#asyura御用達の左派の経済芸人たちと異なり、議論に値する日銀批判も多い金利政策に徹するべきだ」 岩田一政氏(日銀元副総裁) 黒田緩和修正・私の診断 経済 金融機関 2018/8/8 22:30日本経済新聞 電子版 保存 共有 その他 今回の政策変更は全体として「引き締め」でも「緩和強化」でもない、ニュートラルなものだった。長期金利の上限を0.2%に引き上げた一方で、引き締め効果を伴わないよう強めのフォワードガイダンス(将来の指針)を導入し、金利上昇圧力を相殺した。日銀は忍び足で、量を減らし金利を引き上げることで、出口へのプロセスを一歩進めた。 日本経済研究センター理事長 フォワードガイダンスでは2019年10月に予定される消費増税の影響を見極めるため、少なくとも20年までは現在の長短金利水準を動かさない方針を明確に示した。長期金利の変動幅をプラスマイナス0.2%程度にまで広げたが、さらに拡大するとは考えにくい。 長期金利が「上限」の0.2%に張り付いて、再び値動きが硬直化するのは時間の問題だ。国債市場の需給に合わせて金利が動くようにしないと市場機能は改善しない。 金融システムの問題では、政策金利そのものの水準を変えない限り改善効果は期待できない。 日銀は量と質、マイナス金利と長期金利誘導という4つもの政策手段を導入し、関係性や効果が非常に分かりづらい。「80兆円」といった量の目標は全てやめ、金利政策に徹することが必要。政策委員が5年くらい先までの金利見通しと望ましい中立金利水準(ドット・チャート)を示すことを通じて、長期金利をコントロールしていく仕組みを導入すべきだ。 日銀は引き締め方向に当面動けず、景気後退があるとすれば、次の一手はマイナス金利の深掘りとなる可能性がある。ただ利回り曲線の傾きに配慮する必要がある。短期金利が低くても長期金利との差が十分あれば、金融機関は利ざやを稼ぐことができる。
「副作用の対応不十分」 須田美矢子氏(日銀元審議委員) 黒田緩和修正・私の診断 経済 金融機関 2018/8/8 22:30日本経済新聞 電子版 保存 共有 その他 今回の決定は現状維持を続けるための微調整にすぎない。新しく導入されたフォワードガイダンス(将来の指針)は「当分の間、極めて低い金利水準を維持することを『想定している』」との弱い表現で、将来の政策を縛るものではない。今後の金融政策の方向性は、経済や物価情勢、市場の反応にもとづく政策委員会の判断で変わってくる。 大事なのは、物価見通しを大幅に引き下げたにもかかわらず追加緩和をうまく回避できたことだ。… 北関東地銀4〜6月期、めぶきは最終増益 収益厳しく 金融機関 北関東・信越 2018/8/8 22:30 保存 共有 印刷 その他 北関東の5地銀・グループの2018年4〜6月期連結決算が8日出そろった。最終増益を確保したのはめぶきフィナンシャルグループ(FG)のみで、他の4行は軒並み最終減益となった。貸出金利回りは緩やかに低下を続け、収益環境はなお厳しい。加えて、余資運用では米長期金利の上昇に伴い、各行で米国債の損切りを進める動きが目立った。 連結純利益はめぶきFGが前年同期比12%増の134億円と2桁増益を確保したが、群馬銀や東和銀など4行は大幅な最終減益となった。めぶきFGも本業のもうけを示す実質業務純益は20%減の145億円にとどまった。傘下の常陽銀行が上場投資信託(ETF)の売却益を計上し、最終増益となった。 米長期金利の上昇を受け、各行は有価証券のポートフォリオの見直しを進めている。めぶきFGは米国債を売却して含み損を解消する一方、欧州債や事業債を購入した。4〜6月期に売却損を計上した群馬銀は「第2四半期以降の金利動向を見て、買い戻しも検討する」という。 筑波銀も米国債を中心に外債の損切りを進めたが「評価損の拡大を補いきれなかった」。米国債や投資信託などその他有価証券の含み益(6月末時点)は6億円と前年比で74%減った。低金利が続くなか、有価証券運用も難しさを増している。 異例猛暑、景況感冷やす 街角景気2カ月ぶり悪化 経済 2018/8/8 22:30日本経済新聞 電子版 保存 共有 その他 想定を超える猛暑が消費者の心理を冷やしている。内閣府が8日発表した7月の景気ウオッチャー調査によると、現状の景況感を示す指数(季節調整値)は2カ月ぶりに悪化。2016年9月以来の低水準となった。暑さを嫌って外出を控える人が増え、小売りやレジャー企業が客足の減少を懸念した。西日本の豪雨災害も生産や物流に打撃を与え、景況感を下押しする要因になっている。
景気に敏感な職種の全国約2千人を対象に調査した… 北関東の街角景気、7月は5カ月ぶり悪化 猛暑響く 北関東・信越 2018/8/8 22:30 保存 共有 印刷 その他 内閣府が8日発表した7月の景気ウオッチャー調査(街角景気)で、北関東の現状判断指数(DI、季節調整値)は46.8と前月から6.0ポイント低下した。2月以来5カ月ぶりに悪化し、好不況の分かれ目とされる50を下回った。猛暑の下で消費者が外出を控える動きが目立ったようだ。 猛暑は衣料品専門店で「大きく影響して、客足が激減している」(販売担当)。美容室も「例年なら忙しいこの時期、日中は客が外出を控えている」(経営者)という。家電や飲料品などで販売量が伸びたとの声も上がったが、「暑いので一時的に売れているだけ」(家電小売店の経営者)と慎重な見方もあった。 西日本豪雨に関しては「野菜をはじめ、当店で扱う肉類も値上がりをしたまま」(精肉小売店の経営者)、「救援物資車両が優先となっているため、車両不足が発生し、用車費も上がっている」(輸送業の営業担当)といった影響が出ている。 全国の現状判断DIは46.6で1.5ポイント低下。全12地域のうち9地域で悪化した。
2018.08.8 日銀の政策目標は「物価」のままでいいのか「デフレ=景気が悪い」は本当? スマートプラス Market Plus執筆班 7月31日の金融政策決定会合で日本銀行がどのような話をするのか、非常に強い関心が寄せられていました。 日銀は「前年比で2%の物価上昇」を政策目標として掲げています。しかし、同日に公表された「経済・物価情勢の展望(2018年7月)」において、2020年度の物価見通しは同1.6%の上昇となっており、4月時点での見通しよりも下方修正されています。 目標達成まで少なくともあと3年は緩和を続ける必要があるわけですが、本当に物価を政策目標とすることが正しいのでしょうか。身の回りの例も見ながら、考えていきましょう。 ________________________________________ デフレ脱却ははるか遠く 総務省が7月20日に公表した消費者物価指数(CPI)を見てみると、2018年6月の消費者物価指数は総合が前年比0.7%と前月と同じ上昇率でした。価格変動の大きい生鮮食品とエネルギーを除いた総合(コアコアCPI)は前年比0.2%と上昇率が前月から0.1ポイント縮小しています。 CPIの調査対象のうち、生鮮食品を除いた523品目を、前年比で上昇した品目と下落した品目を分けて数えてみると、6月の上昇品目数は273品目となっており、前月から8品目減少しています。 冒頭に書いたように、前年比で2%の物価上昇という政策目標に対して、依然として大きな開きがあることがわかるかと思います。 しかし、私たちの生活において、本当にモノの値段が下がり続けているように実感はあるでしょうか。以前書いたように、実際には「ステルス値上げ」のように事実上の値上げが行われていたりします。また、CPIが必ずしも物価の上昇をとらえきれないため、指数と実感に差が出るということもあるでしょう。 最近のニュースでは、今月1日、マルハニチロがサバの缶詰33品目を9月1日の納品分から約10%値上げすると発表しました。缶詰加工向けの国産サバの原料価格が大きく上昇したため、としています。しかし、CPIでは「魚介缶詰」はツナ缶が調査対象のため、やはりこの値上げは指標としては反映されず、またしても実感と指標に差が表れそうです。 日本の景気は本当に悪いのか デフレを脱却できないので、まだしばらくの間は金融緩和を継続するということですが、そもそも本当にそこまで金融緩和を続ける必要があるのでしょうか。さらに言えば、日本の景気はそれほど悪いのでしょうか。この点も実感としてどう感じているか、ということを念頭に読んでいただければと思います。 まず日本の労働市場を見てみましょう。厚⽣労働省が先月末に発表した6⽉の有効求⼈倍率(季節調整値)は1.62倍となり、前⽉から0.02ポイント上昇しました。44年ぶりの⾼⽔準が続いています。つまり、現在は求職者にとって比較的職が見つけやすい状態にあるといえます。企業側から見れば、人を採ることが難しくなっている状態です。 また、総務省が同日に発表した6⽉の労働⼒調査によると、完全失業率(季節調整値)は2.4%と 前⽉⽐0.2ポイント上昇しました。この指標を見ると、失業率は上がっているじゃないかと思われるかもしれません。 しかし、内訳を見てみると、完全失業者数(季節調整値)のうち「自発的な離職(自己都合)」は7万人(前年比11.1%)の増加となっています。つまり、より良い条件で採用されるために退職をした人が増えたと考えられるでしょう。 先月には2018年度の最低賃⾦の⽬安を26円引き上げ、874円にするというニュースも流れました。これは過去最⼤の上げ幅となります。少なくとも労働市場だけを見れば景気が悪いとは思えません。 次に企業側の状況を見てみましょう。財務省が6月1日に発表した2018年1〜3月期の法人企業統計によると、金融業・保険業を除く全産業の設備投資は前年同期比3.4%増の14兆7,720億円となり、6四半期連続して前年同期比でプラスの伸びを維持しています。 また、3月末時点における同条件での利益剰余金(内部留保)は、前年同期比9.3%増の426兆7,376億円となっており、こちらは過去最高を記録しています。 必ずしも物価だけを目標にしなくてもいい すべての指標を見たわけではありませんが、これまで見てきた主要経済指標を見る限り、日本の景気はそこまで悪いわけではないことはわかったかと思います。 筆者の周りを見渡せば、なるべく安く買うために、オンラインショッピングを活用したり、ネット上で最安値のものを探してから購入する人が多い一方で、CPIの調査対象には含まれていない品目ではあるものの、自分が好きなものであれば、とても高額な買い物をする人が増えている実感があります。 今回、日銀も金融緩和の副作用に配慮した声明を発表しましたが、物価だけに必要以上に執着するのではなく、労働市場も含め、もう少し幅広い指標を勘案しながら金融政策について議論するほうが良いのではないでしょうか。 CPIの伸びが2%でなく、1%であっても、その水準で安定的に推移するのであれば十分ではないのか。今後はそのような視点を持ちながら、日銀の動向に注目してみてもいいかもしれません。 (文:Finatextグループ アジア事業担当 森永康平 写真:ロイター/アフロ)
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