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自動運転の実現を阻むのは「技術」ではない! 必要な3つの対策とは?〈dot.〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180731-00000013-sasahi-ind
AERA dot. 8/1(水) 7:00配信
トヨタは自動運転車両「eパレット」で、移動サービスの開発を進めている。米ラスベガスのCES会場で=2018年1月 (c)朝日新聞社
中国の李克強首相(右から2人目)が苫小牧トヨタを視察、右は豊田章男社長=2018年5月 (c)朝日新聞社
2018年3月に、ウーバー・テクノロジーズの自動運転実験車両が起こした世界で初めての自動運転車による死亡事故。これによって水が差されたかに見える「自動運技術」の開発だが、実際にはどうなっているのだろうか?
鉄道への造詣が深いジャーナリストの冷泉彰彦氏が、シンガポールや、シリコンバレーでの国際会議の取材、そして数多くの技術者たちや、各国の当局者とのディスカッションを経てまとめた著者『自動運転「戦場」ルポ:ウーバー、グーグル、日本勢 ──クルマの近未来』。この本でも明かした自動運技術の未来について、冷泉氏に改めてご寄稿いただいた。
* * *
取材を始めた当初は、いたってシンプルな問題意識からのスタートでした。
「自動運転化が進めば世界の自動車産業は大きな変革に直面する、にも関わらず日本の動きは鈍いし、特にソフトウェア技術での遅れが心配だ……」
アメリカ在住の私には、2017年の後半から2018年の年初にかけて、グーグルやウーバーの動向、あるいは多くの見本市での盛り上がりを実感していたこともあり、時代の流れに対する焦りのような感覚もありました。
2018年の1月から2月にかけての取材では、そのような「熱狂」を実感することができました。「人間という信頼度の低いシステムにハンドルを握らせる野蛮は、一刻も早くやめるべきだ」とか「自動運転技術を前提に都市を丸ごと再設計すべきだ」というような「世界を変えるための」ディスカッションが、国際会議を主導していたのです。
ですが、3月から4月にかけてヴォルボ=ウーバーの自動運転試験車が起こした人身事故や、テスラの「オートパイロット」機能という補助的な自動運転モードを誤って使う中での事故など、自動運転がらみの事故のニュースが続く中で、そうした「熱気」には「水が差された」のです。
私には、2つの驚きがありました。1つはアメリカの世論です。自動運転車の開発で、世界を主導しているように見えるアメリカ、そのお膝元での世論は、実は自動運転に対して「拒絶」に近いようなネガティブな感覚を持っていたことがわかりました。もう1つは、肝心の自動運転技術というのが「夢物語」ではないということです。
この「夢物語ではない」というのはどういうことか、この7月に起きた2つのニュースをもとにお話ししてみたいと思います。
まず、トヨタ自動車は、7月23日に自動運転の実証実験を進めるという発表の中で、2020年の東京五輪に3000台の公式車両を提供すると公表しました。具体的には、シェアリングのコンセプトカー「eパレット」を用意して、選手村などの「閉ざされた空間」つまりは「私道」で動作させる「実証実験として、データ収集」のために行うというのです。
また、中国の李克強首相はドイツを訪問中の7月10日に、「自動運転車に関する協力合意」に調印するとともに、メルケル首相とともに「自動運転展示イベント」に出席し、「自動運転に関する都市交通管理のビッグデータ研究」などで、「よりオープンな姿勢での協力」を進めると言明しました。
この2つのニュースは、日本、中国、ドイツという各国が技術開発競争を行っているという受け止め方ができますし、もっと具体的には「トヨタ=ウーバー」の提携関係と、「BMW=バイドゥ(百度)」のチームがお互いに対抗している構図という見方もできます。
ですが、そうした受け止め方には決定的に欠落している部分があります。
問題は、どんな自動運転を目指して、どんな実証実験をするのかという点です。
現在、自動運転の開発が進められる中で、最も難しく、最も重要な課題は、「人間と機械(AI=人工知能)の共存」という問題です。
現在のAIは、信号を無視したり、横断禁止の場所を平気で渡って来るような、歩行者の行動を理解することはできません。また車両に搭載したミリ波レーダー、レーザー照射型センサー、カメラからの入力情報などを使って、歩行者を歩行者として100%認識することもできません。3月にヴォルボ=ウーバーの試験車が、アリゾナ州テンペで起こした事故は、正にこの問題を明らかにしてしまったのです。
では、どうやって自動運転を可能にするのかというと、3つの対策が考えられています。1つは歩行者に端末携帯を義務付けて「人車間通信(V2P)」で相互に事故を回避するという考え方です。2番目は、自動運転車だけでは能力不足なので、交差点などインフラ側にカメラやセンサーを充実させて事故を防止するというアプローチです。3番目は、この際、機械には理解不能な行動をする「人間」というものは、自動車から隔離しようという発想です。
この観点から、先ほどのニュースを振り返るのであれば、中国の場合は「自動運転車のモデル都市の建設」を目指していますから、この3つの対策を徹底して取ってくることが考えられます。恐らく3番目の「車道への歩行者の接近禁止」なども実施するに違いありません。そうした都市全体から自動運転に最適化を図るというモデルが実現するのであれば、ドイツ勢が興味を持つのも当然と言えます。
一方で、トヨタが五輪選手村などで試験走行させる「eパレット」の場合は、もっと穏やかな人間とAIのコミュニケーションや共存ということが志向されるのではないかと思われます。
いずれにしても、自動運転というのは、人間と機械が共存する大胆な実験であると同時に、一歩間違えば人命が関わるという危険性も持ち合わせています。その意味で、過去に実現されたコンピュータ技術によるイノベーションとは、全く異なる社会的認知が必要です。
そうした議論をスタートするためには、何よりも透明性が大切です。また国境を超えたディスカッションを続ける中で、世界標準となる制度インフラを「みんなで作って行く」というオープンな姿勢が何よりも必要です。本書が、そうした議論の一助となればと思っております。(寄稿/冷泉彰彦)
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