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黒田日銀が「デフレ克服」を諦めて消費増税実現に舵を切った可能性 黒田発言を丁寧に読み解く(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/133.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 8 月 07 日 14:50:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


黒田日銀が「デフレ克服」を諦めて消費増税実現に舵を切った可能性 黒田発言を丁寧に読み解く
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56872
2018.08.07 町田 徹 経済ジャーナリスト 現代ビジネス


視点を変えてみれば…

黒田日銀総裁が先週火曜日(7月31日)に公表した「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」を巡って、様々な解説やコメントが交錯している。そもそも原典が意見の異なる日銀審議委員たちの合作でレトリック(修辞学)も多いだけに、様々な解説にはそれぞれ傾聴に値するポイントがある。だが、筆者はそれらの解説とはちょっと違った視点があってよいと感じている。

それは、この「金融緩和」が、目的の面でも、手法の面でも、アベノミクスの3本の矢のひとつとして始まったものとは異なるものに変質しつつあるという視点だ。

どういうことかと言うと、新たな「金融緩和」は、当初の目的だった「デフレ経済からの脱却」を脇に置き、むしろ、来年秋に迫った、税率を10%に引き上げる消費増税の3度目の延期をさせないことに主眼を置いたものに生まれ変わりつつあるということだ。

そして、政策目的を実現するための方策も、当初の「量的・質的金融緩和」が限界に直面し、これを縮小。代わりに、マイナス金利の深掘りの可能性を含む伝統的な金利調節を主軸に据えざるを得ない状況に陥っていると言えるだろう。

だが、デフレ脱却が重要なテーマでなくなり、経済が危機対応の金融政策を必要としない段階に到達したのならば、円相場の安定に目を配りながら、金融政策の正常化を目指すのが常道のはずである。頑なに過度な金融緩和を続けることは弊害を伴うので、我々は金融政策が歴史的な失敗を犯さないか、しっかり注視していく必要がありそうだ。

黒田発言を読み解く際に、注意すべきこと

最初に、お断りしておく。このコラムは、経済ジャーナリストとしての取材をベースにした筆者の個人的見解に基づくものだ。筆者が社外取締役をつとめるゆうちょ銀行の経営や立場とは一切関係ない。

さて、本題に入ろう。まず、あの記者会見の黒田総裁発言を振り返っておこう。紹介はポイント部分に限るので、全体に興味のある読者は、日銀の公式議事録を参照してほしい。リンクは下記の通りである。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2018/kk180801a.pdf

黒田総裁は冒頭で、「強力な金融緩和を粘り強く続けていく観点から、政策金利のフォワードガイダンスを導入することにより、『物価安定の目標』の実現に対するコミットメントを強めるとともに、『長短金利操作付き量的・質的金融緩和』の持続性を強化する措置を決定しました」と大見えを切った。

さらに、「『長短金利操作付き量的・質的金融緩和』の持続性を強化する措置について説明します。長短金利操作、いわゆる『イールドカーブ・コントロール』に関しては、短期金利・長期金利とも、基本的に、これまでの水準から変更ありません。すなわち、短期金利については、日本銀行当座預金のうち 政策金利残高に−0.1%のマイナス金利を適用する方針を維持することを決定しました。長期金利についても、10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、 長期国債の買入れを行う方針を維持しました」と強調した。

黒田発言を読み解くにあたって注意すべきなのは、伝統的に、総理の解散発言と並んで、日銀総裁の公定歩合(金融政策)を巡る発言は「ウソをついてよい」とされてきたことだ。近いところでは、日銀は2016年1月の金融政策決定会合でマイナス金利政策の導入を決めたが、黒田総裁が決定直前まで国会証言などで「(マイナス金利導入は)検討していないし、考えが変わることもない」と否定し続けた例がある。

「目的達成は難しい」と認めている

そこで、今回の総裁発言だが、日銀がこの日公表した「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」や「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を併読すれば、黒田総裁が尽くしたレトリックをある程度推し量ることができる。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/k180731a.pdf

http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1807a.pdf

レトリックの第一は、黒田総裁の冒頭の大見えだ。「『物価安定の目標』の実現に対するコミットメントを強める」という発言である。

というのも、「物価安定の目標」、すなわちデフレ克服について、今回の展望レポートは、今後の物価上昇率の見通しを悉く下方修正しているのだ。2018年度は従来の前年度比1‣3%から1‣1%に、2019年度は1・8%から1・5%に、2020年度は1・8%から1・6%に、といった具合である。しかも、いったい、いつになったら「2%」を達成できるかの目途を一切記していない。

この点について、総裁自身も歯切れが悪い。記者会見で「日本銀行としては、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態が続くもとで、企業の賃金・価格設定スタンスが次第に積極化し、家計の値上げ許容度が高まっていけば、実際に価格引上げの動きが拡がり、中長期的な予想物価上昇率も徐々に高まるとみています」と、実現時期の目途の無い迂遠な道のりを希望的観測として述べるにとどまった。

はっきり言えば、当分の間、消費者物価の前年比2%上昇の実現は難しいと認めているのである。

こんなあやふやな理屈で、「『物価安定の目標』の実現に対するコミットメントを強める」という発言を真実と受け止めるのは無理だ。デフレ脱却というテーマは、もはや黒田日銀の政策目的の主眼から外れていると読むのが素直だろう。

現在の金融政策の源流となる「量的・質的金融緩和」策を黒田日銀が決定したのは、2013年4月のこと。当時から、大胆な金融政策として、アベノミクスの3本の矢のひとつに数えられていた。

ところが、あれから5年以上が経つのに、成果は上がっていない。物価上昇率はいまだに目標の「2%」にほど遠い。

振り返れば、安倍政権の誕生まで、金融政策はデフレ下の需要不足対策として無力だとの見方が経済学者やエコノミストの間では多かった。そちらの説が正しかったと言われかねない状況なのに、黒田日銀は、この問題を脇に置いて、釈明もせず、そうした議論にほっかむりしている。

株式市場からも批判の声が

第二が、「『長短金利操作付き量的・質的金融緩和』の持続性を強化する措置を決定しました」という発言だ。前述のように、黒田総裁は「短期金利・長期金利とも、基本的に、これまでの水準から変更ありません」「10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う方針を維持しました」と、あえて「基本的」とか「程度」という言葉をちりばめた。こういった言葉も、レトリックの一部とみなすべきだろう。

この直後に、黒田総裁は、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の一連の施策をことごとく弾力化することを淡々と説明した。例えば、長期国債の買入れ額について「保有残高の増加額年間約 80 兆円をめどとしつつ、弾力的な買入れを実施する」と発言。すでに年間40兆円程度にとどまっている現状よりも、さらに減らす可能性を示唆したのだ。

長期金利の変動幅も、現状の「概ね±0.1%の幅から、上下その倍程度に変動し得ることを念頭に置いている」といい、0.2%程度まで容認する姿勢に転じた。

さらに、ETF(上場投資信託)やJ−REITの買い入れもそれぞれ年間約6兆円、約 900 億円という、これまでの保有残高拡大方針に拘らず、これからは「市場の状況に応じて買入れ額は上下に変動し得る」と軌道修正した。さらに、ETFの買い入れを日経平均株価連動型からTOPIX連動型にシフトする方針も明らかにしている。

こうした量的・質的金融緩和の見直しは、すでに、それらの策の限界や弊害が鮮明になっていることを、日銀が無視できなくなったことの表れだ。例えば、債券市場でも株式市場でも、日銀が流通市場から購入し過ぎて、それぞれの市場が機能しなくなっているばかりか、株式市場ではETF購入が「アベノミクスの成功や株高を演出する道具になっている」といった批判まで飛び出す始末だ。

それゆえ、今後、日銀が金融緩和を強化する局面が到来したとしても、量的・質的金融緩和を強化する可能性は乏しく、今後は次第に収束に向かう可能性が大きい。今後の黒田日銀の金融緩和策の主たるツールは、マイナス金利のふかぼりも含む伝統的な金利調節に回帰していくと筆者はみている。

ただ、これまでは購入の規模やパースが尋常でなく、それぞれの市場の価格形成をバブル化させてしまっているので、いきなり過激な撤収策を打ち出すと、市場をいたずらな混乱に陥れないから、黒田日銀は微調整を装わざるを得なかったとみるのが妥当なところだろう。

このように考えれば、日銀は、輸出頼みとは言え経済が安定し、物価上昇率2%という目標には届かないものの、デフレ克服も一定程度は成果があったので、2013年4月に始めたデフレ克服策(量的、質的金融緩和)に終止符を打ち、それらの施策の幕引きにかかったと言って良いだろう。

真の狙いは…?

では、いったい何のために、いつまで、黒田日銀は金融緩和を続けるのだろうか。

手掛かりになるのは、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和の持続性を強化する措置」に盛り込んだ「フォワードガイダンス」(将来指針)だ。

そこには、「2019 年10月に予定されている消費税率引上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在の極めて低い長短金利の水準を維持することを想定している」と明記さている。

「消費税率引き上げ」という言葉を明記したことから、これまで2度にわたって、国政選挙での支持率などを重視する安倍政権によって先送りされてきた消費増税が、今回は延期されることのないように、金融政策で経済を下支えしていくという黒田日銀の問題意識がはっきりと伺える。

こうした記述について、エコノミストの中には、黒田総裁が安倍首相に対し、金融緩和継続と引き換えに消費増税の断行を迫ったものだといった見る向きもある。財務官僚出身の日銀総裁らしい話法だというのである。

筆者が気掛かりなのは、フォワードガイダンスが厳格に日銀の手足を縛るものである点だ。

このままでは過度な金融緩和の継続に拘り、金融政策の正常化が遅れ、いざと言うときに打つ手がないという事態を招きかねない。欧米の中央銀行はすでに金融引き締めに転じており、内外の金利格差から円相場が混乱するリスクに早急に備えておくべきだし、放漫財政を助長する金融緩和の弊害にも目を配るべきだろう。米国発の貿易戦争や途上国の通貨危機といったリスクにも注意を払う必要がある。

潜在成長率の低下が顕著なので、金融緩和を終了したとしても、金利水準自体はそれほど上昇しないだろうが、消費増税の断行は重要であっても、本来的な日銀の使命ではない。黒田総裁には、日銀固有の使命を見据えた金融政策の運営を心掛けてリーダーシップを発揮してほしいものである。


 

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コメント
 
1. 2018年8月07日 17:01:56 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1155]

>黒田日銀が「デフレ克服」を諦めて消費増税実現に舵を切った


まず財務出身の黒田総裁は、以前から消費税増税派、舵を切ったというのは間違い

次に「デフレ克服を諦めた」 というのは、2重の意味で間違い


まず、すでにデフレではなく、インフレ率自体は、ここ数年プラス圏が続いている


また米国を中心とした世界経済の現状もプラスの状態が続いており

企業利益も雇用も、史上最高レベルが続いており

日本の名目賃金も、伸び続け、6月は3.6%増と高い水準だ


そして、より深刻な問題として、社会保障コストの増加や、

コストプッシュインフレによる消費性向の低下が起こると

仮に現状の政策が過剰であれば、今後、円安インフレが加速し、

実質GDP(国内の消費・投資)を下げる可能性もある


だから別のタイプの日銀批判者による、「今の緩和策は過剰だから、早く止めるべきだ」という

合唱も、さらに強くなっている

その点で、日銀が、金融緩和政策の微調整を行ったのも、タイミングとして妥当と言える


>このままでは過度な金融緩和の継続に拘り、金融政策の正常化が遅れ、いざと言うときに打つ手がない


これも間違い

今後、貿易戦争激化や消費増税などで、景気が下押しすれば、

今回の微調整は、自動的に緩和の強化として機能するようにもなっている


ただし、海外発の厳しい景気後退になり、大幅に輸出が減れば、

金融政策だけで、問題が解決しないのは当然であり

それこそ政府の出番ということになる



2. 2018年8月07日 19:02:36 : EC4liSO1Gt : 7KdtFe9mWZs[8]
役割を 逸脱させた アベクロが

3. 2018年8月08日 12:00:51 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1174]
#市場はまだ楽観しているが、それにも、それなりの根拠はある

しかし、所詮、それなりに過ぎないが


 


東京外為市場ニュース2018年8月8日 / 10:06 / 15分前更新

再送-UPDATE 1-金融緩和長期化へ副作用議論 日銀、7月会合「主な意見」
 
1 分で読む

(本文3段落目の一部表現を修正しました)

[東京 8日 ロイター] - 日銀は8日、政策修正に踏み切った7月30、31日の金融政策決定会合の「主な意見」を公表した。物価2%目標に向けた足取りが鈍い中、金融緩和の長期化が避けられず、国債市場の機能低下など副作用に配慮すべきとの意見が目立った。長期金利の変動について「プラスマイナス0.25%程度」を許容することが適切との指摘もあった。

日銀は同会合で、長期金利を「ゼロ%程度」に誘導する目標自体は維持しつつ、変動幅の拡大を容認。黒田東彦総裁は記者会見で、事実上プラスマイナス0.1%程度に抑えられていた変動幅に関し、その倍程度の動きを念頭に置くと明らかにした。

主な意見によると、「倍程度」が「大方の委員の合意」となった一方、「プラスマイナス0.25%程度の動きを許容することが適切」と述べた委員もいた。

この委員はまた、金利上昇をある程度容認しても「経済・物価への影響は限定的とみられる一方、金融仲介機能への累積的な影響の軽減と政策の持続性強化に効果が見込まれる」と分析した。

ただ、別の委員は「長期金利が上昇しうることも許容する政策調整を行うと、実質金利が上昇し、物価の伸び悩みを助長しかねない」と反論した。

会合後に発出した声明で、「市場の状況に応じて買い入れ額が上下に変動しうる」とした上場投資信託(ETF)を巡っては、「買い入れ額の柔軟化は政策の持続性を強化しつつ、効果的な買い入れを可能とするため適切」と評価する声が上がった。

今後の金融政策運営は、「緩和策の長期化に伴う副作用に十分配慮し、その影響を可能な限り軽減すべく、政策の枠組みに見直しの余地がないか、真摯に点検を続けていくことが肝要」と、ある委員が指摘した。

政策の枠組み強化に賛同する意見が多かった一方で、「金融緩和自体を強化することが必要」と述べた委員もいた。

政策金利のフォワードガイダンスについては、導入することで「(物価)目標実現に対するコミットメントを強化すべき」、「金融緩和の枠組みを一層強化することは極めて重要」と前向きな意見がみられた。

経済や景気に与えるリスクでは、西日本豪雨や記録的猛暑に加え、米中の通商摩擦に触れる意見が出た。 (梅川崇)

 

 

経済
長期金利の変動2倍「多数で合意」 7月の日銀決定会合

2018/8/8 10:15
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 日銀は8日、7月30〜31日に開いた金融政策決定会合の発言内容をまとめた「主な意見」を発表した。長期金利について、多数の委員が「(従来の)倍程度に変動しうることを念頭に置く」とし、2倍程度の変動を容認する方針で合意していたもようだ。

 7月31日に発表した声明文ではゼロ%程度に誘導している長期金利は「上下にある程度変動しうる」との表現にとどまっていた。8日発表した発言内容では、ある委員が変動幅に関して「大方の委員の合意となれば、記者会見で明らかにするのはどうか」と提案。そのうえで、黒田東彦総裁は会合後の記者会見で「これまでの2倍程度の変動が念頭」と説明した。

 一方、別の委員は金融緩和の長期化に伴う副作用を軽減するために「政策の枠組みに見直しの余地がないか、真摯に点検を続けていくことが肝要だ」と指摘した。

 今回導入したフォワードガイダンス(将来の指針)について、ある委員が「(物価)目標に対するコミットメント(約束)を強化すべきだ」と指摘するなど、複数の委員が必要性を強調した。


 


 


 

QE終了は心配不要、警戒すべきは金利の動き

FRBは年内に保有債券の削減ペースを月額500億ドルまで引き上げる(写真はワシントンのFRB本部) PHOTO: LEAH MILLIS/REUTERS
By
James Mackintosh
2018 年 8 月 8 日 03:56 JST
――筆者のジェームズ・マッキントッシュはWSJ市場担当シニアコラムニスト
***
 マネーが増えるのは良いことで、逆に減ることは悪いことだ。これは、弱気派の間で最近よく聞かれるようになった基本原則だ。米連邦準備制度理事会(FRB)は目下、量的緩和(QE)を巻き戻し、これまで経済を支えるために供給してきた数兆ドルのマネーを引き揚げている。
 だがよく考えれば、こうした主張はおかしな点が多い。金融政策の引き締めを懸念すべき十分な理由はあるが、その主眼はマネーの量ではなく、マネーのコストである金利に置かれるべきだ。
 弱気派の理論はこうだ。FRBは2009年以降、3兆5000億ドル(約390兆円)以上の米国債や住宅ローン担保証券(MBS)を買い入れてきた。その結果、過剰流動性が債券市場からあふれだし、株式から不動産、コモディティ(商品)、美術品の価格さえも押し上げてきた。それがここにきてFRBが債券の買い手から売り手に回ったことでマネーが逆流し始め、とりわけ新興国市場を中心にリスク資産がすでに影響を受けている。
 だがこの理論は概して、マネーが経済にどのように入り込んでくるかを見誤っている。FRBに預けられている銀行システムの準備と、われわれが日々使うマネーを混同しているためだ。一般投資家や大半のノンバンクがFRBのマネーを直接手にできるのは、現金を通してのみであり、FRBはもはや、通常の水準を上回る量の紙幣を刷ってはいない。

 FRBの債券買い入れ策で、実際に市中に出回るマネーの量が拡大した。FRBは銀行の準備を増やすことで、ノンバンクの投資家に対し、債券と引き替えに資金を供給する。銀行はまた、銀行残高の拡大という形でマネーを投資家に提供する。だが銀行が保有する米国債をFRBに売却、または投資家が調達資金を債務返済に回せば、そこにマネーの創造は生まれない。
 この相殺は重大だ。イングランド銀行(英中央銀行)はこのような「漏れ」を通じて、QE効果のおよそ4割が打ち消されたと推測している。残りは一体、どうなったのだろうか?
 中銀当局者が注力するのは、米国債を保有するはずの投資家を株や社債など、よりリスクの高い資産に向かわせる「ポートフォリオリバランシング」だ。大切なのは、FRBの債券買い入れによって利回りが低く抑えられることで、市場の利回り追求を促し、投資家のリスク選好が高まるという点だ。そのため、投資家が銀行口座にどの程度の残高を抱えているかではなく、価格の方が重要になる。
 では、QEの反転は価格にも変化をもたらすのだろうか? FRBは目下、債券保有額を毎月400億ドル減らしており、年内には削減ペースを月500億ドルに引き上げる方針だ。債券利回りが上昇すれば、米国債を手放した投資家が買い戻しに動く可能性がある。そうなればリスク資産に対する需要は後退し、価格も下落するかもしれない。その連鎖の最終地点が新興国市場で、強気相場では最も多額の資金が流入した。利回りが一転して上昇すれば、新興国からの資金流出が最も大きくなると考えるのは妥当だろう。
 ただ、これはあくまでも理論上の話だ。米国債利回りは、誰かの売買ではなく、経済やインフレ、将来の金利動向に関する市場の見方に大きく左右される。過去3度にわたるQE局面では、想定に反していずれも10年債利回りが上昇した。投資家が成長に自信を深めたことが理由で、QEが終了すると、利回りは再び低下した。その背景にFRBの存在があるとすれば、おそらくFRBが何かを行っているというシグナルの方が、FRBの実際の行動よりも重要であるように見える。
 FRBの債券買い入れがもたらす需給への純粋な影響を測る一つの指標として、タームプレミアムがある。長期債を保有するに当たり投資家が要求する想定金利水準に対する上乗せ報酬だ。FRBの債券買い入れはリスクプレミアムを押し下げるはずだが、QE局面では想定通りの動きにはならず、FRBが資産買い入れの段階的縮小に着手した2014年以降、大幅に低下している。ニューヨーク連銀の推定によると、タームプレミアムは現在、昨年10月の水準とほぼ同程度で、量的引き締め(QT)は少なくとも今のところ、全く影響を及ぼしていないことになる。

FRBはバランスシートの縮小を段階的、かつ慎重に進めている。仮にQTがタームプレミアムを大きく押し上げたとしても、債券利回りは経済見通しと金利の変化と同程度の動きにとどまるだろう。
 投資家にとってさらに厄介なのは、債券利回りと株式の関係が確立されていないことだ。1990年代終盤以降、株価は債券利回りが上昇すると値上がりし、利回りが低下すると株価も値下がりする傾向にある。経済見通しの変化が要因である公算が大きい。だが、それ以前の20年は、おそらく投資家がインフレ動向に一段と神経をとがらせていたため、逆の関係が見られた。
 QTが債券利回りに影響を及ぼし始め、利回りが経済全般のシフトに大きく左右されることもなくなり、株が売られる展開になるかもしれない。だがこうした状況を懸念する投資家は、FRBのバランスシートの大きさを過度に懸念せず、利回りとタームプレミアムの動向に目を光らせるべきだ。
関連記事
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https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i3PDEDhJUilI/v2/-1x-1.png 
Photographer: Alex Kraus/Bloomberg
流動性「消失」、クレジット市場の不安−バブルから180度転換
Sid Verma、Dani Burger
2018年8月8日 5:55 JST
• 投資家が眠れないのは出口殺到への警戒−BofAのリポート
• 6月調査では最大の心配事はバブルだとの回答が最多だった
過剰から不足へ。現在のクレジット市場では流動性ひっ迫が最大の心配の種となった。バブルが懸念されていた6月とは180度転換した。
  バンク・オブ・アメリカ(BofA)が今月まとめた顧客調査によると、欧州におけるクレジットの買い手にとって今、最大の関心事は流動性「消失」を巡る不安である。景気サイクル終盤特有の懸念に、イタリアなど欧州の政治リスクと、今年に入ってからの大幅な値動きが重なり、次の低迷期ではポジションを処分できなくなるかもしれないとして、マネーマネジャーらの不安をたきつけている。
  バーナビー・マーティン氏らBofAのストラテジストらは今週発表したリポートで、「クレジット投資家が夜眠れないのは貿易戦争のせいでも、株式相場調整のせいでもない。いつか将来に、出口に殺到する動きが広がることが心配なのだ」と指摘した。
  こうした心配はこの夏の相場上昇と矛盾する。本来なら健全な経済環境にもかかわらず、値動きは極端となり、クロスアセットの投資家を神経質にしている。イタリアの政府債務から商品市場、ハイテク株に至るまで、流動性をめぐる不安は高まっている。これは高利回りクレジットで顕著で、一斉放出の事態となれば現物証券を持つ投資家はひどいやけどを負うことになる。
  アカデミー・セキュリティーズのマクロ戦略責任者、ピーター・チア氏は「いかに実際の流動性がいずれの方向においても少なく、いかに現在のマーケット構造が脆弱(ぜいじゃく)か、私の心配はこうした動向に基づいている」とリポートに記した。
  BofAの調査では、流動性消失が最大の心配事だと回答したのは高格付け債投資家の22%、ジャンク債投資家の20%だった。6月の調査では高格付け債投資家の18%、ジャンク債投資家の30%が最大の心配事はバブルだと回答していた。

原題:Liquidity Crunch Is the New Bubble Gripping Credit Investors(抜粋)


4. 2018年8月08日 12:03:14 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1175]

#財務省の補完勢力も、リスクマネー供給に積極的らしい

 


https://www.mof.go.jp/filp/reference/link/index.htm
財投機関へのリンク
株式会社日本政策金融公庫
https://www.jfc.go.jp/n/company/sikin.html 〒100-0004
東京都千代田区大手町1-9-4
大手町フィナンシャルシティ
ノースタワー 広報部 TEL.03-
3270-0631
FAX.03-
3270-1643


政投銀・渡辺社長「ROE4〜5%に」 投資業務に注力
金融機関
2018/8/8 0:00
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33901970X00C18A8EE9000/
 日本政策投資銀行の渡辺一社長は日本経済新聞のインタビューに応じ、2020年代早々に自己資本利益率(ROE)を現状の約3%から4〜5%程度へ引き上げたいと語った。「利益に占める投資業務の比率も前期の約40%から50%以上にしていきたい」とした。

 政府は22年度までに政投銀の株式をすべて売却する完全民営化の方針を掲げていたが、15年5月に成立した改正法で売却の時期が先送りされた。渡辺社長は「組織として完全民営化に向けて努力するのは当然の使命」と指摘。「(完全民営化しても)株式を持ってもらえるように事業ポートフォリオのあり方を考えていく」と話した。

 柱のひとつが投資業務だ。前身の旧日本開発銀行はエネルギーや交通・運輸など多額の資金が必要な事業への融資を手がけてきたが、近年では大型案件が減少。資金需要が落ち込んでおり、投資ファンドなどを通じたリスクマネーの供給で収益力を高めていく。

 渡辺氏は2代連続の生え抜きとして、6月末に政投銀の社長に就いた。

ROE「メガ水準に引き上げたい」、完全民営化念頭に:政投銀新社長
谷口崇子、Gareth Allan
2018年8月8日 0:00 JST
民営化に向けた課題は収益力、ROEは3メガ銀の半分程度
エクイティ投資の割合を増やすー政投銀・渡辺社長

Photographer: Takaaki Iwabu/Bloomberg
6月に就任した日本政策投資銀行の渡辺一社長は、経営の効率性や収益性を示す株主資本利益率(ROE)を、今後3メガバンクなど他の金融機関とそん色ない水準まで引き上げる考えを示した。将来の完全民営化に備えて、一般株主の評価に耐えうる収益性を追求する狙い。

  渡辺社長は先月のブルームバーグとのインタビューで、民営化を見据えた場合の一番の課題を「収益力だ」とし、「ROEを世間並みに近づける努力をしている最中だ」とした。3月末現在の三菱UFJフィナンシャル・グループなど3メガバンクのROEが平均8%なのに対し、政投銀は3.1%にとどまっている。

  政府系金融機関である同行は、民間企業と違い公共性が求められるため、単純に収益だけを追えない側面がある。民営化計画はリーマンショックや東日本大震災などを受けて事実上凍結されているが、渡辺社長は「法律上は完全民営化のレールにまだ乗っており、いつそうなっても対応できるように準備を進める」と明言。上場に耐えられる水準のガバナンスや決算の開示ができるよう研究しているという。

  ROE引き上げの具体的方策として、リスクの大きいエクイティ投資の割合を増やすとした。渡辺氏はここ2、3年投資事業が利益の柱に成長しているとし「目利きができる人間が育ってきた。自己資本比率を現在の16.9%から2%落とすことを目安にリスクを取っていく」と話す。18年3月期の決算資料によると、業務粗利益の約4割を占めている。専任人員は現在約70人と、10年で倍増している。

  また、環境への悪影響が懸念されている石炭火力発電事業への融資姿勢について、渡辺氏は「国の方針と世界の潮流を見極めているところだ」とし、今秋をめどに同行としての融資方針を発表する方向だと明かした。同行は石炭火力向け融資残高を公表していないが、電力会社向け融資の一部に含まれるとみられる。邦銀では三井住友銀行が6月、新規融資は二酸化炭素の排出量が少ない「超々臨界圧」方式に限ると公表するなど3メガ銀行などがすでに新たな方針を打ち出している。


 

ビジネス2018年8月8日 / 01:55 / 8時間前更新
リスクマネー供給のユニークな金融機関に、企業再編も支援=渡辺政投銀社長 
2 分で読む

[東京 8日 ロイター] - 日本政策投資銀行の社長に就任した渡辺一氏は、ロイターとのインタビューで、メガバンクや地銀など民間金融機関では難しい資本性の高いリスクマネーを供給する機能を強化し、ユニークな金融機関を目指すと語った。

航空・宇宙、通信、医療、運輸の4分野を今後注力する産業領域とし、積極的にリスクマネーを投下する。さらに、産業再編を後押しする出資も進める。現在16%ある自己資本比率を14%程度に引き下げるまで、リスクアセットを増やす。

政投銀は2008年に株式会社化され、政府が100%出資している。金融危機時の危機対応融資や、民間では難しい長期融資、リスク性資金の出し手としての役割を担っている。

渡辺社長は6月28日に副社長から昇格。1981年に入行し、都市開発部長や経営企画部長を歴任。2代続けての生え抜きの社長となった。語り口は穏やかだが、行内では「仕事振りは厳しい」との評価だ。

主なやり取りは以下の通り。

――株式会社化して10年。どのように変わったか。

「将来の完全民営化を踏まえて、収益と公益の2つを旗印に掲げて進めてきた。収益性を上げるためには通常の融資業務だけでは難しいので、少しリスクの高い分野ということで投資業務に力を入れた。現在、投資勘定は、1兆円を超えた規模だ。融資が13兆円弱なので、1割近くが出資というリスクマネーのポーションになった」

「調達サイドも変わった。10年前までは借り入れのほとんどは財投や政府保証債券などの政府の信用だった。今では、6割程度が政府の信用に依拠しない自己調達になっている」

「この6割の半分は銀行借り入れだ。金融機関は利ざやを乗せて融資するので、すみ分けをしないとビジネスモデルとして成り立たない。当然、融資ではなくてリスクマネーのビジネスになる。他の金融機関も銀行法の制約などで5%以上の出資ができず、うまくすみ分けができて、従来あった民業圧迫の批判を受けなくなっている」

――今後、どの程度までリスクマネーの供給を増やすのか。

「金額ではなかなか言えないが、現在の自己資本比率16%を3年間で14%にまで引き下げる。今の資本を前提にしてリスクマネーをもっと出す。特に、航空・宇宙、ヘルスケア、通信、物流の4分野について、当面深堀りして次世代のマーケットを作っていきたい。もっとユニークな金融機関、社会に必要な金融機関になるためには専門性を磨く必要がある。他の金融機関との協業を進めていく中で、政投銀が知見を出して、一歩先を進んでいるような専門性や業界でのネットワーク、経験を持っていないと信頼されない」

――協業もかなり進んできている。

「支店が10カ店しかなく、取引先の数も限られている。そこがウイークポイントだ。大手行とはすでに共同のファンドを設立して協調はできてきている。地域の案件の元となる地銀とはすでに29のファンドを作ったが、さらに地銀とのネットワークを広げたい」

――業界再編を後押しするような資本も出すのか。

「日本の産業は世界的なマーケットからすると小粒な企業がまだ多い。統合すれば共通のバック部門のコストが下げられたり、シェアが高まれば交渉力も高くなる。条件がうまく整うのならば、再編の調整資金としてエクイティ資金を出す協力はできる。そういう案件があれば取り組みたい」

――企業再生についてどのように考えるか。

「市場がノーを出した企業を何の理由もなく救うのがいいことなのかどうかは難しい。ただ、悪くなった原因が、たとえばオーナーが変なことをやったとか、あるいは、とてもいい技術を持っているなどの理由があれば、再生資金を提供することもある。地域の金融機関と企業再生に取り組む際には、地域経済を支えるためにその企業が必要という場合もある。何が公益かは、かなり真剣に考えないといけない。独りよがりになってはいけない。いつでも外の意見を聞いていきたい」

*このインタビューは、7月20日に実施しました。

布施太郎


5. 2018年8月08日 13:28:21 : 0URAHOb0AM : WNqZFRhkQhU[512]
>日銀審議委員たちの合作でレトリック(表現の巧みな言葉)も多いだけに

>黒田日銀が「デフレ克服」を諦めて消費増税実現に舵を切った
↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑ 何のレトリックよ? ↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑

はぁ? デフレがうまくいかないから増税? 全く意味不明。
ジャブジャブ税金を突っ込んでもうまく行かず、お前らがどれだけポンコツかという馬脚を現したってこと?

増税する前に突っ込んだカネ返せ!
 


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