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公務員65歳定年で「生涯賃金3000万円増」の“超官民格差”
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180824-00000004-moneypost-bus_all
マネーポストWEB 8/24(金) 16:00配信 週刊ポスト2018年8月31日号
着々と進む“特権拡大”(安倍首相に「意見書」を提出する一宮氏。写真:時事通信フォト)
まさしくこれが、“霞が関のレトリック”なのであろう。人事院総裁が提出した「公務員65歳定年制」についての意見書の中身である。
「民間企業の定年延長を促進するため」という名目で役人の“特権”を肥え太らせ、自分たちの待遇が改善されると見定めたポイントでだけ「水準は民間に合わせた」という理屈を持ち出す──狡猾極まりない“修辞法”に、決して騙されてはいけない。
生涯賃金が3000万円アップ
安倍政権がなお「働き方改革」を看板にするなら、真っ先に「働き方」を変えさせるべきは不祥事が絶えない公務員だろう。
文科省の前局長は補助金と引き替えに息子を医大に裏口入学させ、別の幹部は接待漬け。予算編成権を握る財務省の前次官は女性記者を呼び出してセクハラ三昧、国税庁の前長官は国民から重税を搾り取りながら、国有地の格安売却を隠すために公文書まで改竄させていた。官僚腐敗はとどまることを知らない。
そんな折も折、8月10日に一宮なほみ・人事院総裁が国家公務員の「65歳定年制」導入を求める意見書を安倍首相に手渡した。お盆休みに入る前日に提出したのは、わざわざ国民が見落としやすいタイミングを選んだようにも思える。
意見書にある公務員版“働き方改革”は、国民が期待する公務員の規律を強める内容ではなく、逆に、特権的待遇を増やす内容なのだ。意見書には定年延長計画の骨子が書かれている。
(1)俸給/61〜65歳の給与はピーク時の7割を保証
(2)諸手当/残業手当、地域手当、住宅手当、単身赴任手当、寒冷地手当は60歳前の職員と同額
(3)ボーナス/全額支給
(4)身分/国家公務員のまま──というものだ。
民間サラリーマンについては2013年4月に改正高年齢者雇用安定法が施行され、企業(事業主)に、希望する社員全員を段階的に65歳まで雇用延長しなければならないと義務づけた。65歳定年と聞いて「公務員も5年遅れでようやく民間並みに雇用延長されるのか」と勘違いしてはいけない。
今回の公務員の定年延長は、民間の「雇用延長」とは全く違っている。民間サラリーマンの雇用延長は、60歳で退職金を受け取って退職した後、嘱託などで再雇用されるのが一般的だ。給料は現役時代と比べて大幅にダウンする。社会保険労務士の内海正人氏がいう。
「民間企業の多くは50代半ばで役職定年を迎え、60歳の定年退職前の年収はピーク時よりかなり低い。再雇用になると1年ごとに契約を更新する非正規社員扱いになるのが普通で、給料は定年時からさらに半減する。ピーク時の年収が800万円を超えていた一部上場企業のサラリーマンが、再雇用後には年収200万〜300万円程度に下がることはよくあります」
民間は再雇用後に〈薄給、手当なし、ボーナスなし〉で、上司となった「元部下」の顔色をうかがいながら働き、リストラの不安に耐えて65歳の年金受給開始までなんとか凌ぐしかない。
それに対して、公務員の「定年延長」は60歳で退職せずに定年そのものを段階的に65歳まで引き上げる。しかも、公務員の賃金カーブは定年時にピークとなり、ノンキャリアの本省課長補佐の60歳前のモデル年収が約890万円だ。前述のように60歳時点の7割の給料が保証されれば、年収は600万円を超える。〈高給、手当あり、ボーナスあり〉で、民間とは何もかも違う。
新定年の65歳まで勤めると生涯賃金が3000万円アップし、年金受給前にたっぷり「老後の蓄え」を築くことができる。
民間の年収を150万“水増し”
人事院の意見書には、定年延長後の公務員の給料を“水増し”するのに都合のいい官民比較が並んでいる。
定年延長後の給料を「ピーク時の7割」に決めた根拠に挙げられているのが、厚労省の賃金構造基本統計調査のデータだ。
意見書には、民間サラリーマンの年間給与は50代後半が平均約850万円、60代前半は平均約596万円へと「3割減」になっているとある。そこから、7割水準を決めたというのだ。
だが、前出の内海氏は、「厚労省の調査データを調べてみたところ、50代後半の正社員男性の平均年収は約700万円。60代前半は7割どころか半分以下の約320万円になっていました。人事院の官民比較は民間の実態をまるで反映していないどころか、どの統計数字を使ったのかさえ不明です」と疑問を呈する。
そこで人事院に一体どのデータを使ったのか問うたところ、「公務員一般職の業務に近い管理・事務・技術職の賃金データを使っている。ただし、この職種については、建設業と製造業でのデータしかないので、それを用いた」(生涯設計課)
賃金水準が低いサービス業などが含まれていないのである。恣意的な数字で「民間の60代は現役の7割もらっている」とでっちあげたといわれても仕方がない。
現時点では公務員も民間の再雇用と同じように定年後に給料が大きくダウンする「再任用」という制度が実施されている(希望者は定年退職者の約半数)。意見書には、公務員に「65歳定年」の恵まれた制度をつくる理由としてこうある。
〈下位の官職に短時間勤務で再任用される職員が多く、その能力及び経験を十分にいかしきれていないため、このまま再任用職員の占める割合が高まると、職員の士気の低下等により、公務能率の低下が懸念される〉
民間サラリーマンには再雇用で我慢させながら、公務員は“薄給で元部下にペコペコできるか”という不満が強いから、65歳定年にして待遇を大幅にアップするというのである。
キャリア官僚にも定年延長のメリットは大きい。
現在、各省トップの事務次官や長官クラスの公務員は特別に「62歳定年」と定められている。意見書では、それを最長65歳まで延長できることになっており、給料も減らない。次官なら約2200万円の年収を65歳までもらえるようになる。
「天下り」のかわりにもなる。定年延長にあたって、本省課長クラス以上は原則60歳で「役職定年」となり、次官や長官に出世できなければ「専門スタッフ職」という課長補佐クラスに降格される。しかし、その場合も年収の7割が保証される。
年収1700万円の本省局長であれば、役職定年で課長補佐待遇に降格されても、約1200万円の給料がもらえるのである。
「今はキャリアも天下り先が減り、再就職すると待遇は現役時代の7割くらいに減る。それなら、65歳まで役所に残っても収入はかわらない。定年延長は再就職先のないキャリア救済にもなる」(労働ジャーナリスト・溝上憲文氏)
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