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安倍政権の移民政策で日本の年金が狙われる?「移民大国」化の裏に潜む危機
https://biz-journal.jp/2018/09/post_24922.html
2018.09.27 文=荻原博子/経済ジャーナリスト Business Journal
安倍晋三首相(写真:ロイター/アフロ)
本連載前回記事で、政府の「移民政策」と危惧される点についてお伝えしました。安倍晋三政権は実質的に「移民」の受け入れに舵を切っていますが、急増する外国人労働者によって、日本の健康保険が不正に利用される恐れが高まります。
そして、不安があるのは健康保険だけではありません。年金も、すでに財政難ですが、さらに財政が悪化していく状況をはらんでいます。「日本の社会保障制度に加入するには日本国籍が必要なのでは」と思っている方もいるかもしれませんが、健康保険も年金も、加入するのに日本の国籍は必要ありません。基本的に国内に住所があれば誰でも加入でき、社会保障を受ける権利が発生します。
年金については、これまで25年以上の加入期間がなくては受給することができませんでしたが、2017年8月1日からは、25年ではなく10年以上加入していれば65歳から公的年金がもらえることになりました。
ただ、外国人労働者の場合は、これまでは最長5年までしか働けなかったので、年金の受給条件を満たすのは難しい状態でした。ところが、政府が「移民政策」に大きく舵を切ったことで、来年4月からは外国人労働者が最長10年働けることになりそうです。年金は加入期間を通算できるので、1回の入国で年金受給条件の加入10年を満たせなくても、再度入国して働くことで10年に達すれば受給資格を得ることができます。
自国に年金の制度がない外国人などは、65歳から死ぬまで日本の公的年金を海外の自分の口座に送金してもらうことができます。10年の加入でもらえる年金額は、国民年金で年間20万円ほど。厚生年金は収入にもよりますが、年収500万円の場合は年間50万円近くになります。
さらに、社会保障制度が完備されていない国から来る外国人労働者にとって、国民年金には、もうひとつの大きなメリットがあります。それは、遺族年金です。
■遺族年金目当ての偽装結婚ビジネスも横行
遺族年金は、国民年金または厚生年金の被保険者が亡くなったとき、その被保険者によって生計を維持していた遺族が受けることができるものです。たとえば、18歳未満の子どもがいるご家庭の場合、被保険者であったご主人が亡くなると、残された奥さんと子どもには、子どもが18歳になるまで(18歳になった年度の3月31日まで)遺族年金が支給されます。
これは、日本人だけでなく年金に加入している外国人労働者も同じです。奥さんと2人の子どもが残された場合の遺族年金額は、国民年金で月約10万円、厚生年金は年収にもよりますが、月約15万円です。
この受給額は、日本人でも外国人でも変わりません。そのため、奥さん、1歳と2歳の子どもを母国に残して日本に出稼ぎに来た人が国民年金に加入して亡くなった場合、子どもが18歳になるまで月々約10万円、総額で約2000万円の遺族年金を海外送金してもらえます。
自国にしっかりとした社会保障がある場合は少し状況が変わってきますが、安い労働力としてアジアなどから日本に出稼ぎに来る人の場合、自国の社会制度が充実してない可能性があり、国によっては月10万円はかなりの大金になるかもしれません。それだけに、怪しいビジネスなどが横行する不安もあります。
すでに、海外女性との偽装結婚ビジネスは日本で横行しています。偽装結婚ビジネスでは、年金をもらっている65歳以上の独身日本人男性に対して、「日本に憧れる若い海外の女性がいます」というような話を持ちかけて結婚させます。そして、日本人男性の死後には、相手の女性が財産だけでなく遺族年金をもらうというケースが増えているようです。
悪質なビジネスによって、私たちが汗水流して払っている年金保険料や税金が海外に流出していくのは腹立たしいですが、もはや止めようのない流れになっています。
■日本の社会保障が崩壊する可能性も
厚生労働省によると、安倍政権発足当時の外国人労働者数は約68万人でしたが、現在は約128万人と2倍近くになっています。そして、今回の「移民政策」の強化で、日本の外国人労働者数は200万人近くになることが予想されています。
現在の日本の就労者数は6531万人(2017年12月末時点)なので、外国人労働者は約2%、つまり働く人の50人に1人が外国人ということになります。一方で、外国人労働者たちに日本人の私たちと同じ権利(参政権など)や保障を確保していくための議論は、あまり積極的にはなされてこなかったのが現状です。
「移民」については、すでに大量に受け入れている国で、さまざまな問題が起きています。移民政策に寛容だったヨーロッパ連合(EU)も内向きになり、ドイツなども移民政策の閣内対立で政治危機に直面しました。
イギリスでは、EU離脱派が「移民政策の悪影響」を強調し、「移民に職を奪われる」「なぜ移民に自国民同様の手厚い社会保障をしなくてはならないのか」といった不満が吹き出し、ついにはEU離脱という方向に向かいました。
移民問題は、この国の未来の形を左右するような大きな問題です。プラス面だけでなくマイナス面も世界中で噴出しているなかで、すでに世界第4位の“移民大国”の日本は、さらに大量の「移民」を受け入れる方針を打ち出したわけです。
それにもかかわらず、いまだ大量の「移民」確保を「移民政策とは異なるもの」などと寝ぼけたことを言って、論争を避けようとしています。こんな状況のなかで、私たちの大切な社会保障が雪崩のように崩壊していく可能性があります。
この国を動かす政治家の頭には「選挙」のことしかないようですが、「移民問題は日本の形を変える大問題なのだ」ということを自覚してほしいものです。
(文=荻原博子/経済ジャーナリスト)
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