本企業の課題は何か。
坪田:(ESGの取り組みを推進することに対する)経営トップのコミットが大切だ。それがないと、現場が言うだけでは企業は動かない。トップがしっかりコミットしている企業は、CSAでの評価も上がりやすい。
 日本企業の課題として、人材の活用が挙げられる。生産性やダイバーシティ、従業員の満足度が、企業の競争力やイノベーションにつながる。だいぶよくなってきているようだが、まだ改善の余地がある。


このコラムについて
Beyond 2020 by 日経ESG
いまや企業にとって「環境(E)」「社会(S)」「ガバナンス(G)」を考慮した取り組みを進めることが、経営基盤の強化に欠かせなくなっている。ESGで成長し続けるための経営誌「日経ESG」の編集部が最新情報を発信する。

https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16eco/042500006/101000021/?ST=editor


 

したたか者の流儀
65歳大学教授、区役所で怒る 
2018/10/11
パスカル・ヤン (著述家)

ベルギー・ゲントの古い町並み(RossHelen/Gettyimages)
 コンビニ行く度に日本には、外国人労働者は何人くらいいるのか気になる。しかし、彼らは就労ビザではなく、留学生の就労者であろう。では、異国から来ている労働者は何人かといえば、イチニッパ、ニゴロと覚えれば大はずれはないと発見した。すなわち、128万人が外国からの勤労者総数。その家族を含めた外国人全体では256万人前後となる。年間3000万人近い訪日顧客とは別で、ビザを持ち外国人登録している人の総数だ。
 日本からもその数には及ばないがかなりの人数が日系企業の海外拠点で働いているのだろう。日本企業の国際化の先兵として世界各国には派遣されたベビーブーマーたちも二度目の定年退職をおえる年となった。
 時間をもてあます、その昔米国や欧州で勤務していた仲間から、「イギリスの年金もらえるようになったぞ、君はどうした」という類いの話を聞くことが多くなった。
 かく言う小生もベルギー王国から月額1万円程度の年金が出始めた。ベルギー政府からお金は届くが、変な物も時々届いてしまう。よく考えれば至極当然のレターだ。すなわち、生存証明書と日本語以外のあらゆる言語で印刷された書類だ。さすがに国際都市ブリュッセルを中心に、世界中から働きに来ているベルギー年金機構だ。高い社会保障費を往時請求したので、その代わりにわずかながら年金を支給することになる。
 さて、生存証明書。日本では、親が亡くなっても放置しておき、年金をせしめる事件が時々発生している。たとえば100歳のお祝い品をもってきた役人を追い返したりすることがあったそうだ。本人はとうの昔にみまかっているのだが、一族の現金収入は死んでしまったじいさんの年金だけということもあるらしい。なぜそんな簡単なチェックができないのだろうか。
 その点、外国の年金は厳しい。年金を受け取るには生きている証しである書類を出せというのだ。
 手続きは、ベルギー大使館に行ってパスポートを見せれば生存証明書にサインをしてくれた。ベルギーには、日系企業が多数進出している。若かりし時代、おとぎ噺のような国ベルギーで働いていた日本人が法定老人となり大挙して年金受給資格を行使しはじめたのでたまらない、在京のベルギー公使は大忙しとなってしまった。大使館に知恵者がいて、生存証明の発行はベルギー外交官のジョブ・ディスクプションにはいっていないことを発見して、その業務を閉鎖してしまった。ある日、例年通りに大使館に行くと、このサービスは外交官の仕事ではないので停止すると書かれたが掲示が出ていた。
 では、誰が証明出きるのだろうかとあちこちあたってみた。正解は、公証人役場に行き、生存証明を作成してもらい、その後、法定翻訳業者に翻訳してもらい、さらに外務省領事部証明班に公印を押してもらうのだそうだ。しかし、費用を考えたら、割りに合わない話となる。友人のベルギー人に話すと、「俺がサインしてやるから、レミーマルタンのキャップを探しておいてくれ」(レミーマルタンのキャップは外国公館が使う、シール印そっくり)だと。確かに、この酒のキャップはいつでも、どこぞの国の公印になる形状だ。青インクのスタンプがあればOKとなる。最悪その手を使うかどうか躊躇したので、区役所に行ってみた。
英語の書類には、一切判子は押せないのです
 東京都は東京金融特区を標榜しているので、住民票の英語版とか、事務所長のサインをもらえないか試してみた。昨今、区役所の窓口は派遣会社のスタッフなので極めて親切だが、定時定形以外は判断を許されない。そこで、職員が登場する。
 ここに、サインしてスタンプを押してくれぬかと問うた。
 役人曰く
 「それは、できかねます」
 「では、何が出きるか教えてください。やたらな書類に判子を押してくれといっているのではないんです。ベルギー政府の書類にたった一行スタンプ印とサインをお願いしたいだけです」
 と、私。
 「英語の書類には、一切判子は押せないのです」
 と、お役人さん。
 「では、どのように国際金融特区にするのでしょう。Mr Yam is still alive の下にサインしてくれればいいのです」
 と、私は粘った。
 「区役所の英語のゴム印を押してほしいのです。僕が生きているのは歴然としてますよね。ALIVEの意味もわかりますよね。」
 と、私は続けた。
 「重々わかりますが地方自治法で……」
 と、お役人さん。
 「わかりました、では区会議員に議会で聞いてもらうので、いつ議会が始まるか教えてください」
 と、私が言うと
 「区議会ですか。開催時期はちょっとわかりません……いま不在ですが部長が知っているかもしれません」
 「地方自治の最高機関は区議会でしょう」
 「……」
 ベルギー時代の友人たちはみんな同じ経験をしているようだ。年金金額が多い仲間は、複雑方式で生存証明を取得している。月間1万円組は、泣き寝入りをするか、レミーマルタン方式は躊躇しながら、もう一つの究極の奥の手で乗り切るか迷っていると聞く。
 断じて英語を国語として認めてほしいといっているのではない。こんな状態で、国際金融特区なんてできるのだろうか、心配になってしまう。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14106



[18初期非表示理由]:担当:要点がまとまってない長文orスレ違いの長文多数により全部処理

4. 2018年10月11日 19:15:55 : UGd5uG6y2Q : _7yrpMxYnqY[151] 報告
まやかしの 人手不足に 歪められ

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