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トルコ金融市場の休場明けで再び波乱も
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180827-00235210-shikiho-bus_all
会社四季報オンライン 8/27(月) 17:01配信
(写真:Telnyawka/PIXTA)
「トルコショック」から約2週間。トルコは先週、大型連休で金融市場が休場していたが27日から再開する。同国のエルドアン大統領の発言や中央銀行の政策などに再び、多くの市場関係者の関心が集まりそうだ。
これまでのところトルコリラはひとまず落ち着きを取り戻した感がある。ショック勃発後には急落。トルコリラ・ドル相場は一時、1ドル=6.8トルコリラまで売り込まれたがその後、5トルコリラ台後半まで値を戻している。トルコ中央銀行の実質的な金融引き締め策や国内銀行に対するスワップの取引規制、カタールによるトルコへの直接投資の表明を受けて、投機筋の売りなどが一巡した。
だが、市場には長期的なトルコリラ安進行への不安がくすぶり続ける。というのも、トルコに住む米国人のアンドルー・ブランソン牧師の長期拘束や高率関税など、米国・トルコ両国間の関係を悪化させている問題がたとえ解決しても、トルコ経済のファンダメンタルズの脆弱さが急速に改善へ向かうシナリオは考え難いためだ。
足元の同国経済の実体はさほど悪いわけではない。2017年の実質国内総生産(GDP)伸び率は7%超。国際通貨基金(IMF)の予測によれば、18年も4%台の伸びを確保できる見通しだ。
エルドアン大統領が首相に就任した03年以降、マイナス成長に陥ったのはリーマンショック翌年の09年だけ。11年には11%増と2ケタ成長を達成した実績もある。
だが、高成長の実現は「地方でのバラマキや賃上げなどが奏功し、個人消費を刺激した側面が大きい」(大和証券の山田雪乃シニアストラテジスト)。個人消費が牽引役になった結果、「景気がよくなると輸入が増えて貿易赤字が膨らみやすくなってしまった」(同)。
つれて経常収支が悪化。17年の経常赤字の対GDP比率は5%台半ばに達した。6月に金融支援を受けることで国際通貨基金(IMF)と合意したアルゼンチンを上回る水準だ。
赤字を海外からの直接投資や借り入れで賄う経済構造。このため、民間部門の外貨建て債務も膨張し、その返済負担が重くのしかかっている。対外債務の返済に備えた外貨準備も不足。経常赤字と短期債務償還を合わせた「対外資金必要額」の外貨準備に対する比率もアルゼンチンより高い。
外貨準備が不足すれば、トルコリラ安に対する為替介入の余力もかぎられてくる。しかも、エルドアン大統領は利上げを嫌い、中央銀行の政策に口出しする。投機筋のトルコリラ売りの餌食になったのもむべなるかな。
もっとも、トルコリラ安は今に始まったことではない。エルドアン氏が大統領に就任した14年8月以降、下落が続いている。4月に出したレポートでトルコの経済悪化に警鐘を鳴らしていた三菱UFJリサーチ&コンサルティングの土田陽介・研究員は「トルコリラの通貨危機はすでに緩やかながら進行していたのではないか」と指摘する。
リラの下落傾向が続けば、輸入物価の押し上げ圧力が一段と強まって現在、15%を超えるインフレが一段と進行。景気減速感が台頭しそうだ。
トルコリラ安が進むと、外貨建て債務の返済負担もさらに膨らむ。「海外投資家からの信頼をうるためには、中央銀行の独立性や利上げを許容する姿勢を示すことが必要」(みずほ総合研究所の吉田健一郎・上席主任エコノミスト)。だが、その道筋は見えない。
市場ではIMFによるトルコ支援のうわさも取りざたされるが、そうなれば金融引き締めや財政緊縮化を求められる公算が大きく、トルコとしては受け入れがたいところ。なによりもエルドアン大統領のプライドがそれを許さないだろう。首相の座に就いて以来、IMFの助けを借りることなしに高い経済成長を遂げてきたという自負もあるはずだ。
英フィナンシャルタイムズ紙はエルドアン氏が6月の大統領選挙後、「政権で数少ないオーソドックスな見方をする人物だった」シムシェキ副首相を解任し、娘婿のアルバイラク氏を財務相に起用したことをIMFによる支援実現の可能性が低い理由として挙げる。
米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策の変化もトルコの通貨危機をもたらした大きな要因だ。伝統的な金融政策へ回帰し、利上げへ舵を切ったことで、高金利通貨であるトルコリラの魅力は減退。海外からのマネーの逃避につながった。しかし、「米国が(トルコなど)新興国のために利上げをしないという選択は、現段階ではありえない」(三菱UFJリサーチ&コンサルティングの五十嵐敬喜・研究理事)。
となれば、「最後はエルドアン大統領がIMFに泣きつくしかない」(三菱UFJリサーチの土田氏)。だが、それまでにはかなりの時間がかかりそうだ。逆張りのトルコリラ買いへ踏み切るにはリスクが大きい。
まつざき・やすひろ/大正大学教授。ラジオたんぱ、北海道放送、東洋経済新報社で30年あまりに渡り、経済記者・編集者として勤務。現在、東京MXテレビ2(ストックボイス制作)の「東京マーケットワイド」で、欧州の政治・経済情勢について解説。著書に「お金持ち入門 資産1億円を築く教科書」(実業之日本社、共著)。
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
松崎 泰弘
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