2018年9月4日 / 11:48 / 8時間前更新 焦点:貿易戦争で人民元の一段安も、中国が試される「本気度」 2 分で読む[上海 3日 ロイター] - 米国が中国製品への輸入関税対象拡大を視野に入れている中で、中国人民銀行(中央銀行)は近く、下げ歩調の人民元を支えるために、今までよりも強力な手段を行使する決断を迫られるかもしれない。 元が4カ月にわたって値下がりしてきた間、人民銀はずっと小手先の対応でしのいできたが、最近になってさらなる下落は好ましくないとの姿勢を示唆し、市場が1ドル=7元を試す手前で何とか相場を安定させている。 しかし市場関係者の話では、米中貿易摩擦の激化で既に減速している中国経済が一段と圧迫されるのに伴って、人民元に対する下げ圧力が復活するのも避けられない。 トランプ政権は、早ければ今週中にも新たに2000億ドル相当の中国製品に輸入関税を適用する可能性がある。これが実現すれば、中国当局の金融緩和や米国債利回り上昇、全般的なドル高というプレッシャーにさらされている人民元の下落リスクは一層増大しかねない。 BNPパリバの中国金利・FXストラテジスト、Ji Tianhe氏は「人民銀は今微妙なバランスを保っており、米中の貿易を巡る協議がもたらす予想外の事態や、市場のリスクイベントがそうしたバランスを狂わせる恐れがある」と述べた上で、状況が変われば人民銀はより強力な通貨政策を発動してもおかしくないと付け加えた。 バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのアナリストチームは、年初来で約5%下落している人民元が今後あと1.6%下がり、年末には1ドル=6.95元になると予想する。 ゴールドマン・サックスは来年初めに1ドル=7.1元まで元安が進むとの見方を変えていない。もっとも中国エコノミストのM・K・タン氏は、その後通商面の緊張が和らいで元高に戻るとみている。 <試される本気度> 人民銀はここ数週間でいくつかの元支援策を打ち出し、トレーダーにとって元安に賭ける取引は割高化するとともに、2015年の元切り下げショックの記憶がまだ新しい国際金融市場の不安を後退させている。8月24日には元基準値算出に「カウンターシクリカル(反景気循環)な要素」を再導入したと表明し、元安に歯止めがかかった。 国有銀行は、スワップ市場で元先安観を抑制するための取引を行っているとみられる。 中国が2016年と17年に採用した資本規制も、当時目にされたボラティリティの復活を防いでいるもようだ。 ただし市場関係者は、人民銀は単に時間稼ぎをしているだけだと考え、ドルの上昇とともに元がまた軟化するだろうと見込んでいる。 それだけに人民銀の次の一手は、従来と違って「重量級」の政策になると予想される。例えば中国国内のオフショア人民元預金に関して準備率を大きく引き上げたり、フォワード取引の決済手段を変更する、あるいはオフショア市場における外国人の元空売りコストを思い切って引き上げるといった可能性がある。 ゴールドマンのタン氏は、資本規制強化や、資金流出が相当拡大した場合には直接的なドル売り介入さえ排除できないと話す。 今のところ人民銀が積極的な元防衛に動く水準はなお判然としていない。表面上は、1ドル=7元という心理的な節目を超えて元安が進むのは阻止する態勢に見える。とはいえ昨年は、貿易加重平均指数が92近くまで下がった際に本格的な元安対応に乗り出しており、そこが防衛ラインのようにも受け取れる。 それでも上海のある外銀トレーダーは、貿易摩擦が急速にエスカレートすれば、人民銀は口先だけでなく行動でもっと積極的に元を守らない限り、対応しようがなくなると警告した。 このトレーダーは「中国当局が本気で元を安定させたいなら、『実弾』が必要だ。ごまかしのような手段では足りない」と強調した。 (Winni Zhou、Andrew Galbraith記者)
2018年9月4日 / 14:43 / 4時間前更新 コラム:割安の中国融資に溺れるアフリカの「二日酔い」 Ed Cropley 2 分で読む
[ロンドン 3日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ビールの価格がただ安いから飲め、と言う論法は成り立たない。しかし、アフリカ諸国はここ数年、中国からの割安融資という酒に溺れ、それによる無駄遣いや、デフォルト(債務不履行)さえ引き起こしている。 さすがに中国は節酒を説くようになったが、借り手のアフリカ諸国も貸し手の中国も断酒の意志は乏しいようだ。 中国とアフリカ諸国の組み合わせは理に適っている。西側金融機関の融資はコストが高すぎたし、国際機関の動きは遅すぎた。中国の政府と銀行がこの隙間を埋めた。今世紀に入ってからの中国のアフリカ諸国向け融資は少なくとも1360億ドルに上り、アフリカ諸国はどうしても必要な資本を、中国は不可欠な天然資源をそれぞれ手に入れた。 中国からの資金で空港や港湾、鉄道が建設され、雇用が生まれた。しかし割高なプロジェクトも進められ、果ては経営破綻も発生。ロンドンに拠点を置く運動組織「ジュビリー」からは中国政府が「債務の罠を使った外交」を展開していると批判を浴びた。 ロイターによると、既にアンゴラは国内総生産(GDP)の3分の1強に相当する債務420億ドルを再編しており、米ジョンズ・ホプキンズ大はこの債務は中国からの借り入れだとみている。 中国の習近平国家主席も変化を望んでいるようだ。 習氏は3日、アフリカ諸国に向こう3年間で総額600億ドルの支援を行うと表明したが、同時にアフリカ諸国に無駄なプロジェクトを行わないよう、くぎを刺した。ただ、中国はこれまで融資について説明責任や透明性の面でほとんど何も取り組みを行っていない。 主な融資機関である中国輸出入銀行と国家開発銀行は融資の詳細を伏せており、アフリカ諸国の納税者の最終的な負担を予想するのは難しい。一方、世界銀行が手掛けるプロジェクトは公開されて厳しい目にさらされ、経済的に合理性があって環境を破壊しないことが明確になっている。 借り手側が「断酒」に努めた様子も見当たらない。 国際通貨基金(IMF)は4月にガーナに対し、9億1800万ドルの支援の最終分を実施するに当たって借り入れの抑制を求めた。しかしアクフォアド大統領は習国家主席との会談で、償還期間100年のインフラ国債を発行し、ほぼGDPに相当する500億ドルを調達する計画を示した。 次の二日酔いはもっとひどいものになるだろう。 ●背景となるニュース ・中国の習近平国家主席は3日、北京で開幕した中国アフリカ協力フォーラム首脳会合で、アフリカ諸国に今後3年間で総額600億ドルの支援を行うと表明した。これは2015年以来に提供された額に等しい。 ・米ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院(SAIS)の中国アフリカ研究所(CARI)のデータによると、中国の2000年─16年の対アフリカ諸国融資は総額1250億ドル。 ・エチオピアとザンビアは対中債務の再編の望むと表明した。ロイターは先に銀行筋の話として、コンゴ共和国とアンゴラが既に対中債務の再編に着手したと報じた。 *筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
2018年9月4日 / 17:08 / 2時間前更新 インタビュー:貿易戦争など警戒、ディフェンシブ態勢で好機待つ=ファス氏 2 分で読む
[東京 4日 ロイター] - 米資産運用会社ルーミス・セイレスの副会長で「債券界のウォーレン・バフェット」とも称されるダン・ファス氏(84歳、運用歴60年)は東京都内でロイターのインタビューに応じ、旗艦ファンドのポートフォリオを一段とディフェンシブにシフトさせていることを明らかにした。 理由については、自社アナリストの個別訪問で企業に貿易戦争に備える動きがあることを把握しており、地政学リスクへの警戒感から、時機をみて機動的に動くためポートフォリオの自由度を高めていると語った。 同社は、仏ナティクシス・インベストメント・マネージャーズ傘下の資産運用会社で、米マサチューセッツ州ボストンが本拠地。6月末時点の運用資産残高は2644億ドル(約29兆円)。 ファス氏の来日インタビューは3日行われた。概要は以下の通り。 ──世界経済の現状をどうみるか。 「世界経済、また先進国および新興国の大半の経済は今のところ堅調だ。しかし、(米国が仕掛ける)貿易戦争から『かなりの』ストレスを生んでいる。政治が貿易に介入することで、経済の好調さが損なわれる恐れがある。実際、一部にその兆候が出ている」 「当社のクレジットアナリストが、企業の(経営トップの)CEOやCFOではなく財務担当者に聞き取りを行った結果、貿易への介入を見越し、織り込むような動きが企業の事業計画にみられつつある。こうした動きが今後も広がれば、経済全体においても、現時点ではみられないような軟調な部分が目に付くようになると想定するのが自然だ」 「事業会社の世界では、目先にトラブルの到来が見込まれる場合、一旦停止するというのが定石だ。企業による発注キャンセルの動きが出始めれば、景気が方向転換するのに時間はかからない。そして、その影響はレバレッジ効果を持ってレイオフなどを引き起こす」 「そうなると経済はあっという間に急転換を余儀なくされる。似たことは過去にもあった。私は60年の運用キャリアの中で、何度かそれを経験している。貿易戦争、ビジネスへの(政治)介入、(経済)制裁─これらは、米景気を下押しする可能性がある」 ──運用する旗艦ファンド「ルーミス・セイレス・ボンド・ファンド」(LSBDX.O)(LSBRX.O)のポートフォリオについて。 「以上の分析に基づき、われわれが取った行動は2つ。1つ目は、2年以下の米短期国債が中心になるが、高格付・高流動性の資産やキャッシュの総称である『リザーブ』の比率を、35%にまで引き上げた。旗艦ファンドのリザーブ比率は、通常モードで2%程度だ。2つ目としては、ファンドの平均格付けを引き上げた」 「これは私の60年超におよぶ運用キャリアでも、またルーミス・セイレスでの42年半の運用キャリアでも、最も慎重なポジショニングだ。何も世界はもう終わりだと言っているわけではない。ただ、今は柔軟性を高めるのに適した時期だと考えている」 「ポートフォリオの利回り向上にも配慮しているが、幸い、短期ゾーンの利回りが上昇してきているため、ディフェンシブなポジションにしてもある程度の利回りが稼げるようになっている」 「これにより、当ファンドのポートフォリオは現在、非常にフレキシブルな態勢にある。貿易戦争を含む地政学リスクを巡る懸念が解消に向かうならば、それは産業界やクレジット市場にとって喜ばしい話であり、われわれは通常モードのポジショニングに戻ることができる。その場合、FRB(米連邦準備理事会)は正常な状態を目指して利上げを続けるだろう」 「一方で、利上げをペースダウンする、あるいは利上げを打ち止めにするとみれば、われわれはリザーブをすぐさま放出(債券買い)することができる」 ──米金利見通しについて。 「10年国債利回りUS10YT=RRは、3.8─4%が今回の利上げサイクルのピークとなるだろう。30年債利回りUS30YT=RRについては、投資家の負債マッチング上のニーズもあり、さほど上がらないと考える。4.3─4.4%がピークとみている」 Loomis Sayles Bond Fund 13.51 LSBDX.ONASDAQ STOCK EXCHANGE CAPITAL MARKET -0.02(-0.15%) LSBDX.O LSBDX.OLSBRX.O (1 Japanese yen = $0.0090) インタビュアー:植竹知子 編集:伊賀大記
南アランド売り反応、GDPが予想外の前期比マイナスで=ロンドン為替 配信日時 2018年9月4日(火)18:40:00 掲載日時 2018年9月4日(火)18:50:00 南アランド売り反応、GDPが予想外の前期比マイナスで=ロンドン為替
第2四半期の南アGDPが予想外の前期比マイナスとなったことで、ランド売りが強まっている。ドル/ランドは15.00-05から15.2389レベルに上伸。ランド円は7.41近辺から一気に7.3115レベルまで急落。 南アGDPは、これで2四半期連続のマイナス成長となり、リセッション入りとなった。2009年以来の連続マイナス成長となった。 ZAR/JPY 7.3170 USD/ZAR 15.2240 再送:南アフリカ経済指標【GDP】 配信日時 2018年9月4日(火)18:34:00 掲載日時 2018年9月4日(火)18:44:00 ※前期比年率の前回値が修正されました。
GDP(第2四半期)18:30 結果 -0.7% 予想 0.6% 前回 -2.6%(-2.2%から修正)(前期比年率) 結果 0.4% 予想 1.0% 前回 0.8%(前年比) ドル買い優勢、豪ドル/ドルは上げを消して安値更新=ロンドン為替 配信日時 2018年9月4日(火)16:50:00 掲載日時 2018年9月4日(火)17:00:00 ドル買い優勢、豪ドル/ドルは上げを消して安値更新=ロンドン為替 ロンドン序盤はドル買いが優勢になっている。東京市場で買いが目立った豪ドル/ドルは上げを消しており、本日安値を0.7184レベルまで広げている。 AUD/USD 0.7185 AUD/JPY 80.07 USD/JPY 111.44 2018年9月4日 / 14:28 / 5時間前更新 豪中銀の声明全文 2 分で読む
[シドニー 4日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)が4日の政策理事会後に発表した声明は以下の通り。 政策理事会は今日、政策金利のキャッシュレートを1.50%に据え置くことを決定した。 世界経済は引き続き拡大している。多くの先進国・地域がトレンドを上回るペースで成長しているほか、失業率は低水準となっている。中国経済は小幅に減速し、当局は金融セクターのリスクに引き続き細心の注意を払いつつ、政策を緩和している。世界的にインフレ率は低水準にとどまっている。とはいえ、一部の国・地域ではインフレ率が上昇しており、引き締まった労働市場を考慮すると一段の上昇が見込まれる。世界の見通しに関する不透明要因の1つは、米国の国際通商政策の方向性から生じている。 金融状況は引き続き緩和的だが、一部の国では徐々にその度合いが低下している。米ドルは今年、幅広く上昇している。 豪州では市場金利が年初の水準から上昇している。ただ、6月末以降は若干低下している。市場金利の上昇は小口預金の金利上昇には波及していない。一部の貸し手は住宅ローン金利を小幅に引き上げたものの、支払われる住宅ローン金利は平均して1年前の水準より低い。 豪経済に関する中銀の中心的な予想は、2018年と19年の国内総生産(GDP)伸び率が平均で3%をやや上回るとの見通しだ。18年前半の豪経済はトレンドを上回るペースで成長したと推定される。景況感は明るく、鉱業以外の設備投資は増加が見込まれる。公共インフラ投資の増加と資源輸出の伸びも経済を下支えしている。 引き続き不透明要因の1つとなっているのは家計消費の見通しだ。家計所得の伸びは緩やかで債務の水準は高い。干ばつは一部の農業セクターの状況を厳しくした。 豪州の交易条件は、一部の商品(コモディティー)価格の上昇を受けてここ数年で改善した。交易条件は今後悪化するとみられる一方、比較的高水準にとどまる見込みだ。 豪ドルは貿易加重ベースで過去2年間のレンジの範囲内にとどまっているが、他の主要通貨と同様に米ドルに対しては下落した。 労働市場の見通しは依然としてポジティブだ。失業率はほぼ6年ぶりの低水準である5.3%に低下した。求人率は高水準で、一部分野は技術者不足を報告している。失業率は向こう2年間に5%前後にさらに緩やかに低下すると見込まれる。 賃金の伸びは最近になってやや上向いたものの、依然として弱い。 経済の改善によって賃金の伸びはいずれ、さらに幾分押し上げられるはずだが、緩やかなプロセスとなる公算が大きい。 インフレ率は2%前後にある。インフレ率が2019年と2020年に現在よりも上昇するというのが中銀の中心的な予想だ。一方、7─9月期の一部管理価格の一時的な下落を反映し、2018年の総合インフレ率は当初予想よりも若干低い1.75%になると予想される。 シドニーとメルボルンの住宅市場の状況は引き続き緩和し、家賃上昇率の全国的な指標も依然として低い。 住宅融資伸び率は年率5.5%に低下した。これは住宅市場の力学が変化する中で、投資家による需要が減退したことが主因だ。 家計のバランスシートにおけるリスクの増大を抑制するために豪健全性規制庁(APRA)が先に実施した監督措置の影響もあり、貸出基準は数年前に比べて厳格化している。信用度の高い借り手を巡る競争が起きている。 低水準の金利は引き続き豪経済を支援している。失業率のさらなる低下とインフレ率の目標水準への回帰が予想されている。ただ、そのペースは緩やかである可能性が高い。 入手可能な情報を考慮した上で、理事会は今回の会合で金融政策スタンスを維持することが、持続可能な経済成長およびインフレ目標の達成と整合的と判断した。
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