米雇用統計:8月は平均時給2.9%増に加速−雇用者数20.1万人増 Shobhana Chandra 2018年9月7日 21:38 JST 更新日時 2018年9月7日 23:46 JST • 失業率は3.9%で前月から変わらず−労働参加率は低下 • 6月と7月の雇用者数は合わせて5万人の下方修正 8月の米雇用統計によると、賃金の伸びが2009年のリセッション(景気後退)終了以降で最大となった。また雇用者数の伸びは市場予想を上回った。 米労働省の7日発表によると、8月の平均時給は前年比で2.9%増と、伸び率は前月(2.7%)から加速。ブルームバーグが実施したエコノミスト調査での予想全てを上回った。市場予想の中央値は2.7%増。前月比では0.4%増(前月0.3%増)だった。 Surprise Jump U.S. wages grow at the fastest pace since 2009 Source: Bureau of Labor Statistics 8月の非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比20万1000人増。エコノミスト予想の中央値は19万人増だった。前月は14万7000人増(速報値15万7000人増)に下方修正された。家計調査に基づく失業率は3.9%で変わらず。 ジェフリーズのチーフ金融エコノミスト、ウォード・マッカーシー氏は「労働市場は非常に順調のようだ」と指摘。賃金の伸びの弱さが「ここ数年、唯一ネガティブな要素だった。賃金の伸び加速で、労働市場が正常に戻ったことを最終的に確認できる」と続けた。 前月までの2カ月間の雇用者数は合わせて5万人の下方修正となった。これにより、3カ月間の平均値は18万5000人増。 製造業の雇用者数は3000人減。市場予想は2万3000人増だった。建設業は2万3000人増。 サービス業は17万8000人増。教育・医療が5万3000人増、プロフェッショナル・ビジネスサービスも5万3000人増だった。 政府部門の雇用は3000人減。民間部門は20万4000人増えた(市場予想19万4000人増)。 週平均労働時間は34.5時間で前月から変わらず。 労働参加率は62.7%と前月(62.9%)から低下した。 「U6」と呼ばれる不完全雇用率は7.4%(前月7.5%)に低下。U6にはフルタイムでの雇用を望みながらもパートタイムの職に就いている労働者や、仕事に就きたいとは考えているものの積極的に職探しをしていない人が含まれる。 統計の詳細は表をご覧ください。 原題:U.S. Wage Gains Pick Up to 2.9% While Payrolls Rise 201,000 (2)(抜粋) (賃金のチャートを追加し、更新します.) 2018年9月7日 / 22:14 / 2時間前更新 8月米雇用20万人増、賃金上昇9年ぶりの大きさ 3 分で読む [ワシントン 7日 ロイター] - 米労働省が7日発表した8月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が20万1000人増となり、前月から伸びが加速した。市場予想の19万1000人増を上回った。 時間当たり平均賃金は前年比で2.9%上昇と、2009年6月以来の高い伸びを記録した。米経済が今のところ、米中貿易摩擦の高まりの影響を免れているとの見方を後押しした。 時間当たり平均賃金は前月比では0.4%(10セント)上昇。7月は0.3%上昇していた。賃金の伸びの加速は、労働市場の引き締まりを明示している。米連邦準備理事会(FRB)が9月25−26日の連邦公開市場委員会(FOMC)で今年3度目となる利上げを決めるとの市場の見方が固まる材料だ。 賃金の伸びは労働市場にとりいわゆるアキレス腱となっていたが、8月に上向いたことは、インフレ率が年内、および来年初旬はFRBの目標である2%近辺で推移し続けるとのエコノミスト予想と矛盾しない。 BNYメロン(ボストン)のシニア・グローバルマーケットストラテジスト、マービン・ロー氏は「今後これまでの賃金上昇が一部反転するようなことがあったとしても、現在はFRBが掲げるシンメトリック(対称的)な2%のインフレ目標が支持される水準にある」とし、「市場では今月のFOMCでの利上げが完全に織り込まれている」と述べた。 就業者数は、労働人口の伸びに対応するためには月12万人増える必要があるとされている。 6月と7月の就業者数は合わせて5万人分下方改定された。 失業率は前月から横ばいの3.9%。市場予想は3.8%だった。一方、現在は職を探していないが働く用意のある人(縁辺労働者)や正社員になりたいがパートタイム就業しかできない人を含む広義の失業率(U6)は0.1%ポイント低下し7.4%と、01年4月以来の低水準をつけた。 米国は中国以外にも、欧州連合(EU)やカナダ、メキシコなどの主要な貿易相手国と報復関税の応酬を繰り広げている。アナリストらは、米政権の1兆5000億ドル規模の減税政策と財政出動によって米経済は貿易摩擦の影響から守られていると述べる。また、これまでに導入された輸入関税は米経済のごく一部にしか影響を与えていないとみている。ただトランプ米大統領が、輸入関税を課す中国製品を追加した場合、状況は変わるかもしれないと警告する。 米中両国は7月上旬以降、合わせて1000億ドル相当の製品に報復関税を課した。新たに2000億ドル規模の中国製品に関税を課す計画について米政権は6日まで一般から意見を募集してきた。 トランプ氏は、海外勢による不正な競争にさらされている米産業を守るとし、今年初めから海外の鉄鋼やアルミニウム、洗濯機、木材、太陽光パネルに輸入関税を導入している。 米中間の通商問題について、SSエコノミクス(ロサンゼルス)の首席エコノミスト、Sung Won Sohn氏は「すべての対中関税措置が発動されれば、大幅なレイオフは避けられない」との懸念を示した。 ただ一部アナリストは、トランプ政権が打ち出した大型減税と歳出拡大策が米経済を通商を巡る問題から守る盾のような役割を果たしているとも指摘。ナロフ・エコノミックアドバイザーズ(ペンシルバニア州)の首席エコノミスト、ジョエル・ナロフ氏は「減税と歳出拡大策で一種の高揚した状況が作り出される中、年内さらには来年上半期に労働需要が衰えると考える理由はない」と述べた。 雇用コンサルティング会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスが6日発表した8月の米企業の人員削減数は、輸入関税に関連した業界で521人だった。一方、鉄鋼生産業で採用者数が359人増加し、雇用全体への影響を抑制した。 雇用統計は、最近の製造業やサービス業の統計と合わせ、トランプ氏の保護主義的な通商政策の経済への影響が今のところ限定的であることを示す。第2・四半期国内総生産(GDP)は年率で4.2%増と、第1・四半期(2.2%増)の2倍近いペースで伸びた。 雇用統計の内訳は、製造業が3000人減。17年7月以来初めて減少した。7月は1万8000人増加していた。自動車が約5000人減となったことが主な押し下げ要因となった。これについてバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(バンカメメリル)のエコノミスト、ジョセフ・ソン氏は「自動車部門は夏の間は整備のために工場が閉鎖されることがあるため、雑音が混じりやすい」との見方を示した。 雇用は機械、コンピューター、電子機器、家具でも減少した。 一方、建設業は2万3000人増。7月は1万8000人増加していた。卸売りは2万2400人増、専門職・企業サービスは5万3000人増、スポーツ用品・趣味関連は9200人増となった。 ただ小売は5900人減。政府部門も3000人減となった。
2018年9月8日 / 06:09 / 41分前更新 ドル上昇、米雇用統計受け 貿易懸念なお=NY市場 2 分で読む [ニューヨーク 7日 ロイター] - ニューヨーク外為市場は、8月の米雇用統計で雇用の伸びが加速したことを受け、ドルが幅広い通貨に対して上昇した。ただ、米中貿易摩擦への懸念は根強かった。 8月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が20万1000人増となり、前月から伸びが加速した。時間当たり平均賃金は前年比で2.9%上昇と、2009年6月以来の高い伸びを記録した。 賃金の伸び加速は労働市場の引き締まりを示す。米連邦準備理事会(FRB)が25─26日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、今年3回目となる利上げを決める可能性が強まったとみられている。 ダラス地方連銀のカプラン総裁は、堅調な雇用統計を受けて利上げを継続すべきとの考えを示した。 ユーロが対ドルEUR=で0.5%下落、ドルは対円JPY=で0.29%上昇した。 スタンダード・チャータード銀行のG10FX調査部門のグローバルヘッド、スティーブン・イングランダー氏は「今日は、金利水準の違いや債券市場動向にドルが反射的に反応した」と指摘する。 米国の10年債利回りは約1カ月ぶり水準に上昇した。 ドル相場の短期的な方向について、アナリストらはトランプ政権の貿易関税措置に左右されると予想する。 トランプ大統領は、新たに2670億ドル相当の中国製品に対する追加関税の用意があることを明らかにした。 トランプ氏は「中国側の動き次第で、2000億ドル規模の中国製品に対する関税措置が近く発動される可能性がある」とした上で「その後、私が望めば、さらに2670億ドル相当の追加関税を急きょ発動する用意があると言っておく。そうなれば、状況は一転するだろう」と語った。 OANDAのシニア通貨アナリスト、アルフォンソ・エスパルザ氏は「仮に貿易戦争を巡る発言が続き、(米国が)2000億ドル相当の中国製品に追加関税を課せば、安全資産としてのドルに追い風が吹く」と語る。 豪住宅融資統計が弱い内容となったほか、貿易を巡る対立状態が商品関連通貨を圧迫し続け、豪ドルAUD=が2年半強ぶりの安値に下落、ニュージーランドドル(NZドル)NZD=D4も対米ドルで2016年2月以来の水準に値下がりした。 英国の欧州連合(EU)離脱を巡り、EUの首席交渉官を務めるバルニエ氏が今月初め、アイルランド国境問題で英国と協議したいと英議員らに述べていたことが明らかになった。これを受け、ポンドGBP=が一時1週間ぶり高値を付けたが、直近では小動き。
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