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止まらない人民元安、米中貿易紛争の影響も大きく(マネーポスト)
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/142.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 8 月 08 日 11:29:30: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

止まらない人民元安、米中貿易紛争の影響も大きく
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180808-00000001-moneypost-bus_all
マネーポストWEB 8/8(水) 7:00配信


昨年5月以来の人民元安水準に


 人民元安が止まらない──。8月6日の人民元対ドルレート基準値は前営業日と比べ191ポイント下落し、1ドル6.8513元となった。これは2017年5月31日以来の元安水準である。日中の取引は寄り付き前に発表される基準値に対して±2%の範囲で自由に取引されるが、この日の終値は前営業日と比べ0.39%高い1ドル=6.8538元で取引を終えている。

 3日に中国人民銀行は8月6日より先物為替取引業務に関する外貨リスク準備金をこれまでの0%から20%へと引き上げると発表した。先物為替取引とは、為替レートを現時点で予約する相対のデリバティブ取引で、将来の契約した時点で反対売買して差金決済するのだが、株取引でいえば、人民元の空売りと似た取引である。外貨リスク準備金の引き上げは、機関投資家がこうした取引を行う際に必要なコストを引き上げることを意味する。

 中国本土マスコミによれば、市場関係者は当局がこうした政策を打ち出す理由として、「人民元対ドルレートが6.90付近まで下落しており、さらにもう一段の人民元安圧力がかかっていること、6月下旬以降、中国外貨取引センターの発表する人民元指数(実効レート)が92.41まで下落しており、合理的な範囲とされる94〜95から外れていること」(6日、中国証券報)などを挙げている。つまり、中国人民銀行が、為替取引の安定化を図るために行った措置であると説明している。こうした政策が打ち出されている中での人民元安である。

 アメリカは1日、2000億ドル相当の中国からの輸入品に対して、これまで10%の追加関税をかけるとしてきたが、それを25%に引き上げると発表した。意見聴取をかけるとしているので、今後、内容が修正される可能性があるが、政府が方針として追加関税を引き上げた意味は大きい。

 それに対して、中国は3日、外貿法、輸出入関税条例などの法律、国際法の基本原則に基づき、アメリカ原産の5207品目、約600億ドル相当の輸入品について、25%、20%、10%、5%の関税をかけると発表した。中国側もアメリカが態度を変えなければといった条件を付けているが、アメリカが実行すれば必ず報復するという意味でもある。

一方的な人民元安はアメリカからの批判の対象に

 アップルは7月31日、2018年4-6月期の決算発表を行ったが、説明会においてクックCEOはトランプ政権による追加関税政策の影響について「最終的には消費者への増税となり、経済成長率を引き下げ、意図しない結果という大きなリスクにつながり得る」と答えている。共和党の中にも反対する勢力がいる。グローバル企業、自由貿易推進派の議員などの反対は根強いものの、一般有権者の中にはトランプの中国たたきに対して、賛成する者も多いようで、そのことがトランプ大統領の政策をより過激にさせている。

 中国の市場は不動産、株式から原材料取引に至るまで、どれも投機性が強い。アメリカは利上げサイクルの最中であり、中国は景気下支えのために金融緩和を進めている。その上、貿易紛争が激化、長期化するならば、人民元を売って、ドルを買い、レバレッジをかけてドル金利高にかけるといった投機的行動に出ようとする者が出るのも仕方がない。また、海外から流入する資金についても、人民元安は不利となる。

 中国人民銀行は急激な人民元安を警戒しているのであって、人民元高に誘導しようとしているわけではないだろう。一方的な人民元安はそれ自体、アメリカからの大きな批判の対象となる。そうした批判をかわしながら、表向きは人民元安を阻止しようとしているが、為替市場の自由化を進めているので、阻止するのが難しいといった説明を当局は行いながら、実際は、緩やかに人民元安誘導(表面上は人民元安の容認)を行うのではなかろうか。

 人民元対ドルレートは米中貿易紛争が続く限り、人民元安方向に振れる可能性が高いだろう。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週刊中国株投資戦略レポート」も展開中。


 

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コメント
 
1. 2018年8月08日 11:53:02 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1172]

#相手も苦しいから、一党独裁の力で、制御して勝ち残れる可能性は高いか


 
トランプ関税、小規模企業の値上げ「限界」コスト高を吸収できる余地なく経営戦略見直す

フロリダ州タンパのタイタン・メタル・サービスの工場。トランプ関税でフロリダ州一帯の様々な企業にも影響が出ている CHRIS URSO/TAMPA BAY TIMES/ZUMA PRESS

By
Ruth Simon
2018 年 8 月 8 日 08:41 JST
 米新興電動自転車メーカーの「M2Sバイクス」は販売代理店を100店に増やす計画だった。そんな矢先にドナルド・トランプ米政権が中国に対する関税案を発表した。
 ノースカロライナ州アッシュビルを拠点とし、従業員5人で切り盛りするM2Sは、自社で設計した自転車を中国東部の金華市から輸入している。米国で同規格の原動機を見つけることは不可能だという。関税が発動されれば、自転車(自転車ではなく電動バイク?)の原価が425ドル押し上げられる。現在の小売価格は最高3250ドル(約36万円)だ。ディーラーに受け入れられ、かつ利益を損なわないような新たな卸売価格を模索する間、販売代理店のアイデアは棚上げとなっている。
 米国は中国からの輸入品340億ドル相当に対して25%の関税を課している。160億ドル相当の輸入品を対象に同様の追加関税を導入する方針で、さらに2000億ドル相当に対する関税措置を検討中だとも発表している。中国は同程度の報復関税を課し始め、米国がさらなる関税措置を実行に移せば最大1100億ドル相当の米製品に関税を課す構えだ。

ブリリアント・ホーム・テクノロジーは9月に発売予定のスマート照明スイッチの価格を引き上げた PHOTO: DAVID PAUL MORRIS/BLOOMBERG NEWS
 関税の影響は米経済にじわりと広がりつつある。とりわけ痛みを実感しているのは中小企業やスタートアップだ。大企業に比べ、これらの企業は原材料費の上昇を回避したり、コスト上昇分を顧客に価格転嫁したりする能力に劣る。関税は価格設定を狂わせ、利益率を圧迫する。中小企業はまた、生産拠点を移す余力も乏しく、厳しい状況に陥った場合によりどころとする資金も限られる。
 このため、ハイテク照明スイッチから肉の包装紙に至るまであらゆる商品を巡り、中小メーカーは戦略や供給、製造拠点、価格体系の見直しを行っている。
 大企業はおおむね関税への懸念を受け流している。法人減税や堅調な需要を背景に、予想を上回る利益を達成できているためだ。一方、ビステージ・ワールドワイドがウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)向けに中小企業750社余りを対象に実施している月次調査では、成長への楽観的 な見方は7月、2016年の大統領選以降で最低の水準に後退した。

【インフォグラフィックス】拡大する貿易戦争(画像をクリックするとインフォグラフィックスにリンクします)
 トレーラー販売会社スモーキー・マウンテン・トレーラーズ(テネシー州)の販売責任者スコット・イエーツ氏は、最高7%の「原料サーチャージ」を請求されていると明かす。鉄鋼とアルミニウムへの関税措置の影響だ。値上がりした新トレーラーが在庫に入り、同社は販売価格を引き上げている。
 イエーツ氏は「結局のところ、消費者が支払うことになる」と指摘する。
 創業3年のシリコンバレー新興企業、ブリリアント・ホーム・テクノロジーは9月にWi-Fiスマート照明スイッチを249ドルで発売する予定だった。ところが中国製電子製品に対する10%の関税案が出されたことを受け、価格を299ドルに引き上げざるを得なくなった。
関連記事
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中国中銀、人民元で「群集行動」避けるよう市中銀行に通達
Bloomberg News
2018年8月8日 3:27 JST
• 人民銀には市場安定化のための手段豊富にあると市中銀に伝えた
• 元の中心レート設定で反循環的要素の活用復活を示唆とも

Photographer: SeongJoon Cho / Bloomberg
中国人民銀行(中央銀行)は6日、人民元を安定させるための追加的な策を講じた。事情に詳しい複数の関係者によれば、人民銀は一部の市中銀行に対し、為替市場での「群集行動」とモメンタムを追う動きを避けるよう促した。
  同関係者によると、人民銀当局者が同日午前の会議で市中銀に対し、人民銀には市場安定化のための手段が豊富にあると説明。人民元の柔軟性を維持し、元相場が上下双方向に動くのを容認すると伝えた。

  人民銀当局者はまた、人民元に対して高まる圧力を適宜解く必要が出てくるとし、市場の力に抵抗する措置を講じることはないとも述べた。公に話す権限がないとして同関係者が匿名で語った。同当局者は元相場が6月以降に下落したにもかかわらず、クロスボーダーの資本流出入は総じて均衡しており、中国のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)が元の安定を支えるとの認識も示した。
  米中通商摩擦の激化と中国の景気減速が重なり、本土市場で取引される人民元は過去3カ月で6%余り下げた。今回の会議について人民銀に営業時間外にコメントを要請したが、返答はなかった。
  会議に出席した複数の市中銀担当者が示唆したところによると、人民銀は元に関する市場の期待を誘導するため「反循環的要素」を使う可能性がある。同要素は元の中心レート算出に関して、変動を抑制するために昨年導入されたが、ここ数カ月は使われていなかった。
  市場関係者の間では、反循環的要素の活用が元安定に向けた次のステップとの見方があった。会議に出席した14行は毎営業日、人民銀に元のレートを提示している。

  スタンダードチャータードのアジア外為ストラテジスト、張敬勤氏(香港在勤)は「今回の動きは人民銀がこれまでに講じてきた措置と整合的だ。元の下落ペースを緩め、投資家の見込みが元安方向に一方的に傾くのを阻止し、パニックのような状態を避ける予防的な取り組みだと考えられる」と述べた。

原題:China Is Said to Ask Banks to Avoid ‘Herd Behavior’ on Yuan (1)(抜粋)


2. 2018年8月08日 11:56:41 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1173]

>止まらない人民元安

上にもある通り、まだコントロールされている

それが世界市場へも影響する

 


 

ビジネス2018年8月8日 / 07:00 / 3時間前更新
ドルが対ユーロで下落、人民元安定化受け=NY市場
2 分で読む

[ニューヨーク 7日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、中国人民元相場が安定化したことを背景にドルが対ユーロで下落した。

中国人民銀行(中央銀行)は前週3日、人民元相場の安定化に向け、市中銀行に義務付ける為替フォワード取引の準備金要件を6日から20%に引き上げる方針を発表。これを受け、6月中旬以降約7%下落していた人民元CNH=は3日の取引で1ドル=6.9122元から6.8284元に上昇した。

通商を巡る懸念からこのところユーロは人民元に連動して動く傾向が出ており、人民元相場は安定化していくとの観測からユーロが上昇した。

TD証券(トロント)の北米外為戦略部門責任者、マーク・マコーミック氏は、人民元の対ドル相場が特にユーロなど他の通貨の動意となっていると指摘。「中国当局は意図的に人民元相場を引き下げようとしているのか、それとも人民元が自ずと下落するのを容認しているのか見極めようとする動きが出ていた。中国が人民元の対ドル相場のボラティリティーの縮小に努めているとみられることがやや明白になり、このことでユーロの下値が支えられている」と述べた。

主要6通貨に対するドル指数.DXYは0.10%下落の95.264。7月19日には95.652と、2017年7月以来の水準に上昇していた。

ユーロ/ドルEUR=は0.24%高の1.1581ドル。市場関係者は1.15ドル近辺でテクニカルな支持が見られたとしている。

今週の注目は10日発表の7月の米消費者物価指数(CPI)。 ロイター調査ではコアCPIが0.2%上昇すると予想されている。

ドル/円 NY終値 111.37/111.40

始値 111.16

高値 111.47

安値 111.00

ユーロ/ドル NY終値 1.1597/1.1601

始値 1.1596

高値 1.1608

安値 1.1582

表はロイターデータに基づいています


3. 2018年8月08日 13:41:31 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1180]

#複数の主要メディアは反トランプ、中国寄りだが。。

 


 
テクノロジー2018年8月8日 / 12:21 / 1時間前更新
中国、5G構築で米国をしのぐ=報告書
1 分で読む

[7日 ロイター] - 大手会計事務所デロイトが7日に公表した報告書によると、次世代高速通信「5G」ネットワークの構築において中国が米国をしのいでいる。米国は経済的利益の機会を逸するリスクがあると警告した。

中国には現在、5Gネットワークに対応している基地が米国の10倍ある。2017年の3カ月間で、中国における携帯電話の鉄塔会社や通信会社が増やした基地数は、米国の過去3年間分を上回る。

デロイトは、5Gは「未開発の経済的機会をもたらす」とし、最初に導入する国が「かけ離れた恩恵を受ける」とした。

15年以降、5Gネットワーク構築に投資した額は中国が米国を240億ドル上回る。中国における携帯電話の鉄塔基地の新設数は同期間で35万カ所。米国は3万カ所に届かない。

米連邦通信委員会(FCC)は最近、今後5Gで使われる見込みの高周波数の電波事業への入札における新たな規制を発表した。

デロイトのダン・リットマン主任は声明で「米国が競争力を維持し、将来的にけん役を担うには、5G化の競争は慎重に評価しつつ、素早い行動が重要となる」とした。

報告書は、米国はまだ追いつけるとした。5G展開までの時間を短縮できるような政策にするほか、携帯電話の通信会社が協力し、統計や最優良事例のデータベースを構築することを推奨した。

 
トップニュース2018年8月8日 / 13:16 / 17分前更新
コラム:トリのエサにもならないトランプ政権の通商成果
Gina Chon
2 分で読む

[ワシントン 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米政権の小規模な通商合意の数々は、大した成果になっていない。米政府当局者は7日、モロッコが米国産鶏肉の輸入に初めて門戸を開いたことを歓迎した。コロンビアが米国産コメの受け入れを拡大し、アルゼンチンが米国産豚肉の禁輸を解除したことも称賛した。

だが、これにより見込まれる少なくとも3500万ドル(約38億円)の輸出増加は、トランプ大統領の貿易戦争で他国から受ける報復関税による損害と比較すれば、ニワトリのエサほどの価値しかない。

米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は、モロッコとの鶏肉に関する合意について、トランプ政権が新たな市場の開放に優先して取り組んでいる証しだと強調した。また先月には、通商分野での米政権の成果に関するニュースを「まったく読んでいない」として、米議員に文句をつけた。

ライトハイザー氏が言う「成果」には、米国産かんきつ類に対する欧州連合(EU)輸入規制の解除や、日本による米国産羊肉とヤギ肉の輸入解禁も含まれる。前者により初年で1500万ドルの輸出増が見込まれるほか、後者の市場規模は1億6900万ドルとされる。

もちろん、米国製品の海外市場アクセスの拡大は、米国の企業や農家に歓迎されることだ。

だがそれは、すでにカナダや中国、EUやメキシコの報復関税の対象となった540億ドルの米国製品や、今後さらに中国からの制裁対象となりかねない600億ドルの製品と比べれば、色あせる。これら報復対象の多くは農産物で、大豆や小麦、豚肉やオレンジジュースが含まれる。

その一方で、トランプ大統領はまだ主要な貿易協定の合意を実現できていない。5250億ドル相当の米国輸出に影響がある北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を完了させようとしているが、まだ障害が残っている。メキシコとカナダを対立させようという米国の作戦は効果が見えない。

場当たり的なホワイトハウスの通商戦略にいかに全体像が欠けているかが、ここにも表れている。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。Gina Chon
2 分で読む

[ワシントン 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米政権の小規模な通商合意の数々は、大した成果になっていない。米政府当局者は7日、モロッコが米国産鶏肉の輸入に初めて門戸を開いたことを歓迎した。コロンビアが米国産コメの受け入れを拡大し、アルゼンチンが米国産豚肉の禁輸を解除したことも称賛した。

だが、これにより見込まれる少なくとも3500万ドル(約38億円)の輸出増加は、トランプ大統領の貿易戦争で他国から受ける報復関税による損害と比較すれば、ニワトリのエサほどの価値しかない。

米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は、モロッコとの鶏肉に関する合意について、トランプ政権が新たな市場の開放に優先して取り組んでいる証しだと強調した。また先月には、通商分野での米政権の成果に関するニュースを「まったく読んでいない」として、米議員に文句をつけた。

ライトハイザー氏が言う「成果」には、米国産かんきつ類に対する欧州連合(EU)輸入規制の解除や、日本による米国産羊肉とヤギ肉の輸入解禁も含まれる。前者により初年で1500万ドルの輸出増が見込まれるほか、後者の市場規模は1億6900万ドルとされる。

もちろん、米国製品の海外市場アクセスの拡大は、米国の企業や農家に歓迎されることだ。

だがそれは、すでにカナダや中国、EUやメキシコの報復関税の対象となった540億ドルの米国製品や、今後さらに中国からの制裁対象となりかねない600億ドルの製品と比べれば、色あせる。これら報復対象の多くは農産物で、大豆や小麦、豚肉やオレンジジュースが含まれる。

その一方で、トランプ大統領はまだ主要な貿易協定の合意を実現できていない。5250億ドル相当の米国輸出に影響がある北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を完了させようとしているが、まだ障害が残っている。メキシコとカナダを対立させようという米国の作戦は効果が見えない。

場当たり的なホワイトハウスの通商戦略にいかに全体像が欠けているかが、ここにも表れている。

 

 
2018年8月8日 / 13:26 / 7分前更新

〔マーケットアイ〕外為:ドル/円小動き、中国の対米貿易黒字は「もはや焦点ではない」
3 分で読む

[東京 8日 ロイター] -

<13:20> ドル/円小動き、中国の対米貿易黒字は「もはや焦点ではない」

ドルは111.36円付近で小動き。7月の中国貿易収支への反応は限定的だった。ドル建てでは、輸出が前年比12.2%増(予想は10.0%増)、輸入が同27.3%増(同16.2%増)で、ともに市場予想を上回った。

7月の中国の対米貿易黒字は280億8900万ドルで、6月の289億7000万ドルから小幅に減少した。「米中貿易戦争に関して、中国の貿易黒字の増減はもはや焦点はではない。米国の対中制裁関税の動向や中国の出方などに関心が向かっている」(外為アナリスト)との声が出ていた。

<12:05> 正午のドルは111円前半、日米通商協議控え膠着

正午のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点とほぼ同水準の111.35/37円。ドルは仲値にかけて111.44円まで上値を伸ばしたが、その後はあすの日米通商協議開催を控え、様子見ムードが広がった。

スポット市場の人民元は1ドル=6.7950元まで上昇し、1日以来の高値をつけた。一方、上海総合株価指数は全営業日比で0.47%安となっているが、今のところリスク回避的な円買いはみられない。

前日のニューヨーク市場では、中国人民元相場が安定したことを背景にドルが全般に売られ、対円でも110.99円まで下落した。

午後には中国の貿易統計が発表される予定で、関心を集めている。

<11:36> ドル111円前半、ビットコインは3週間半ぶり安値の6500ドル台


4. 2018年8月08日 17:33:45 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1183]

 
内患外憂の習近平氏に吹き始めた逆風−中国国民に不安広がる

Peter Martin、Alan Crawford

2018年8月8日 14:24 JST
国民が国の方向性に不確かな気持ちを強め、深い不安感−清華大教授
「突然オープンに話され、批判され始めた」とコーエン氏

習近平国家主席 Photographer: Qilai Shen/Bloomberg
数カ月前、中国の現職最高指導者としての習近平氏の勢いを止めることはできないように見えた。国家主席の任期制限を撤廃し、数十年ぶりとなる政府組織の抜本改革を発表。昨年11月のトランプ米大統領訪中を成功させ、米国との貿易戦争を阻止できるように思われた。共産党総書記でもある習氏への党からの礼賛も相次いだ。

  だが、こうした圧倒的に強いリーダーとしての存在感が裏目に出るかもしれない。景気減速や株式相場の急落、粗悪ワクチンを巡る不祥事などは全て国民の不満を招く。欧米や世界の金融センター各地では、中国の野心に対する警戒感が広がりつつある。一段とエスカレートしつつある米国との貿易戦争は、中国が当初想定していた展開とは異なり、習氏の失敗を映し出すプリズムとなっている。

   中国人民大学の王義桅教授(国際関係)は「貿易戦争が中国の腰を低くさせている。われわれは謙虚ならなければならない」と話し、習氏肝いりの現代版シルクロード構想「一帯一路」の下での大規模なインフラ整備事業をどのように進めていくかについてさえも再考すべきだとの考えを示唆した。

  米国との貿易交渉を始めた5月、中国は自信を隠さなかった。習氏は経済政策で最も頼りにしている劉鶴副首相を「個人特使」として米国に公式派遣。劉副首相は帰国後、勝利を宣言した。中国全土に放送されたテレビインタビューで、貿易戦争はないと断言。そしてショックに襲われた。

  助言や事業構築支援を提供する米クランプトン・グループで中国の政治を分析しているジュード・ブランシェット氏は「中国の振る舞いが搾取的で、制止する必要があるとの広範なコンセンサスがあった」と指摘。

  貿易交渉において関税は好ましい武器でないとする欧州連合(EU)の当局者も、トランプ大統領が展開する対中批判の本質については同意している。EUの行政執行機関、欧州委員会のユンケル委員長は7月の訪中時、李克強首相も出席し北京で開かれたビジネスリーダーとの会議で「EUはオープンだが、ナイーブではない」と述べた。

  国内での批判も強まっている。清華大学法学院の許章潤教授は中国のシンクタンク、天則経済研究所のウェブサイトに掲載された7月24日の論文で、「官僚エリートを含め国民が国の方向性に不確かな気持ちを強め、深い不安感を感じている」と記し、「不安の高まりが国全体にパニックのように広がっている」と指摘した。

  習氏が進めた反腐敗運動では150万人を超える公務員や党員が摘発されたが、今のところ党内で習氏に組織立って反対する明確な兆しは見られない。コンサルティング会社チャイナ・ポリシーの北京在勤マネジングエディター、デービッド・コーエン氏は「習氏のポジションについて分析し直すのは時期尚早」だとしているものの、この1カ月ほどは習氏の終わりの始まりのような感覚がある。

  「突然オープンに話され、批判され始めた。以前の習政権下と比べる非常に劇的だ。抵抗する余地が大きくなったと一般国民は考えている」とコーエン氏は語った。

(原文は「ブルームバーグ・ビジネスウイーク」誌に掲載)

原題:Is Xi Jinping’s Bold China Power Grab Starting to Backfire?(抜粋)

 


 

 
オリックスが中国系航空機リースに2500億円投資、過去最大級

谷口崇子、Gareth Allan

2018年8月8日 16:31 JST

海航集団傘下アボロンの株式30%を取得、実質的な共同経営
ビジネス上は補完関係に、事業戦略広がるメリット

オリックスは8日、中国の企業グループ、海航集団傘下の航空機リース会社アボロン・ホールディングス(アイルランド)の株式の30%を22億1700万ドル(約2500億円)で取得することで合意したと正式に発表した。マイナー出資ながら、実質的な共同経営となる。オリックスとしては過去最大級の投資。

  発表資料などによると、オリックスは11月をめどに手続きを完了する。非常勤取締役2人を派遣するほか、残り70%を保有する海航集団との間で重要事項の決定はオリックスの承認を条件とすることで合意しており、実質的には共同経営となる。オリックスは2013年に蘭資産運用会社ロベコを買収(2507億円)しているが、買収完了時点ではこれを上回る過去最大の投資案件となる見込みという。

  オリックスが中古市場で機体を調達して中堅航空会社や格安航空会社(LCC)に貸し出すのが得意なのに対し、アボロンは主に新造機を発注して大手航空会社向けにリースしており、ビジネス上は補完関係にある。オリックスにとっては、事業戦略の幅が広がり、利益の3割を取り込めるメリットがある。アボロンにとっては、投機的等級の発行体格付けが出資受け入れで改善する見込みで、調達環境の好転が期待できる。

  航空機業界は、新興国での需要の拡大やLCCの相次ぐ参入で有望な成長分野となっている。ボーイング社の調査では、37年までの20年間で17年の運航機数(2万4400機)の倍近い4万2730機の需要が見込めるという。航空会社は資金調達の多様化や運航計画の変更に柔軟に対応できるリースへの切り替えを進めており、現在40%超のリース機の割合が今後20年間で50%に達するとの予測もある。

  オリックスは1991年に航空機リース事業に本格参入。現在はアイルランドの子会社で中型機を中心に32カ国、70社の航空会社に貸し出している。航空機リースを含む海外事業部門は17年度連結決算のセグメント利益内訳で稼ぎ頭の25%を占めた。同子会社のデービッド・パワー社長は「今回の出資は、オリックスにとって大きな一歩だ。従来のビジネスモデルを磨きながら、新たな戦略出資によって持続的な成長を達成したい」とコメントした。

  調査会社、フライトグローバルの昨年の航空機リース会社ランキング(機体数ベース)によると、アボロンは585機で3位、オリックスは227機で12位となっている。両社を合わせても3位規模だが、1位のGE(1324機)、2位のエアキャップ(1076機)に近づく。

  海航集団(HNAグループ)は複数の航空会社や物流、観光開発などを手がける企業グループ。多額の債務を抱えて世界中で資産売却を進めており、米ミネアポリスに拠点を置くラディソン・ホテル・グループの売却なども取り沙汰されている。

  ブルームバーグ・ニュースは7日、オリックスがアボロン出資で最終調整していると報じた。これを受け、みずほ証券の佐藤耕喜シニアアナリストはリポートで「久々にインパクトのある案件」と指摘、連結利益を5%程度押し上げる可能性があるとした。また、SMBC日興証券の中村真一郎シニアアナリストらも質のいいアセットの積み上げによる利益成長が見えてきた点で好材料だと評価した。オリックスの8日の株価は一時、前日終値比2.9%高の1813.5円と7月9日以来の日中上昇率を記録した。


5. 2018年8月08日 19:00:52 : vMo3WR47xU : eGWDBKAoKvI[58]
目には目を 互い譲らぬ 持久戦

6. 2018年8月09日 22:14:13 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1198]

#現状では、悲観的な見方と、楽観的な見方が、交錯しているということだ

 

 


ビジネス2018年8月9日 / 19:24 / 1時間前更新
関税引き上げや保護主義で、世界経済のリスク高まる=ECB
1 分で読む

[フランクフルト 9日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は9日に公表した定例の経済報告で、保護主義のリスクや米関税引き上げの可能性が信頼感を損ねており、世界経済成長へのリスクは拡大していると指摘した。

ECBは「米国の関税引き上げを巡る行動や警告、また対象となる国が報復措置を講じる可能性を背景に、世界経済への下方リスクは高まっている」とした。

また、導入の可能性が発表されている措置がすべて実施されれば、米国の平均関税率は過去50年でみられなかった水準に上昇すると指摘した。

このほか、外的リスクは高まっているものの、域内の成長は堅調とみられ、短期的な指標は経済の広範囲で底堅い拡大を示しているとの見解を示した。
 

 


外為フォーラムコラム2018年8月9日 / 14:28 / 2時間前更新
コラム:人民元安の後に来る「リスクオン相場」の足音=高島修氏
高島修 シティグループ証券 チーフFXストラテジスト
5 分で読む

[東京 9日] - 米中による貿易戦争が熾烈化する中、人民元安が進行中で、中国株の値崩れも目立つ。特にハイテク株への依存度が高い深セン株式市場は2015年初来の安値圏にまで下落している。

この中国市場の混乱を横目に、市場で渦巻くリスク回避志向はなかなか払拭されずにいる。

だが、今回の人民元安とそれを促している中国政府・当局による大胆な金融緩和策が、中国最大の懸念材料だった資本流出問題を引き起こしていないことを思えば、数カ月後にわれわれが目にするものは、失速気味だった中国経済の回復と、資源国・新興国を中心とした世界的なリスク選好の回復ではなかろうか。

この7―9月期のドル円は7月につけた113円台の高値を上限に、引き続きレンジ色の濃い展開が続きそうだが、今年10―12月期から来年1―3月期にかけてはその水準を超えるドル高円安が進行する可能性が強まると見込んでいる。

<予想外の人民元安>

白状するならば、筆者にはこの間、人民元に絡んで、いくつかの誤算があった。1つは予想以上の人民元安が進行したことだ。通貨バスケット制を建て前とする人民元の対米ドル相場は従来、ユーロドルとほぼ並行的に変動してきた。

そのユーロドルは2月に1.25ドル台の高値をつけた後、5月には1.15ドル台まで値崩れした。その時点で人民元は対米ドルで6.3元台で推移していたが、2017年以降の両者の関係から推察するに、筆者はざっと6.6元前後まで元安が進行する事態を警戒していた。

そうした中、6月のシンガポールでの米朝首脳会談の直後にトランプ大統領が対中関税政策の実施を表明。米中貿易戦争の勃発が明確になった6月中旬以降、中国では金利低下が鮮明になった。

その時点での人民元安進行には筆者はあまり強い違和感は覚えていなかった。だが、人民元相場は7月後半に入ると、6.7元台に続落し、今月は2016年末につけた6.9元台の安値に迫る下落となってきた。3カ月前にはまさかここまで急激な人民元安が進行するとは考えていなかった。

<予想外に起こらない資本流出>

筆者にとってもう1つの誤算は、ここまで急激な人民元安が進行しているにもかかわらず、中国から海外への資本流出問題に火がついていないことだ。中国は3年前の2015年8月に突如、人民元切り下げを発表した。当時も上海株が急落するなど、中国経済の減速懸念が高まっていた。

日本もそうだが、ある国が景気刺激に動く時には通貨安は欠かせない。その意味では、3年前に中国が人民元切り下げという通貨安政策に踏み切ったことは経済政策としては正しい選択肢だった。

ただ、それは思わぬ副作用を生んだ。中国の通貨当局はその時、人民元切り下げの理由として、事実上、ペッグしている米ドルが通貨高になったことで、人民元がユーロや円、韓国ウォンなどアジア通貨に対して割高化し、国際競争力を失っていることを強調した。そのため、先々の人民元安を警戒した中国国内外の投資家(含む預金者)が金融資産を中国から海外へシフトさせ始めたのだ。

正確な数字は分からないが、ある試算に基づくと、2015年後半の中国から海外への資本流出額は月々10兆円を超えていた模様だ。これは昨年の日本貿易黒字額(年間約4兆円)の2倍を超える。当時の中国からの資本流出がいかに凄まじかったかが分かろう。

この資本流出とそれに伴うさらなる人民元安という負のスパイラルに中国政府が当初は為替介入で対処したため、2014年に4兆ドルに達していた外貨準備は2016年には3兆ドルまで急減することになった。

最終的にはその頃から中国は資本規制の強化と、米国を上回る金融引き締めによって人民元安と資本流出に歯止めをかけた。その時に中国政府・当局は相当な恐怖を味わったと思われ、再び資本流出を引き起こしかねない人民元安には相当、慎重だろうと筆者は思っていた。だが、実際には上記の通り、中国は6月以降、金融緩和によって急激な人民元安を促してきた。

しかも、それにもかかわらず、今回は現在までのところ目立った資本流出の兆しはうかがえない。外貨準備もそれを裏付けるように、6月、7月と緩やかな増加を示している。金融緩和策を用いて人民元安誘導を図ることは、筆者には極めてリスキーなゲームに思えたが、実際には中国はそれを断行し、そればかりか、現在までのところ予想外にうまく状況をコントロールしているのである。

昨年7月に香港経由で中国本土の債券市場に投資する「債券通(ボンドコネクト)」が創設されるなど、海外から中国への投資フローの流れが従来よりも多様化したことが、こうした大胆な策を可能性にさせているのかもしれない。

<中国株底入れは米中間選挙後か>

こうなってくると、少なくとも中期的には人民元安が世界市場に与える影響について、筆者の従来の考えを改める必要がありそうだ。

つまり、筆者は従来、人民元安は資本流出問題、ひいては中国による引き締め措置を引き起こす、リスクオフ的な要素と捉えてきた。だが、現実的には現在の人民元安は中国の景気刺激策の反映であり、リスクオン的な要素として捉えることが妥当になってきた。

思い起こせば、3年前の2015年8月に実施された突如の人民元切り下げにしても、その時こそ中国や海外の株式市場を下落させるなど、リスク回避的な反応を生んだが、それを契機に中国の経済政策が景気抑制から景気刺激に変化したことが、最終的には世界的にも原油安など2015年のリスクオフ相場から2016年以降のリスクオン相場への転換を促すことにつながった。

今回の中国の緩和策と人民元安が今年後半から来年にかけて中国国内外で同じような景気刺激効果をもたらすのではなかろうか。急落・低迷してきた銅や鉄鉱石を含め資源相場もここにきて底入れの兆しが散見されるようになってきた。実際、8日に発表された中国の貿易統計(7月)では、銅や石炭など資源輸入(数量)が力強い回復を見せた。

もしこの解釈が正しければ、4月以降調整局面にある新興国市場も2016年に急反発したブラジル市場のように回復傾向を強めることになろう。豪ドルなど資源国通貨も持ち直し色を強めていくはずだ。2015年の例で言うと、8月の人民元切り下げの後、中国株が底入れしたのは約半年後の2016年2月だった。

今回、人民元安が鮮明になったのが5―6月だったことを思うと、今年11―12月ぐらいが中国株底入れの時期として意識される。これは米国で中間選挙が終わるタイミングと重なる。

もちろん、トランプ大統領が容易に貿易戦争を終結させることはなかろう。実のところ今回、トランプ政権は高関税政策で中国に貿易戦争を仕掛けるだけでなく、現在、中国を念頭に米国企業への投資を制限する法案の検討を進めている。欧州でも最近、ドイツが中国からの投資の制限に動き始めた。

一方、中国は米ハイテク企業クアルコムによるオランダ企業買収に許可を下さず、その実現を阻んだ。先般、習近平国家主席からの強い要請で、中国のハイテク企業・中興通訊(ZTE)の制裁を解除したトランプ大統領としては煮え湯を飲まされた思いだろう。

もはや、米中関係の緊迫化は貿易戦争にとどまらず、投資を含めた経済分野全般に広がり始めている。米国と中国は単なる通商摩擦ではなく、産業覇権を巡る争いを始めている。だが、こうした長期的な懸念がくすぶる中でも、中間選挙という、いったんのクライマックスを過ぎれば、市場は不透明感が後退したと解釈し、リスクオフからリスクオンへの切り替えを進めていくのではなかろうか。

高島修氏(写真は筆者提供)
*高島修氏は、シティグループ証券のチーフFXストラテジスト。1992年に三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入行し、2004年以降はチーフアナリスト。2010年シティバンク銀行入行、チーフFXストラテジストに。2013年5月より現職。

*本稿は、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです筆者の個人的見解に基づいています。

(編集:麻生祐司)

 

 


外為フォーラムコラム2018年8月9日 / 11:13 / 2時間前更新
コラム:貿易戦争を乗り越える米中経済、日本への教訓=村上尚己氏
村上尚己 アライアンス・バーンスタイン(AB) マーケット・ストラテジスト
4 分で読む

[東京 9日] - 前回7月11日付のコラムでは、関税引き上げの対象幅が広がり貿易戦争となっても、米国経済の成長が継続し得るとの見通しを述べた。

7月にはトランプ米政権が新たな関税リストを発表。米中間の通商摩擦が一段と激化したが、米国株が上昇するなどリスク資産の多くは値を戻した。7月末に米国と欧州連合(EU)の間で通商政策がとりあえず合意に至ったこともあるが、米中が水面下で交渉を行っているとの思惑、さらには米国経済が依然好調を保っていることが、米国株式市場を支えるという構図が続いている。

2018年1月から7月末までの世界株式市場のパフォーマンスをみると、米国株式市場のアウトパフォームが目立ち、ほぼ一人勝ちの状況である。米国では、イノベーティブなインターネット関連サービスを提供する企業の株式市場に占めるウエートが他国よりも高い。これらの企業は、関税引き上げのリスクが高まっても、その影響は限定的だ。

そうした企業の株式がリスク資産の投資対象として選ばれやすいだろう。貿易戦争に起因する不確実性があっても、裾野の広さが米国株式市場を支えているということである。

<為替市場でも米国一人勝ち>

もちろん、強硬な通商政策を続ける中で、トランプ政権による減税や財政支出を受けて米国経済の高成長が続いていることも、株高を支えている。

言うまでもなく、米国は国内需要の規模が大きい。そのため、多くの企業の売上げ・利益が増え、貿易戦争に直面するグローバル企業の業績下振れリスクを相殺できている、ということだろう。

株式市場が米国のほぼ一人勝ちとなる中で、7月末時点で日本、欧州、新興国全体などの株式は総じて年初来のリターンが小幅ながらマイナスとなっている。そして、新興国の中でも、6月から中国、韓国などのアジアの株価指数の悪化が目立つ。貿易戦争を仕掛けている米国の株式市場は6月から7月に上昇したが、アジアの株式市場などは追随できないだけでなく、むしろ停滞している。

経済的には、貿易依存度が高いアジア新興国において通商摩擦の悪影響が大きい。中国も、600億ドルの輸入に対して新たな関税引き上げを公表したことで、1300億ドル規模の対米輸入のほとんどの品目に対して追加関税が適用されることになったが、少なくとも関税引き上げについては、中国の対応は限界に近づいているようにみえる。

米中関税引き上げの「最大値」がみえつつある中で、現在水面下で行われているとされる交渉や自国経済への悪影響などを勘案すると、今後、対象品目が削減される可能性もあるだろう。米中政治情勢を予想することは難しく、米中間選挙(11月実施)が近づく9月にかけて、株式市場が再び上下する可能性はあるが、通商摩擦のさらなる深刻化がないとすれば米国株式の年初来高値超えも十分あり得るのではないか。

米中による関税引き上げといった通商政策、投資制限政策などは、長期的にみれば自国経済に悪影響を及ぼす「悪手」ではある。軍事的な覇権を保つという米国の政治方針がより優先され、経済的に望ましくない政策が実現している。ただ、関税引き上げは長期的な悪影響をもたらすが、短期的には雇用・生産拡大などの効果もある。拡張的な財政政策の支えもあり、1―2年程度の時間軸では米国経済へのネガティブ要因は限定的にとどまるとみられる

また、関税引き上げに伴う輸入コスト上昇は、米連邦準備理事会(FRB)の利上げなどによるドル高によって、その影響をある程度和らげることができる。

なお、2018年の米国の一人勝ちは、為替市場でも観察されている。成長率が高まる中でFRBが利上げを続けていることを背景に、ドルは7月末時点で世界通貨に対して5%ほど上昇している。トランプ大統領による為替市場への言及などで、一時的なドル安をもたらす場面があるとしても、金利上昇やドル高が進む経済環境もまた変わらないと思われる。

<中国経済の安定成長は可能>

一方、中国については、前述した通り関税引き上げがほぼ限界に達していると思われ、政治的にも経済的にも立場は苦しいようにもみえる。

ただ、通商政策において中国の打つ手は限られるとしても、自国経済の成長を刺激する政策により、米国が仕掛ける貿易戦争の悪影響を緩和することは、一定程度可能だろう。

中国は資本移動が完全に自由ではなく、またインフレ率は低位で安定している。春先から大幅な通貨安に見舞われ、利上げを迫られている他の高金利新興国とは状況は異なると位置付けられる。

実際、中国人民銀行(中央銀行)は4月から預金準備率の引き下げなどの金融緩和によって、銀行に対する流動性供給を増やし、また社債市場のリスクプレミアムを和らげるなど、信用緩和政策を行っている。さらに、中国政府は7月、インフラ投資などの財政政策を拡大させる方針を打ち出した。

これらの政策が、経済成長率全体を押し上げるかどうかは、現状不透明な部分が大きいが、圧力を強める米国に対抗するために、中国経済を支える可能性があるのではないか。

ちなみに、当社の中国担当エコノミストは、今後、景気刺激策がスムーズに行われることが、中国経済の安定成長が続くために重要であるとし、これまでの金融政策などの対応に関して総じて前向きに評価している。

また、関税引き上げは広がっているが、経済成長率の想定については、年初からほぼ変わらない。そして、3月末以降の人民元安は、金融緩和と総じて整合的であると位置付け、緩やかではあるがさらなる人民元安があり得るとみている。

拡張財政で高い成長を謳歌する米国に続き、今後、仮に中国が成長下支えに本腰を入れ、拡張的な財政・金融政策を行えばどうなるか。米中を中心に通商政策への懸念が晴れないままでも、世界経済の安定成長が2019年まで長期化する可能性はあるのではないか。

米国の景気回復がリーマン・ショック以降10年近く続いてきた中で、財政・金融政策がその役割を終えたといった議論があることは承知している。だが実際には、インフレ安定の状況が続く中で、トランプ政権が通商政策を仕掛けたことによって、財政政策を含めた経済安定化政策の方向が、経済成長、金融市場のパフォーマンスを左右する状況に変わりつつあると認識すべきなのではないか。

それは、脱デフレの道半ばにある日本についても当てはまる可能性がある。2018年の日本の株式市場がさえない一因は、財政・金融政策がしっかりと機能していないことを意味するのかもしれない。

最後に言い添えれば、日銀が7月末に決めた新たな政策方針には、「金融緩和徹底」「金融引き締め」の双方の措置が取り入れられた。これは、経済や市場にはほぼ中立的な影響を及ぼすとみられる。

低インフレが問題となっている日本経済の状況を踏まえると、金融引き締めよりも、金融緩和強化あるいは拡張的な財政政策が必要だと筆者は考えている。

村上尚己氏(写真は筆者提供)
*村上尚己氏は、米大手運用会社アライアンス・バーンスタイン(AB)のマーケット・ストラテジスト。1994年第一生命保険入社、BNPパリバ、ゴールドマン・サックス、マネックス証券などを経て、2014年5月より現職。近著に、「日本の正しい未来 世界一豊かになる条件」(講談社刊、2017年11月)。

*本稿は、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。

(編集:麻生祐司)


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