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「ATMは公衆電話のように消えていく」みずほFG社長が予測する理由
https://diamond.jp/articles/-/179432
2018.9.13 週刊ダイヤモンド編集部
キャッシュレス化に伴うATMの変化や異業種との競争について、みずほフィナンシャルグループの坂井辰史社長に話を聞いた。
Photo by Masato Kato
──キャッシュレス決済の進展を見越して、他の大手銀行がATMの台数を削減する方向に動いているとされています。みずほ銀行はどうする考えですか。
誤解を恐れずに言えば、ATMは公衆電話と同じ道をたどるかもしれません。今は街のあちこちにありますが、何年か後にはほぼなくなる時代が来るかもしれない。
今は利用数に応じて、店舗内ATMの台数を減らしたり、店舗外ATMの設置場所を入れ替えたりしています。顧客が必要としないものを減らし、必要なものを増やすという考えが頭にあるからです。
ただ、ATMの利用数全体を見ると、この10年間は横ばいです。だからこそ、みずほ銀行の今の課題はATMの増減ではなく、より顧客利便性の高いキャッシュレス決済システムをどう根付かせるかです。それが(結果的に)ATMの減少につながるでしょう。
──金融グループのトップという立場から、決済のデジタル化を推進する上で、どのような戦略や将来像を描いていますか。
近年、世界的にテクノロジーの発展に伴って情報通信産業がものすごい勢いで伸びており、世界経済やそれら関連企業の時価総額を押し上げています。一方、金融業は衰退産業と捉えられがち。確かに、そういう側面はあります。
ですが、金融業は金貸し業を出発点として何百年という歴史があり、金融危機の教訓に基づいたセーフティーネットが確立しています。危機対応コストを負担しながら業界を築いたことに対する社会的な信頼や安心感は、他業界では得難いものだと考えています。
こうした信頼をベースにして、単に決済コストを下げるだけではなく、成長性を持った新しい金融の在り方を築くことができれば、テクノロジーを持つIT企業と肩を並べるサービスを生み出す余地は十分にあります。
そういう意味で、(個人の購買履歴などのデータを一元管理する)“情報銀行”という事業を金融業界で進めることが重要です。もっと付加価値の高いサービスをつくることもできるでしょう。
──決済データの利活用では、銀行口座とひも付けたとしても、顧客がIT企業の決済サービスを使用すると、何を購入したか分からなくなるのではないかという危惧が、銀行業界から聞こえてきます。対応策を考えていますか。
個人間送金などで、送金ネットワークだけを銀行が担い、情報は残らないというシナリオはあり得ます。これはIT企業に対抗するサービスを金融業界が提供できるか、その競争です。私も気にしていますが、やりようはいろいろとあるでしょう。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 田上貴大)
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