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西友、売却が混迷…中国アリババも有力、「隠れ本命」は住友商事か
https://biz-journal.jp/2018/08/post_24438.html
2018.08.15 文=編集部 Business Journal
西友の店舗(「Wikipedia」より/ARICA13)
西友は、堤清二氏が率いるセゾングループが1956年に設立した「西武ストア」が母体。バブル崩壊後に財務体質が悪化し、2002年に米ウォルマートと包括提携。08年にウォルマートの完全子会社となり、店内のオペレーションから商品調達、物流などのコストを絞り込む「ウォルマート流」の手法を全面的に採用して経営の立て直しを図ってきた。競合する店舗を圧倒する低価格で来客数を増やし収益を高める「エブリデー・ロープライス(EDLP=毎日が安売り)」が西友のキャッチフレーズとなった。
西友を運営するウォルマート・ジャパン・ホールディングスは株式会社化した15年以降、2年続けて純損益が赤字。決算公告によると16年12月期は最終損益で2億4900万円の赤字だった。17年は純利益ゼロだったが、米ウォルマートが当初考えたスケールメリットを生かすどころか、業績の低迷から抜け出せないでいる。
ウォルマートのダグ・マクミロン社長兼最高経営責任者(CEO)は6月1日の年次株主総会で「集中こそが優先事項だ。商業モールなど中核的でない資産は切り離し、成長分野と技術に投資しているのはそのためだ」と述べた。4月以降、英国やブラジルでスーパー事業を縮小しており、人口減による市場縮小が不可避の日本市場からの撤退も時間の問題とみられていた。
「ウォルマートは、難航が予想されたブラジル事業の米投資ファンドへの売却を6月に決めたことで、西友も有利な条件で売却できると自信を持った。ウォルマートは複数の流通大手や総合商社、投資ファンドに西友売却の打診を始めた」(国際M&A筋)
総合商社の首脳は「住友商事が隠れ本命」と指摘する。西友は00年、食品を中心とするスーパーのサミットを運営する住友商事と資本・業務提携した。02年、住友商事の仲介により米ウォルマートの傘下に入った。西友をウォルマートに結びつけた水先案内人が住商だったわけで、「あなどってはいけない存在」(同首脳)。
■中国資本や投資ファンドの動きも注視
前出・国際M&A筋は、「中国のネット関連のアリババが日本に本格進出する拠点として西友に目を付けている」と解説する。アリババが動く場合には、総合商社が一枚噛むことになろう。ウォルマートと強固な接点を持つ住友商事が本線で、三井物産もあり得るとされる。
駅に近い店舗の資産価値に着目した中国資本(不動産を中心としたコングロマリット)が有力な買い手候補になる可能性はある。中国の不動産会社だけでなく、国内の不動産・私鉄も優良物件なら買う姿勢だ。その場合は地域や店舗ごとのバラ売りとなる。ウォルマートは一括売却を基本方針としているので、買い手側がどれだけ有力な条件を出すかにかかってくる。中国資本と組んで“西友獲り”に手を貸すのは総合商社なのか、はたまた米国の投資銀行なのかも注目点だ。
首都圏の店舗が切り売りされることになれば、靴小売り専門店最大手のエービーシー・マート(ABCマート)も候補だ。オーナーの三木正浩氏の決断次第かもしれない。ただ、企業規模(年商約2600億円規模、19年2月期予想)から見て、「西友全体のM&Aは荷が重い」と分析するアナリストが多い。
投資ファンドの動向も要注意だ。筆頭は米ベインキャピタルだろう。これまでに、すかいらーくホールディングス、ドミノ・ピザ、大江戸温泉物語グループ、雪国まいたけなどに投資した実績がある。国内の大手はユニゾン・キャピタル。東ハトや、あきんどスシローに投資した。あきんどスシローは英投資ファンドのペルミラに転売して巨額の売却益を得ている。アドバンテッジパートナーズはメガネスーパーなどを手掛けた。
格安航空会社スカイマークの再生に取り組んでいるインテグラル代表の佐山展生氏は日本におけるM&Aのパイオニアだ。西友のM&Aにも関与したいところだろう。高級食品スーパー、成城石井を買い取り、ローソンに譲渡した丸の内キャピタルは三菱商事系。三菱商事の別動隊として動く余地は残されている。
すでにイオンとイトーヨーカドーには打診があった。両社に打診があったということは楽天が断わった可能性がある、と前出・国際M&A筋は分析する。アマゾンは日本でも小売りに参入したがっている。しかし、米国でウォルマートの“天敵”がアマゾン。アマゾンに地域限定(日本)なら売ることがあるのか。
IT系では中国のアリババが有力視されている。ひとつのキーワードがオーガニック。アマゾンが買収した米国の高級食品スーパー、ホールフーズもオーガニックに強みを持つ。訪日客を集めるにはオーガニックが不可欠。西友の店舗を活用してオーガニック食品を大々的に売る戦略なら成功するかもしれない。
(文=編集部)
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