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スズキのジムニーが飛ぶように売れている理由…死角は安全装備?
https://biz-journal.jp/2018/08/post_24467.html
2018.08.18 文=萩原文博/自動車ライター Business Journal
スズキ・新型ジムニー(写真:つのだよしお/アフロ)
8月の夏本番を迎えて、国産自動車メーカー各社から発表される2019年3月期第1四半期決算が出揃った。国内では「若者のクルマ離れ」などが叫ばれ、逆風が吹いているように思われがちだが、トヨタ自動車やスズキは増収増益、売上高および各利益はいずれも過去最高となっている。
世界一の自動車メーカーといわれているトヨタだけでなく、軽自動車販売が中心のスズキがなぜここまで好調なのかと思う人も多いはず。実は、スズキは多くの人が想像する「軽自動車メーカー」とは別の顔を持っている。今回は、そのスズキのもつもうひとつの顔をはじめ、なぜこれだけ好調なのか、また今後の課題などに迫ってみる。
スズキが浜松を拠点とする軽自動車メーカーであるという認識は、そもそも間違いだ。スズキの19年第1四半期の連結売上高は9875億円。国内の売上高2963億円に対して、海外は6912億円と国内の2倍以上の売上高を海外で達成している。また、国産メーカーとしてはいち早くインドやハンガリーなどに進出。特にインドでは圧倒的なシェアを誇っているグローバルカンパニーだ。これがもうひとつのスズキの顔なのである。
スズキの発表した国内販売実績では、18年1〜6月までの累計で軽自動車が30万5773台(前年同期比102.5%)、登録車(軽自動車の規格を超える自動車の総称)は6万8306台(前年同期比114%)。現在、スズキの国内販売の好調を支えているのは登録車だということも見えてくる。実際、国内だけでなく、海外で販売されているSUV(多目的乗用車)の「エスクード」や「SX4 S-クロス」はハンガリーで生産、また5ドアハッチバックの「バレーノ」はインドで生産され日本に輸入するなど、消費地に近い場所で生産する“地産地消”をいち早く導入し、それが好結果につながっているのだ。
一般社団法人日本自動車販売協会連合会が発表している18年6月の新車登録台数データを見ると、4232台で19位の「スイフト」をはじめ、25位に3554台で「ソリオ」、29位に17年12月に発売された「クロスビー」がランクイン。一方の全国軽自動車協会連合会の発表している18年6月の軽乗用車の新車登録台数データを見ると、1万3450台で17年12月に発売された「スペーシア」が2位、6位に9500台で「ワゴンR」、そして8位に「アルト」、10位に「ハスラー」と、4モデルがランクインしている。
■ジムニーが絶好調の理由
さらに今後、軽乗用車の販売台数は上積みされる可能性が高い。それは18年7月に20年振りにフルモデルチェンジを行った「ジムニー」の販売が絶好調だからだ。
今回、軽自動車の「ジムニー」だけでなく、「ジムニー」をベースにオーバーフェンダーを装着し、1.5Lエンジンを搭載した登録車の「ジムニーシエラ」も同時にフルモデルチェンジを行った。もともと「ジムニーシエラ」は海外向けに開発されたモデルで、乗り味も欧州の高いスピードレンジに合わせて硬めにセッティングされている。
それが今回、同時にフルモデルチェンジを行ったことで、これまでややマイナーな存在だった「ジムニーシエラ」にも関心が集まった。その結果、「ジムニーXC」「ジムニーシエラJC」といった上級グレード、シフォンアイボリーメタリックやジャングルグリーンといったボディカラーは、すでに納車まで1年以上という大人気を誇っている。
なぜ、「ジムニー」がここまで人気となっているのか。それは、原点回帰したデザインがもっとも大きい。ラダーフレームを採用した強固なボディ。そしてジムニー伝統の本格オフローダー性能が挙げられるだろう。しかし、これだけでは従来のジムニーファンにしか支持されない。新型「ジムニー/ジムニーシエラ」は、従来のオーナーだけでなく、新規ユーザーも取り込んでいる。それはやはり、本格オフローダーという機能を具現化したデザインが大きく影響している。
昨今のクルマのデザインは、燃費性能向上を目的に高い空力性能を実現させるため、曲線を多用したボディが中心。しかし、「ジムニー」の本質である、高い悪路走破性を持つ本格オフローダーを表現するため、直線を多用したデザインを採用したことが、若者を中心とした消費者の目には、機能美を追究した斬新なデザインと映るのだろう。しかも、ボディカラーにキネティックイエローやシフォンアイボリーメタリックという、従来の「ジムニー」になかったボディカラーを採用。さらに2トーンボディカラーも用意するなど、現在の軽自動車のトレンドもしっかりと押さえていることも挙げられる。
本田技研工業(ホンダ)の「N-BOX」が独走している軽自動車市場で、スズキはスーパーハイトワゴンの「スペーシア」、ハイトワゴンの「ワゴンR」、スタンダードモデルの「アルト」、クロスオーバーSUVの「ハスラー」の4車種が軽乗用車ベスト10にランクインしており、多くの人に支持されているのがわかる。
これは、スズキがISG(モーター機能付発電機)とリチウムイオンバッテリーを搭載し、減速時のエネルギーを利用して発電、電気機器の利用やモーターによる走行を可能するエネチャージやSエネチャージ、マイルドハイブリッドと呼ばれる技術を横展開したことで、軽自動車のどのカテゴリーでもトップレベルの燃費性能を実現し、高い支持を得ているのだ。
■好調なスズキの死角
だが、スズキは優れた燃費性能で高い評価を受けている一方で、心配な点もある。それは安全装備だ。軽自動車ナンバー1のホンダ「N-BOX」は、高速道路で追従走行が可能なアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)を搭載している。この装備は現在のところ、軽自動車では「N-BOX」と、最近発売されたばかりの軽商用車「N-VAN」のみに装着されている。
スズキは登録車にACC搭載車はあるものの、軽自動車にはまだ搭載されていない。これはスズキが、軽自動車については価格の安さにプライオリティを置いていることが大きな影響を及ぼしている。実際、スズキを支持するユーザーの多くは、「アルトが47万円」の時代からスズキの軽自動車を乗り継いでいるため、安全装備が付くことによって価格が高くなると、ほかのメーカーに流れてしまう可能性が高いのだ。
しかし、こういったユーザーの意識を変えていかないことには、今後安全装備に関しては、ホンダや日産・三菱連合の後塵を拝することになりかねない。すでに価格が200万円を超える車種もあたりまえのように出てきている軽自動車は、ボディサイズやエンジン排気量に制限があるため、差別化が難しい。
そんな軽自動車市場を勝ち抜くためには、「ジムニー」のように優れたデザインと個性的な機能、そして安全装備は必須の条件となるはずだ。そう考えると、今後スズキもこの安全装備の拡充は避けることのできないポイントとなる。安さだけを求める既存のユーザーの意識改革――。これがスズキを左右するキーワードとなるだろう。
(文=萩原文博/自動車ライター)
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