トランプ政権の制裁措置、既に疲弊した新興国市場をさらに圧迫Selcuk Gokoluk、Aline Oyamada 2018年8月21日 15:41 JST 2018年にトルコ、ロシア、イランに新たな制裁発動 ベネズエラ、17年11月に債務再編の発表に追い込まれる トランプ大統領の下、米国は敵対国だけでなく友好国にさえも、かつてなかったような制裁を発動している。ロシアとトルコに対する最近の行動は新興国市場に打撃を与え、株価は2016年1月以来最悪のパフォーマンスを記録する流れだ。 米国が発動した制裁と今後の制裁見通し、各国市場の反応は以下の通り。 トルコ 米国は今月1日、スパイ行為とテロ支援容疑でトルコで自宅軟禁となっている米国人牧師の軟禁解除で合意に至らなかったことを受け、トルコの2閣僚に制裁を科した。 北大西洋条約機構(NATO)の同盟国同士としては異例だ。象徴的な意味合いが大きいにしろ、この制裁は投資家をトルコ・リラから逃避させるのに十分だった。 インフレ加速や膨大な経常赤字、予測不可能な金融政策を背景に、投資家は既にトルコから資金を引き揚げていた。リラは年初から38%下落し、パフォーマンスはアルゼンチン・ペソに次いで悪い。 Sanctions Threat Debt-to-GDP ratio in countries under U.S. sanctions in last four years ロシア 米国務省は今月、元スパイのセルゲイ・スクリパリ氏が神経剤で襲撃された事件でプーチン政権に新たな制裁を科すと発表した。22日に発動されるこの制裁では、国の安全保障に関わるとみられる米国製品やテクノロジーの対ロシア輸出を制限。90日後にはさらに厳しい措置が講じられる可能性がある。 同時に米議会は、ロシアによる米選挙への介入に対抗するため、同国のソブリン債と大手銀行を標的とした制裁強化の法案作成を検討している。 ロシア・ルーブルは今月約7%下落、このまま推移すると月間ベースでは16年11月以来最も悪いパフォーマンスになる。 イラン 米国は5月8日、中国やロシア、NATO同盟国の反対を押し切ってイランの核合意から離脱し、対イラン制裁を一部再開した。イランの強硬派は制裁再開後に穏健派のロウハニ大統領に対する圧力を強める一方、首都テヘランの規制がかかっていない市場では通貨リアルが急落。一部食品の価格が50%上昇する中で抗議デモが発生し、中央銀行は資本規制に動いた。 リアルは4月下旬から約80%下落し、1ドル=10万2200リアル付近で取引されている。 ベネズエラ 米国は人権侵害や政治的抑圧、収賄を理由にベネズエラに対して制裁を科し、17年8月にはトランプ政権が同国政府と国営石油会社PDVSAが米国市場で新規発行した債券の取引および同国の公的機関が保有する既発債の一部のディーリングを禁じた。 これを受けてベネズエラ政府は同年11月、債務再編の発表に追い込まれた。同国の国際債(2027年償還)はその価値の半分余りを失い、同年12月には額面1ドル当たり21.785セントまで下落。現在は28セント付近で取引されている。今週末、ベネズエラ政府は史上最大規模、95%の通貨切り下げを実施するが、これは既に窮地に立たされている国民がさらなる痛みに耐え得るかどうかの試金石となる。 原題:U.S. Sanctions Bring Stress to Already Battered Emerging Markets(抜粋)
ワールド2018年8月21日 / 09:05 / 2時間前更新 インタビュー:米大統領、牧師解放巡りトルコに一切譲歩しない 2 分で読む
[ワシントン 20日 ロイター] - トランプ米大統領は20日、ロイターのインタビューに応じ、トルコ政府が拘束している米国人牧師の解放を求める上で、同国に一切譲歩するつもりはないと断言した。 またこの問題を巡って、米国がトルコに発動した追加関税が欧州経済に打撃を与えるなど幅広い悪影響をもたらす懸念はないとの見方を示した。 トランプ氏は、イスラエルが拘束していたトルコ人を解放するよう同氏自身が働き掛けた際に、見返りとしてトルコのエルドアン大統領が米国人牧師を自由にしてくれると考えていたことを明らかにした。 エルドアン氏がこうした期待に応えなかったことについて、「トルコの行為はとても残念だ。彼らはひどい間違いをしていると思う。今後何の譲歩もあり得ないだろう」と語った。 米政権の高官が先に語ったところによると、トランプ大統領とエルドアン大統領は7月半ばに開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議の場で米国人牧師、アンドリュー・ブランソン氏の問題について協議したという。 同高官によると、トルコは米国に対し、ブランソン氏解放の交換条件として、イスラエルで拘束されていたトルコ国籍の女性、エブル・オズカン氏の釈放をイスラエルに働き掛けるよう求めた。 イスラエルは、トランプ氏からオズカン氏を釈放するよう要請があったことを認めている。オズカン氏は7月15日に釈放された。ただ、トルコ政府はこの見返りとしてブランソン氏を解放することに合意した事実はないとしている。 インタビューでトランプ氏は「私はトルコやトルコ国民が大好きだ。今まではエルドアン大統領とも非常に良好な関係を築いてきた。しかしもはや米国にとって、一方通行の関係は無理だ」と付け加えた。 一方で米国がトルコに鉄鋼とアルミニウムの追加関税を適用したことことが、欧州など他地域の経済に打撃を与える可能性について聞かれたトランプ氏は「私は全く心配していない。これは実行すべき適切な措置だ」と主張した。 <米ロ首脳会談> トランプ大統領は7月16日にヘルシンキで開催されたロシアのプーチン大統領との会談について、イスラエルの安全保障やシリア情勢、ロシアによるクリミア併合とウクライナ東部への軍事介入、ロシア産天然ガスをドイツに輸送する「ノルドストリーム2」プロジェクトが議題に上ったと明らかにした。 トランプ氏は、米国の対ロシア制裁については首脳会談で触れることはなかったと述べた上で、シリアやウクライナの問題でロシアが「米国にとって好ましい」措置を講じるならば、制裁解除を検討すると表明した。 イランとの関係を巡っては、トランプ氏はロウハニ大統領と会談してイランの核開発について協議することにほとんど関心を示さなかった。 トランプ大統領は7月末に、ロウハニ大統領と会談することに前向きな姿勢を示していたが、イランの最高指導者ハメネイ師は交渉を拒否した。 トランプ氏は、イランの指導部と会談を開くことにこだわっていないと語り、協議の可能性について検討するようイランに働き掛けてもいないと述べた。 ついに望み捨てた」−すっかり輝き失った金に投資家あきれ顔 Ranjeetha Pakiam、Elizabeth Burden、Yakob Peterseil、Eddie van der Walt 2018年8月21日 4:03 JST 金ETFから13週連続の資金純流出、この5年間で最長 避難先として大きな失望誘っている−マレックス・スペクトロン さえない金相場に不名誉な記録が加わった。 金価格に連動した上場投資信託(ETF)からの資金の純流出が13週連続と、この5年間で最長となった。金のネットショートポジション(売り越し)は過去最大に膨らんでいる。金相場にとって最大の悪材料であるドル高は健在だ。 新興市場国が混乱し、米国株の強気相場を支えてきたテクノロジー企業への警戒感が広がる中でも、金は今年に入って9%下落している。 マレックス・スペクトロンの貴金属担当責任者、デービッド・ゴベット氏は「長いことつらい状況に置かれてきたETFの保有者は、金が以前の輝きを取り戻すという望みをついに捨てた。ドルや株式相場、金以外の大抵の投資先の方が良いと判断するに至った」と電子メールで指摘。「唯一言えるのは、安全な避難先としての金は今年、大きな失望を誘っているということだ」とコメントした。 Selling Gold ETF investors were net sellers for thirteen consecutive weeks Source: Bloomberg
米商品先物取引委員会(CFTC)の17日の発表資料によると、ヘッジファンドなど大口投機家の金のネットショートポジションは14日終了週、データがある2006年以降で最大となった。 金相場は今年軟調 デイブレイク:ヨーロッパ。 "(出典:ブルームバーグ) 原題:Gold Investors ‘Give Up Hope’ as Biggest Short in History Builds(抜粋)
ビジネス2018年8月21日 / 15:20 / 2時間前更新 ドル一時109円台、米金利低下で全面安 2 分で読む [東京 21日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前日ニューヨーク市場の午後5時時点とほぼ変わらずの110円付近。海外市場でドルが売られた流れが続き、ドルは昼前に一時109.77円まで下落。6月27日以来2カ月ぶり安値をつけた。 ドルは東京市場でも軟調展開が継続。ユーロ/ドルが心理的節目で当面の上値めどとされていた1.15ドル台を上抜けると、損失確定のドル売りが加速した。ユーロは一時1.1544ドルまで上昇。今月9日以来2週間ぶり高値をつけた。 ドルは前日海外に続いて広範に下落。対英ポンドで1.28ドル前半、豪ドルで0.73米ドル半ばと、ともに1週間半ぶり安値をつけた。 ドルが全面的に売られる原動力となったのは、米金利の急速な低下。きっかけは定かではないが、市場筋によると、前日の米債市場では短期筋のまとまった買い仕掛けが先物を中心に入ったもようで、高水準に積み上がっていた売りポジションが相次ぎ買い戻しを迫られたという。 米商品先物取引委員会(CFTC)によると、投機筋の米10年債先物の売りポジションは、8月14日までの週に差し引きで69万8194枚と、過去最大を記録していた。 米10年債利回りは海外市場の終盤に2.81%と、1カ月半ぶり低水準をつけた。 トランプ米大統領が、ロイターとのインタビューで、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ方針を「気に入らない」と発言したことに関心を寄せる声もあった。しかしその内容は7月とほぼ同じで、米金利先物市場が織り込む9月の利上げ確率は9割超と、前週末からほぼ不変だった。 市場では、著名投資家でダブルライン・キャピタルの最高経営責任者(CEO)を務めるジェフリー・ガンドラック氏が、前週末に金利低下を警告していたことが話題だった。 同氏は17日、ツイッターで10年債と30年債の売り持ちが過去最大となったことに触れ「かなりのスクイーズ(買い戻し)を引き起こす可能性がある」と投稿していた。
トランプ氏はパウエルFRB議長に不満、低金利期待が外れ
Jennifer Jacobs、Saleha Mohsin 2018年8月21日 3:26 JST 更新日時 2018年8月21日 13:38 JST これまでで最も直接的なパウエル議長批判−非公開イベントで漏らす 米金融当局が利上げを継続するなら批判を続けるつもりだとも述べる トランプ大統領とパウエルFRB議長 Photographer: Olivier Douliery/Bloomberg トランプ米大統領は自身が指名したパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長について、低金利政策を推進すると見込んでいたが逆に金利を引き上げていると、ニューヨーク州サウサンプトンで17日に開かれた資金集めのイベントで共和党支持者に不満を漏らした。イベントの出席者3人が明らかにした。 トランプ氏の大統領就任以降に米金融当局は5回利上げしており、うち2回はパウエル氏が議長になってから実施した。FRBの議長と理事は大統領が指名するが、連邦準備制度自体は独立しており、過去の大統領も、政治を考慮せずに利上げを実施する金融当局に不満を抱くことがあった。 トランプ大統領はこれまでも、最近の利上げに公然と不満を表明してきたが、今回の非公開のイベントでの発言は、パウエル議長に対する最も直接的な批判に当たる。 G10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は、この発言が報じられた直後に下落した。 トランプ大統領はロイター通信が20日に伝えたインタビューでも、他の国・地域は米国と貿易摩擦を繰り広げる中、中央銀行の行動に助けられていると発言。「この期間中、金融当局は私を多少でも助けるべきだ。他の国・地域では中銀が便宜を図っている」とした上で、米金融当局が利上げを継続するなら批判を続けるつもりだと述べた。 トランプ大統領はまた、米国の主要貿易パートナーである中国と欧州連合(EU)について、為替を操作していると非難した。大統領は貿易問題で中国とEUから譲歩を引き出そうとしている。 トランプ大統領はロイター通信とのインタビューで、「私は中国が為替を操作しているのは間違いないと思う。ユーロも操作されているとみている」と述べた。G10通貨の対ドル上昇をユーロがけん引した。ファンドがアジア取引でユーロなどの売りポジションの買い戻しを余儀なくされたとトレーダーは説明した。 ロイターが説明抜きに引用したトランプ大統領の為替発言は米政府の調査結果と異なっている。米財務省は4月に公表した半期に一度の為替報告書で、中国やEUを含めいかなる国・地域についても為替操作の認定を見送った。 トランプ大統領は先月19日、経済専門局CNBCとのインタビューで、金融当局が借り入れコストを引き上げ、経済を減速させている可能性があるとして、「うれしくない」と述べた。これは、金融当局の独立性を尊重して大統領は金融政策にコメントしないという20数年間続いていた規範を破る発言だった。 米金融当局は、過去の景気拡大局面より緩やかなペースで利上げを進めている。失業率が4%を割り込み、このところ経済成長が加速していることを考慮すれば、金利は過去の水準から見て低い。パウエル議長ら当局者は、目標の2%を大幅に超過する兆候を見せないインフレ率を根拠に、利上げに慎重なアプローチで臨んでいる。 直近の6月の利上げによりフェデラルファンド(FF)金利誘導目標は1.75−2%のレンジとなった。ほとんどのエコノミストはこの水準を中立金利より1ポイント前後下回っており、現在でも米経済成長の減速ではなく、加速を促しているとみている。 ホワイトハウスのギドリー報道官とFRBのデービッド・スキッドモア報道官はいずれもコメントを控えた。 原題:Trump Said to Complain Powell Hasn’t Been Cheap-Money Fed Chair(抜粋) (トランプ大統領の為替コメントなどを追加して更新します.)
米国は保護主義で墓穴を掘りつつあるーBHPビリトンCEO David Stringer、Rishaad Salamat 2018年8月21日 16:14 JST 世界には相互に貿易を増やしたと考えている多くの国がある 中国は必ずそうした場所に足を踏み入れようとする 米国は自らの保護主義で墓穴を掘りつつある−。世界最大の鉱山会社BHPビリトンのアンドルー・マッケンジー最高経営責任者(CEO)が21日、決算発表後のインタビューでこうした見方を示した。中国を含む各国が互いに貿易を増やそうとするため、米国が敗れるリスクがあるとしている。
同CEOはブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「世界には相互に貿易を増やしたと考えている多くの国がある一方で、米国はそうした国々との貿易を減らしたいと考えているように見える」と指摘し、「中国が絶対にそうした場所に足を踏み入れ、他の輸出取引を見つけようとするだろうう」と述べた。 マッケンジーCEO (出所:Bloomberg) 原題:U.S. Will Lose From Trade War as Flows Shift, Top Miner Says (1)(抜粋)
トップニュース2018年8月21日 / 08:20 / 3時間前更新 トランプ米大統領、FRB利上げ路線を牽制:識者はこうみる 4 分で読む [21日 ロイター] - トランプ米大統領は20日、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が利上げを継続する方針であることについて「気に入らない」とロイターとのインタビューで語った。 FRBがもっと緩和的であるべきだとし、「(パウエル議長による)利上げは気に入らない」と大統領は語った。FRBの独立性は経済安定に重要と考えられているため、米大統領がFRBを批判することはまれだ。 ──インタビュー:トランプ大統領、米FRBの利上げ「気に入らない」 大統領がFRBの利上げ路線を改めて批判し、米中通商協議での進展に懐疑的な見方を示したことを受け、ドルは一時109.77円と約2カ月ぶりの安値まで下落した。 市場関係者の見方は以下の通り。 <三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏> 今回のトランプ大統領の発言について、ヘッドラインだけを見ると、FRBの利上げ路線への批判と中国、欧州の為替操作に不快感を示した7月19、20日の繰り返しに見える。 当時の米連邦公開市場委員会(FOMC)は8月1日の声明文で「力強い」ペースで拡大する経済を強調し、逆にタカ派色を強めたかのようだった。 しかし、その後は米中通商関係の泥沼化が進み、米国は中国の報復措置によって痛みを受ける米農家に財政措置を手当てせざるを得なくなった。米国自身にも貿易戦争の副作用が現れるなか、オハイオ州の補選では共和党候補者が僅差でしか勝利できなかった。 こうした経緯を踏まえれば、今回の利上げけん制は重みが増しており、パウエル議長への「恨み節」のようにも聞こえる。 7月と8月の発言に共通しているのは、為替操作に対する不満の矛先が中国と欧州のみで、日本には向いていないことだ。 7月発言のあと、日銀は質的・量的緩和の柔軟化を行っており、それを既に含みおきした上でトランプ氏は日本を名指ししなかった可能性があるとみていた。 今回も日本が除外されたところをみると、出口戦略と思しきオペレーションのギアを日銀が一段上げる準備が整っているのかもしれない。 総合的に考えると、FRBが政治的な意向を汲むだけでなく、通商戦争による世界経済へのダメージを考慮しタカ派トーンを後退させていく可能性がある一方で、日銀の緩和の微調整は前進すれこそ後退はないため、ドル高修正の時期が早まるとみている。 さらに、11月6日の中間選挙で勝利が危うくなれば、逆算して9月の日米通商協議において日本が為替操作国として新たに名指しされる蓋然性が高まると見ておくべきだろう。 <バークレイズ証券 シニア為替・債券ストラテジスト 門田真一郎氏> トランプ米大統領による米連邦準備理事会(FRB)への批判は、これまでと内容はほぼ同じでありサプライズはない。ポジションの巻き戻しの材料に使われただけだろう。 焦点は、パウエルFRB議長が今後どうするかだ。政治的圧力に屈するのか、利上げ路線を継続するのか。ここで利上げを止めれば、FRBの独立性に懸念が生じるため、利上げを継続すると考えるのが普通だが、これほどあからさまにFRBを批判する大統領もこれまでいなかった。まずはジャクソンホールでのパウエル議長の講演に注目が集まりそうだ。 もっとも、利上げを継続するとしても、市場はほぼ織り込み済みだ。ドル/円は利上げよりも、米経済の減速などに反応しやすくなるとみている。 <みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト 上野泰也氏> 破天荒な政治家とも言えるトランプ米大統領による米連邦準備理事会(FRB)の利上げ路線へのあからさまな批判が伝わり、ドル安と米長期金利低下がもたらされた。 トランプ氏による利上げけん制発言の直接的なリスクは、独立性を守りたいFRBが景気の強さを強調し、かえって利上げに意固地になり金融政策が硬直化することだ。 9月の米公開市場委員会(FOMC)で利上げしなければならなくなった印象が強い。また、今後も引き締めしすぎるリスクを抱えることになったとみている。 Slideshow (3 Images) 米国が金融政策を引き締めすぎれば、米景気が早々とリセッションに陥る蓋然性を高め、その結果、金融市場では利下げが視野に入り、ドル安につながるだろう。 トランプ氏はパウエル議長を指名した段階で、この人物なら金融政策を政治都合に合わせてくれると見積もっていたのかもしれない。しかし、中間選挙での再選のリスクもちらつくなか、その見積もりは結果的に誤算となり、それが最近の利上げけん制発言につながっているとみている。 <ジャニー・モンゴメリー・スコットの首席フィクストインカムストラテジスト、ガイ・ルバス氏> 現職の大統領がFRBについて、これまで講じた措置だけでなく、今後取り得る行動について公の場でコメントするのはあまり通常では考えられないことだ。パウエルFRB議長やその他のFRB当局者らが大統領の発言によって大きく姿勢を変えることはないと思うが、FRB理事会の空席を狙うことに関心がある候補者には強いメッセージを送っている。つまり、緩和的金融政策を好むか、そうでなければ別の仕事を探せということだ。 <米サントラスト・アドバイザリー・サービシスの市場ストラテジスト、キース・ラーナー氏> 金利による経済への影響に対し(トランプ大統領が)引き続き懸念を示したというのがニュースだ。大統領は米連邦準備理事会(FRB)について少ししゃべっている。FRBは独立性を保つだろう。マーケットは、政権が金利に対してどう言ったかより、FRBの議事要旨に注目するだろう。 <テンパスのシニア為替トレーダー、ファン・ペレス氏> ユーロ圏の国内総生産(GDP)やインフレなど経済統計の改善がユーロを支援する中で、安全資産としてのドルの役割は弱まっている可能性がある。これに加え、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しを巡るトランプ氏の発言は、介入による意図的な通貨切り下げという、米国が非難している行為そのもののように見える。 経済のモメンタムが他の通貨の回復を支える一方で、ネガティブな発言がドルを圧迫する中、ドルは今後、困難な局面にさらされるだろう。 <B・ライリーFBRのマネジングディレクター兼首席グローバルストラテジスト マーク・グラント氏> まず第一に、トランプ大統領と連邦議会は双方とも、たとえば減税や雇用関連の法案を通過させることにより、経済成長を支援している。利用可能なほぼすべての土台において、彼らは成功しつつある。 米連邦準備理事会(FRB)は「正常」な金融政策へ戻ることを目指して利上げを志向し続けている。私は、米国内外の中央銀行による介入により、ほぼ10年にわたり「正常」な状態は存在しなかったと主張したい。私からすれば、一部の学術的理論に基づいて政策金利を引き上げることに、正当な理由などない。 利上げは経済成長を鈍化させる。そのため、大統領と議会が経済を拡大させようとしている半面、FRBはその正反対の方向に進んでいる状態だ。 もう1つ言いたいのは、FRBは独立機関である一方、米国の中央銀行であり、大統領は、所属政党が何であれ、どの大統領にも、中銀が政策として何を実行しているかを問う権利があるということだ。 FRBは1913年の連邦準備法により設立された。計画的に作られた独立機関だが、米国政府の一部でもある。 *情報を追加しました。
トップニュース2018年8月21日 / 15:15 / 2時間前更新 焦点: 貿易戦争が米企業に迫る「メイド・イン・チャイナ」再考 4 分で読む [深セン/上海 20日 ロイター] - 約30年前、低コストの世界製造拠点として発展しつつあった中国南部にやってきたラリー・スローブン氏は、これまでに電動工具からLED照明器具に至る数百万ドル規模の製品を、米国の大手小売業者向けに輸出してきた。 そうした時代は終わりを迎えつつあるのかもしれない。 生産コストの上昇や規制強化、さらにサービス業中心の持続可能な経済構築を目指す中国政府の政策がローエンドの製造業を圧迫したことによって、スローブン氏の利益は年々削られてきた。 しかし、最後の一撃となるのは、米中貿易戦争によって高まる新たな関税リスクや、世界で台頭する保護主義だろう。 「一歩、また一歩、さらにもう一歩と、中国での製造コストはどんどん高くなってきていた」と語るスローブン氏。彼は米フロリダ州ディアフィールドビーチに本拠を置く家電製造キャップストーン傘下のキャップストーン・インターナショナル(香港)の社長を務めている。 広範な経済近代化策の一環として、中国政府がローエンドの製造業からハイテク産業へと優遇対象を転換する中で、製造業界はその圧力を感じてきた。 だが関税が発動される中で、「皆ついに目が覚めて、現実に向き合おうということになった」とスローブン氏は語る。製造業界は、「次の関税措置がとどめを刺すかもしれない」と懸念を深めているという。 スローブン氏は、中国でのエクスポージャーを減らして、タイなど成長する製造拠点に足場を広げようとしている。 「チャンスがありそうなのは、タイ、ベトナム、マレーシア、そしてカンボジアだ」とスローブン氏。「だが、皆が思うほど簡単ではない。中国で次に何が起きるのかも分からない」 医療機器から農業用具に至る米国の製造メーカー10数社をロイターが取材したところ、自国向け輸出を手掛ける企業が、どのように中国における製造戦略を見直そうとしているかが浮き彫りになった。 「関税の話が出る前は、生産全体の3割を中国から米国に移すことを検討していた」と、医療製品の米製造会社プレミアガードで欧州ディレクターを務めるチャールズ・ハブス氏は言う。賃金上昇や労働力の縮小、コスト急騰が、その理由だった。 「最近の関税を巡る動きを受け、実際に関税が発効するならば、生産の6割を中国から米国に移すことになるだろう」 他の米国企業も、選択肢を急ぎ検討している。 「現在の関税環境を踏まえれば、われわれのような企業が、社内でその影響を試算し、その軽減策を講じることは、自然なことだ」と中国を拠点とする米大手製造企業の幹部は語った。 対策としては、「中国からの調達拡大を控え、他の国からの調達に切り替えるか、雇用を米国に再移転する」ことなどが検討されるという。 <脅かされるサプライチェーン> トランプ米大統領が、中国製品に対して追加的な関税発動を脅していることもあり、報復的な貿易戦争の拡大は、深く絡み合い、グローバル化したサプライチェーンに甚大な影響を与える可能性がある。 直接的な打撃を受ける企業もある。 米ジョージア州を拠点とする農業機械メーカーAGCO(AGCO.N)は、米通商代表部(USTR)に対し、江蘇州常州市で製造している農業器具が、関税措置により米国で「価格競争力を失う」と警告した。 化学メーカーのマルーン・グループも、「価格面で市場から追いやられる」と警鐘を鳴らす。米ヒューストンで中国製部品を使ってエアコンを組み立てているグッドマン・グローバルも同様の悩みを抱える。 すでに対策に動いた企業もある。アットホーム・グループ(HOME.N)やRH(RH.N)といった米家具メーカーは、中国生産を減らすことを明らかにした。 サプライチェーンの調整で対応しようと試みている企業もある。蘭栄養食品ロイヤル傘下のDSMチャイナは、中国政府による報復関税を避けるため、原料となる米国産大豆をえんどう豆パウダーなどに置き換えられないか、検討している。 貿易摩擦リスクが高まったことで、「ビジネス全体の見方を再確認するよい機会となった」と、DSMチャイナでグローバル戦略マーケティング責任者を務めるバーナード・チュン氏は語る。 Slideshow (2 Images) また、サプライチェーンのどこに位置しているかによっても、対応は変わってくる。 米GMMノンスティック・コーティングスは、中国において、米調理器具メーカーのジョージ・フォアマンやベイカーズ・シークレットなどからの製品コーティング用薬品受注が3─4割減少したことを受け、一部の生産をインドに移した。 これらの顧客は、生産の一部を中国から移転しているという。 「この関税騒ぎで、中国に拠点を持つことに対する圧力が一層高まり、米国企業の調達部門が(生産移転を)極めて容易に決断できるようになっている」と、GMMのラビン・ガンジー最高経営責任者(CEO)は語る。 <2兆ドルの問題> とはいえ、現段階では、中国にとどまる米国企業も多数存在する。特に中国やアジア地域の巨大市場を狙う企業はなおさらだ、とGMMのガンジーCEOは指摘する。 中国には依然として最適なインフラやサプライチェーン、エンジニアの人材があり、低コストをテコに企業誘致を狙う他の国々にとって、大きなハードルになっている、と業界幹部らはロイターに語った。 規模の面をみても、中国に代わる存在はそうは現れない。米シンクタンクのブルッキングス研究所が7月発表した報告書によると、中国製造業の生産額は約2兆ドル(約220兆円)で、世界最大だった。 AGCO Corp 60.32 AGCO.NNEW YORK STOCK EXCHANGE +0.31(+0.52%) AGCO.N AGCO.NHOME.NRH.N 米カリフォルニア州サンタモニカに本拠を置く電動キックスクーター製造スタートアップのバードは、「バードの規模やニーズに合う電動スクーターを生産できる業者は、米国にはいないと認識している」と、6月にUSTRに提出した意見書で述べている。 同じく中国でスクーターを製造する米新興企業バイテロジックスを率いるキース・シーラッツ氏は、中国からの生産移転は難しいと話す。その代わり、当面はコスト上昇分を負担する一方で、関税影響を受けにくい欧州での事業を拡大する考えだという。 中国の製造業が一夜で消えることはないにせよ、生産拠点のシフトは避けられない──。そう語るのは、特殊な業務用輸送梱包材の製造を手掛ける米プロコンパシフィックで、上海を拠点とするアジア事業の責任者を務めるダン・クラッセンスタイン氏だ。 中国政府が環境汚染源となる利幅の少ない産業に対する締め付けを強めたことで、より安価な労働力を求めて、南アジアや東南アジアへの製造拠点の移転を始めていた、と同氏は語る。 関税強化は「その動きを加速するだけだ」と付け加えた。 プロコンパシフィックは、約5年前まで全ての製造を中国で行っていたが、現在は4分の1をインドで、5─10%をベトナムで製造している。 <そろばん勘定> 中国南部の珠江デルタでは、産業や商業用拠点の賃貸コストが、この8年で8割上昇。一方で、企業側は、労働コストの急騰に不満の声を漏らしている。 「生産コストは、米国の方が中国より安い」と、化学メーカー、ワンダフル・グループのマーケティング担当Yuan Juyou氏は言う。「労働コストは高いが、生産工程の多くが自動化されている。それに加え、電気代や土地代などは、中国より安い」 中国製造会社マルコ・ポーロ傘下のワンダフル・グループは、6月に米テネシー州の新工場から製品出荷を始めた。 アジアの競合国も、中国の地位を脅かす機会をうかがい始めている。 タイは、自国をアジアの生産ハブとして積極的に売り込んでおり、特定産業における最大8年間の法人税免除や、一部原材料の輸入関税免除などのインセンティブを提供している。 タイ投資委員会によると、同国の法人税率は20%で、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国の中で2番目に低い水準だ。 タイはすでに、一部家電製品や部品の主要な生産拠点となっており、政府は対象産業の振興を図るため、数カ所の工業団地建設を計画している。 中国とASEANの自由貿易協定も、米中両国と取引している企業にとって、貿易戦争リスクを軽減する効果がある。 「タイ政府は現在、大変容易に拠点を自国に移せるように努めている」と、前出のスローベン氏は指摘。 「かつて中国は、製造業を歓迎していた。だが今ではそこでの成長には関心がなく、ハイテクに注目している」とスローベン氏。「それは妻が夫に、もう愛していない、と告げるようなものかもしれない」 (Samantha Vadas記者, Adam Jourdan記者、Anne Marie Roantree記者、翻訳:山口香子、編集:下郡美紀) ドル110円前後、米大統領発言で一時2カ月ぶり安値ー中国株高支え 池田 祐美 2018年8月21日 11:15 JST 更新日時 2018年8月21日 15:46 JST ドルは午前に109円78銭まで下落も、午後に110円15銭まで戻す ユーロ・ドルは一時1.1542ドルと9日以来のユーロ高値 東京外国為替市場のドル・円相場は1ドル=110円前後で推移。トランプ米大統領による利上げけん制や中国・欧州の為替政策批判を受けて下落したが、その後は中国株の上昇などを背景に買い戻しが入った。 ドル・円は21日午後3時31分現在、前日比ほぼ横ばいの110円05銭。午前はドル売り・円買いが先行して109円78銭まで下落し、6月27日以来のドル安・円高水準を付けた。その後は徐々に水準を切り上げて午後に入り一時110円15銭まで戻した。ドルは主要通貨に対してほぼ全面安。 クレディ・アグリコルの斎藤裕司外国為替部長は、「トランプ米大統領発言でドル売りが出たが、上海株がプラス圏で推移しており、安心感が広がった」と説明。今週の米中通商協議に関して「11月6日の米中間選挙までは通商協議で緊張感が続くが、その後は手打ちになりそう。米中協議への期待感は残っている」と述べた。 トランプ米大統領の利上げ批判発言の記事はこちらをご覧下さい。 中国と欧州が為替操作しているとのトランプ大統領発言についてはこちらをご覧下さい。 21日の中国上海総合指数は続伸し、一時1.5%上昇した。また日経平均株価は小反発し、前日比20円高の2万2219円で取引を終えた。 朝方のドル・円相場下落について、ステート・ストリート銀行の若林徳広在日代表兼東京支店長は、「トランプ大統領発言が効いている。パウエルFRB議長に対する批判発言に不安感もある」と指摘。ただ、「FRBは逆に独立していることを含めて利上げ姿勢を示すのではないか」と語った。 今週は22、23日に米中次官級通商協議、22日に米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨公表、23日に米中輸入関税発動(160億ドル相当分)、24日にパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長がワイオミング州ジャクソンホールで行われるカンザスシティー連銀主催年次シンポジウムで講演を行うなど重要イベントが続く。 ユーロ・ドル相場は同時刻現在、0.4%高の1ユーロ=1.1523ドル。一時1.1542ドルと9日以来のユーロ高・ドル安水準を付けた。ステート・ストリート銀の若林氏は、「ドル売りの動きで1.1500ドルでのストップロスを巻き込んで上昇した」と分析した。 最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE 関連ニュース ドル110円前後、米大統領発言で一時2カ月ぶり安値ー中国株高支え TOPIX続落、円高や米金利低下で輸出や銀行安い−通信大幅安 トランプ氏はパウエルFRB議長に不満、低金利期待が外れ ECBバイトマン氏:中銀は金融不均衡防止で行動必要になる可能性 ビットコインの分派に乗り換えたバー氏、本流への勝利は厳しい情勢 TOPIX続落、円高や米金利低下で輸出や銀行安い−通信大幅安 長谷川敏郎 2018年8月21日 7:47 JST 更新日時 2018年8月21日 15:37 JST ドル・円は一時1ドル=109円70銭台、米大統領が利上げに不満観測 菅官房長官発言で通信が午後下げる、中国株上昇で日経平均は反発 21日の東京株式相場はTOPIXが続落。トランプ米大統領が利上げに不満を漏らしたとの観測から為替市場で円高が進み、電機など輸出関連が下落。米金利低下から銀行や保険も安く、通信料金の下落懸念から情報・通信が業種別値下がり率1位。 TOPIXの終値は前日比6.73ポイント(0.4%)安の1685.42、日経平均株価は20円73銭(0.1%)高の2万2219円73銭と反発。 東証内Photographer: Akio Kon/Bloomberg 三井住友アセットマネジメントの金本直樹シニアファンドマネジャーは「国内の新規材料に乏しい中、海外では米中通商問題など材料が目白押しで、動けない投資家が多い」と語る。今週から米中貿易交渉が始まるものの、「市場は交渉は簡単ではないと考えている。米中間選挙までは不透明感が拭えないというのがコンセンサス」だと付け加えた。
きょうの為替市場でドル・円相場は一時1ドル=109円70銭台と、東京株式市場の20日終値時点110円59銭に比べてドル安・円高に振れた。トランプ米大統領はパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長について、低金利政策をとると見込んでいたが逆に金利を引き上げていると、資金集めのイベントで不満を漏らした。出席者が明らかにした。20日の米10年債利回りは4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.82%と、7月6日以来の低水準。 SMBC日興証券投資情報部の松野利彦氏は「国のトップが金融政策に影響を与えようとしている点でトランプ大統領もトルコのエルドアン大統領と同じ」とした上で、「世界経済にピークアウト感が出るなど、米利上げペースがマーケットが認識していた通りで良いのか懸念が出ているだけに、マーケットは反応しやすい」と述べた。
一方、中国上海総合指数が大幅高となるとともに、午後は先物主導で指数がプラスに浮上した。ただ、TOPIXは通信株の下げが響き再度下落に転じて終えた。対中関税案に関する3回目の米公聴会が20日から6日間の予定で始まり、証言する米企業経営者や業界団体代表のほとんどが追加関税に反対を表明する見込み。今週はワシントンで約2カ月ぶりに米中公式協議が開かれ、王受文商務次官とマルパス米財務次官(国際問題担当)が交渉する予定だ。 アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは「通商問題によって景気が大きく加速して企業収益をけん引していく形がみえない」としながらも、「TOPIXの1年先PERは13倍半ばとアベノミクス以降のレンジの下限。ここからショートして利益を出せるバリュエーションではない」と語る。今週の米中交渉はあまり進展が期待されていないとし、「今後の日程を意識した話や落としどころのたたき台が出てくるようならマーケットにプラス」と予想していた。 東証1部33業種では情報・通信、サービス、卸売、ゴム製品、保険、非鉄金属、銀行など24業種が下落、情報・通信については菅官房長官が講演で、日本の携帯電話料金は4割程度下げる余地があると発言したと共同通信が伝えて売られた 医薬品やパルプ・紙、証券・商品先物取引、化学、その他金融など9業種は上昇 売買代金上位ではKDDIやNTTドコモ、楽天、三菱商事が安い 東海カーボン、安川電機、テルモ、コーセー、クレディ・スイス証券が格上げしたレーザーテックは高い ECBバイトマン氏:中銀は金融不均衡防止で行動必要になる可能性 Carolynn Look 2018年8月21日 13:43 JST バイトマン独連銀総裁、ECB次期総裁の最有力候補 「長期的には物価安定と金融の安定は相互に補完し合える」 欧州中央銀行(ECB)の次期総裁最有力候補であるバイトマン独連銀総裁は、金融の不均衡防止のために必要ならば行動する用意が、政策当局には必要だとの考えを示した。
バイトマン氏は、金融当局は物価安定という一つの責務だけを担い、資産価格抑制などの課題はユーロ圏の政府当局に委ねるべきだと述べた上で、こうしたマクロプルーデンスの手法はまだ十分に理解されていないと認めた。 バイトマン独連銀総裁Photographer: Bloomberg 同氏は20日にフランクフルトで開かれた会合で、「金融の不均衡が大きくなった場合、金融政策は完全に受け身であり続けるべきか?私見では、それは誤りだと思う」と言明。「われわれが経験したとおり、金融危機はマクロ経済の動向に大きな影響を及ぼし、最終的には物価安定を保証する中銀の能力をも左右する」と指摘した。
ECB政策委員会メンバーのバイトマン氏は、ドラギECB総裁の任期が2019年10月に満了した後、次期総裁に就任する最有力候補と目されているが、異例の景気刺激策に難色を示す姿勢のため、過度にタカ派寄りとの懸念が一部の国で浮上している。バイトマン氏は同会合で、ユーロ圏で一部資産のバリュエーションが高いのは政策金利の低さが一因だという説は「妥当と思われる」と述べた。 同氏は、金融安定という追加の責務を中銀が担うことには効用より害が大きいだろうが、中銀が介入し得る場合もあると論じ、「長期的には物価安定と金融の安定は相互に補完し合える。このため、インフレに関する長期的な視点に立てば、中銀の責務は一つであっても金融の不均衡拡大に対して行動しなければならないことはあり得る」と説明した。 原題:ECB’s Weidmann Says Central Banks May Need to Tackle Imbalances(抜粋) ベネズエラ、通貨切り下げ後の混乱に備える−21日連休明け Fabiola Zerpa 2018年8月21日 10:47 JST 通貨切り下げ、新しい通貨導入、ストライキ、パニック感が待ち受け 連休3日間は落ち着いた状況−政府は準備で月曜日を祝日に ベネズエラのマドゥロ大統領は95%の通貨切り上げ発表のタイミングを金曜日に合わせた。長い週末となったその後の3日間、国内は落ち着いており静かでさえあった。しかし状況は連休明け火曜日の21日に劇的に変わる見通しだ。 数年前からハイパーインフレに見舞われているベネズエラでは新たな通貨「ボリバル・ソベラノ」の導入と、通貨の単位を5桁減らすデノミが同時に実施されるもののの、市民は物価急騰を目の当たりにする可能性がある。それに加え、野党や労働組合は通貨切り下げは苦境に追い打ちをかけるとして、24時間の全国的なストライキを計画している。 8月20日、ボリバル・ソベラノの新しい紙幣を見せる市民写真家:Carlos Becerra / Bloomberg トリノ・キャピタルのチーフエコノミスト、フランシスコ・ロドリゲス氏は20日付の顧客向けリポートで、マドゥロ大統領が打ち出した計画は「一貫性がなく、具体性に欠ける」とし、経済安定に向けたいかなる試みも大きな信頼性の問題を生じさせる可能性を示唆した。
マドゥロ政権は国内のパニック拡大を抑える措置を講じる。最低賃金は3300%以上引き上げられ、生活必需品50品目の統制価格も21日に発表される。政府は身分証明書「祖国」カードを保有する市民の生活を移行期間中に支援するための給付金支払いも開始している。 ただこうした計画は不安定な基盤の上に成り立っている。ボリバル・ソベラノの価値は原油を裏付けとする仮想通貨「ペトロ」に連動する。ペトロは変動し、物価設定に利用される見通しだが、ロドリゲス氏によると、ペトロは機能しているいかなる市場でも取引されていない。 20日は首都カラカスの街中は閑散としていた。政府は新たな措置や銀行システムの準備に充てるためこの日を祝日とした。大半の企業は休業し、市民は自宅にとどまったり、海岸に行ったり、営業している数少ない商店に出かけたりした。 原題:Venezuela Ready for Confusion or Chaos as Devaluation Takes Hold(抜粋) ビットコインの分派に乗り換えたバー氏、本流への勝利は厳しい情勢 Olga Kharif 2018年8月21日 12:41 JST バー氏は「ビットコイン・ジーザス」と呼ばれることが多い 「ビットコインキャッシュ」は商取引でほとんど利用されず−分析
ロジャー・バー氏 Photographer: Paul Yeung/Bloomberg 「ビットコイン・ジーザス(教祖)」と呼ばれることが多いロジャー・バー氏は、信奉する通貨を第2のビットコインとも見なされる「ビットコインキャッシュ」に変更したが、追随する人は少ないようだ。 ブロックチェーン分析会社チェーンアリシスによると、ビットコインから分裂したビットコインキャッシュは、商取引でほとんど利用されていない。「ビットペイ」や「ゴーコイン」など世界の主要17の仮想通貨決済サービスが取り扱った支払いの調査によると、ビットコインキャッシュでの支払いは5月に370万ドル(約4億700万円)と、3月の1050万ドルから減少した。一方、ビットコインでの支払いは5月に6000万ドル。昨年9月には4億1200万ドルだった。 Payments Received by Top Crypto Merchant Processors Bitcoin Cash use in commerce is declining Source: Chainalysis
チェーンアリシスのシニアエコノミスト、キム・グラウアー氏は電話取材に対し「ビットコインキャッシュはユーザー数も保有者数もビットコインより少ない」と語った。 ビットコインキャッシュは1年前にビットコインから分裂して誕生。バー氏はビットコインキャッシュに乗り換え、同通貨に投資するとともに、自身が運営するビットコイン・ドット・コムのサイトをビットコインキャッシュ中心に作り直した。以来、それぞれの通貨の支持者がツイッターなどで厳しい意見のやり取りをしている。バー氏はコメントを求める要請に今のところ応じていない。 原題:‘Bitcoin Jesus’ Having a Hard Time Winning Over True Believers(抜粋)
ワールド2018年8月21日 / 08:20 / 2時間前更新 インタビュー:トランプ氏、米中通商協議に「多くは期待せず」 1 分で読む
[ワシントン 20日 ロイター] - トランプ米大統領は20日、ロイターとのインタビューで、今週ワシントンで行われる中国との通商協議で多くの進展が得られるとはみていないと述べた。 大統領は、中国との貿易摩擦の解消に「期限はない」とし、「中国と同様に、私は長期的な視野を持っている」と述べた。 その上で、中国の代表団はまもなく到着する予定だが、協議に「多くは期待していない」と語った。 大統領は、対中貿易摩擦の解消には時間を要すると指摘。「中国は余りにも長い間、余りにも好調だった。中国はわがままになった」との見方を示した。 通商協議に臨む中国の代表団は王受文商務次官が率いており、米側はマルパス米財務次官(国際問題担当)が率いる。 協議が再開される一方で、米政府は東部時間23日午前0時01分(日本時間午後1時01分)に160億ドル分の中国製品に対する新たな関税を発動する予定で、中国も同規模の報復措置を取る構えだ。 米通商代表部(USTR)はまた、20日から6日間の日程で、2000億ドル相当の中国製品に関税を課す提案について公聴会を開催している。 *見出しを修正しました。
テクノロジー2018年8月21日 / 08:50 / 9時間前更新 インタビュー:米大統領、ソーシャルメディアの利用禁止「非常に危険」 2 分で読む [ワシントン 20日 ロイター] - トランプ米大統領は20日、ロイターのインタビューに応じ、ツイッター(TWTR.N)やフェイスブック(FB.O)などのソーシャルメディア企業が一部のユーザーに自社サービスの利用を禁止した措置について「非常に危険」だと述べた。 トランプ大統領は、5300万人以上がフォローするツイッターのアカウントを持っており、自らの意図を宣伝したり、政策の発表や、批判に対する反論を展開。大統領職の遂行にとって不可欠であると同時に、物議を醸す要因となっている。 大統領は「名前は挙げないが、(ソーシャルメディア企業が)特定の人をツイッターやフェイスブックから外すとき、彼らは非常に危険な決定をしている。あなたが対象になる可能性もあるからだ」と語った。 ソーシャルメディア業界は、一部の外国政府に不当に利用されているとして米議会から厳しく追及されている。 トランプ氏は18日一連のツイートで、ソーシャルメディア企業が「共和党/保守派の主張を全面的に差別している」と批判したが、企業の具体名は挙げなかった。 アップル(AAPL.O)とアルファベット(GOOGL.O)傘下のユーチューブ、フェイスブックの3社は、極右的な主張と陰謀論で知られる政治評論家アレックス・ジョーンズ氏が運営するウェブサイト「インフォウォーズ」によって投稿された一部のコンテンツを削除した。ツイッターは15日、同氏のアカウントを一時的に停止した。 トランプ氏は大統領就任前の2015年12月、ジョーンズ氏が司会を務めインフォウォーズが制作したショーに出演している。 ツイッターとフェイスブックは、トランプ氏の声明に対するコメントを控えた。アップルとグーグルからのコメントは得られていない。 Twitter Inc 32.6 TWTR.NNEW YORK STOCK EXCHANGE -0.13(-0.40%) TWTR.N TWTR.NFB.OAAPL.OGOOGL.O 7月の下院司法委員会での公聴会で、フェイスブック、グーグル、ツイッターの幹部らは、政治的理由によりコンテンツを削除したことはないと証言。ツイッターの上級ストラテジスト、ニック・ピクルス氏は「当社の目的は会話のためのサービスを提供することであり、個人の信条について価値判断を行うことではない」と述べた。 私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」 ワールド2018年8月21日 / 08:45 / 2時間前更新 インタビュー:米大統領、モラー氏聴取による「偽証罪のわな」懸念 1 分で読む [ワシントン 20日 ロイター] - トランプ米大統領は20日、ロイターのインタビューに応じ、ロシアによる2016年米大統領選への介入疑惑を巡るモラー特別検察官の捜査について、いかなる宣誓証言をしても自らに対する偽証罪の証拠として利用される恐れがあることを懸念していると述べた。 捜査を巡っては、トランプ氏の顧問弁護士であるルディ・ジュリアーニ氏も、モラー氏の聴取に応じることは「偽証罪のわな」に陥る可能性があると警告していた。 トランプ大統領は、自らの証言がコミー前連邦捜査局(FBI)長官といった他者の証言と突き合わされ、何らかの食い違いがあれば自らに不利に働く恐れがあるとの懸念を表明。「彼(コミー氏)はモラー氏の親友であるため、モラー氏は『それではコミーを信じる』と言う可能性がある。たとえ私が真実を述べたとしても、私はうそつきにされる。それは良くない」と語った。 ただ、こうした疑念にもかかわらず、大統領はモラー氏の聴取に最終的に応じるかどうかについてコメントをしなかった。また、トランプ氏の外交政策などを批判していたジョン・ブレナン元中央情報局(CIA)長官に対して行ったように、モラー氏から機密情報を扱うのに必要なセキュリティー認証を剥奪する可能性についてもコメントを避けた。 トランプ大統領は「それについてはじっくり考えたことはない」と語った。 大統領はインタビューの中で、ツイッターでほぼ毎日投稿しているように捜査への不満を表明。モラー氏の捜査チームは偏見を抱いているとの主張を繰り返した。 また、自身が捜査への介入権限を持つと強く主張。ただ、今のところ権限を行使しないことを選択しているとした。 大統領は捜査について、ロシアとの関係強化に向けた自身の取り組みを妨げているほか、米国民の対立を招いているとして非難。「まんまとロシアの策略にはまった」と述べた。 ロシアが米大統領選挙に介入したとの結論を米情報機関は下しているが、ロシアを非難することはなかった。 *見出しを修正しました。 ワールド2018年8月21日 / 08:25 / 9時間前更新 インタビュー:米朝首脳の再会談、可能性最も高い=トランプ大統領 1 分で読む
[ワシントン 20日 ロイター] - トランプ米大統領は20日、ロイターのインタビューに応じ、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と再び会談する「可能性が最も高い(most likely)」と述べた。北朝鮮の非核化を巡っては、同国が具体的な措置を取ったと信じていると語った。 北朝鮮との関係について、「多くの良い事が起きている」とする一方、米中貿易摩擦を背景に中国から以前ほど支援を得られていないと不満を表明した。 トランプ氏は、北朝鮮問題に取り組んでいるのは3カ月にすぎないと主張。一方で前任者たちは30年間もこの問題に取り組んできたと指摘した。 「私が(北朝鮮の)核実験を止めた。私が(北朝鮮の)ミサイル実験を止めた。日本は感激している。次に何が起きるか。今に分かるだろう」と述べた。 金委員長との関係について「相性が良い」と指摘。「私は彼が好きで、彼も私のことが好きだ」とした上で、「その後弾道ミサイルは打ち上がっておらず、平穏な期間が長く続いている。金委員長とは非常に良好な個人的関係を築いている」と述べた。 再会談の見通しに関する質問に対しては「開催する可能性が最も高いが、コメントはしたくない」とし、時期などについては触れなかった。 米朝首脳会談前に主要核実験場を廃棄した以外、北朝鮮は非核化に向け具体的な措置を取ったかとの質問に対してトランプ氏は「措置を取ったと思う」と述べたが、詳細は語らなかった。 トランプ氏は、首脳会談前に北朝鮮が拘束していた米国人3人を解放したことにも言及した。 *見出しを修正しました。 私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
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