マイナス金利、地銀を直撃=大規模緩和の副作用拡大【9/13 15:59】 安倍政権の経済政策「アベノミクス」の中核となった日銀による超低金利政策は、輸出企業の業績改善に寄与した一方で、人口減少にあえぐ地方銀行など地域金融機関の業績悪化を加速させた。特に日銀が2016年2月にマイナス金利を導入して以降、地銀は貸出金の利ざやが稼げず16年度決算で全国の地銀の過半が貸し出しなどの本業で赤字に転落。その後も業績は悪化しており、副作用が深刻になりつつある。全国地方銀行協会の柴戸隆成会長(福岡銀行頭取)は12日の記者会見で「収益の先行きに強い懸念を持っている」と強調。さらに「(大規模緩和が)続くと銀行システムや金融仲介機能への副作用が大きくなってくる」と警戒感を示した。 政府・日銀は、大規模な金融緩和で、銀行から企業への融資が増えれば、景気回復につながると期待。米国よりも低い金利を背景に、外国為替市場で円安が進み、輸出企業の収益拡大という効果はあった。 しかし、地銀にとっては本業の稼ぎである企業への貸出金利と預金金利の利ざやが縮まり、業績悪化のスピードが加速。地銀の多くは保有株を売却するなどして純利益を確保したが、このような埋め合わせをいつまでも続けることはできない。 日銀は、地銀への副作用について「現状は顕在化していない」(黒田東彦総裁)との立場だ。地銀の抱える構造的な問題は、仮にマイナス金利を解除しても解決するわけではなく、地銀の収益を賄えるだけ金利が上昇すれば経済全体に悪影響を与える恐れもあるからだ。 一方、金融庁は今年度に入って、17年度決算で7年ぶりの赤字に転落した福島銀行に対し業務改善命令を出した。赤字決算で命令を出すのは異例だが、構造改革への動きが鈍く危機感が欠如している地銀各行に警鐘を鳴らす狙いがあるとみられる。アベノミクスの目指す地域活性化を実現するためにも、地銀の収益基盤強化は急務だ。 情報提供:株式会社時事通信 米インフレ率鈍化は一時的な現象か? 2018年9月13日 MINIトピック、市況ヘッドライン 12日発表された8月の米生産者物価コア指数は前年比+2.3%で市場予想の同比+2.7%を下回った。前月比では2017年2月以来となる−0.1%となった。貿易サービスなどの項目が下落したことが要因。インフレ加速の思惑は後退したが、米雇用情勢は引き続き良好であり、需給ひっ迫の様相を呈していることから、年末にかけて賃金はゆるやかに上昇するとみられている。市場関係者の間では、インフレ率が鈍化する可能性は低いと予想されている。 ただし、セントルイス地区連銀のブラード総裁は12日、「インフレが急伸する可能性は小さい」、「利回り曲線の逆転は、リセッションリスクを引き上げる可能性がある」、「米国の金利は中立または、引き締め気味」と指摘し、追加利上げの必要性について懐疑的な見方を示した。市場では年内2回(9月と12月)の追加利上げが想定されているが、インフレ関連指標が市場予想を下回るケースが増えた場合、12月利上げの可能性は低下し、ドル上昇を抑制する要因となる可能性がある。 リーマン・ショックから10年、次の暴落は前回の比ではない全資本市場バブル崩壊か=今市太郎 日本のデフレを終わらせるのは「災害」という悲しさ。世界にバレ始めた日銀の無力感=児島康孝 2022年までに日本経済は破綻する。アベノミクス成功でも終焉でも未来は同じ=高島康司 米卸売物価指数、8月は0.1%下落 1年半ぶりマイナス 2018年9月13日04時36分 [ワシントン 12日 ロイター] - 米労働省が12日発表した8月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.1%下落し、2017年2月以来初めて落ち込んだ。市場予想は0.2%上昇だった。 エネルギーが値上がりする一方で、食品や幅広い貿易サービスが下落し、全体水準を押し下げた。 7月のPPIは横ばいだった。 8月の前年同月比は2.8%上昇と、市場予想の3.2%上昇を下回った。7月は3.3%上昇していた。 予想外のマイナスにはなったものの、労働市場の引き締まりや好調な経済を背景に、インフレは総じて安定的に上昇している。 ムーディーズ・アナリティクスのシニアエコノミスト、ライアン・スイート氏は、低い失業率、国内総生産(GDP)や賃金の伸び、財政政策が経済を支援しているとし、「インフレ圧力は今後数四半期に強まるはずだ」と述べた。 食品とエネルギー、貿易サービスを除いたコア物価は前月比0.1%上昇した。7月は0.3%上昇していた。8月の前年同月比は2.9%上昇。7月は2.8%上昇だった。 8月のPPIは減速したものの、底堅い労働市場と好調な経済を背景に全体の物価は安定的に上昇している。トランプ政権が木材や洗濯機、太陽光パネル、鉄鋼、アルミニウム、そして幅広い中国製品に輸入関税をかけたことも今後、物価上昇圧力になるとみられる。 米連邦準備理事会(FRB)が物価の目安として注目するコア個人消費支出(PCE)物価指数は、食品とエネルギーを除いたコア指数が7月に前年比2.0%上昇した。FRBの目標である2%に届いたのは今年3度目だ。 8月のPPIの内訳は、食品が前月比0.6%下落。卵や生鮮果物が大幅に値を下げた。7月は0.1%下落していた。エネルギーは8月に0.4%上昇。うちガソリン価格は0.6%上昇し、7月の0.1%下落からプラスへ転じた。 モノ全体を指す最終需要財は横ばい。7月は0.1%上昇していた。 サービスは2カ月連続で0.1%下落。そのうち、卸売りと小売の利益幅を示す貿易サービスは0.9%下げた。1.7%下落した機械と専門機器の卸売りサービスが8月のサービス全体の下落要因の8割超を占めた。 サービスのうち医療費は0.3%上昇。病院外来費が0.5%下落した一方で、入院費や歯科医療、介護費が値を上げた。7月の医療費は0.1%上昇していた。医療費はコアPCE物価指数の計算に組み込まれる。 ウエルズ・ファーゴ証券のシニアエコノミスト、サラ・ハウス氏は「機械と専門機器の利益幅が下がったことは、生産者が関税の影響で上昇した投入コストを価格に転嫁しづらいのかもしれない」と述べた。 米FRB、今後1─2年にわたり利上げ余地=ブレイナード理事 2018年9月13日10時14分
9月12日、米連邦準備理事会(FRB)のブレイナード理事は、FRBは経済成長を減速させることなく今後1─2年にわたり金利を引き上げる余地があるとの認識を示した。写真は講演する同理事。昨年3月にマサチューセッツ州で撮影(2018年 ロイター/Brian Snyder) [PR] [サンフランシスコ 12日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のブレイナード理事は12日、FRBは経済成長を減速させることなく今後1─2年にわたり金利を引き上げる余地があるとの認識を示した。 理事はデトロイト・エコノミッククラブで行った講演で、経済が底堅く成長し、失業率が3.9%、インフレ率もFRBが目標とする2%の水準にある中、今後1─2年は段階的な追加利上げが適切となる公算が大きいと指摘した。 ブレイナード理事の発言は、8月のジャクソンホール会議でのパウエル議長の講演に同調する内容だが、理事はもう一歩踏み込み、一部の当局者が来年の利上げ打ち止めが適切と考えるのに対し、「向こう1─2年」にわたり利上げ局面が続く可能性があると考える背景に詳しく言及した。 ブレイナード理事は、トランプ政権の減税や政府支出が中立金利の水準を押し上げていると分析した。中立金利が上昇すれば、中銀は景気を減速させることなく利上げを行う余地が広がる。 理事は「財政刺激策の効果が予想され、金融情勢も成長を支える状況の中、短期的な中立金利はさらに幾分上昇する公算が大きく、一定期間は長期的な均衡金利を超える可能性がある」と述べた。 その上で、FRBが四半期ごとに公表し、金融政策に「関係するベンチマーク」となっているのは短期的な中立金利で、長期的な予想ではないと指摘した。 長期的な中立金利に関するFRBの最新の予想は、現在の政策金利を約1%ポイント上回る2.9%。一般的には、金利がこの水準を超えると金融政策が成長を損なう方向に作用するため、これがFRBの利上げの上限になると考えられている。 ブレイナード理事の分析は、現在の利上げ局面が予想より長く続き、利上げが打ち止めとなる金利も予想より高い水準になる可能性があることを示唆している。 一方、セントルイス地区連銀のブラード総裁は、2008年の金融危機後の経済の変化を踏まえると、低失業率や高い経済成長率がインフレ加速につながるとは考えにくいため、FRBは利上げを停止すべきだとの考えを示した。 トランプ政権の法人減税については、生産性の伸びを長期的に押し上げ、米経済の持続可能な成長に寄与する可能性があるとの認識を示した。 ブレイナード理事は対照的に、減税の効果について質問を受けると、生産性の向上や投資拡大につながるかどうか判断するのは時期尚早だと答えた。 FRBが12日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)では、貿易問題を巡る懸念から一部国内企業が投資の縮小や先送りといった措置を取っていることが示された。 輸入関税の影響はさほど大きくないとしながら、製造業を中心に投入価格が押し上げられているとも分析した。 ブレイナード理事は、貿易摩擦を巡る企業の懸念は今のところ経済に大きな影響を及ぼしていないとの認識を示した。 緩和的な金融状況や労働市場の引き締まりが上向きリスクとなる一方で、貿易問題を巡る不透明感が下向きリスクをもたらすと指摘。ただ現時点で、関税引き上げに伴い物価や信頼感に「目に見える」影響は及んでいないとした。
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