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全財産919円になるまで仮想通貨にハマった36歳契約社員のマイルド貧困
https://diamond.jp/articles/-/180547
2018.9.26 根本直樹:ライター ダイヤモンド・オンライン
仮想通貨取引のためのモニターがずらりと並ぶ Photo by Naoki Nemoto
格差や貧困問題の是正が放置されているうちに、「アンダークラス(パート主婦を除く非正規労働者)」が900万人を突破、日本は「階級社会」への道を突き進んでいる。中でも「中間階級」が崩壊、新たな貧困層が生まれてきた。それは、どん底一歩手前の「マイルド貧困」とも呼べる新たな階級だ。そこでDOL特集「『マイルド貧困』の絶望」第8回は、そこそこの収入があったのに仮想通貨にのめり込み、全財産が919円しかなくなってしまった男性を追った。(ライター 根本直樹)
一般人が“億り人”になれる
最初で最後のチャンス
田尻健斗(仮名・36歳)が初めて仮想通貨に手を出したのは、昨年8月のことだった。
会社のデスクでスマホ画面を見つめていた彼は、突然、熱に浮かされたような顔でオフィスを飛び出すと、近所のコンビニに向かった。ATMを操作し、預金残高を確認する。120万円。全財産だった。全額を下ろした田尻は、スマホ画面を見ながら仮想通貨取引サービス会社「コインチェック」の口座に25万円を入金。しかし、これが悪夢の始まりだった。
田尻は、当時の心境についてこう明かす。
「仮想通貨リップルが25円のとき、1万リップル買ったのが最初でした。ここから『爆上げ間違いなし』と信じ込んでましたね。1年前の夏といったら、空前の仮想通貨ブームが巻き起こる前夜といった時期ですよ。その後、ビットコインが爆騰し、一般人たちがどっと仮想通貨市場になだれ込んできました。メディアも煽りまくっていたし、実際、ぼくの周りにも大儲けした人がけっこういたんです」
そして田尻はこう続けた。
「とにかく焦ってました。この波に乗り遅れたら、一生“下層暮し”に甘んじるしかない。これは契約社員の僕が、“億り人”になれるかもしれない最初で最後のチャンスだって。だから、元手には不安があったけど、手を出さないという選択肢はなかった。欲と焦りで、完全に正気を失っていましたね」
田尻は大手出版社に勤務する契約編集者で、年俸は約500万円。副業も含めれば年収は今も700万円を超える。大手企業に勤める同年代の正社員と比べても悪くない収入だろう。品川区にある家賃15万円の1LDK住まいで、仮想通貨で失敗するまではかなりゆとりのある独身生活を送っていたという。
「昔から贅沢なところがあって、金遣いは荒かったですね。年によっては年収が800万円を超えることもありましたが、貯金は常に100万円ちょっと。友人や知人に金を持ってる奴が多く、そいつらにかなり影響されていた気がします。今にして思えば、身の丈に合わない散財をずいぶんとしてきました。ギャンブルも好きで、一時は闇カジノやインカジ(インターネットカジノ)にどっぷりとハマっていたこともあります。だから、本当は投資になんて向いてない性格なんですよね」
最初の半年で資産が10倍に
仮想通貨の魔力に取りつかれる
それでも、最初の半年ほどは「大勝ち」状態だったという。
「最初に買ったリップルは一時上げたが、その後、急落してしまったので塩漬けにしておき、すぐに残りの95万円全額をビットコインに次ぐ時価総額を誇っていたイーサリアムにぶち込みました。他の怪しげだけど魅惑的で投機性の高そうなICO(簡単に言えば、仮想通貨で事業を立ち上げる際のお金を集める仕組みのこと)、例えばゲーズコイン、スイスボーグ、ゲームフリップといった仮想通貨は、イーサリアムのシステムを使って生まれた“孫コイン”のようなもの。イーサリアムがなければ買えないんですよ」
そこから、あっという間にハマっていく。
「もともと山っ気の強い僕は、買ったイーサリアムを元手にして、今度はいろんな仮想通貨に手を出していったんです。大まかに言えば、投資総額120万円がマックスで約10倍に膨れ上がりました。そのときは有頂天ですよ。まさに夢の通貨だと思いました。買えば確実に大儲けできるのに、やらない奴は“情弱”のバカだと思ってましたね」
わずか半年ほどで資産価値が10倍に。ここでやめるという選択肢はなかったのか。
「今、思えば、あそこでやめておけばよかったんですが、渦中にいるときはそういう気持ちになれないんですよ。仮想通貨で10倍なんて当り前でしたから。ビットコインなんてマックスで200万倍にもなったんですから、まだまだ上がると思っちゃうわけですよ。次第に調子に乗って、レバレッジを3倍とかにして取引にのめり込んでいきましたね」
日帰りで全国のサウナを渡り歩き散財
完全に狂ってしまった金銭感覚
資産価値が10倍、つまり初期投資の120万円がわずか半年で1000万円を超えると、田尻の金銭感覚は完全に狂っていった。
「半年で10倍ということは、もう半年で夢の“億り人”になれるって思っちゃうじゃないですか。勝ってるときって、絶対にまだまだ上昇する、暴落なんてあり得ないと都合よく考えちゃうんですよね。10倍どころか100倍、1000倍となるコインもあるから、日本円を持っているのがバカらしくなるんです。だから、収入の大半を仮想通貨に替えてました。含み益が大きなうちは気持ちも大きくなっているので、クレジットカードでずいぶん散財もしましたね」
もともと“気持ちいいこと”に目がないという田尻。本業の編集業務は多忙を極めていた。徹夜の編集作業を終えると、田尻は朝一番の新幹線に乗り込み、名古屋、大阪、神戸などにあるサウナを目指した。
「グリーン車に乗って各地のサウナ巡りをするのが、あの頃のマイブームでしたね。サウナに入り、マッサージを受け、一休みしたら、街をブラブラして旨いものを食う。たまに風俗も。で、そのままトンボ帰りしてまた仕事という生活を繰り返していました。1回の地方サウナ行きで、交通費も入れると7〜8万円は使ってました。バカですよ。当時付き合っていた彼女や、友達を連れて温泉にもよく行きましたね。全部、僕のおごりです」
しかし、そんな日々は長くは続かなかった。今年に入ると、市場の様相は一変。仮想通貨の相場は乱高下の激しい不安定なものとなり、それと同時に田尻の精神状態も不安定なものになっていったという。
「今年に入ると、相場全体が上げたり下げたりを繰り返すようになり、常にチャートとにらめっこという状態に。本業にも身が入らず、頻繁に上司に怒られるようになってしまいました。収入は全て追加投資と遊びに回していたので、だんだん現金が回らなくなり、知人に借金までするようになった。このままでは大変なことになると、この8月、大勝負に打って出たのですが…」
今年の8月といえば、あのビットコインが大暴落し、それに引きずられるように、有象無象の仮想通貨も底無しの下げ相場に突入していった時期である。そんなタイミングで田尻は、すべての資産をイオスとネムという仮想通貨に投入した。
「もう全ツッパですよ。頭がわいてましたね。レバレッジ3.3倍にして、損切りも入れなかった。今では紙屑ならぬ、ネット上のデジタルゴミですわ」
全財産は919円
税金も払っていない
現在の通帳を見せてもらった。
「919円。今の全財産です。しかも、勝っていた時期に利益を確定させた分の税金の支払いもあるんですが、使ってしまってまだ払っていない。やばいですね。もうしばらく投資関係に手を出すつもりはありませんが、喉元過ぎればどうなるやら。自分が怖いですよ。まあ、でも、大きな借金はしなかったので、ギリギリ何とかなってます」
そこそこの収入があっても、わずか1年余りで「マイルド貧困」に陥ってしまった田尻。もちろん、彼の性格にも原因はあるが、逆に投資できる資金があったからこそ、ハマってしまった“罠”だとも言える。
相場で勝てる人は、今も昔も一握り。ブームに乗せられて多額の資金を突っ込んでしまい「マイルド貧困」に陥ったのは、田尻だけではないだろう。
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