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増える中国人店員、訪日客対応に活躍の一方で「落とし穴」も
https://diamond.jp/articles/-/178100
2018.8.24 姫田小夏:ジャーナリスト ダイヤモンド・オンライン
中国人観光客が増える中で、自分で身に着けた英語、中国語で接客をする日本人従業員たち 写真提供:NAAリテイリング
インバウンドという新たな産業の拡大が雇用創出に大きく貢献している。そうした雇用といえばサービス業が典型だが、とりわけ小売販売を通しての接客業の雇用が格段に広がった。
東京・銀座にある三越伊勢丹の化粧品売り場は、平日でも多くの客でにぎわっている。店頭にも多くのスタッフが配置され、接客に余念がない。だが、よく見ると名札に記載されているのは中華圏の姓だ。
百貨店の化粧品売り場だけではない。家電量販店、空港の免税店の店頭で目立つのは、中国人従業員の姿だ。外国人人材の採用に詳しいコンサルタントA氏は「人手不足の声はあちこちから聞こえる」といい、次のように続ける。
「サービス業によっては『賃金の安さ』『立ち仕事』が敬遠され、日本人だけでは埋めることができません。そのため、中国人を中心とした安価な労働力への依存が高まっています」
もちろん、それだけが理由ではない。圧倒的多数が中国人観光客となれば、「勝手知ったる人材」が重宝する。中国人人材の活用に積極的なインバウンド事業者B氏は、次のように語っている。
「中国人人材ならば、観光客の買い物パターンや中国人相手の売り込み方を知っています。流暢な日本語を話す上に、厳しい雇用条件も厭わないので、日本の企業にとっては大変都合がいいのです」
日本政府観光局(JNTO)が発表した2017年の国籍別訪日外国人客は、中国が1位で約735万人であり、その旅行消費は約1.7兆円を超えた。現在、インバウンドのリテールの最前線では、中国語・日本語ともに流暢で、低コストで仕事をこなす“競争力ある中国人”が大活躍なのだ。
どんどん送り込まれる中国人材
在日の中国人や中国人留学生の採用でもまだ足りないのか、最近は「日本で働きませんか」と中国語の求職サイトで呼びかける企業もある。中国から人材を直接引っ張ってくる算段だ。
また、専門のエージェントが現地人材と日本企業の間を橋渡しをするケースもある。日本側へ人材を送り出す仕事に携わっていた日本人女性のCさんは、次のように語る。
「アジアの各地には、アジア人材を日本企業に送り込むエージェントがあります。中国やベトナムでは日本語人材を育てる教育ビジネスが盛んですが、その先の“就職サポート”も行っているんです。『日本語2級の人材は何人必要ですか』などと、積極的に日本企業に売り込んでいるのです」
「人手不足の日本企業」と「日本で働きたい中国人材」、見た目はあたかも理想的なマッチングかのようだ。だが、これに依存しすぎるのは危険だ。
繁華街にあるドラッグストアでは、中国語のPOPはもはや珍しくもない
接客の質を上げるには
銀座に出店する大手ドラッグストアは、売り場の客も従業員もほとんどが中国人だ。店内のポップも商品説明も中国語化された店内で、従業員は客のいない暇な時間をスマホでつぶし、客からの質問にはごく簡単に手短に答える。
東京に長年在住する中国人女性Dさんが、この店で買い物をしたときのことだ。従業員と客のやりとりにわが耳を疑ったという。
「中国人従業員が中国人観光客に薬の説明をしているのが聞こえてきたのですが、その情報はまったく間違ったものでした。他人の買い物とはいえ、思わず『それは違う』と口を挟んでしまいました」
Dさんはこう続ける。
「最近、多くの小売店舗で中国人従業員を見ますが、彼女たちの商品知識はあまりに乏しい。『中国人を店頭に置きさえすればそれでいい』という日本企業の発想は安易すぎるのではないでしょうか」
一方で、急速に店舗網を広げる企業の中には、インバウンド対応のチーム構成の見直しを行うところもある。「中国人は即戦力ではあるが、すぐに辞める傾向が強い」(前出のA氏)のが主な理由だ。日本人の比率を高めることで接客の質の向上を図る狙いもある。中国社会では、リテールは大卒者が就く仕事ではないと思われていることもあり、モチベーションの維持は困難だ。
日本人の持てる力に光を当てる
空港の免税店もインバウンドの追い風を受け、雇用を拡大させる業態のひとつである。成田空港に出店している「Fa-So-La」は、株式会社NAAリテイリング(成田国際空港株式会社の100%子会社)が運営する免税店だ。
経営計画部経営企画課課長の原浩介氏は「空港ならではの職場ということで、さまざまな国の人とコミュニケーションをとりたい、触れ合いたいという熱い思いを持つ日本の若い人たちが集まりました」と話す。
国籍を問わず採用を行ってきたものの、2018年4月時点で819名にまで膨らんだ社員の多くが日本人だ。同社が重視するのは従業員教育である。新規の採用も、「語学力を最初から備えている人材はもとより、その他のスキルも踏まえ、積極的な採用を行っています」(原氏)という。社内では語学を含めた研修制度が充実している。
「空港の免税店は、時間のない中での購入が大前提。瞬時にお客様のニーズを把握し、ご案内できるような人材の育成に力を入れています。日本人の持ち味である“細やかさ”、私たちはそこに自信を持って接客をしています」(同)
他方、日本人ではわからない文化の違いを埋めるのが外国籍のスタッフだ。顧客の多くを占める中国人顧客に対し、中国人従業員は複雑なやり取りや難しいクレームなどの通訳として、あるいは社内の勉強会の講師として、その持てる力を存分に発揮している。
同免税店では、日本人従業員がそういった環境の中で習得した中国語や英語を使って一生懸命に接客する姿が目に付く。こうしたこともあってか、「Fa-So-La」は免税店にしては珍しく、リピート客に恵まれるようになる。気持ちのこもった接客が評価されていることの証しでもある。
求人情報サービス大手・マイナビの採用担当者によれば、「訪日中国人は日本のおもてなしを楽しみに来ているため、サービス業では中国語を話せる日本人の潜在ニーズが強い」という。
日本には、大学の第2外国語で中国語を習得した人材や、中国への留学を終えた人材が数多くいる。日本のインバウンドにおける雇用も、若い日本の人材が夢を描ける現場になることを願いたい。
(ジャーナリスト 姫田小夏)
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