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ヤマト、実際の作業量より過大に請求…元社員「組織ぐるみで意図的」、全件数の4割で水増し
https://biz-journal.jp/2018/08/post_24545.html
2018.08.27 文=編集部 Business Journal
ヤマトホールディングス本社(「Wikipedia」より)
宅配便最大手ヤマトホールディングス(HD)の子会社、ヤマトホームコンビニエンス(YHC)が法人顧客に引っ越しサービスの料金を過大請求していた問題で、同社の四国の法人営業支店長だった槙本元氏が7月27日、東京・霞が関の国土交通省で記者会見し、「引っ越しの見積もりは意図的に過大だった。不正は2010年ごろから組織的に行われていた」と暴露した。
槙本氏が過大請求に気付いたのは10年。ある顧客企業の見積書で、荷物量を上乗せしているのを見つけた。本社への内部通報で未然に防いだが、上司から「なぜ通報するのか。内々に済ませればいい」とたしなめられたという。
ところが、同じ顧客企業で11年にも過大請求があり、槙本氏がその企業に知らせて不正が発覚。400万円超が返金されたが処分はなく、その後も不正が続いたという。
「法人の引っ越しは、こんなに楽にお金が取れるのだと、伝染病のように過大請求が全国に広がっていった。『こんなことをしていたらいけない』と何回も会社に言ったが、聞く耳を持たなかった」と槙本氏は明かす。
槙本氏は7月2日に会見を開き、不正の手口を明らかににした。「水増し請求は組織ぐるみで行われていた」と証言しつつ、ヤマト側を詐欺容疑で警視庁に刑事告発することを検討しているとした。
槙本氏の告発を受けてヤマトHDは7月24日、YHCが法人向けの引っ越し料金を過大に請求していたと発表した。16年5月から18年6月末までにサービスを提供した3367社の約8割に当たる2640社に対して過大請求があり、総額は約17億円に上る。過大に請求した企業にはすでに謝罪し、すみやかに返済する予定とした。
家財運搬量や付帯サービスの変更などで、事前の見積額より実際の作業が少なく済んだ場合でも、見積額をそのまま請求していたために、過大請求が起きたと説明した。
実際の作業量に基づき金額を請求するという基本ルールが守られていなかった。平均で1割程度高い金額を請求しており、一番取り過ぎていたケースでは差額は19万円に上ったという。
過去2年間の過大請求件数は計約4万8000件と、法人向け引っ越しサービスの提供件数全12万4000件の約4割を占めた。過大請求が全国的に行われていたことから、会見では「組織ぐるみ」であったかどうかに質問が集中した。ヤマトHDの山内雅喜社長は「組織として、このような(過大請求の)指示をしたことはない」と組織ぐるみの不正を否定した。
告発者の槙本氏は、ヤマトHDの山内社長の記者会見について「悪いことをしたのだという印象はなかった。上からの指示があった案件があるとも聞いている。ちゃんとウミを出して、まともな会社になってほしい」と、感想を述べた。
ヤマトHDは「見積もりと実際に運んだ量が違っても、最初のまま請求していた」と説明したが、槙本氏は27日に開いた2度目の会見で、「見積もり段階で実際に運ぶ予定のない荷物を含めて計算し、意図的に過大請求する不正もあった」と証言した。
ヤマトHDが過大請求の総額を2年間で17億円と発表したことについて、「記録は内規で7年間残す決まりになっていて、ヤマトは金額を小さく見せようとしている」と指摘した。
槙本氏の2度目の告発を受けヤマトHDは7月31日、過大請求額を修正した。これまでに判明していた約17億円に新たに約14億円を加え、過去5年間で約31億円と発表した。
■外部調査は「組織ぐるみ」で行われたかが焦点
ヤマトHDは7月23日、YHC内に外部専門家で構成する調査委員会(委員長・河合健司弁護士)を設置。原因究明や抜本的な再発防止策の策定を進めることにした。8月中に調査結果の報告を受ける。調査の焦点は「組織ぐるみ」だったかどうかだ。
告発者の槙本氏は、引っ越しの水増し請求が横行した原因について、法人契約に盲点があるとしている。
(1)法人契約の場合、すべての引っ越しをYHCが引き受ける代わりに割引が適用される。そのため、依頼企業は他社との相見積もりを取らない。
(2)依頼企業の従業員は自分の財布からお金を出すわけではないので、見積もりが正しいかについての関心が低い。
(3)経理担当者も従業員の家にどれだけの荷物があるか知らないから、YHCが出してきた請求書通りに支払う。
信頼関係にあることを逆手にとって、YHCの担当者が水増し請求をしていたという構図が浮かび上がってくる。
ヤマトHDは8月6日までに、全国128事業所中123事業所で不正があったことを国交省に報告した。不正がなかったのは5事業所だけということだ。
不正は社員に伝播した“院内感染”みたいなものだ。だがヤマトHDは、上司が指示した「組織ぐるみ」の不正ということを今後も否定する可能性が高い。
YHCの売上高は17年3月期の491億円から、18年3月期は489億円へ2億円ダウンした。セグメント利益(営業利益)は10.7億円から5.2億円に半減した。
この2年間の営業利益は合計15. 9億円。2年間の過大請求額の合計は、当初公表した数字だけで17億円ある。YHCの業績は実質的に営業赤字だった可能性が出てくる。過大請求で利益をかさ上げしていた実態が浮かび上がってくる。
ヤマトHDは傘下のヤマト運輸で17年、宅配便ドライバーに対する230億円の賃金の未払いが発生し、構造改革の真っ只中にある。ヤマト運輸は人手不足やネット通販の荷物の増加を理由に昨年10月、個人向け基本運賃を平均15%値上げした。大口の法人顧客1100社に対しては、個人を上回る値上げを実施した結果、大口顧客の4割が流出した。
■先行きは楽観視できず
ヤマトHDは7月31日、18年4〜6月期の連結決算を発表した。宅配便の取扱数量の減少を値上げによる単価上昇で補い、営業収益は3806億円と前期比で7.1%増えた。最終損益は40億円の黒字(前年同期は79億円の赤字)に転換した。
19年3月期の通期見通しを上方修正した。営業収益は前期比9.0%増の1兆6150億円と150億円上方修正、純利益は97.5%増の360億円を据え置いた。その一方で、YHCの不祥事に伴う収益のマイナス分を計上。引っ越し過大請求のマイナスの影響分を売上高で95億円、営業利益で60億円、織り込んだ。
引っ越しの法人客は、宅配便の法人顧客と重なる。そのため、宅配事業の競争環境が大きく変わりつつある。法人顧客のヤマト離れが進めば、「クロネコ」ブランドの信頼も揺らぎかねない。宅配市場のほぼ半分を押さえる最大手は、正念場を迎えている。
■YHCに立ち入り検査
国交省は8月9日、貨物自動車運送事業法に基づき、東京都中央区にあるYHC本社に立ち入り検査を実施した。
YHCは国交省に対し、過大請求を行った事業拠点は全国128カ所のうち123カ所と報告しており、関係者の聞き取りや書類確認などを行った。
国交省は詳細な事実関係や再発防止策を8月中に報告するようYHCに求めており、立ち入り検査はその一環。同省は、安全面での監査を実施することはあるが、顧客との取引に関して検査に入るのは異例だ。検査は国交省と関東運輸局の検査官、計6人で実施。午後2時から5時過ぎまで続いた。
(文=編集部)
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