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65歳超の単身世帯は約3割 老後をひとりで生き抜く6つの秘訣〈週刊朝日〉 
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/362.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 9 月 04 日 09:30:15: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

65歳超の単身世帯は約3割 老後をひとりで生き抜く6つの秘訣
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180831-00000018-sasahi-life
AERA dot. 9/4(火) 7:00配信 週刊朝日  2018年9月7日号


ひとり力を身につけたシンイチさん(撮影/山内リカ)


定年後の人生が一目でわかる、老後の未来年表1/2(週刊朝日2018年9月7日号より)


 人生100年時代、望む、望まないにかかわらず最後はおひとりさまになる可能性は極めて高い。一人でいる期間をどう自分らしく過ごすかを考えたときに必要となるのが、人に頼らず生きていく“ひとり力”だ。そのコツを紹介する。

 東京都在住のシンイチさん(68)は、9年前に5歳下の妻を病気で亡くした。子どもはおらず、妻の両親と暮らした3階建ての一軒家を売却し、現在はマンションで一人暮らしだ。

 かつて喫茶店を開いていたこともあって、料理はお手のもの。最近は健康を気にかけ、野菜をできるだけとるようにしている。洗濯も掃除もまったく問題なし。共働きだった妻と家事を分担していたからだ。

 一日の終わりには近所の飲み屋へ。常連客には顔なじみも少なくないが、おしゃべりをするわけでもなく、一人酒を楽しむ。

「もともと、人と深く付き合うのが下手なんでしょうね。こういう距離感が自分には合っています」

 そう笑うシンイチさん。まさに“ひとり力”が身についている例だろう。

 高齢者が長生きするようになった今、老後に一人で生きていくための力をつけることは、もはや必須。定年後の健康・人間関係の変化として特筆すべきは、60代で配偶者と死別・離別で一人暮らしになる人が増えることだ。高齢者こそ、一人暮らしへの備えが必要ということだろう。

 それは内閣府の高齢社会白書(平成30年版)を見ても明らかだ。65歳以上の高齢者のいる世帯は2416万5千世帯で、このうち単独世帯は655万9千世帯。全体の27.1%にものぼる。

 一人暮らしの高齢者数は年々増加し、1980年には男性が約19万人、女性が約69万人、65歳以上の人口に占める割合は男性4.3%、女性11.2%だったが、2015年にはそれぞれ約192万人、約400万人になった。割合にすると13.3%、21.1%にものぼる。増加の傾向は今後も続くと予測されている。

「高齢者の一人暮らし」というと、孤独死、孤立死などネガティブな印象がつきまとう。だが、実際はそうとも限らないようだ。

『老後はひとり暮らしが幸せ』などの著書がある医師の辻川覚志さんは、大阪府門真市の住人と、辻川さんのクリニックを受診した60歳以上の男女570人にアンケートを実施。生活満足度や健康意識、悩みの程度、家族構成などについて聞いた。

 その結果、家族との同居者と比べて、独居者のほうが満足度が高いことがわかった。

「なぜ一人暮らしの高齢者のほうが満足度は高いのか。結果を分析してみると、どうやら自由に生きられる力、つまりひとり力がついているという要素が大きく影響していると考えられるのです」(辻川さん)

 家族と暮らす高齢者は、子どもや孫と接して楽しい面がある一方、周囲のペースに合わせられない、気を使うといった人間関係のストレスを抱えやすい。それが結果的に満足度を下げる要因になっている。対して、一人暮らしになると、何でも自分で対処しなければならないが、家族の影響を受けず自分のペースで過ごせる。これが一人暮らしの満足度を上げていると、辻川さんは推測している。

「健康で元気な高齢者だけでなく、通院や介護などが必要になった状態でも、一人暮らしのほうが同居より満足度は高く、年代別でも、90歳以上を除いたどの年代も一人暮らしのほうが満足度が高くなっていました。一方、お金のあるなしと満足度との間には相関関係が見られませんでした」(同)

 いくつになっても、ひとり力を身につけていれば満足する生き方ができるのだ。そのコツや具体策をまとめた。

■暇な時間は2時間以内、不安に駆られないように

 パートナーと死別するなど高齢者の一人暮らしが始まると、孤独やさみしさに襲われることも多い。それを避けるには、意識して暇な時間を作らないことがポイントとなる。というのも、そうしたネガティブな感情は“暇な時間”に湧いてくるからだ。

「一人暮らしの人の中で不安やさみしさの程度が小さい人は、総じて『暇を感じる時間』が少ない傾向がありました」(同)

 定年を迎えたらのんびり過ごしたいと思っている人は多いだろうが、65歳以上でも働くのが一つの選択肢。実際、65歳以上70歳未満の男性の半数、女性3分の1は何らかの仕事についている。

 一日の過ごし方として、何かをしていて「気がついたらこんな時間になっていた」というのが理想。夢中になれることなら、仕事やアルバイト以外のボランティア、趣味やサークル活動でもよく、家事やテレビを見ることでもいい。ただし、見たい番組を見るのはいいが、テレビをつけっぱなしの“だらだら”は暇を感じやすいのでNGだ。

 朝起きてから夜寝るまで、暇を感じる時間は2時間までにとどめたい。というのも、このアンケート結果で、「独居はさみしくない」と答えた人が感じる暇な時間の平均は「2時間」だったからだ。ちなみに、「独居はさみしい」と答えた人は5時間だった。

「体を動かせるうちは体操教室やスポーツジムに通うのもいいと思います。介護が必要になったときを想定し、自宅を住みやすく変える計画を立て、改修するのもいいでしょう」(同)

 体の自由が利かなくなってきても、ペースダウンしながら、夢中になれることを続けていこう。

■さみしさは好奇心で乗り越えられる

 高齢者の一人暮らしにはさみしさがつきものと考えがちだが、『おひとりさまの介護はじめ55話』などの著者で、ノンフィクションライターの中澤まゆみさんは、「その正体は“欠落感”。ずっと一人で暮らしている人は、耐性がついています(笑)」。さみしさを感じたときの逃げ場、乗り越える力となるのが、好奇心だ。

「興味を持てるものを見つけたら、行動することが大事です。ヨガや太極拳なら体を動かせますし、病気や介護についての講座では、知識が深められます。最近は無料で開催される講座も多く、自治体の広報には情報が掲載されています。シニア向けの講座が大学やカルチャーセンターにもたくさんあります」(中澤さん)

 気の合う仲間と出会う可能性も高くなり、同世代ではなく、若い世代とも交流を深められる。さまざまな考え方に触れることで視野が広がっていく。

「楽しそうな仕事を始めてもいいと思います。認知症カフェや子ども食堂などはどこも人手が足りません。作業を通じてコミュニケーションすることが多いので、人と話すのが苦手な人が始めるにもハードルが低いと思います」(同)

■できないことは他人を頼る、娘や息子におんぶにだっこは×

 高齢になってからの一人暮らしで大切なのが、「自分でできないことはほかの人に頼ること」。人から支援を受けること(受援)が、自立のポイントなのだ。

「単身けん(ひとりで生きるために、単身者の生活権を検証する会)」の石川由紀さんは、上手に周りから支援を受けることを「受援力」と名付け、高齢者が身につけるべきひとり力の大事な要素だと考える。

「何でも一人で解決しようと頑張ることが、ひとり力ではない。とくに高齢者は自分だけではできないことが増えてくるため、周りから支援を受けることが大切です。しかし、今の高齢者は人にお願いするのがとても下手」(石川さん)

 上手になるには、まず「自分は年上で経験が豊富」という意識を捨てること。

「今年の猛暑がいい例。ニュースなどでは“これまで経験したことのない暑さ”なんて言っていますよね。残念ながら、今は昔の経験が役立たない時代だと思ってほしい」(同)

 支援をお願いするコツは、頼る相手を限定しないこと。一度にたくさんのことを依頼したり、何度も続けたりすれば、相手も嫌になってしまう。それは息子や娘、孫などの身内や仲の良い友人でも同じ。

「相手の得意な分野について少しだけお願いする。そのため相手がどんなことが得意で、どんな頼み方をすれば喜んで協力してくれるのか、想像力を働かせてみましょう」(同)

■病気やケガ、災害時のため、食料は2週間分蓄える

 一人暮らしで困るのは、体調を崩したときだ。70歳から持病に悩む人が増えてくる。石川さんは「2週間分ぐらいの食料をストックしておくことで何とかなる」と話す。

 冷凍食品やレトルト食品などでもいいが、缶詰などそのまま食べられる食料も用意を。病気やケガで外出できなくなったときだけでなく、災害などでスーパーやコンビニなどが利用できないときや、停電や断水などで電気や水が使えないときにも、役立つからだ。

■一軒家より集合住宅、賃貸なら住宅セーフティ、ネット制度を活用

 持ち家の一軒家に住んでいるケースが多い高齢者。一人では掃除や管理が難しくなってくる。そのような場合、シェアハウスとして家の一部を人に貸す、家を売却して高齢者住宅に移り住むといった方法がある。事実、75歳以上になると、要介護認定率が上がり高齢者施設への入所が現実味を帯びてくる。

 高齢者施設で、昨今、注目されているのが「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」。なかでも、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)や住宅供給公社の空き室をリノベーションして使う、分散型の高齢者施設が人気だ。高齢者だけでなく、いろいろな世代の家族が住んでいるからだ。コラムに登場するヒロコさん、ユキコさんなどの例は参考になるだろう。ちなみに老後の未来年表を見ると、サ高住入居者の平均年齢は82.1歳だ。

 賃貸はどうか。以前は高齢者の一人暮らしは家賃の滞納や孤独死などへの危惧から敬遠されていたが、最近はだいぶ借りやすくなってきたと中澤さんは言う。

「まだ数は非常に少ないですが、昨年から国土交通省が空き家活用などで高齢者の入居を促す『住宅セーフティネット制度』を始めました。自治体やURでも住宅相談に力を入れ始めています」

 これは、新たな住宅セーフティネット法に基づき、高齢者や低額所得者、子育て世帯などの「住宅確保要配慮者」に、事前に登録した民間賃貸住宅や空き家を提供する制度。全国の総登録戸数は3400件弱。大阪府が多く、まだ登録されていない自治体もあるが、注目の制度だろう。

■孤独死は前提。発見を早くするために“介活”を

 最後は孤独死。一人暮らしでは避けて通れない問題だ。2016年に報告された東京都福祉保健局東京都監察医務院の「東京都23区における孤独死統計」によると、15年の65歳以上の孤独死の件数は3127人。年々その数は増えている。孤独死の問題に詳しい淑徳大学総合福祉学部教授の結城康博さんは、「男性が女性の2.5倍にのぼる。独居高齢者の孤独死は今後も増えていくでしょう」と話す。

「孤独死には、突然亡くなるケースと、倒れて具合が悪くなっても助けを呼べないまま亡くなっていくケースの2通りがある。それぞれに対応が必要です」(結城さん)

 前者で重要なのは“1日でも早く発見される”こと、後者で重要なのは、何かあったときにすぐに助けに来てくれる存在。そのためには自治体などの見守りサービスの設置はもちろん、“人に気にされやすい人になっておくこと”が重要だと結城さんは話す。

「気にされやすい人になるためには、仕事でも、ボランティアでも何でもいい、外に出て縁を作ることが大事です。周りから気にされる人になれば、問題となる後者の孤独死は予防できます」(同)

 さらには、「自分が介護される側になったときのことを想定して、準備を始める“介活”を」と結城さんは呼びかける。認知症や骨折などで介護が必要になったらどう介護サービスを使うか。これもひいては孤独死対策になるという。

 好む、好まないにかかわらず訪れる一人での生活。今から“ひとり力”をつけておくに越したことはない。(本誌・山内リカ)



 

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