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店舗の変化で見えてきた「5年後、コンビニの姿はこうなっている」 ファミマはドンキ化セブンはスーパー化
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57363
2018.09.05 加谷 珪一 現代ビジネス
ファミリーマートとドン・キホーテは、両社が進めている共同実験店舗において、売上高が従来店舗の1.5倍になったことを明らかにした。実験店舗の手法がそのまま今後の店舗運営に反映されるわけではないが、近い将来、ファミマの店舗レイアウトは大きく変わっている可能性が高い。
一方、コンビニ最大手のセブン−イレブンは、創業以来、初めてとなる本格的な店舗レイアウトの変更に乗り出している。
各社が店舗レイアウト刷新に注力している背景を探った。
ドンキの手法をコンビニに応用すると…
ファミリーマートを運営するユニー・ファミリーマートホールディングスと、ドン・キホーテを運営するドンキホーテホールディングスは今年6月から、ドン・キホーテの品揃えや運営手法を取り入れた共同実験店舗の運営を行っている。スタートして3カ月足らずだが、7月の時点ですでに売上高の大幅アップなど、目に見えた効果が出ているという。
ドン・キホーテはよく知られているように、商品をうずたかく積み上げる圧縮陳列と呼ばれる手法を得意としており、店内が迷路のようになっている。また、年間1000アイテムを超えるといわれる独自商品の開発を行うなど、他社にはない商品力・販売力を持っている。
こうしたドンキの手法をコンビニにも取り入れようというのが今回の実験店舗の狙いだが、さすがにコンビニの店内を迷路のようにすることは難しく、基本的なレイアウトは従来型店舗に沿った形となっている。しかしながら、店内のあちこちにドンキらしい工夫が凝らされているのは間違いない。
従来型店舗との最大の違いは販売しているアイテム数である。標準的な売り場面積のコンビニには、通常、3000点ほどのアイテムが並んでいるが、今回の実験店ではドンキから2800アイテムを導入し、最終的には5000アイテムほどの商品を並べた。
多数の商品を同じ売り場に陳列するため、コンビニではほとんど見られなかったつり下げ陳列などを導入。入り口の脇にはゴンドラを設置し、目玉商品が目に入りやすいよう工夫した。棚の高さも従来よりアップしたという。
1カ月が経過した7月時点において、顧客の滞留時間が大幅に伸び、売上高が1.5倍に拡大するなど、大きな成果が得られている。
もっともコンビニという業態は、単位面積当たりの売上高が他の業態と比較して突出して大きい。これは日常生活に必要なあらゆる商品を取り揃えていることが理由だが、売り場のデザインを奇抜にしてしまうと、本来の顧客ニーズを取りこぼしてしまう可能性がある。
このため、今回の実験店舗の成果をそのまま次世代の店舗デザインに反映できるとは限らない。だが、ドンキ流のレイアウトの効果が絶大であることは間違いなく、近い将来、ファミマのレイアウトが変わる可能性は高いとみてよいだろう。
狙いは仕事を持つ女性客
一方、セブンはすでに店舗レイアウトの刷新に乗り出している。同社は全国で2万店舗以上の店舗を運営しているが、すでに1300店舗が新型レイアウトに移行しており、2021年までには1万店舗が新型レイアウトとなる見込みである。
これまでセブンの店舗は、入ると左手にレジカウンターがあり、右手に雑誌が外に見えるよう配置されるケースが大半だった。レジカウンターの近くには、お弁当やチルドの棚があり、カウンターの反対側には飲料が入る大型冷蔵庫がある。店舗物件の間取りにもよるが、基本的にはどの店舗も同じようなレイアウトになっているはずだ。
新しい店舗では、レジカウンターは奥に移動しており、総菜類を豊富に提供できるよう長さが3割ほど長くなっている。入り口の左側には大きな冷食の棚が置かれており、全体的に食品類が強化されていることが分かる。店内は以前よりも少し白っぽい雰囲気となった。あくまで筆者個人の感想だが、少し無機質になったイメージだ。
同社が創業以来発となるレイアウト変更に踏み切ったのは、女性客を取り込むためである。
共働き夫婦の世帯や単身世帯が増え、食品類をコンビニで買いたいというニーズは以前に比べて高まっている。これまで食品類はスーパーで購入するというのが一般的だったが、時間がない人は、もっと手早く夕食を揃えたいと考えており、そうしたニーズに対しては、駅や自宅に近いコンビニはうってつけだ。
これに加えてドラッグストアなど、これまで生鮮食品を扱っていなかった業態も、次々と生鮮の取り扱いをスタートしており、食品はスーパーで買うものというイメージも薄れてきている。業界最大手のセブンが、夕食を意識した女性客にフォーカスするのは自然な流れといってよい。
店舗数を増やさずに全店売上高を拡大する
ファミマにはファミマの、セブンにはセブンの狙いがあるわけだが、なぜコンビニ各社はこのタイミングで店舗レイアウトの変更に乗り出しているのだろうか。
最大の理由はコンビニ市場の飽和である。
コンビニは全国の津々浦々に店舗を構えており、コンビニに適した立地条件の場所はほぼすべて開拓され尽くしたともいわれている。こうした中でさらに業績を伸ばしていくには、顧客1人あたりの単価を上昇させるか、他の業態から顧客を奪ってくるしかない。
ファミマの実験店舗もセブンの新レイアウトも顧客単価の上昇という部分に大きな期待が集まっている。ドンキ流の店舗運営を導入することで滞留時間が長くなれば、顧客が「もう1品」を買ってくれる可能性が高まる。このもう1品を実現できれば、客単価はその分だけ上昇し、同じ客数でも売上高を大きく伸ばすことが可能となる。
セブンの女性客取り込みにも同様の効果がある。夕食の献立を考えながら来店する客とそうでない客では、当然、平均的な購入金額が変わってくる。しかも総菜類はうまく販売すれば利益率を高く設定できるので、夕食を前提にした女性客を増やせれば、顧客単価と利益率の両方を引き上げることができる。
顧客層の入れ替えを全店で進めることができれば、店舗数を大幅に増やさなくても、全店売上高を拡大できるという目論見である。
他業種からの顧客引き抜きを狙う
店舗レイアウト刷新にはさらに次の段階がある。
それは他の業態からの顧客の引き抜きである。日用品を扱う小売店にはかなりの経路依存性があり、顧客はいつも通っている店をそう簡単には変えない。
だが大胆な店舗レイアウトの刷新があると、こうした新規性に惹かれて、別な店舗に通っていた顧客が来店する可能性が高まってくる。ここでうまくその顧客を取り込むことができれば、今後、長期にわたって店舗の優良顧客となってくれる。
具体的に言えば、セブンは既存の大型スーパーからの顧客獲得を狙い、ドンキ型のファミマ店舗は、ライバルのコンビニ店をターゲットにしている可能性が高い。
つまり一連の店舗レイアウト刷新は、コンビニという業界がいよいよ飽和状態となり、他業種も巻き込んだ、顧客の奪い合いに突入したことの象徴と考えるべきである。
コンビニはどこも似たようなものというイメージは、あくまで成長市場を前提とした旧世代のものである。新しい時代のコンビニは生き残りをかけて一気に個性化することになるのかもしれない。
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