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料金は売値の半額、「スーツ月額利用サービス」の衝撃
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180911-00010001-moneyplus-bus_all
MONEY PLUS 9/11(火) 6:41配信
レナウンの新サービス「着ルダケ」(写真:筆者撮影)
ひと雨ごとに秋の気配が深まる、今日この頃。気温が25度を下回る日が増え始めると、秋冬もののスーツをどうしようか、と悩むビジネスパーソンも増えてくるのではないでしょうか。
ただ、買い替えるにしても、それなりのスーツを購入しようとすると上下1セットで5万〜6万円はかかってしまう。では、最近増えてきたスーツのレンタルサービスはどうかといえば、他人が身につけた衣服を自分が着るのは抵抗感がある――。
そんな人にとって朗報といえそうなサービスを、「ダーバン」ブランドなどで知られるアパレルメーカーのレナウンが始めました。実に月額料金は、購入した場合の半額程度。老舗メーカーが始めた衝撃の新ビジネスとは、どんなサービスなのでしょうか。
月額料金は4800円から
レナウンが今年7月に本格ローンチした「着ルダケ」という新サービス。月額制のビジネスウェアトータルサポートサービスと謳っています。
利用者には年2回、春夏と秋冬のシーズンごとにレナウンからスーツが届けられます。基本プランは2タイプ。最も安いプランは1シーズンにスーツ2着が提供されるもので、月額料金は4,800円(税抜き)となっています。
衣替えのタイミングでこれまで使っていたスーツを送り返すと、レナウンがクリーニングと保管をしてくれ、次の衣替えのタイミングで再度届けてくれるというシステム。サイズ展開は4種類の体型と4種類の身長との組み合わせから、自分に合ったものを選ぶことができます。
スラックスにはアジャスターが付いており、プラスマイナス7センチメートルまで調整可能。直しは裾上げだけで済むといいます。コンシェルジュサービスも付いていて、コーディネートや手入れに関する相談をすることができます。
利用希望者はレナウンのEC(ネット通販)サイトから申し込みます。最初に自分のスーツのサイズを計る必要がありますが、計測に不安のある人や、事前に商品の材質を確認したい場合は、東京・有明にあるレナウンの本社を訪れれば採寸と材質のチェックが可能だそうです。
レンタルではなく、自分専用
他にも類似のサービスを展開しているところはありますが、それらはレンタルが基本。スーツは他の人が着たものを借りることになります。
これに対して、着ルダケで提供するスーツを使用するのは、その客のみ。自分専用のスーツをシーズン(半年)ごとに2年間利用できる点を最大の売りにしています。
着ルダケで取り扱っているスーツは、販売価格だと5万〜6万円のものと同等の品質だといいます。2年間で4着を利用できるので、購入した場合は24万円相当になります。これが月額4,800円のプランを2年間利用した場合は、利用料が12万円弱。半額程度に抑えられるうえ、クリーニングと保管の料金も含まれています。
レナウンの中川智博カスタマーリレーション&コーポレートコミュニケーション統括部長は「かなりお得なプランです」と胸を張ります。
契約期間は半年単位で、契約終了時点でスーツを1万5,000円で買い取ることも可能。ネクタイが付いているプランでは、半年ごとに3本が支給され、返却は不要となっています。
アプローチしてこなかった層に訴求
それにしても、アパレルメーカーであるはずのレナウンが、なぜこんなサービスを始めたのでしょうか。
同社はこれまで、百貨店販路を中心にスーツなどを販売してきました。ただ、百貨店業界全体の売上高は長期的に低迷傾向。新しいビジネスの構築が不可欠な状況となっていました。
レナウンがダーバンブランドを始めたのが1970年。半世紀をかけて蓄積してきたノウハウを強みにして、販売ではない事業モデルができないか――。北畑稔社長のそんな一声から新規ビジネスの模索が始まりました。
そこで着目したのが、さまざまな業界で広がりを見せていた、利用期間に応じて料金を支払うサブスクリプションビジネスでした。各種の調査から衣料をシェアすることに抵抗感のある人が相当数いることを把握できたため、あえて客専用のスーツを届ける形にしました。
想定ターゲットは30〜40代。給与水準が上がり、社内的な責任も出てきて、スーツもちゃんとしたものを着ておきたい世代、という設定です。実際に利用の多い年代は40代だといいます。
「ファッションそのものにあまり興味のなかった人向けのサービスだと考えています。今まで当社がアプローチしてこなかった方々であり、新たなターゲット層に顧客の幅を広げるためのアプローチです」(中川統括部長)
月額5000円を切ることにこだわり
今回の企画の検討がスタートしたのは、2017年初頭。しかし、レナウン社内には、サブスクリプションのビジネスをした経験のある人が誰もいません。プランや価格の設定をどうするかが最大の課題だったといいます。
「選択肢をどこまで多くすればいいのか、多くし過ぎても今度は選べない。商品構成と価格のバランスに腐心しました」と、中川統括部長は当時を振り返ります。
モニター利用の段階では、現在の高価格プランに当たるサービスを月額1万2,000円に設定。数社に利用してもらったそうです。これに対する反応は「月額1万円を超えるなら、いらないかな」。一方で、お試しでやってみてもいい価格は「5,000円を切る水準であれば」という声も拾えました。
エクセルシートとにらめっこしながら、システム構築に移行するリミットだった11月の直前まで、さまざまな料金設定を試しました。「採算的にはギリギリでしたが、5,000円を切ることにこだわりました」(中川統括部長)。
今年3月に、ようやくトライアルがスタート。取引先などに声をかけ、利用者を徐々に増やしていきました。当初はスーツの品ぞろえは3色・8サイズの展開でしたが、トライアル利用者の要望を受け、秋冬シーズンからは5色・12サイズから選べるようにしました。
5年以内に利用者1万人へ
次の春夏シーズンからは、クールビズプランも用意する計画。上着なしで、スラックスの本数を増やす予定です。ジャケパンスタイルへの対応も、今後の検討課題だといいます。
レナウンでは、5年以内に利用者数を1万人まで増やしたい考えです。「この事業を通してダーバンを利用してもらうことで、ファッションの楽しさに目覚めて、購入していただくきっかけになれば」と中川統括部長は語ります。
今後は、会員向けサービスを提供している企業との連携も強化していきたいとしています。類似サービスがひしめく中、レンタルではないという強みを、想定ターゲットにどこまで訴求できるかが、着ルダケを拡大させるうえで重要な一歩となりそうです。
猪澤顕明(MONEY PLUS編集部)
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